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二章
05
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『フィーアンダの悪女だ! 金目のものや食べ物ぜんぶ持ってかれるぞ! たたかえ! 追い返せ!』
子供の明るい声が囃し立てる。周りにいる子供たちも女の子、男の子関係なく楽しそうに声を上げて、手近にある石や棒切れをこちらに向かって投げてくる。
本気で『フィーアンダの悪女』だと思っているのではないと、マリアーナもわかっている。本気でそう思うなら楽しそうにしていないだろう。
子供たちにとってはきっと遊びみたいなものだ。
それでも石や棒切れを投げつけられ、『悪女め』『奪ったものを返せ、盗人め』など暴言を吐かれるのは辛い。
当たり前に、まだ幼いマリアーナには身に覚えのないことだからだ。
しかも、それと同じくらい辛かったのは、それを見ていた近くの大人たちが子供たちを咎めてくれなかったことだ。
叱るまではしなくても、せめて物を投げつけるのを止めてくれたらいいのに、と恨めしく思う。
幼い時期を過ごした国境の町で、辛かった思い出といえばそれだった。
(……あの子供たちに追いかけられて、耐えかねたわたしが森に逃げ込み――確かそれで迷ってしまったのよね)
少し肌寒い室内で身を起こし、マリアーナはしばしベッドの上で夢を振り返る。
久しぶりで当時のことを夢に見たのは、昨日の家庭教師の言葉が引っ掛かっていたからだろう。
『昔、ティペリッシュが我が国から奪ったお方よ。誘拐し、無理やり王子と娶せ、子を産ませ……ボロ雑巾のように我が国に捨てられた可哀想なお方……』
“精霊姫”とは何かと問えば家庭教師はそう答えた。
「ティペリッシュの王子に嫁いだ」という共通点だけを見れば、“フィーアンダの悪女”も“精霊姫”も同じだが、片や散財と我儘し放題で周りを疲弊させ、おまけにフィーアンダの軍を引き入れ戦争を起こした悪女。片やティペリッシュに誘拐されて無理やり王子と結婚させられ子供を産まされ、ボロ雑巾のようにフィーアンダに捨てられた憐れな姫。
もしかして二人の女性は同一人物なのか、それともまったくの別人なのか。どちらかが架空の人物なのか、どちらとも単なる認識の相違なのか。
公爵邸の図書室に行く許可が得られれば、多少は客観的な情報を得られるだろうが、立場上あまりうろうろするのは良くないだろう。
契約書に署名したとき、アルベルトには『念のため敷地内から出ないように』とは言われたが、マリアーナはこの部屋からすら出ることはなかった。
(家庭教師のあの方に聞いても余計悪化しそうだし……)
彼女に『フィーアンダの悪女』の話をしたら、恐らく怒りに卒倒するか罵詈雑言が止まらなくなるのではないか。
どちらにしろ関係がさらに悪化するのは間違いない。
ベッドの上で悩んでいるとドアがノックされルイースが入ってきた。マリアーナがすでに起きていることに近ごろは驚くこともなく、顔を洗うための水がはいったたらいを置いていく。
「今日から家庭教師の方はいらっしゃいません。午後にはアウリーン様がいらっしゃいます」
事務的にそれだけを伝えてルイースは着替えの準備にとりかかる。彼女から言葉をかけてくるのは珍しいと思いつつ、マリアーナはたらいの水に手をつけ、それが温かいことに気づく。
(お湯を入れてくれたのね。冷たいのも眠気が飛んで良かったけど、温かいのも痛くなくて助かるわ)
嬉しい気分のまま着替えを手伝ってもらい、運ばれた朝食を口にする。食事は相変わらず冷めていたが、慣れてしまえば次第に見栄えの美しさを楽しむ余裕まで出てきた。
そう、慣れて来たのだとマリアーナは思い込もうとしていたが――。
「顔色があまり良くないですね」
午後、訪ねてきたアウリーン――フラン・アウリーンにそう指摘されてマリアーナは、ほんの一瞬固まってしまう。
部屋に訪れ、対面のソファに座り開口一番にそう言われてしまった。
立場と状況を考えれば、熟睡もできず気が休まらないのは当然だろう。それはフランも察しているだろうが、言外にマリアーナから何かあったかと聞き出そうとしているようで、ついいつものように笑みを浮かべて誤魔化してしまう。
「今朝、少々夢見が悪かったので」
「そうですか」と返すフランは納得していない様子だったが、話を逸らす意味も含めてマリアーナは“精霊姫”について聞いてみることにした。
