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学園生活
19 伝説のネコの注意事項。
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恥ずかしいやら怖いやら。
ない交ぜになった感情のまま席についた。
アレ以上王子を阿呆にするわけにもいかず。
ついついしゃしゃり出てしまったものの、果たしてアレで良かったものか…
愛称一つで大騒ぎかー
『愛称、大事。』
そう?でもスピネルよりもスピンの方が呼びやすくていいかもね。
『スピン、愛称?』
そうそう。あなたの愛称。
『スピネル。スピン。わかった。』
よろしく、スピン。
『よろしく、あるじ。』
少し和んだけど、これからどうしよう。
確実に、メシュリー様と王子の溝は深まったよね…
『なんくるないさ~』
君はどこでその言葉を覚えたのかな?
カランカラーン
始業のベルが鳴り響いた
「はい、皆さんごきげんよう。
今日は特別な連絡があるからしっかり聞くように。」
担任のメルクール先生はスレンダーな女性。いつもきっちり髪の毛を結い上げて颯爽と歩く姿には一定のファンがついているそうな。
「さて、本日通達があったばかりなのですが、我が学園に『ネコ』が現れ、住み着いたとのことです。」
ざわりと教室が揺れた気がした。
「知っているとは思うが、『ネコ』の姿が確認されなくなって久しく、三百年とも四百年前とも言われている。トラやライオン等の祖先とされており、まさしく伝説とされている生き物だ。」
「先生、本当にいるのですか?」
一人の生徒が疑問をぶつける。無理もない。
「間違いない。理事長が直接確認されたそうだ。
姿かたちは伝説の通りで、色は黒。額に白い菱形の紋を確認。学園で保護をする意味を含めて学園章入りのスカーフを首に巻いている。」
先生はそこで一度区切り、教室内を見渡した。
「注意事項を述べる。違反することの無いように。
まずは不用意に近づかない。当然触れない。そして、捕まえようとしてはならない。
あちらから接触してくる分には構わないそうだ。もちろん許可があれば触れても良い。」
「先生、『ネコ』とは意思疏通が出来るのでしょうか。」
「なんだ、君は自分の馬の機嫌も分からないのか?それと同じだ。事実、理事長と意思疏通を行えたからスカーフを付けられたのだ。
ああそうだ。当然だが、傷つける行為もご法度だ。まあ、相手は伝説のネコだ。返り討ちに会うだろうな。」
スピン、動くなら念のため午後からね。午前中に連絡が行き渡ると思うの。それから、ちょっかい出されても怪我はさせないようにね。あと、余計な情報は流さないように注意してね。
『わかった。』
「さて、次に今月末に差し迫ったハロウィンパーティーについて決めてしまいましょう。
今年のテーマはおとぎ話に決まりました。
班に別れるので適当に三人から四人で組んでください。組終わったら一度報告、その後は班ごとに別れてテーマと衣装イメージを決めて用紙に書いて提出。被った場合は早い者勝ちです。後からの申請者に個別に連絡します。提出期限は一週間後。いいですね?班は本日中です。打ち合わせ室も早い者勝ちですよ。
そうそう、何になるかは各班の秘密ですよ。
はい解散!」
班分けか…セオリーなら毛布王子たちなんだろうけど…
ちらりとメシュリー様をみる。
あ、気付いた。にっこりしてる。
「アンジェ様、私たちとご一緒しません?」
さーそわーれたー。
アンジェは にげだした
しかし まわりこまれてしまった
「よ、よろこんで。」
あ、後ろで毛布王子が尻餅ついて手を伸ばして固まってる。またバナナでこけたの?
もう班は決まっちゃったよ。御愁傷様。
あ、落ち込んでるのをいつもの二人が慰めてる。
「では、早速移動しましょう?もう班の紙はアリアが提出しておりますの。お部屋はレイがすでに押さえておりますわ。」
流石はメシュリー様。既に班は決まっていたのですね。そして、取り巻きABは流石に仕事が早い…
『あるじ、バリオス呼んでる。行ってくる。』
姿見せないでいけるの?
