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未だ涙を流さんばかりに笑っている目の前の国王陛下を横目に私は隣に立つザイールの服をクイッと引っ張る。
ホントならザイールが王族だと分かった以上私のこんな態度は不敬に当たるのかもしれないがなんたって私は聖女であり皇子の元婚約者。
今更隣に立つ彼が王族だからと言って自分の態度を改めるつもりも無い。
それにこんな事でこの国から出でいけと言われるならばこの国もあの祖国と変わらないということなのだろう、他の国に行くまでの事。
そう思った私は今まで通り話し掛ける。
「ちょっとザイール…一体私の事をどんな風に言ってたのよ」
「………………」
ザイールは私の問いかけに答えず驚いた顔でこちらを見ている。
「どうしたの?」
あまりに驚いた顔でずっと私の顔を見ているものだからザイールの前で手のひらをヒラヒラと動かす。
「……いや、パメラリア…俺一応王子なんだけど…」
「……そうみたいね。知ってるわ今さっき聞いていたから」
「「…………………………」」
暫く2人無言で見つめ合う。
「………………不敬な奴だ!態度を改めろって?ザイール王子がお望みとあらば直ぐにでも態度を改めさせて頂きますわ。無礼な態度をとってしまって申し訳ありません」
そう言って私は腰を折る。やっぱり王族はどこの国でも同じかとガッカリした気持ちでいる私の耳にザイールの慌てた声が聞こえてくる。
「あああああ!違う違う!やめて謝らないで!」
そう言ってザイールは慌てて私の頭を上げさせる。
「違うんだよ。今までの人達は俺が王子だと知った途端あからさまに態度を変えたりしていたから…パメラリアみたいに今まで通り接してくるのにびっくりして」
「…まぁそうでしょうね、それが普通だと思うわ」
「「………………………」」
再び流れる沈黙。
「…だったらなんで…」
私の態度がザイールにはとても理解出来ないようだった。それもそうだろう、普通なら大体の人が態度を変える。私が聖女になった時でさえ少なからずそうであったように実は王族だったともなればきっと心臓が止まるかもしれないと思う程驚くのだろうし第一身分が違いすぎて…となるものだ。
しかし私にはザイールが王族だからといって驚く、ましてや畏れ敬うなんて気持ちなんておきない。
王族だからという理由だけで何もせずに偉そうにしている人達を間近で見てきた。
王族は王族であるから偉いのでは無い民の為国の為時にはその身その命を使う、そんな覚悟のある者が王であり民に生かされ敬われるのだ。
「ザイールは…王子として接して欲しいの?だったらいくらでもそうしましょう」
私はじっとザイールを見つめる。
「いや、そうでは無いんだ…ただ、今までそんな人はいなかったから」
「………………そうでしょうね。でもそれはそんな人も中にはいると言うだけの事よ。まだ出会っていないだけできっと私のようにザイールに接する人も他にいるわ」
「そうだろうか…」
「ええ」
「「…………………………」」
そうしてまた2人無言で見つめ合う。
「ゴホン!」
そこにわざとらしい咳払い。私とザイールの2人はその咳払いが聞こえる方を向く。
するとそこには何とも形容し難いニヤニヤした国王陛下。
あぁ!そう言えば国王陛下に謁見している途中だったわ。
「いや、すまんな。いい雰囲気の所を邪魔してはいかんと思ったんだがな、私にもこの後の予定があるのでな」
「申し訳ありません」
慌てて謝る私の隣でザイールはと言うと…。
「本当に邪魔ですよ」
なんて言っていて。
「ちょっとザイール!なんて事言うの!私がこの国に住むの反対されたらどうするつもりよ」
と慌てていると国王陛下とザイールの2人はキョトンとしたとてもよく似た顔で私を見ていた。
「な、何?」
「いや、俺が王子だと知っても態度を変えないのに…この国に住むことを反対されるかもってこの状態で心配するって………パメラリアはやっぱり変わってるな」
