昨日まで正常だった世界の異常記録

昨日まで正常だった。
少なくとも、誰もがそう思っていた。

見慣れた町。変わらない職場。いつも通りの家族。
けれどある日、日常の片隅に、ほんのわずかな“異常”が入り込む。
誰かの言葉が昨日と少しだけ違う。
写真に写る人数が合わない。
退職したはずの人物から、深夜の業務連絡が届く。
気のせいで済ませるには、不自然すぎる違和感。
だが、それを認めた瞬間から、世界は静かに形を変えはじめる。

本作は、日常に潜む綻びと、人間の欲望、後悔、見栄、孤独が呼び寄せる“奇妙”を描く短編集。
怪異は突然現れるのではない。
最初からそこにあり、見えていなかっただけかもしれない。

予測を裏切る結末と、説明しきれない不穏な余韻。
読み終えたあと、いつもの景色が少しだけ信じられなくなる。
これは、昨日まで正常だった世界に残された、いくつかの異常記録である。
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