「あの、アウリーン様にお聞きしたいことが」
「あ、おれのことはフランと呼んでください」
「――わかりました、フラン様。お聞きしたいことというのが、『精霊姫』のことです」
途端、人好きのする好青年の眉間にしわが寄る。
やはり聞いてはいけないことだったかと言葉を続けられずにいると、フランが息を吐いてマリアーナの問いを受け止める。
「それについては、本当は閣下が戻られてから直接お話しするつもりだったんですけどね……」
どうやら家庭教師が先走ったのか、口を滑らせてしまったらしい。こんな形で聞かせるつもりはなかったのだと、フランの表情が物語っている。
「できれば閣下から直接聞いていただきたいのですが――マリアーナ嬢はどこまで聞かされたのでしょうか?」
問われたので昨日家庭教師が言っていた内容を、頑張って穏やかな言葉に言い換えて伝える。
「ティペリッシュがフィーアンダから誘拐した姫だと聞いています。無理やり王子と結婚させられ、子供を設け、最後はフィーアンダにボロボロの状態で捨てられたのだ、と」
目を閉じ、難しい顔で聞いていたフランがうんうんと頷いたかと思うと、まっすぐにマリアーナを見つめて言った。
「概ねそれで間違っていません。でも、そうやって尋ねてくるってことは、ティペリッシュではそう伝えられていないようですね?」
また逆に尋ねられて、一瞬迷ったものの正直に頷いた。
「同一人物かはわかりませんが……ティペリッシュでは『フィーアンダの悪女』と伝えられております」
フランの表情が一段渋いものになる。思いのほか激昂しなかったのは、すでに知っていたからかも知れない。
ティペリッシュからフィーアンダに来る道中の馬車の中で、マリアーナは同じ話をかつての侍女に話していた。
(ソリヤは……ソフィアはどんな思いでこの話を聞いていたのかしら)
傷つけてしまっただろうかと思いながら、マリアーナは話を続ける。
「ずっと昔、友好の証としてフィーアンダの姫を王子の妻として迎え入れたところ、その、姫は豪遊したり我儘し放題だったりで散財していたと……」
「……それで?」
「フィーアンダから親しい者を呼んで仲間を増やし、内側から手引きしてフィーアンダの軍を引き入れ、王都のすぐ近くまで侵入させたのだと――」
「ほう、それで?」
「それで、当時のティペリッシュの勇将がぎりぎりのところで追い払ったと……聞きました」
「そうですか」
またもや目を閉じ腕を組み、どんどん険しい顔になっていくフランをマリアーナは不安になりつつ窺う。
「違うのでしょうか?」
「ええ、まったく――」
再び目を開け、不安そうにするマリアーナの姿を視界に入れたからか、ひとつ咳払いをして表情を改めたフランが訂正する。
「きっと話に尾ひれはひれは付いてるのでしょうが、まったくの事実無根のお話しですね。フィーアンダの貴族子女がティペリッシュの王族に嫁いだのは過去一度きりなので、恐らくは同一人物かと思われます」
「そう、なんですね……」
「ティペリッシュの王族は恐らく自分たちの行いを隠すために、そんなデタラメを広めたんでしょう」
「……」
そのために“精霊姫”は死後もティペリッシュで侮辱され続け、髪と瞳が同じというだけでマリアーナも謂れのない罵りを受けたのか。
「もともとティペリッシュとの関係は良くなかったんですが、“精霊姫”のことがきっかけで関係悪化は決定的になったんです。平民はそこまで悪感情はないでしょうが、我々貴族の間ではティペリッシュの人間というだけで厳しい目で見てしまう、ということだけはご了承いただきたい」
公爵邸に着いてすぐ執事から向けられた強い視線や、侍女や護衛から向けられる白い目はそういうことだったのかと、マリアーナはようやく腑に落ちた。
そして恐らく、その“精霊姫”はこの国にとって大事な存在で、マリアーナはこの容姿から考えても血縁関係にあるのだろう。
そのマリアーナを通じてフィーアンダは、“精霊姫”を取り戻そうとしているのだ。であれば――
「わたしが子供を産めば……」
(やはりわたしの存在はこの国にとって不要なのじゃないかしら)
咄嗟に喉元まで出かかった言葉を、マリアーナは寸でのところで胸中に留めた。
だがそれをフランは察することができなかったようだ。続く言葉を自分の解釈で口にする。
「“精霊姫”の血脈として大事にされるでしょうね。これ以上のことは閣下本人から聞いてください。本当は自分で話したいと言っておられたので」
今日にも国王と私的な謁見が叶うだろうと連絡が来ていたので、明日か明後日には戻ってくるはずだとフランは話を締めくくった。