そのザイールの言葉に国王陛下も頷いて………。
本当に失礼な親子だ。
ホントならザイールが王族だと分かった以上私のこんな態度は不敬に当たるのかもしれないがなんたって私は聖女であり皇子の元婚約者。
今更隣に立つ彼が王族だからと言って自分の態度を改めるつもりも無い。
それにこんな事でこの国から出でいけと言われるならばこの国もあの祖国と変わらないということなのだろう、他の国に行くまでの事。
そう思った私は今まで通り話し掛ける。
「ちょっとザイール…一体私の事をどんな風に言ってたのよ」
「………………」
ザイールは私の問いかけに答えず驚いた顔でこちらを見ている。
「どうしたの?」
あまりに驚いた顔でずっと私の顔を見ているものだからザイールの前で手のひらをヒラヒラと動かす。
「……いや、パメラリア…俺一応王子なんだけど…」
「……そうみたいね。知ってるわ今さっき聞いていたから」
「「…………………………」」
暫く2人無言で見つめ合う。
「………………不敬な奴だ!態度を改めろって?ザイール王子がお望みとあらば直ぐにでも態度を改めさせて頂きますわ。無礼な態度をとってしまって申し訳ありません」
そう言って私は腰を折る。やっぱり王族はどこの国でも同じかとガッカリした気持ちでいる私の耳にザイールの慌てた声が聞こえてくる。
「あああああ!違う違う!やめて謝らないで!」
そう言ってザイールは慌てて私の頭を上げさせる。
「違うんだよ。今までの人達は俺が王子だと知った途端あからさまに態度を変えたりしていたから…パメラリアみたいに今まで通り接してくるのにびっくりして」
「…まぁそうでしょうね、それが普通だと思うわ」
「「………………………」」
再び流れる沈黙。
「…だったらなんで…」
私の態度がザイールにはとても理解出来ないようだった。それもそうだろう、普通なら大体の人が態度を変える。私が聖女になった時でさえ少なからずそうであったように実は王族だったともなればきっと心臓が止まるかもしれないと思う程驚くのだろうし第一身分が違いすぎて…となるものだ。
しかし私にはザイールが王族だからといって驚く、ましてや畏れ敬うなんて気持ちなんておきない。
王族だからという理由だけで何もせずに偉そうにしている人達を間近で見てきた。
王族は王族であるから偉いのでは無い民の為国の為時にはその身その命を使う、そんな覚悟のある者が王であり民に生かされ敬われるのだ。
「ザイールは…王子として接して欲しいの?だったらいくらでもそうしましょう」
私はじっとザイールを見つめる。
「いや、そうでは無いんだ…ただ、今までそんな人はいなかったから」
「………………そうでしょうね。でもそれはそんな人も中にはいると言うだけの事よ。まだ出会っていないだけできっと私のようにザイールに接する人も他にいるわ」
「そうだろうか…」
「ええ」
「「…………………………」」
そうしてまた2人無言で見つめ合う。
「ゴホン!」
そこにわざとらしい咳払い。私とザイールの2人はその咳払いが聞こえる方を向く。
するとそこには何とも形容し難いニヤニヤした国王陛下。
あぁ!そう言えば国王陛下に謁見している途中だったわ。
「いや、すまんな。いい雰囲気の所を邪魔してはいかんと思ったんだがな、私にもこの後の予定があるのでな」
「申し訳ありません」
慌てて謝る私の隣でザイールはと言うと…。
「本当に邪魔ですよ」
なんて言っていて。
「ちょっとザイール!なんて事言うの!私がこの国に住むの反対されたらどうするつもりよ」
と慌てていると国王陛下とザイールの2人はキョトンとしたとてもよく似た顔で私を見ていた。
「な、何?」
「いや、俺が王子だと知っても態度を変えないのに…この国に住むことを反対されるかもってこの状態で心配するって………パメラリアはやっぱり変わってるな」
そのザイールの言葉に国王陛下も頷いて………。
本当に失礼な親子だ。
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