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第六章 イマドキ?なJK転生者

46話 女子高生ロケットずつき事件

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「………………つまり、どうあがいても元の世界には戻れないってこと?」

『そう言うことです。良かったですね、日本全国のヲタクが望んでやまない異世界転生ですよ』

「うっそぉ!?待って待って待って、まだ読んでないラノベとかマンガとかあるし、ゲームだってまだクリアしてないのあるのに!?」

『そんな個人の都合なんて知ったこっちゃありませんから、そのラノベとかマンガとかゲー厶の世界で、とっとと第二の人生リスタートしてください』

「やだぁ!私はまだ女子高校生でいたいのにー!なんで、な・ん・で、修学旅行先で強盗に巻き込まれて人質にされた挙げ句殺されちゃうのー!?そんなの見た目は子ども、頭脳は大人な名探偵の世界だけでいいよー!」

『はいはい、あなたはもう異世界転移することが決まりましたから、さっさと希望する転移先と欲しい転生特典をどうぞ?』

「ふあーい……って言っても、悪役令嬢になって婚約破棄からの溺愛ってテンプレ通りの玉の輿に乗るのもつまんないし……あっ、そうだ!」

『何か思いつきましたか?』

「ハーレム無双するオリ主のハーレムに入れさせてください!」

『……これはまた、新しい発想ですね?』

「え?だってハーレム無双するオリ主なら基本イケメンとかイケオジで優しいし、ハーレムってことは美少女もいっぱい!イケメンイケオジに愛されるし、美少女とも仲良く一緒に暮らせるし!最高じゃん?」

『は、はぁ……まぁ、いいでしょう。では……あぁ、ちょうどいい異世界を知っていますよ』

「ちなみにそこってどんな感じの異世界?」

『生成AIが作り出すような美女・美少女ヒロインがたくさん出てくる、イマドキの頭の悪いテンプレなろう系異世界です』

「えぇ……何その、あんまり期待しちゃダメな世界」

『大丈夫ですよ、今のところお休み期間を除いて四~六日前後に一話、一部あたりの文字数は7000前後、ついでに一話につき作者自身が手掛けるアナログ挿絵も付いてくる、とってもお得な異世界です。もちろん、(バカがバカをやらかさない限り)エタる見込みはありませんから、安心して更新を待てる作品ですよ。……あぁ、そろそろお休み期間が終わって、表紙が切り替わる頃合いですね』

「よ、よく分かんないけど……とりあえずそこで!」

『分かりました。では……レッツハーレム!』

「レッツハーレム!ってなんてエッチなパワーワード……っえあぁっ!?あっ、ちょっ、ちょっ、待ってっ、きゃーーーーー!?」

 ………………

 …………

 ……

『さて、と……一体どこのバカですかね?『エタられたオリキャラ達を集めて、神々に武装蜂起しようなんて考えているバカ』は』





 スプリングスの里の温泉旅行(紆余曲折含む)から帰還して。
 家でのんびりしたり、冒険者の依頼を受けたり、不動産会社と相談して土地を買い取ったり、新築一戸建てのために必要な図面を作成したり、アレやコレやシたりと、まぁそこそこ忙しい毎日を過ごしていた。

