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2日目
修復スキル応用
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「お前、自分のスキルをロクに調べてないだろ?」
気分が落ち着いたのか、青年がカノンに質問した。
カノンのスキルはレアスキルではなく、超レアスキルだった。
「え? どういうことですか?」
「はぁー、仕方ないから教えてやるよ。お前のスキルはヤバイんだよ」
「そうなんですか?」
嫉妬するほどの羨ましいスキルなのに、本人にその自覚がない。
無自覚なカノンに呆れながらも、青年はアイテムポーチから、小銅貨を1枚取り出した。
「危ないから離れていろよ」
青年は小銅貨を硬い岩の地面に置くと、手斧を取り出して、小銅貨に振り下ろした。
——ガン、ガン、ガン!
何度も振り下ろして、小銅貨を半分に割って壊した。
「これでいいな。いいか、半分をアイテムポーチに入れる。もう半分を修復してみろ」
「は、はい……」
カノンは意味が分からないまま、青年に言われた通りに、地面の壊れた小銅貨を修復した。
半分に割れた小銅貨が、元通り以上に綺麗になった。
「出来ました。これでいいんですか?」
「ああ、これでいい。次はこっちを修復してみろ」
「はい?」
地面の綺麗な小銅貨に満足すると、青年はアイテムポーチから、半分に割れた小銅貨を取り出した。
それを地面に置くと、カノンにまた修復するように言った。
カノンはまったく意味が分からないまま、また小銅貨を修復した。
地面の上には2枚の小銅貨が並んでいる。
「あのぉ……さっきから何をやっているんですか?」
意味も分からずに貴重なMPを20も消費してしまった。
青年の意味不明な指示に、カノンの頭の中は混乱している。
「見て分かるだろ、スキルの実験だ。お前はこれを見ても何も思わないのか?」
「う~ん、2枚あります」
「お前は素直馬鹿か。いや、ただの馬鹿だな」
「がぁーん‼︎」
青年の馬鹿でも分かる実験でも、カノンは何も気づかなかった。
青年が呆れるのをやめて、むしろ感心しているぐらいだ。
「いいか、1枚が2枚に増えるんだ。これは修復じゃなくて、複製——同じ物を作ったと言ってもいい。もしも小銅貨が大金貨だったら、毎日1枚複製を作るだけで、一生金には困らない。それぐらい凄いスキルなんだ」
修復スキルを応用すれば、複製品を作ることが出来ると、青年はカノンに丁寧に教えた。
それでやっとカノンは理解した。
「はっ! そうだったんですね! 私、間違っていたんですね! は、恥ずかしいですぅ~!」
カノンは馬鹿な自分に気づいて、慌てて両手で顔を隠すと、恥ずかしそうにショックを受けている。
だけどお金の稼ぎ方を間違えて恥ずかしいだけで、青年が伝えたいことは、少しも伝わっていない。
「分かればいいんだよ。無闇にスキルを人に見せたり、教えたりするなよ。そういう凄いスキルを悪用しようとする連中もいるんだ。下手したら誘拐されるからな」
「はい、気をつけます。教えてくれてありがとうございます」
「別にいいよ。あと修復する職人の前では絶対に修復は使うなよ。めちゃくちゃ傷付くからな」
「はい、気をつけます」
馬鹿な子供だと思って、世話好き青年はカノンに色々注意する。
カノンはお礼を言って素直に聞いているけど、三分の一も伝わっていない。
頭の中では、手斧で大金貨を叩いている。
「はぁー、まったく心配な奴だ。ほら修復代だ。何か困ったことがあれば、この住所に来いよ。俺はルセフ・ラシュリー。有料なら護衛してやるよ」
「ありがとうございます。あっ! 私、カノン・ネロエストです。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく……は、あまりしたくないな」
青年は道具の修復代に大銀貨で5000ギルド渡すと、ついでにメモに住所を書いて渡した。
少女を放っておくと、誘拐されるか馬小屋で暮らし始めそうだった。
気分が落ち着いたのか、青年がカノンに質問した。
カノンのスキルはレアスキルではなく、超レアスキルだった。
「え? どういうことですか?」
「はぁー、仕方ないから教えてやるよ。お前のスキルはヤバイんだよ」
「そうなんですか?」
嫉妬するほどの羨ましいスキルなのに、本人にその自覚がない。
無自覚なカノンに呆れながらも、青年はアイテムポーチから、小銅貨を1枚取り出した。
「危ないから離れていろよ」
青年は小銅貨を硬い岩の地面に置くと、手斧を取り出して、小銅貨に振り下ろした。
——ガン、ガン、ガン!