『影の中、進む。』
はい。行ってらっしゃい。
■□■
打ち合わせ室というより、談話室のような快適空間でティーセットを並べて打ち合わせという名のティータイム。
「メシュリー様は何か案がありまして?」
アリア様が優雅に紅茶を片手に問いかける。
「そうねぇ、レイはどう?」
「そうですねぇ、白雪姫やシンデレラ等はどうでしょう?衣装が素敵ですわ。」
お菓子を小皿にわけて、メシュリー様の前に置きながらレイリー様が返す。
ちょ、シンデレラとか継母とお姉さましか浮かばないわ…
「そうねぇ、シンデレラならアンジェ様がシンデレラが良さそう。ふわふわして可愛らしいですもの。」
メシュリー様!?
扇で隠しながらうふふってしてるけど…
「あら、そうすると残ったのは継母たちと妖精かしら。」
アリア様、その通りです。
「メシュリー様はどの様な役柄をされたいですか?」
とにかく聞かないと始まらない。
「そうねぇ、たまには悪役も素敵よね。継母役も少し惹かれるわ。だけど、お姫様も良いけど妖精さんなんか素敵よね。」
うっとりと扇のレースを見ながら言うメシュリー様。こんな羽があったら素敵。と呟いている。
「妖精三人とかなら、眠り姫ですわ!」
アリア様が嬉しそうに言いながら席についた。
「眠り姫ですと、オーロラ姫と三人の妖精と黒の妖精、あとは王子様あたりがメインでしょうか。」
パラパラと既に童話集をめくるレイリー様。
「あ、ありました。赤と青と緑の妖精。美しさと命と歌声とありますね。」
「流石はレイリー様。早いですね。」
思わずそう告げると、すこし照れたはにかみを見せてくれた。
「私、読書が好きですの。とても幸せな気持ちになれますわ。」
結局、シンデレラなら私がシンデレラで継母と姉たちがメシュリー様たち。
眠り姫なら、オーロラ姫が私で妖精三人がメシュリー様たちになった。
また放課後に煮詰めるそうな。
「私、候補の段階で一度報告して参ります。」
アリア様がそう言って席をたった。
カランカラーン
「終わりですわね。よろしければ、昼食もご一緒しません?」
メシュリー様のにっこり。断れないよ!
■□■□■□
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
ハロウィンパーティーの役柄をシンデレラか眠り姫か思案中です。
アンケートを取りたいと思います。回答頂けると嬉しいです。
ない交ぜになった感情のまま席についた。
アレ以上王子を阿呆にするわけにもいかず。
ついついしゃしゃり出てしまったものの、果たしてアレで良かったものか…
愛称一つで大騒ぎかー
『愛称、大事。』
そう?でもスピネルよりもスピンの方が呼びやすくていいかもね。
『スピン、愛称?』
そうそう。あなたの愛称。
『スピネル。スピン。わかった。』
よろしく、スピン。
『よろしく、あるじ。』
少し和んだけど、これからどうしよう。
確実に、メシュリー様と王子の溝は深まったよね…
『なんくるないさ~』
君はどこでその言葉を覚えたのかな?
カランカラーン
始業のベルが鳴り響いた
「はい、皆さんごきげんよう。
今日は特別な連絡があるからしっかり聞くように。」
担任のメルクール先生はスレンダーな女性。いつもきっちり髪の毛を結い上げて颯爽と歩く姿には一定のファンがついているそうな。
「さて、本日通達があったばかりなのですが、我が学園に『ネコ』が現れ、住み着いたとのことです。」
ざわりと教室が揺れた気がした。
「知っているとは思うが、『ネコ』の姿が確認されなくなって久しく、三百年とも四百年前とも言われている。トラやライオン等の祖先とされており、まさしく伝説とされている生き物だ。」
「先生、本当にいるのですか?」
一人の生徒が疑問をぶつける。無理もない。
「間違いない。理事長が直接確認されたそうだ。
姿かたちは伝説の通りで、色は黒。額に白い菱形の紋を確認。学園で保護をする意味を含めて学園章入りのスカーフを首に巻いている。」
先生はそこで一度区切り、教室内を見渡した。
「注意事項を述べる。違反することの無いように。
まずは不用意に近づかない。当然触れない。そして、捕まえようとしてはならない。
あちらから接触してくる分には構わないそうだ。もちろん許可があれば触れても良い。」
「先生、『ネコ』とは意思疏通が出来るのでしょうか。」
