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赤い糸なんて引きちぎれ!!(中編)

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「これで僕は、勝己の恋人?」
「馬鹿!? 優一郎!! お前は性犯罪の被害者だよ、行くぞ」

「どこへ行くの?」
「警察署だよ、これで俺は少年院行き、お前とはさよならだ!!」

「無駄だよ、だって僕は証言しないもの」
「あっ、あのなぁ!? お前は嫌じゃなかったのかよ、俺のもの舐めさせられて」

 俺はこれで少年院行きだと真っ青な顔になっていたが、優一郎は逆にうっとりとしてまた赤い顔をしていた。そうして改めて自分の唇を舐めて、妖艶にとても嬉しそうに笑っていた。とにかく俺は自首した方が罪は軽いと思っていたから、優一郎を抱き上げて最寄りの交番まで連れていった。そして優一郎に対して性犯罪をしましたと言って自首したのだが、警察官が優一郎に何をされたのと聞くと、優一郎はお兄ちゃんに優しく遊んで貰ったと答えた。違うんです、俺が性的暴行を加えたんですと警察官に全く信じて貰えなかった、俺は優一郎を自分の部屋に連れて帰った。

「優一郎、頭の良いお前なら分かるだろ!! お前は性犯罪の被害者だ!!」
「うん、更に頭が良い僕なら分るよ。これでもう勝己は浮気できないってね」

「はぁ!?」
「白石家はこの街の警官とも繋がっている、さっきの警察官も白石家の者だよ。そして、僕は勝己から性的暴行を受けたなんて絶対に言わない、だってあれはセックスの前儀だもん」

「あの警官がぐるなら、他の街に行けば……」
「無駄だよ、だって僕が証言しないもの。勝己は性犯罪をしたんじゃない、やっと僕と愛し合ってくれただけだ」

 そう言って優一郎は俺に抱き着いてきた、俺はその腕を払い落とすことができなかった。優一郎は俺と本気で恋人になるつもりだった、だから俺に何をされたって絶対に警察には何も言わないはずだ。逆に俺は他の女と付き合うことができなくなった、そうすれば優一郎は俺をいつでも犯罪者にすることができるからだ。俺は優一郎を驚かそうとしたことを後悔した、俺がやったことは飢えていた虎に肉を差し出したようなものだった。俺が後悔をしている間に優一郎は俺の部屋を出ていって、リビングで何かをして勝手に俺の家のシャワーを使っていた。そして、全裸の優一郎はこう言ってきた。

「ねぇ、勝己。僕を抱いてよ、フェラだけじゃ物足りないでしょう?」
「そんなことできるわけないだろ!! お前はまだ子どもだ!!」

「大丈夫、勝己の両親は今日は帰れないよ。ねぇ、早く僕にキスして、また勝己のを舐めさせて、そして早く僕を抱いてみてよ」
「そんなことをしたら罪が重くなる、俺は嫌だ!!」

「むぅ、僕を抱いてくれないのなら、勝己のお父さんに性的暴行を受けたって僕は言うよ」
「止めろ!? 俺の両親を巻き込むな!?」

 優一郎はやると言ったらやる、それはもう痛いほど俺には分かっていた。だからシャワーを浴びて全裸の優一郎にベットに連れていかれても、俺には抵抗する手段がなかった。全くたった五歳で見事な手腕だった、俺は優一郎に捕まってしまった。俺の事を愛している優一郎は決してそんな俺を離さないだろう、だったらどうせ優一郎とセックスするなら優しくしてやりたくなった。こいつは馬鹿だ、俺が好き過ぎて体を差し出すような馬鹿だ。そんな馬鹿なところが可愛いと思ったが、口には出さずに優一郎を抱いてやった。

