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第四章 消えた世界の銀髪女騎士

34話 サクジョ

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「わたしは、アリス。あなたも、アリス」

 ムルタを怪物化させると、またしてもアリスAちゃんはパッと消えた。
 うーむ、彼女とムルタの背後関係とか知りたかったけど、逃げられたか。

「理屈は分からんが、魔物化するなら話は早い。遠慮なく討たせてもらおう」

 クインズはトゥーハンドソードを構え直す。人じゃなくなったから手加減とか捕縛とか考えなくていいしな。

「ただの気味の悪い怪物では無さそうですが……」



 クロナも鉄扇を広げて身構える。

『ァァァァァ……』

 ユラユラと緩慢な動きで、ムルタ (?)は、腕を触手のように伸ばして襲い掛かってきた。

 エリンとクインズはそれぞれショートソードとトゥーハンドソードを振るって手首を斬り落とす。
 すると、斬り落とされた腕は奴のブヨブヨした胴体へ引っ込ま
むと、すぐに手首が元通りになって生えてきた。

「自己再生能力持ちか、めんどくさいな」

 まぁいいか、さっき撃ち損ねたジャッジメントレイ✕5で奴を滅してやるとしよう。

「――ジャッジメントレイ」

 これで終いだ。
 まばゆい光の柱、その五つが一斉にムルタをぶち抜かんと迫る。

 だが、

『ァァァァァ……』

 ブヨブヨした胴体に光柱が突き刺さると――そのまま五つのジャッジメントレイが俺に跳ね返って来た?
 素早く防御光波帯を展開して、ジャッジメントレイを消失させる。
 さすがに自分の魔法で死ぬほど間抜けじゃないぞ。

「……しかもリフレクターか、めんどくさいな」

「魔法を反射した!?」

 リザがセプターを構えながら驚愕する。
 どうやら奴のブヨブヨした体表には、魔法の反射効果があるらしい。
 ふむ、こうなるとリザやレジーナの援護魔法を期待できないか。

「別に、魔法が効かないだけでしょ?」

 エリンはその場から閃光のごとく駆け出し、ムルタのブヨついた胴体にショートソードを斬り込ませ、深々と斬り裂くが、あまり効いて無さそうだな。

『ァァァァァ……』

 するとムルタの身体が、液体のように床に沈み込んだ。

「倒した、というわけでは無さそうですね」

 これで終わりなわけがない、とレジーナは鎖鎌を構えながら注意深く警戒する。

 しかし、奴の気配は以前として床下、エリンのすぐ足元から動かない。
 ここは俺が震脚で床ごと攻撃すべきか、と思ったら。

「あっ……アヤトさんっ、後ろからも敵が!」

 リザの声が、さらなる敵襲を告げてくる。
 俺が蹴っ飛ばしたドアから、リビングデッドやスケルトンが入り込んできているようだな。

「エリンはレジーナと一緒に後ろの敵を頼む!」

 俺とクインズでムルタに肉迫し、エリンにも後衛二人を守るように指示を与える。

「分かった!」

 エリンは素早く反転して、鎖鎌を振り回しながらリビングデッドとスケルトンの群れを相手にしているレジーナの援護に回る。

「――ファイアボール!」

 リザの攻撃魔法がレジーナをカバーし、

「――パワーエクステンド!」

 クロナの補助魔法がレジーナの力を補強する。
 この分なら後ろの守りは四人に任せてもいいだろう。
 
 ならば俺の震脚で床下にいる奴を攻撃するとしよう。
 ムルタのいる気配に向かって震脚をしようと足を振り上げようとしたら、
 俺を取り囲むように、四本の腕――ムルタの腕だろうそれが床下や壁、天井から生えてきた。