何度も振り下ろして、小銅貨を半分に割って壊した。
「これでいいな。いいか、半分をアイテムポーチに入れる。もう半分を修復してみろ」
「は、はい……」
カノンは意味が分からないまま、青年に言われた通りに、地面の壊れた小銅貨を修復した。
半分に割れた小銅貨が、元通り以上に綺麗になった。
「出来ました。これでいいんですか?」
「ああ、これでいい。次はこっちを修復してみろ」
「はい?」
地面の綺麗な小銅貨に満足すると、青年はアイテムポーチから、半分に割れた小銅貨を取り出した。
それを地面に置くと、カノンにまた修復するように言った。
カノンはまったく意味が分からないまま、また小銅貨を修復した。
地面の上には2枚の小銅貨が並んでいる。
「あのぉ……さっきから何をやっているんですか?」
意味も分からずに貴重なMPを20も消費してしまった。
青年の意味不明な指示に、カノンの頭の中は混乱している。
「見て分かるだろ、スキルの実験だ。お前はこれを見ても何も思わないのか?」
「う~ん、2枚あります」
「お前は素直馬鹿か。いや、ただの馬鹿だな」
「がぁーん‼︎」
青年の馬鹿でも分かる実験でも、カノンは何も気づかなかった。
青年が呆れるのをやめて、むしろ感心しているぐらいだ。
「いいか、1枚が2枚に増えるんだ。これは修復じゃなくて、複製——同じ物を作ったと言ってもいい。もしも小銅貨が大金貨だったら、毎日1枚複製を作るだけで、一生金には困らない。それぐらい凄いスキルなんだ」
修復スキルを応用すれば、複製品を作ることが出来ると、青年はカノンに丁寧に教えた。
それでやっとカノンは理解した。
「はっ! そうだったんですね! 私、間違っていたんですね! は、恥ずかしいですぅ~!」
カノンは馬鹿な自分に気づいて、慌てて両手で顔を隠すと、恥ずかしそうにショックを受けている。
だけどお金の稼ぎ方を間違えて恥ずかしいだけで、青年が伝えたいことは、少しも伝わっていない。
「分かればいいんだよ。無闇にスキルを人に見せたり、教えたりするなよ。そういう凄いスキルを悪用しようとする連中もいるんだ。下手したら誘拐されるからな」
「はい、気をつけます。教えてくれてありがとうございます」
「別にいいよ。あと修復する職人の前では絶対に修復は使うなよ。めちゃくちゃ傷付くからな」
「はい、気をつけます」
馬鹿な子供だと思って、世話好き青年はカノンに色々注意する。
カノンはお礼を言って素直に聞いているけど、三分の一も伝わっていない。
頭の中では、手斧で大金貨を叩いている。
「はぁー、まったく心配な奴だ。ほら修復代だ。何か困ったことがあれば、この住所に来いよ。俺はルセフ・ラシュリー。有料なら護衛してやるよ」
「ありがとうございます。あっ! 私、カノン・ネロエストです。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく……は、あまりしたくないな」
青年は道具の修復代に大銀貨で5000ギルド渡すと、ついでにメモに住所を書いて渡した。
少女を放っておくと、誘拐されるか馬小屋で暮らし始めそうだった。
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