 今日は朝早くからみんなと模擬戦(もちろん5対1)だ。

「でえぇぃッ!」

 クインズが振るうトゥーハンドソードによる横薙ぎの一撃を受け流して、

「遅いぞ、踏み込みをもう半歩速くするんだ」

 即座にクインズの脇を潜り抜けながら足を刈って転ばせる。

「うぐっ!?」

「受け身を取れと言ったぞ」

 背中から倒れたクインズから去り際にそう言い残して、

 死角から飛んで来た雷槍――ライトニングスピアを後ろ手の防御光波帯で防ぐ。

「せ、背中を向けたまま!?」

 動揺するリザ。

「放つタイミングが正直過ぎるんだ」

 と、言った端に遠距離の間合いを保っていたリザに無影脚で瞬時に近付いて、その額にフィンガースナップを効かせたデコピンを『パキィッ!!』と一発。

「いっだぁっ!?」

 デコピンの威力自体はそれなりに抑えた一撃だったが、フィンガースナップの音に思わず「痛い」と言ってしまったのだろう、リザは尻餅をつく。

「レジーナ!」

「はい、姉上!」

 息つく暇もなく、クロナが鉄扇を手に躍りかかり、その半歩ズレたタイミングでレジーナの鎖鎌も襲い来る。

 鉄扇の一撃にはソハヤノツルギを叩き付けて弾き返し、その0.2秒後に飛んで来た鎖鎌を躱してそのチェーンを掴み、強引に引き上げる。

「なんと言う力っ……!?」

 そのままレジーナごとぶん回してクロナにぶつけてやる。

「きゃっ!?」

「あっ、姉上っ!?」

 鎖鎌のチェーンが絡んでも縺れあうクロナとレジーナ。

「そこは投げずに、近接攻撃を仕掛けるべきだぞ」

 とかなんとか言ってる内にも、その逆サイドから桃色のマントが翻り――次の瞬間には間合いに飛び込んでくる。

「はあぁぁぁぁぁッ!!」

 最近ますます速さに磨きが掛かってきたエリン。
 常人なら目にも止まらぬ連斬撃。もうその辺のチート転生者くらいなら一人で倒せそうだ。
 俺?常人じゃないので普通に対処出来ます。

 エクスカリバーによる斬撃のみならず、シールドバッシュまで加えて、俺の真似をしようとしているらしい、蹴り技まで仕掛けてくる。
 足払いに回し蹴り、ヤクザキック。
 エリンの戦い方がどんどん足癖悪く狡猾になっていくなぁ……その内、「ちょいさぁ!」とか言い出すんじゃないだろうか。そりゃ勇者じゃなくて傭兵だな。

 けどね。

 エリンの回し蹴りをパシッと止めて、

「蹴り技は片足を浮かせる必要があるから、止められると動けなくなるぞ」

 その蹴り技についての弱点もしっかり教えてから、合気術でポイッと。
 しかしそこはさすがエリン、瞬時に受け身を取ってほぼ無傷で体勢を立て直す。

 ザンッとソハヤノツルギを地面に突き立てて。

「よし、休憩にしようか」

 休憩時間を告げ――ん?

「……なんだ、時空が動いた?」

 歪みのそれとは違う、いやむしろ、正規の手続きを通したとも言うべき反応だ。
 どこからの反応だ――真上――すぐ上!?



「いーーーーーやーーーーー!!!!!」



 バッと見上げてみれば、

「どいてどいてどいてどいてどいていややっぱりどかないでどかないでどかないでどかないでどか、きゃんっ!?」

「ひでぶっ!?」

 女の子の顔がドアップで見えたと思った瞬間、鼻っ面に強烈な頭突きを喰らった。
 重力加速度を加えれば、首の骨が折れてもおかしくないが、そこはさすが俺、鼻血が出るくらいで……

 痛 ぇ よ !!

 俺がどれだけ強くても、ギャグマンガ的な展開になっても、痛いもんは痛い!!

 仰向けに倒れちまった俺ともつれ合うように、女の子も地面に投げ出された。

「すごい、アヤトに攻撃を当てた!?」

 エリンが驚いているが、驚くポイントがなんか違う。

「5対1ですら勝負にならないアヤトさんに一撃与えるなんて、まさか、天変地異の前触れでしょうか……!?」

 リザがなんか間違った方向に戦慄している。俺は災害級の魔物かなんかか。

「レジーナ、すぐにギルドマスターに連絡を!『アヤト様が一撃を受けた』と!緊急事態です!」

「了解です姉上!各地のギルドへ速やかに非常事態宣言を通達させます!」
 
 待て待て待て、君ら姉妹二人は俺をなんだと思ってるんだね。

「君!大丈夫か!?」

 唯一まともな反応をしてくれたクインズは……俺じゃなくて女の子の方を助け起こそうとしている。ひどい。

「おい、君ら。おい」

 よっこらしょ、と起き上がって、慌てて集会所へ向かおうとしているクロナとレジーナを引き止めつつ、俺にダイビングロケットずつきを喰らわせてくれた女の子を見やる。
 クインズが助け起こして介抱しているその姿は、赤茶けたミディアムヘアをした、