 なるほど、上下左右どこからでも手を伸ばせるのか。

 ロングソードを振るって、四本の内三本だけを斬り捨てる。
 敢えて残していた一本が俺の首を鷲掴みにする。

「アヤト!」

「ん……問題ない」

 クインズがトゥーハンドソードを構え直して俺を助けようとしてくれるが、制止させる。
 奴の握力に頸動脈を圧迫されるが、別にこれくらいじゃ死なんよ。
 じゃぁなんでわざわざこんなことしてるのかと言えば、

「外からじゃ魔法を跳ね返すなら、これなら効くだろ」

 黒色の魔法陣を顕現し、詠唱。

「――『ナイトメア』」

 闇属性の魔法――これは対象を眠らせて悪夢を見せつけるというものだ。

 俺が催眠系の魔法を使えないと思ったら大間違いだぞぅ?

 すると、俺の首を鷲掴みにしていたムルタの腕がだらりと力なく垂れる。
 
 よし、幻術師と言えどこれは効くようだな。
 眠らせて終わりじゃないぞ、ここからが本番だ。

「――『ドリームイータ』」

 つまり、"夢喰い"だ。
 人間が夢を見ている時にこれを受ければ、頭の奥を貪り食われるような苦痛を味わうことになる。

『ァァァァァ……』

 悪夢を喰い潰されてか、床下に沈み込んだムルタが慌てて飛び出してきた。
 もがき苦しむように巨体をブヨブヨ震わせている。

 自分の得意分野で逆に苦しめられるって、ねぇどんな気分?NDK?

「ようやく出てきたか!」

 もがき苦しんでいるムルタの巨体に、クインズが斬り掛かる。

「でぇいッ!」

 上段からの袈裟斬りがムルタのブヨついた巨体を深く斬り裂き、振り降ろした勢いのままくるりと反時計回りに軸足を回転させ、さらに薙ぎ払う。

 しかし、斬り裂いた部分はブヨブヨと蠢き、すぐに再生を始めると同時に、ムルタは再び床下へ沈み込み――そのまま部屋の奥の壁に移動していく。

「なっ、壁の中に……!?」

 クインズはトゥーハンドソードを構え直して、ムルタが入り込んだ壁に近付いて凝視する。

「下がっていろクインズ」

 だが、どこへ逃げても無駄だ。

 クインズを壁から離れるように言うと、俺は右拳を握って、

「ていっ」

 粉骨爆砕、アヤトパーンチ!

 マイセン王国の城壁をぶち抜いた一撃だ、朽ち果てた大聖堂の壁なんざ紙切れ同然。
 ドガァン!!と壁を木っ端微塵に吹っ飛ばすと、その奥からムルタのブヨブヨした巨体が、怯えたように震える。

『ァァァァァ……』

 ふむ、どうやらここから逃げ出そうとしていたらしいな?
 仕方ない、ここまで念入りにする必要は無いとは思ったが、しっかり逃げの一手を潰しておこう。

「――『ブロックフィールド』」

 この部屋の周辺に結界を展開、アンチドートと同じく俺を殺すか、俺の力を上回るほどのチートスキルを使わなければ、ここから出ることは出来ない。

『ァァァァァ……』

 すると奴は俺とクインズに向き直り、何本もの腕を生やすと床や壁に潜り込ませ――あらゆる方向から襲い掛かってきた。

「ちっ、厄介な!」

 クインズはトゥーハンドソードを器用に振り回して、襲い来る腕を斬り飛ばしていく。
 俺も同様に腕を斬り飛ばす。

 よし、奴もいい具合に追い詰められているし、そろそろ終わらせ……

「きゃあぁっ!?」

「クロナさん!?」

 背後ろからクロナの悲鳴と、リザの声。

 背後を見やれば、複数あったムルタの腕、その内の二本が回り込んで床下からクロナを掴み込み、ムルタの本体へ引き込まれてしまう。

『ァァァァァ……』

 ムルタは自分の盾にするようにクロナを俺達に見せつけ、抵抗するクロナをさらに再生した腕で拘束し

「んっ!?やっ、やぁっ、やめっ……!」

 ……っておい、なにクロナの素晴らしいお胸様を鷲掴みにしてやがる。

「姉上っ!?くっ、これ以上は……!」

「ちょっと、抑えられない、かも……!」

 しかもそのさらに向こうでは、リビングデッドとスケルトンの群れと戦っていたレジーナとエリンが押されている。
 今いる奴らだけじゃない、続々と押し寄せて来ているようだ。