「優一郎、お前は馬鹿だな」
「えっ、どうして? んくっ」

「ん、本当に俺に惚れてるっていうのが馬鹿だよ」
「勝己がキスしてくれた、凄く嬉しい!! ああ、もう一回。キス以上のこともしてぇ!!」

「そんな大馬鹿な優一郎には、俺が優しくセックスしてやるよ」
「本当!? 勝己、嬉しい!! 早くして、早く早く僕を抱いてぇ!!」

 俺はシャワーを浴びてきている優一郎に何をしたのか聞いた、すると優一郎は下剤を使って体の中を綺麗にして、念の為にシャワーを浴びてきたのだと答えて。これが五歳児のすることだろうか、俺は優一郎の俺への執着がゾクゾクっと気持ちよく感じた。まぁ俺はβだからいずれ優一郎に捨てられるだろうが、それまでは本気でこいつを可愛がってやろうと思った。そうして、俺は優一郎を抱いてみた。それに面白がってパソコンである書類をダウンロードして、優一郎に書かせて俺も書いておいた。

「十八歳まで俺のことを優一郎が好きだったら、ここに書いたとおりにそうしてやる」
「勝己が僕と!! 僕と!! 僕とずっといてくれるなんて嬉しい!!」

「だけど残念ながらこっちは狭いな、指二本しか入らねぇ。俺のはお預けだな」
「やだ!! 勝己とセックスしたいよ!!」

「今日のところはキスとフェラ、それに素股で我慢しな」
「ああん!! 勝己とのキス気持ち良いよ!! 素股で拓海のが僕のに当たって気持ち良い!!」

「どうだ、優一郎気持ち良いか? それじゃあ、いくぞ!!」
「はあっ、勝己のあったかい精液がお腹の上にいっぱい。それに、指でいじられたお尻も気持ち良かった」

 優一郎は俺の相手をしてとても嬉しそうだった、ずっと笑顔で気持ちが良いと言っていた。優一郎の中が狭すぎてさすがにセックスはできなかった、そのことが優一郎は少し不満そうだったが、俺がキスしてやったら機嫌がなおった。そうしてから、俺はまた来いと優一郎に言った、優一郎は嬉しそうに頷いた。そうして俺と優一郎は付き合うことになったが、もちろん優一郎と関係者以外には一応秘密だった。優一郎の家族がどこまで知っているのか俺は知らなかった、しかし俺に何もしかけてこないところを見ると知らないのか、知ってて黙認しているのかのどっちかだった。

「優一郎、お前背が伸びたな」
「僕も小学生だよ、ねぇまだ本当にエッチはできない?」

「今度、俺の両親がいない時に試してやるよ」
「今日いないよ!! 二人とも泊まり込みで仕事だって!!」

「なんだ最初から試す気だったんだな、優一郎」
「お腹の中も綺麗にしてあるよ、勝己」

 俺と優一郎は普通に遊ぶこともあったが、セックスをしていることが多かった。優一郎がなによりそれを望んでいたし、俺も最近では優一郎が好きだったからだ。だから俺たちはベッドに入ってキスをし合って、最近では優一郎が精通したから俺がフェラしてやっていた。優一郎は俺がフェラをすると感じすぎて、あんあんと喘ぎまくっていた。そんな風に俺たちは仲良く過ごして、とうとう俺は優一郎を抱いた。小学校六年生で十二歳の時のことだった。優一郎は俺との初めてのセックスに興奮し過ぎて、鼻血を出してしまったくらいだった。

「ああ!! 気持ちが良い!! 気持ち良いよ!! 勝己、好き!! 大好き!! 愛してる!!」
「ようやく俺とセックスできたな、待ちくたびれたぜ。すっごく気持ち良いから、まぁいいけど」

「勝己、もっと僕の中に入れてぇ!! もっと動いて!! あっ、ああっ!! やぁん!!」
「本当に可愛い奴だな、そんなとこ好きだぜ。さぁ、前もいじってやる。胸も寂しそうだな」

「ああん!! 勝己が好きっ!? 僕のこと初めて好きって言ってくれたぁぁ!! ああっ、いっちゃう!!」
「今は優一郎は俺のものだ、俺のものだから誰にもやるなよ!! ああ、本当に可愛いぜ」

