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57: ジュリアをパートナーにしたら良いんだ!あったまイイー!

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「ね、ジュリアをパートナーにしたら良いんだよ!」

「んー……まぁ、貴族や富豪のパートナーにあっちの高級エリアの娼婦や踊り子、若いツバメが連れて行かれる事は偶にあるものねぇ…。」

「そーね、どーせ誰にも相手されないでしんどい思いするだけなら、ジュリアと端っこでイチャイチャしてても誰にも何も言われないんじゃない?」

「うん、その方がジュリアもヤキモキしなくて済むし、ジュリアなら絶対行くって言うんじゃない?」

「そっか、ジュリアなら、俺から誘えるもんな♪…へへ、聞いてみよっかな?」

名案!とばかりに玉綴りが言った言葉に、恋心と乙女心とビアホップが、繁華街で聞き齧った噂を判例に、アリかも、と頷く。

夜会に平民や娼婦、踊り子なんかを連れていくってのは、そこそこ顰蹙を買うものだろうけど、ま、誰も俺に声を掛けないならいーんじゃない?何か言われたらそのまま家出して平民になっちゃえー!なんて、はしゃいで、俺達は笑い合った。

まさか俺がいつの間にか貴族子息達に注目されてる事も、オキナが俺と婚約するつもりだと宣言した事も知らなかったから。

そして俺達はいつもみたいにお茶とお菓子を囲んでペチャクチャお喋りし、新人踊り子玉綴りへの復習も兼ねて、恋心達が俺に貴族の手紙の書き方をレクチャーしてくれた。
それは凄くややこしかったけど、何故こんな書き方をするのかとか、そういう根底にあることまで丁寧に教えてくれたので、とても勉強になった。
それと、俺も踊り子達の仲間入りをしたみたいで少し、嬉しかった。

オキナには、今迄手紙の真意が掴めて無かった事を恋心と乙女心主導の下お詫びして、夜会に出席するのでその時に会おうと返信しておいた。


その後、ジュリアに逢った時に誘ったら、ジュリアは二つ返事で夜会のパートナーを引き受けてくれた。

夜会は一週間後。
父上は、毎年礼服を1着は家門の色で仕立てる様にと家族に指示してるので、俺がそれを着て夜会に出るとの判断でこの急な決定だったのだろう。

勿論、その予算はしっかりとオキナの追っかけに使い切りました。

でもまぁ幸い、うちの家門の色は炎と光の属性の混色、ピンクなので、丁度新しく仕立ててた服を着ていくことにする。ジュリアもピンクの礼服っぽいの持ってるらしいから一安心だ。

俺御用達派手派手衣料品店"ウーサー"の店主にして天才デザイナー、ドラゴンズヴラッドがピックアップしてくれたアクセサリーを二人でアレコレ選び、俺とジュリアは御機嫌で夜会の事を話し合った。

因みに、ジュリアがブレスレットを買ってくれたのも此処。通りすがりにこの店を見て、俺の行きつけだと気付き買ってくれたんだとか。何かこーゆーの、嬉しくて胸がムズムズするな♪

「………てかネオン、家門の色ピンクってさぁ、……この服ピンクってよりピンクと黄色とスカイブルーのミックスカラーに黒のアニマルプリントっていう、いつものネオンカラーなんだけど、大丈夫か?」

今度の夜会にはこれを合わせよう、と俺がシャツとジャケットを選んだのを見て、ジュリアがどこか不安そうな声で聞いてくる。

んー……確かにピンクの量少ないかな?でも、このジャケットにはシャツは黒に織でゼブラ柄を表してるこのシャツか、こっちの蛍光イエローのシャツだと思うんだよね…。

「大丈夫大丈夫♪小物をピンクにするよ。」

取り敢えずジュリアにはそう言って、黒のシャツにジャケットを着せて見る。うん。良い感じ♪

「あら、靴も手袋も今回キレイに仕上がってるから丁度良かったわ♪」

俺の言葉にドラちゃん、ドラゴンズヴラッドが深紅のネイルをキラキラさせながらワゴンを運んでくる。そこには目を突き刺す様な蛍光色にしてツヤッツヤなエナメル靴の数々が!ウヒョー!

「手袋もね、良い革と、メッシュを作るのに良い素材と出逢えてね…♡」

と、手袋の乗ったワゴンも転がしてくるが、此方もウヒョー!!

「ウヒョー!ドラちゃん天才!ドラちゃん最&高!!取り敢えず全部貰う!……で、今度の夜会には…んー、この靴とこの手袋かな♪」

「待って待ってネオン…!小物をピンクにするんだろ?家門の色はピンクだろ?どっちもスカイブルーなんだけど!?」

俺が嬉々として掴んだ靴と手袋に、ジュリアが焦った声を出す。

「私的には、そのジャケットとシャツにはこの蛍光イエローのメダリオンとメッシュ手袋がゴージャスで良いと思うわよ♡」

だが、俺はその後にドラちゃんが薦めた組合せに夢中になってしまった。

「おおー!確かに此方の方がグッとフォーマル感が出るな!スカイブルーのは形が少しカジュアルだもんな!」

「ズボンはこのスカイブルーのレオパードが良いと思うわ♪ね、とっても素敵♡」

「待ってくれ!ピンクが差し色レベルの含有率になってきたぞ!」

「んー…確か一番上の姉さんがピンク嫌い過ぎて全身アーミーグリーンでパイピングだけピンクにしてたらしいから、いけるいける♪」

「ならせめてカラーはこのピン「あらダメよ、この組合せならカラーはこのトゲトゲ蛍光イエロー1択よ!」

「自由奔放が過ぎる!小物はピ「あ、このブレスレットがとってもピンクじゃないか!」

俺がジュリアから貰ったブレスレットをちらつかせて言えば、ドラちゃんが、俺とお揃いのブレスレットを嵌めたジュリアの腕をガッシリ掴みニコニコと言い放った。

「ていうか、ジュリアがとってもピンクじゃない!パートナーって最大のアクセサリーだと思わなぁい?世界で一番ピンクの似合う色男よ~♪」

「おいおい、人を小物扱いするなよ~ハハハ……って、家門の色を二人で纏うんだろ??デビュタントだぞ??ホントに??ホントにそれで行くの??」

ドラちゃんの言葉にジュリアがうっかりノリツッコミをしてる間に、俺達は決定☆決定☆と大はしゃぎし、諦めたジュリアも、幾つかアクセサリーを買い、俺達はブティックを後にした。

帰り道、沢山の荷物を軽々抱えて歩くジュリアはとっても格好良くて、軽く繋いだ手は、恋人繋ぎでもしっかりとした握り方でもない、本当に何でも無い様な感じなんだけど、俺の心を暖炉みたいに赤々と温め続けた。

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