 ……あ、もういいや、5/6殺しにするとかじゃない、全殺しにしよう。

「クインズ、後ろの援護に回ってくれ」

「は、しかし……」

「心配ない、あとは俺が"処理"する」

「む、分かった……」

 クインズを後方へ向かわせてから。
 縮地と無影脚で接近、ムルタのブヨついた腹にロングソードを突き込み、斬り上げ、クロナを捕らえている腕を斬り落とす。

「ア、アヤト様……」

「どいてろ、クロナ」

 クロナを助け出したらちょっと乱暴に後ろに突き放す。

『ァァァァァ……』

「う る さ い」

 斬撃斬撃斬撃斬撃斬撃斬撃斬撃斬撃斬撃斬撃

 斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬撃撃撃撃撃撃撃撃撃撃

 自己再生能力?
 それを上回る速度で斬れば何も問題ない。

 手足も胴体も、何もかも、バラバラに細斬れにして、

「ふっ」

 最後に脳天唐竹割りで頭の天辺から真っ二つ。

 ズルリとムルタが縦に別れると、その巨体が靄に包まれて見る見る内に小さくなり――元の子どもの姿に戻って膝を折る。

『はぁっ、はぁっ、はぁっ……どうして、こんな……これまで上手くやれてたのに、なんで、アリス……』

 キッ、とムルタの敵意の目が向けられる。

『ひどいじゃないか!ボクが何をしたって言うのさ!?』

 今更になって逆ギレかよ、見苦しい。

「シュヴェルトとエスパーダの両国で戦争を行わせようとした、じゃぁ理由にならないか?」

『こんな『削除された世界』なんてどうなってもいいじゃないか!どうせ再連載もされないし、作者以外誰も覚えていないんだからさぁ!』

「……『削除された世界』だと?やっぱりそうか」

 そうだとすれば、女神様へのエマージェンシーコールに何の反応も無いのも頷ける話だ。
 この世界は、異世界転生の女神様(複数)の誰も管理していないのだから。
 多分今頃、女神様がアカシックレコードにアクセスして、俺のことをサルベージしてくれているのだろう。

『君が大人しく力を渡してくれれば良かったんだよ!そうすればボクはアリスに存在を認めてもらえる!』

「あぁ、お前もアリスに拾われたのか」

 多分、マオークと同じように。

『なのに!君が邪魔をしたせいで、ボクは誰にも顧みられないまま、あの人の記憶からも忘れ去られる!』

 こいつ、まさか。

「お前……『削除された世界』のオリキャラか」

『そうさ!あの人はもっともらしいことを並べ立ててサイトから退会したけど、本当は好きな作者に粘着していたら、一方的にブロックされたショックで退会しただけなんだよ!そんな身勝手な理由で作品を削除されて、残されたボクはどうなるの!?今頃あの人は、『ボクと同じ容姿と名前をした別のオリキャラ』を生み出して、よそのサイトでよろしくやってるんだ……!』
 
 あぁ、そういうことか。
 こいつは"概念"だけの存在なんだ。
 作者から見捨てられたところを、アリスAちゃんに拾われて、そうして利用されたか。
 
『だから羨ましいんだよ……君を生み出した"作者"みたいに、定期的かつ短い間隔で作品を連載してくれる人に描いてほしかった!他の作者の作品とのコラボとかクロスオーバーばっかやってないで、ちゃんと自分の作品を更新してくれる作者に!』