 それからも俺たちは付き合い続けた、高橋さんや原田さんスーツの連中の態度から、それがあまり歓迎されていないことを俺は察した。きっとちゃんと子どもが産めるΩの男か、それか女と結婚するように優一郎は言われているのだ。でも優一郎にも俺にも別れるつもりは無かった、時が経つうちに俺は本気で優一郎を好きになっていたからだ、優一郎は相変わらず俺を愛していた。そうして優一郎は大学一年生になっていた、俺も大学を卒業して働き出して三年が経っていた。そうしたら出張で別の県に行った時に体がだるくなり異変を感じた、それに優一郎と電話やメールで連絡をとっていると体が熱くなるのだ。

「清田勝己さん、貴方はβだったようですが変異が起きています」
「変異って何ですか、俺に何が起こってるんですか?」

「強いαと接触したことはありませんか、それが体の変異を促して貴方はΩになりつつあります」
「はぁ!? 俺がΩ!? ぶっはははっ、なんだそれマジ笑える」

「笑っている場合じゃありませんよ、体がβから無理にΩになろうとしています。今すぐ入院されることをお薦めします」
「はーい、でも先生その話は守秘義務ってことで、俺を何か他の病気にできませんか?」

 俺はとりあえずホルモンバランスの乱れという病名になった、俺はこの話を優一郎にしたらどう思うだろうかと考えた。喜ぶのか驚くのか、今更といって怒るのか、予想ができなかった。だから、入院することも伝えたが理由は話さなかった、体がβからΩに変わると言われても俺はいまいち自覚がなかった。既に優一郎にうなじを噛まれていたからかもしれない、俺は他のΩと違ってヒートという発情期も来なかった。優一郎には電話やメールで随分と心配された、俺はそれより眠くて眠くて仕方がなかった。

「勝己、まだ帰ってこれない?」
「体がだるくて仕方がない、もう一カ月は会えなさそうだ」

「一カ月も!? もう我慢できない、僕は勝己を迎えに行くよ」
「入学したばかりの大学生は駄目だ、大人しく一カ月待ちな。驚くほど元気になって帰るから」

「一カ月も寂しいよ、勝己。好き、大好き、そして愛してる」
「俺もだ、優一郎。お前に会えなくて寂しいぜ、でも良い子で待ってな」

 俺は会社にも連絡していたが、白石系列の会社だったから、一カ月休んでも首にはならなかった。俺が心配なのは優一郎のことだけだった、今更俺がΩになったからといって喜んでくれるだろうか、そう考えると怖くて電話でもメールでも真実が伝えられなかった。優一郎からは毎日連絡が来た、俺は一カ月間、優一郎からの電話やメールを除いてほとんど眠り続けた。そしてようやく退院できるようになった、ヒートを抑える薬も沢山貰って、一応は優一郎に会う前に飲んでおいた。そして、優一郎に会いに行ったのだが、白石家から高橋さんや原田さんに追い返された。

「優一郎様はご結婚なさいます、貴方とはもうお会いになりません」
「そうです、優一郎様は女性のΩ、運命の番を見つけられたのです」
「へぇー、そうなのか」

「そもそもβである貴方が、今まで優一郎様と付き合えたことが奇跡です」
「今後は一切優一郎様に近づかないでください、携帯も変えたので連絡はできませんよ」
「ああ、入院最後の一週間。優一郎から俺に連絡がなかったのはそれでか」

「長いお付き合いでしたが、これで最後です。敷地から出て行かないのなら警察を呼びます」
「これでようやく優一郎様は幸せになれるのです、白石家も安泰なのですよ」
「まぁ、状況はよく分かったぜ」

 俺はまだ体が完全には安定していないと嘘をついて会社を休んだ、そして優一郎の結婚式がどこで行われるのかを調べた。白石家が所有している豪華なホテルで行われるということだった、俺は随分前に書いた古い書類を引っ張りだした、そしてそれを役場に提出しておいた。役場では何も聞かれることもなく、書類は正式に受け取られて処理された。俺は自分の部屋で真新しい書類、新しく発行した書類を見て笑った。全くこんなに優一郎が好きになるとは思わなかった、自分自身におかしくて笑いが止まらなかった。

「さぁて、略奪愛といきますか」
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