「……女子高生?」

 西暦日本の学生服、それも濃紺のブレザータイプだ。シャツの上から黄色のセーターも着用している。
 外見年齢は俺と同じくらいなので、高校生と仮定する。

「ジョシコーセー?何のことだ?」

 俺の呟きに反応したか、クインズが振り向く。

「いや、何でもない。気絶しているのか?」

 俺にダイビングロケットずつきをかました拍子か、それとも地面に投げ出された時に身体を強打したからか、その女子高生は意識が無い。

 同時に、何かが降ってきて、カタタンと近くを転がる。

 それは、有り体に言えば、『でっかい筆』だった。

 彼女の持ち物だろうか? 

「えーっと、とりあえず家に運ぼっか。あとアヤトの鼻血も止めないと」

 そう言って、エリンは俺の顔にヒーリングを唱えてくれる。ありがとね。

 さて……彼女は一体何者なのだろうか。多分、西暦日本からの転生者だろうけど。





「ん……」

 重い瞼をこじ開けると、

「知らない天井だ」

 ったのでテンプレ通りのセリフを口にする。



 まだ上手く働かない脳を起こして、何が起きたのかを思い出していく。

 私は確か、修学旅行の最中に強盗事件に巻き込まれ、人質にされた挙げ句、自棄になった強盗犯に刺されて死亡したはず。

 その次は……多分、女神様っぽい人に出会って、異世界転生をさせてくれるとか言われて……そうそう、男性オリ主のハーレム無双モノのストーリーの、ハーレムの一員にしてくださいってリクエストしたんだっけ。

 レッツハーレム!と言うパワーワードと共に見送られて、気が付いたら空の上から放り出されて――そこからの記憶が無い。

 その寸前に、誰かとぶつかったような覚えが無くも無いけど……

 ベッドの周りを見回してみると、ここは誰かの寝室らしい。
 衣装棚やぬいぐるみがきちんと並んでいる辺りは女の子の部屋っぽいけど、その近くには鞘に納められた剣や、丈夫そうなポーチなどもあるところ……やっぱりハイファンタジーの異世界らしい。

「この剣って、本物だよね……?」

 ベッドからそろりと抜け出して、壁に掛けられたその剣を取ってみる。
 決して軽くはない、ずっしり重い質量はあるけど、なんとか片手で持てなくもないそれを、抜こうとしてみる。

「あれ……抜けない……」

 こう、シャキーンと剣が抜ける……抜刀?をイメージしてたけど、上手くいかない。抜き方にコツがあるのかも……

 と、思っていたら。

「あら、お目覚めになられたのですね?」

「ひぇぁっ!?」

 急に声を掛けられて、慌ててその剣を手放して後ずさる。

 部屋に入って来たのは、美人な黒髪ロングのお姉さん。

 なんだか踊り娘のような格好で……すごく……大きいです。

「あ、あ、その、決して盗もうとか思ってたわけじゃ、無くてですね?」

 慌てている私に構わず、黒髪ロングさんはニコニコしながら近付いて来る。

「お身体の具合はいかがですか?」

「え、はい、えぇと……特にどこか痛いとかは、無いですね?」

 頭か、身体をぶつけたような覚えはあるけれど、怪我はしていないみたい。

「それなら良かったです。立って歩けるのでしたら、あなた様にお尋ねしたいことがございますので、ついて来てくださいね」

「アッハイ」

 お尋ねしたいことってなんだろう、『自分がもし異世界転生したら……』って妄想は何度もしたことあるけど、実際に異世界転生するのは初めてだし……
 怖がっても仕方ない、言えることはちゃんと言って、分からないことは正直に分かりませんと言おう。