「"俺"というオリキャラを生み出した"作者"が誰かなんて知ったことじゃないが……そう言う点では、俺は確かに恵まれているのかもしれない」

 けどさぁ、

「だ か ら な ん だ ?」

 殺気を強めて、正面からムルタに叩き込む。

『ひっ』

「俺は今、ものすごく機嫌が悪い。ここまで機嫌が悪くなったのは100088年ぶりだ。何でか分かるか?」

 ちなみにその時転生していた世界は悪役令嬢モノのざまぁ系であり、被害者面した悪役聖女にハメ殺されたけどタイムリープしたから報復として徹底的に濡れ衣被せまくって逆にハメ殺す、というものだ。
 ほんと、偽善者と被害者の顔をすれば何をやっても許されると思っている辺りが悪役聖女のイケナイところだわ。周囲の人間もそんな奴の言葉なら何も疑いもせずに鵜呑みにして賛同するイエスマンに成り下がっているし。
 たった1%のざまぁのために99%のムナクソを堪え忍ばないとならんとか、割に合わんわ。

 びしすとムルタの鼻先に人指し指を突き付けて。
 
「お前だよ、お前。お前がアリスに唆されて余計なことしなきゃ、俺の機嫌が悪くなるようなことは無かったんだよ。その被害妄想を拗らせて善悪の区別すらつかなくなったアタマで理解出来るか?ドゥユアンダスタン?」

『こ、このっ……!』

 ムルタはバッと右手を突き出して俺に幻術を浴びせようとしてきたが、無駄だ。

『な、なんで使えないんだよ!?』

「バカかお前は。最初に俺が封印魔法アンチドートを使ったの、もう忘れたのか」

 ニワトリだって三歩歩くまでは覚えてるぞ?

 そもそも幻術は、相手にそれっぽいものを錯覚させるだけの虚像で、中身まで変わるわけじゃないんだ。AI生成絵はAIがすごいのであって、それを使う人間が絵を上手く描けるかはまた別の話であるようにな。

「幻術なんてしょせん"見せかけ"、中身の無い嘘っぱち……まさに『お前みたいな』術だよ」

『ぐっ、くうぅぅぅっ……』

 悔しげに項垂れるムルタ。
 クインズが加勢しているとは言え、エリン達の負担も大きいだろう、そろそろ保たないかもしれない。

「――『ホーリーソード』」

 光属性の中級魔術、その✕5。

 ジャッジメントレイだと発生まで少し時間がかかり、それで逃げられているので、こっちの方が早くて確実だ。

 五本顕現させた光剣、その内の一つを放ってムルタの胸に突き刺す。

『がっ……!?』

 大した抵抗も出来ないムルタを、光剣が突き刺さったまま持ち上げると、残る四本の光剣を周囲に取り囲ませて、

「じゃぁな、次は『ちゃんと完結してくれる作者』の元で生まれ変わってくれよ」



 サクサクサクサク。



『   ――』

 最後にムルタが呟いたのは、彼というオリキャラを生み出した作者の名前らしきワードだった。
 五本のホーリーソードに浄化され、ムルタの存在は完全に消えた……いや、俺が"抹消"した。
 ごめんな作者さん、あなたのオリキャラ、俺が殺しちゃった。もう覚えてもないかもしれないけどな。

 すると、ムルタの喪失を合図にしたかのように、リビングデッドやスケルトンの群れの動きが止まり、次々に黒ずんで消滅していく。

 敵のいなくなった地下室は、静寂に包まれる。

「……終わっ、た?」

 ぜーはーと荒い呼吸を繰り返すエリン。

「終わったようですね……」

 レジーナも鎖鎌のチェーンを回収して、安堵に息を吐き出す。

「辛い戦いでした……」

 リザも疲労困憊のあまり、その場で座り込む。

「アヤト、逆賊ムルタは確かに討伐したのだな?」

 クインズはトゥーハンドソードを背中の鞘に納めながら、ムルタの如何について訊ねてきた。

「あぁ……確かに、この手で"抹消"した。奴の魂の残滓も感じられないから、『最初から存在していなかった』ことになる。少なくとも、シュヴェルトとエスパーダの両国の緊張が煽られるようなことは、もう起きないはずだ」