それにぼんやりと頷きを返し、その後マリアーナは胸中で呟いた言葉を何度も反芻し思考に耽り続けた。
子供の明るい声が囃し立てる。周りにいる子供たちも女の子、男の子関係なく楽しそうに声を上げて、手近にある石や棒切れをこちらに向かって投げてくる。
本気で『フィーアンダの悪女』だと思っているのではないと、マリアーナもわかっている。本気でそう思うなら楽しそうにしていないだろう。
子供たちにとってはきっと遊びみたいなものだ。
それでも石や棒切れを投げつけられ、『悪女め』『奪ったものを返せ、盗人め』など暴言を吐かれるのは辛い。
当たり前に、まだ幼いマリアーナには身に覚えのないことだからだ。
しかも、それと同じくらい辛かったのは、それを見ていた近くの大人たちが子供たちを咎めてくれなかったことだ。
叱るまではしなくても、せめて物を投げつけるのを止めてくれたらいいのに、と恨めしく思う。
幼い時期を過ごした国境の町で、辛かった思い出といえばそれだった。
(……あの子供たちに追いかけられて、耐えかねたわたしが森に逃げ込み――確かそれで迷ってしまったのよね)
少し肌寒い室内で身を起こし、マリアーナはしばしベッドの上で夢を振り返る。
久しぶりで当時のことを夢に見たのは、昨日の家庭教師の言葉が引っ掛かっていたからだろう。
『昔、ティペリッシュが我が国から奪ったお方よ。誘拐し、無理やり王子と娶せ、子を産ませ……ボロ雑巾のように我が国に捨てられた可哀想なお方……』
“精霊姫”とは何かと問えば家庭教師はそう答えた。
「ティペリッシュの王子に嫁いだ」という共通点だけを見れば、“フィーアンダの悪女”も“精霊姫”も同じだが、片や散財と我儘し放題で周りを疲弊させ、おまけにフィーアンダの軍を引き入れ戦争を起こした悪女。片やティペリッシュに誘拐されて無理やり王子と結婚させられ子供を産まされ、ボロ雑巾のようにフィーアンダに捨てられた憐れな姫。
もしかして二人の女性は同一人物なのか、それともまったくの別人なのか。どちらかが架空の人物なのか、どちらとも単なる認識の相違なのか。
公爵邸の図書室に行く許可が得られれば、多少は客観的な情報を得られるだろうが、立場上あまりうろうろするのは良くないだろう。
契約書に署名したとき、アルベルトには『念のため敷地内から出ないように』とは言われたが、マリアーナはこの部屋からすら出ることはなかった。
(家庭教師のあの方に聞いても余計悪化しそうだし……)
彼女に『フィーアンダの悪女』の話をしたら、恐らく怒りに卒倒するか罵詈雑言が止まらなくなるのではないか。
どちらにしろ関係がさらに悪化するのは間違いない。
ベッドの上で悩んでいるとドアがノックされルイースが入ってきた。マリアーナがすでに起きていることに近ごろは驚くこともなく、顔を洗うための水がはいったたらいを置いていく。
「今日から家庭教師の方はいらっしゃいません。午後にはアウリーン様がいらっしゃいます」
事務的にそれだけを伝えてルイースは着替えの準備にとりかかる。彼女から言葉をかけてくるのは珍しいと思いつつ、マリアーナはたらいの水に手をつけ、それが温かいことに気づく。
(お湯を入れてくれたのね。冷たいのも眠気が飛んで良かったけど、温かいのも痛くなくて助かるわ)
嬉しい気分のまま着替えを手伝ってもらい、運ばれた朝食を口にする。食事は相変わらず冷めていたが、慣れてしまえば次第に見栄えの美しさを楽しむ余裕まで出てきた。
そう、慣れて来たのだとマリアーナは思い込もうとしていたが――。
「顔色があまり良くないですね」
午後、訪ねてきたアウリーン――フラン・アウリーンにそう指摘されてマリアーナは、ほんの一瞬固まってしまう。
部屋に訪れ、対面のソファに座り開口一番にそう言われてしまった。
立場と状況を考えれば、熟睡もできず気が休まらないのは当然だろう。それはフランも察しているだろうが、言外にマリアーナから何かあったかと聞き出そうとしているようで、ついいつものように笑みを浮かべて誤魔化してしまう。
「今朝、少々夢見が悪かったので」
「そうですか」と返すフランは納得していない様子だったが、話を逸らす意味も含めてマリアーナは“精霊姫”について聞いてみることにした。
「あの、アウリーン様にお聞きしたいことが」
「あ、おれのことはフランと呼んでください」
「――わかりました、フラン様。お聞きしたいことというのが、『精霊姫』のことです」