「なんだ、君は自分の馬の機嫌も分からないのか?それと同じだ。事実、理事長と意思疏通を行えたからスカーフを付けられたのだ。
ああそうだ。当然だが、傷つける行為もご法度だ。まあ、相手は伝説のネコだ。返り討ちに会うだろうな。」
スピン、動くなら念のため午後からね。午前中に連絡が行き渡ると思うの。それから、ちょっかい出されても怪我はさせないようにね。あと、余計な情報は流さないように注意してね。
『わかった。』
「さて、次に今月末に差し迫ったハロウィンパーティーについて決めてしまいましょう。
今年のテーマはおとぎ話に決まりました。
班に別れるので適当に三人から四人で組んでください。組終わったら一度報告、その後は班ごとに別れてテーマと衣装イメージを決めて用紙に書いて提出。被った場合は早い者勝ちです。後からの申請者に個別に連絡します。提出期限は一週間後。いいですね?班は本日中です。打ち合わせ室も早い者勝ちですよ。
そうそう、何になるかは各班の秘密ですよ。
はい解散!」
班分けか…セオリーなら毛布王子たちなんだろうけど…
ちらりとメシュリー様をみる。
あ、気付いた。にっこりしてる。
「アンジェ様、私たちとご一緒しません?」
さーそわーれたー。
アンジェは にげだした
しかし まわりこまれてしまった
「よ、よろこんで。」
あ、後ろで毛布王子が尻餅ついて手を伸ばして固まってる。またバナナでこけたの?
もう班は決まっちゃったよ。御愁傷様。
あ、落ち込んでるのをいつもの二人が慰めてる。
「では、早速移動しましょう?もう班の紙はアリアが提出しておりますの。お部屋はレイがすでに押さえておりますわ。」
流石はメシュリー様。既に班は決まっていたのですね。そして、取り巻きABは流石に仕事が早い…
『あるじ、バリオス呼んでる。行ってくる。』
姿見せないでいけるの?
『影の中、進む。』
はい。行ってらっしゃい。
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打ち合わせ室というより、談話室のような快適空間でティーセットを並べて打ち合わせという名のティータイム。
「メシュリー様は何か案がありまして?」
アリア様が優雅に紅茶を片手に問いかける。
「そうねぇ、レイはどう?」
「そうですねぇ、白雪姫やシンデレラ等はどうでしょう?衣装が素敵ですわ。」
お菓子を小皿にわけて、メシュリー様の前に置きながらレイリー様が返す。
ちょ、シンデレラとか継母とお姉さましか浮かばないわ…
「そうねぇ、シンデレラならアンジェ様がシンデレラが良さそう。ふわふわして可愛らしいですもの。」
メシュリー様!?
扇で隠しながらうふふってしてるけど…
「あら、そうすると残ったのは継母たちと妖精かしら。」
アリア様、その通りです。
「メシュリー様はどの様な役柄をされたいですか?」
とにかく聞かないと始まらない。
「そうねぇ、たまには悪役も素敵よね。継母役も少し惹かれるわ。だけど、お姫様も良いけど妖精さんなんか素敵よね。」
うっとりと扇のレースを見ながら言うメシュリー様。こんな羽があったら素敵。と呟いている。
「妖精三人とかなら、眠り姫ですわ!」
アリア様が嬉しそうに言いながら席についた。
「眠り姫ですと、オーロラ姫と三人の妖精と黒の妖精、あとは王子様あたりがメインでしょうか。」
パラパラと既に童話集をめくるレイリー様。
「あ、ありました。赤と青と緑の妖精。美しさと命と歌声とありますね。」
「流石はレイリー様。早いですね。」
思わずそう告げると、すこし照れたはにかみを見せてくれた。
「私、読書が好きですの。とても幸せな気持ちになれますわ。」
結局、シンデレラなら私がシンデレラで継母と姉たちがメシュリー様たち。
眠り姫なら、オーロラ姫が私で妖精三人がメシュリー様たちになった。
また放課後に煮詰めるそうな。
「私、候補の段階で一度報告して参ります。」
アリア様がそう言って席をたった。
カランカラーン
「終わりですわね。よろしければ、昼食もご一緒しません?」
メシュリー様のにっこり。断れないよ!
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いつも読んでいただき、ありがとうございます。
ハロウィンパーティーの役柄をシンデレラか眠り姫か思案中です。
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