 結局、死の商人が利益目的で戦争を引き起こそうとしていたとか、そういう話では無かった。
 いや、戦端を開かせて俺から物を奪うつもりだったなら、ある意味で死の商人だったかもしれないが……

「そうか……なら、良かった。シュヴェルトとエスパーダの両国を守ってくれたこと、感謝させてほしい」

 深々と頭を下げて一礼するクインズ。

「これで一件落着……と言いたいが、実は真の黒幕が控えているとかありそうで嫌だな」

 ほんとに出てきたらキレていいよね。キレるからな。キレるぞ。

「アヤト様……大丈夫ですか?」

 鉄扇を懐に納めながら、クロナは俺に寄り添ってくれる。

「怪我とかは無いよ、心配ない」

「お怪我が無いのなら良いのですが……その、お辛そうな顔をしているので」

 あぁ、今俺が感じていた胸クソ悪さが顔に出ていたか。
  
「……ちょっとな」

 ムルタの言いたいことも分からんでもない。

 せっかく設定とか色々考えられて創られ、命を吹き込まれたオリキャラなのに、作者の一身上のみがってな都合で存在ごと削除されて、しかもその作者はまた別のサイトで、削除したオリキャラの設定を横流ししたような新しいオリキャラを作る……

 まるでアレだな、クローニングで作り上げた人間が不完全だったから"廃棄"して、また作り直す、みたいな……生命への冒涜。

 でも、物語の創作ってそんなもんだよなぁ。
 悪役を仕立て上げ、主人公の踏み台にするように殺す。
 今、ムルタを"削除"した俺がまさにそれだ。

 物語の演出で人を死なせることが生命への冒涜だと言うのなら、その通りだろう。

 だが、冒涜はあくまでも冒涜であって、『罪ではない』。

 自分や身の回りの誰かが死ぬわけでは無いのだ、況してや現実世界ではない架空の世界の架空の人物、殺そうが何しようが、その物語の創作者の筆次第。

 ……なんか論点がズレてきたな。

 まぁともかく、ムルタは『自分の自己承認欲求の満たしたさのあまり他人に害を為した』ことに変わりはない。
 しかもその害を為したことに対する責を、己を生み出しては身勝手に見捨てた、『自身の作者』に押し付けようとした。
 そう言う意味では、俺やエリン達も誰かに"創られた"存在かもしれないが、だからと言ってその選択や行動の責任を放棄していいはずがない。
 選択の自由が許されている限り、人は己のやること為すことの是非を問わなければならないのだから。 

 己の悪行を悪と認めず、挙げ句他人に罪を擦り付ける……ようするにただのガキじゃねーか。

「――逆賊ムルタはここに討伐完了した。引き上げよう」

 こんなところには、あまり長居したくない。



 大聖堂の地下室から、地上の外に出てきたら。

『バケバケバー!』

『バケバケケー!』

 オバ太郎とオバ次郎がふよふよと漂って来た。
 おっと、バケバケ語は分からないから翻訳魔法、全員に付与しておこう。

『変なニンゲンをやっつけてくれたんだな!』

『ありがとー!』

「あぁ、魔物も村からいなくなったようだな」

 オキザリス村を見渡しても、あれだけいたリビングデッドやスケルトン、ボーンバットはもう見当たらない。

『よっしゃー!』

『やったー!』

 ニッコリ顔をしながら、オバ太郎とオバ次郎はふよんふよんと俺達の周りを踊り回る。かわいい。

『そうだそうだ、お礼にオレ達のとっておきのお宝をあげるぜ!』

『うんうん、ぜひとももらってよ!』

「ほほぅ、お宝か」

 それはちょっと気になるな。
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