紅の宝玉と二人の守護者

凍星

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第2章 受諾者と守護者

◆11 ラグナとエルドリック②

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「ラグナ!?何でここに」

驚いて見上げれば、咎めるように自分を見下ろす藍色の瞳と視線がぶつかる。

「お前を探す以外に用事があると思うのか?」
「え……」

ラグナの言葉が意味することを考えて思考が止まる。言葉通りに捉えれば、とんでもなく自意識過剰になってしまいそうな言い方だ。
イリヤは慌てて「守護者だから」と、その思いを上書きした。

そして不満げな表情を浮かべた彼が何をするかと思えば――

背後から首に絡めるように腕を回してきて、あろうことかイリヤの肩に顎を乗せてきた。予想外の行動に、イリヤはひゃっと小さく声を上げ、飛び上がりそうになる。

「ラ、ラグナ!人目がある所でこういうのは、やめた方が――」
「……人目が無ければいいのかよ」
「!?」

ぼそりと耳元で囁かれ、何故かぞくぞくっと身体が震えた。

(人の気持ちも知らないで……っ)

顔から火が出そうに熱い。
自分に必要以上に絡んだら、ラグナに良くない噂が立つと心配しているのに、そんな事など全く気にしていないらしい。
さらにぎゅっと腕に力を込められ、座っている椅子ごと背後から抱き締められているみたいになる。

「ど――どうかしたの?」
「……………」

(こんなの、昨日までの関係を考えたら……唐突すぎない?)

どういう訳か、年上のラグナに甘えられているみたいな気がした。じゃれあって遊んでいた頃そのままのような態度で。
まるで離れていた時間なんて、自分たちの間には存在しなかったみたいに――

こんなにあっさりと、一足飛びに距離を詰められるとイリヤは困惑してしまう。
目の前にはエルドリックがいるというのに……!
少しは気にして欲しかった。

「お前、何でコイツと2人きりでいる?」
「……!?」

(まさか、それが理由で拗ねてるの?)

ラグナが喋ると、その吐息が頬や首筋にかかってくすぐったい。
イリヤは思わず目を閉じて肩を竦めた。
耳まで赤くなっているとは気付いていない。

「なっ、何でって……それラグナが気にすること?」
「俺はお前の守護者だぞ?気にして当然だ」
「いや守護者だからって、それは当然ではないと思います……」
「敬語は禁止だと言っただろうが。口答えするな。昔はもっと素直だったのに」
「もう、いつまでも小さな子供じゃないんだから――」

「…………僕は何を見せられてるんだ?」
「!!」

エルドリックの冷えた声に、ハッとする。
この場の温度がマイナスまで下がったみたいだった。さっきの「精霊フロスト」がまた降りてきたかと錯覚するくらいに。
目の前で繰り広げられているのはまるで痴話喧嘩で、そんな空気になるのもムリはない……!
イリヤは慌ててしまった。



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