途端、人好きのする好青年の眉間にしわが寄る。
やはり聞いてはいけないことだったかと言葉を続けられずにいると、フランが息を吐いてマリアーナの問いを受け止める。
「それについては、本当は閣下が戻られてから直接お話しするつもりだったんですけどね……」
どうやら家庭教師が先走ったのか、口を滑らせてしまったらしい。こんな形で聞かせるつもりはなかったのだと、フランの表情が物語っている。
「できれば閣下から直接聞いていただきたいのですが――マリアーナ嬢はどこまで聞かされたのでしょうか?」
問われたので昨日家庭教師が言っていた内容を、頑張って穏やかな言葉に言い換えて伝える。
「ティペリッシュがフィーアンダから誘拐した姫だと聞いています。無理やり王子と結婚させられ、子供を設け、最後はフィーアンダにボロボロの状態で捨てられたのだ、と」
目を閉じ、難しい顔で聞いていたフランがうんうんと頷いたかと思うと、まっすぐにマリアーナを見つめて言った。
「概ねそれで間違っていません。でも、そうやって尋ねてくるってことは、ティペリッシュではそう伝えられていないようですね?」
また逆に尋ねられて、一瞬迷ったものの正直に頷いた。
「同一人物かはわかりませんが……ティペリッシュでは『フィーアンダの悪女』と伝えられております」
フランの表情が一段渋いものになる。思いのほか激昂しなかったのは、すでに知っていたからかも知れない。
ティペリッシュからフィーアンダに来る道中の馬車の中で、マリアーナは同じ話をかつての侍女に話していた。
(ソリヤは……ソフィアはどんな思いでこの話を聞いていたのかしら)
傷つけてしまっただろうかと思いながら、マリアーナは話を続ける。
「ずっと昔、友好の証としてフィーアンダの姫を王子の妻として迎え入れたところ、その、姫は豪遊したり我儘し放題だったりで散財していたと……」
「……それで?」
「フィーアンダから親しい者を呼んで仲間を増やし、内側から手引きしてフィーアンダの軍を引き入れ、王都のすぐ近くまで侵入させたのだと――」
「ほう、それで?」
「それで、当時のティペリッシュの勇将がぎりぎりのところで追い払ったと……聞きました」
「そうですか」
またもや目を閉じ腕を組み、どんどん険しい顔になっていくフランをマリアーナは不安になりつつ窺う。
「違うのでしょうか?」
「ええ、まったく――」
再び目を開け、不安そうにするマリアーナの姿を視界に入れたからか、ひとつ咳払いをして表情を改めたフランが訂正する。
「きっと話に尾ひれはひれは付いてるのでしょうが、まったくの事実無根のお話しですね。フィーアンダの貴族子女がティペリッシュの王族に嫁いだのは過去一度きりなので、恐らくは同一人物かと思われます」
「そう、なんですね……」
「ティペリッシュの王族は恐らく自分たちの行いを隠すために、そんなデタラメを広めたんでしょう」
「……」
そのために“精霊姫”は死後もティペリッシュで侮辱され続け、髪と瞳が同じというだけでマリアーナも謂れのない罵りを受けたのか。
「もともとティペリッシュとの関係は良くなかったんですが、“精霊姫”のことがきっかけで関係悪化は決定的になったんです。平民はそこまで悪感情はないでしょうが、我々貴族の間ではティペリッシュの人間というだけで厳しい目で見てしまう、ということだけはご了承いただきたい」
公爵邸に着いてすぐ執事から向けられた強い視線や、侍女や護衛から向けられる白い目はそういうことだったのかと、マリアーナはようやく腑に落ちた。
そして恐らく、その“精霊姫”はこの国にとって大事な存在で、マリアーナはこの容姿から考えても血縁関係にあるのだろう。
そのマリアーナを通じてフィーアンダは、“精霊姫”を取り戻そうとしているのだ。であれば――
「わたしが子供を産めば……」
(やはりわたしの存在はこの国にとって不要なのじゃないかしら)
咄嗟に喉元まで出かかった言葉を、マリアーナは寸でのところで胸中に留めた。
だがそれをフランは察することができなかったようだ。続く言葉を自分の解釈で口にする。
「“精霊姫”の血脈として大事にされるでしょうね。これ以上のことは閣下本人から聞いてください。本当は自分で話したいと言っておられたので」
今日にも国王と私的な謁見が叶うだろうと連絡が来ていたので、明日か明後日には戻ってくるはずだとフランは話を締めくくった。
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