 黒髪ロングさんに連れられて、部屋を出る。





 女子高生ロケットずつき事件(!?)から数時間後、お昼過ぎ頃だ。

 クロナから、「例の方が気が付いたので、リビングに連れてきました」と伝えられたので、早速面会だ。

 リビングに入ると、リザが作ってくれた食事には手を付けずに、大人しく待ってくれている女子高生さん。

 相席に座って、と。

「初めてましてだな。俺にあれほど強烈なロケットずつきをぶちかましてくれたのは、君が初めてだ」

「ろ、ロケットずつき?じゃぁ、あの時ぶつかったのは気のせいじゃ無かったんだ……あ、いえっ、ごめんなさい!」

 慌てて謝ってくる女子高生さん。

「いやいや、あれはもう状況的に不可抗力だったろう?別に大した怪我もしていないから大丈夫だ」

 いきなり空から落っこちて来たんだもの、俺が受け止める他に手段が無かったと言うか。

「それで……君、転生者だろ?」

「えっ……」

 君、転生者だろ?ってイケボで訊ねたら、信じられないような顔をされた。
 あぁ、素性とか何も言っていないのに、いきなり自分のことをそう言われたら驚きもするか。

「俺も似たようなものだからな。おっと失礼……俺はアヤト」

 綾人って書いてアヤトな、と付け足す。

「あ、えぇと……私は『伊織七海いおりななみ』……この世界で言い換えるなら、『ナナミ』かな?」

 ナナミだな、理解。

「じゃぁ、ナナミ。一応確認はしておくが、西暦日本からの転生者と言うことで、間違いないな?」

「うん、それでえーっと、アヤト、さん?」

「好きなように呼んでくれていい。多分、俺と同い年だろうし」

 一応年齢確認もしたら、ナナミも俺やクロナ、レジーナと同じ17歳だった。

「じゃぁ、アヤトくんで」

 アヤトくんか。女神様を思い出す呼び方だ。

「よし。西暦日本からの転生者となると……あれか、交通事故死か、通り魔に刺されたか、ブラック企業で過労死したか……あ、いや、学生だからブラック企業で過労死は無いか」

 少なくとも自殺したとかそう言う話ではなさそうだな。
 何が起きて死んだのかと訪ねてみたら。

「えっと、修学旅行先で強盗事件に巻き込まれて人質にされて、自棄になった強盗犯に刺されて死んだっぽい」

「それは災難だったな……」

 マジか、修学旅行先で強盗事件に巻き込まれて人質にされ、挙げ句の果てに自棄になった強盗犯に刺殺されるとか……犯罪ですら無いな、ただのテロじゃねーか。

 そもそも、増援の望めない籠城戦は戦術における愚でもあるんだがな。
 籠城している間に包囲を固めて、外部からの援軍も来ないとなれば、向こうの水と食糧が尽きて干からびるのを待っていればいいし、相手がそんな状態で打って出てきても、数の暴力で踏み潰せばいいだけだし。

 やっぱり強盗なんてするもんじゃないな、成功率とリスクの高さが合わなさ過ぎる。
 そんなことも分からん頭しか無く、鉄砲と刃物があればとりあえず何とかなるとか思ってるんだから、救いようがない。

 完全犯罪をやるなら、もっと周到に、もっと狡猾に、もっと巧妙にやればいいものを。

 ……話が逸れたが、まぁおよそテンプレ通りの死亡だな。
 
 しかし疑問も残る。
 彼女が転生者なのはほぼ間違い無い。
 だが、あんな空から降って来るような転生方法だ、あの場にいたのが俺でなければ、ナナミは地面にキスしていただろう。

 まるで示し合わせたかのような……

「あの……さ、アヤトくん」

「ん?」

「アヤトくんは、冒険者なんだよね?」

「あぁ、そうだな」

「じゃぁ……やっぱり冒険者目指すしかないかぁ」

 ん?やっぱりってどゆこと?

「別に無理して冒険者になる必要は無いんだぞ?そりゃまぁ、手っ取り早く稼げる職なら、冒険者だが……」

「あっ、違うの、そうじゃなくて……」

 口ごもりながらも、ナナミは考えていたのだろう自分の意志を話してくれた。

「その……私ね、異世界転生する前に、女神様にお願いしたの。「ハーレム無双するオリ主のハーレムに入れさせてください!」って」

「…………………………それは、また、なんだ」

 ハーレム無双するオリ主のハーレムに入れさせてくださいって、変わったリクエストだな?

 ん?いやちょっと待てよ?

『女神様にお願いした』?

 しかも、ハーレム無双するオリ主のいる世界に転生……

 ま さ か ?

 女神様……めんどくさいからって、!?
 ぁんのダ女神様め、美少女なら誰でも構わず受け入れると思ってんのか!?

 ふざけんな今すぐ連れて還って別の異世界に送り直せと言いたいところだが……話の流れから、これはもう俺が引き受けるしか無さそうだ。

「えーーーーーっと……つまり君は、俺達と一緒に暮らしたいと、そう言うことでいいのか?」

 俺がオリ主なのかどうかは知らんが、ナナミにとっての俺は『ハーレム無双のオリ主』らしい。そんな作品ならエタるほどあるだろうに、よりにもよって何故俺に押し付けたし。

「め、迷惑だよね?そうだよね、私も我ながらとんでもないことをリクエストしたって思ってるし……」

 でもここでナナミを追い出したら、路頭に迷うだろう。
 その上、彼女は整った顔立ちとスタイルの持ち主だ、路頭に迷う果てに待っているのは……言うまでもないだろう。

 クソデカ溜息をひとつ挟んでから。

「いくつか確認してもらうことがある」

「う、うん?」

 指を立てて数えながら、ここに住むための条件を挙げていく。

「まず一つ目。この家にいる女の子達は全員俺の婚約者だ。ついでにもう一人、別の町から引っ越してくる予定の婚約者もいる。君が俺の婚約者になる必要はないが、ここに住むと言うのなら自分勝手なことはするな。俺達のやり方に従ってもらう」

 補足として、何か意見があるなら遠慮なく言ってくれてもいいし、常識の範疇であれば好きなこともしていいと伝えると。

「郷に入っては郷に従え、だね。それは分かるよ」

 自分は被害者ぶっておきながら、他者を蹴落とすことに躊躇は無い悪役聖女みたいなことをされてはみんなも嫌がるし、何よりも俺が許せん。そんなことになろうものなら物理的に始末する所存だ。

「次に二つ目。食事に関しては基本的に好き嫌いは認めない。余程のことが無い限り、出された物は残さず食べてもらう。何かアレルギーのある食べ物はあるか?」

 ちなみにクインズの野菜嫌いは、現在進行形で矯正中だ。
 みんなの前ではちゃんと食べているが、そうでないところでは野菜を食べないこともあるそうなので、もっと健康意識を持ってもらわなければ。

「アレルギーは大丈夫。ご飯もちゃんと食べます」

 アレルギーが無いなら問題ないな。きちんと残さず食べてもらおう。むしろ異世界メシとして楽しんでほしいところだ。

「最後に三つ目。働かざる者食うべからず、何かひとつでも貢献すること。以上が条件だ」
 
 何もせずにここに住むと言うのは、認められない。
 最低でも家事をやってもらわなければ、さすがにみんなも納得しかねるだろう。
 本人は冒険者希望だから、それは問題ないだろうけど。

「それは当然だし、大丈夫!」

 意気込みはよし。

「うむ。それなら、これからよろしくな、ナナミ」

「よ、よろしくお願いします!」

 予期せぬ形だが、また仲間が一人増えてしまったな。

 ナナミ が仲間になった!



 ……しまった、部屋はどうしよう?
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