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しおりを挟むリュリュとキスをするようになってから時間は流れ、マイラは十三歳、彼は十歳になった。
変わらずリュリュは二人きりになればマイラにキスをする。マイラに了承を得る事もなく、毎日してくる。
一番最初、キスをしたのはマイラからだ。だから彼はマイラにキスをしてもいいものなのだと思っているようだ。
近づきたくなくなるほど毛嫌いされるには、キスだけでは足りない。
所詮キスなんて挨拶みたいなもの。唇同士が軽く触れ合うだけ。
だからリュリュは嫌悪もなくできるのだ。
リュリュに嫌われるには、キス以上の事をしなくては駄目なのだ。
何故かこの時のマイラはもう、リュリュに嫌われなければならないという考えにとらわれていた。
その為に、リュリュの嫌がる事をしなくては。
マイラは再び、ぶつかったあの赤毛の少年の事を思い出す。もう顔も声もよく覚えていないけれど、彼に対する嫌悪感は思い出すだけで鮮明に蘇る。
あの少年にされて嫌な事を、マイラは考えた。彼にされて、キス以上に嫌な事。
たとえば裸を見られたり、触られたり。考えただけで気持ち悪くて鳥肌が立つ。あの少年にそんな事をされたら……何て想像したらゾワッと虫酸が走り、もう考えたくもない。
これならば、きっとリュリュも嫌がるだろう。
裸にされて、体を見られ、好き勝手に触られたら。
リュリュはマイラに憎しみすら抱くかもしれない。
少なくとも、おいそれとマイラに近づいてこなくなるに違いない。
今度こそマイラは彼に嫌われる。決定的に。
マイラは拳を握り、覚悟を決めた。
その日の夜。リュリュはいつものようにマイラの部屋にやって来た。
もう一緒には寝ていないが、彼は毎晩おやすみのキスをしに来るのだ。いつの間にかそれが習慣になっていた。
「マイラ、おやすみの挨拶に来たよ」
ニコニコと無邪気に笑うリュリュ。今からこの顔を嫌悪と憎悪に歪めるのだ。
マイラはゴクリと喉を鳴らした。
「そ、それよりリュリュ……」
「なぁに?」
「あの……その……」
マイラは口ごもる。
だが、ここで引くわけにはいかない。
無言でリュリュへ手を伸ばした。
「わっ!? ど、どうしたの、マイラっ……?」
戸惑うリュリュから衣服を剥ぎ取る。
彼は驚いているが抵抗しないので、簡単に全裸にできた。
リュリュの肌は陶器のように白くて滑らかだ。美しい彼の裸体が露になる。
「マイラ……?」
いきなり理由もわからず裸に剥かれたというのに、リュリュは嫌がる素振りを見せない。寧ろ頬を紅潮させ、期待するような目でマイラを見つめている。
好きでもない相手に裸を見られるなんて絶対に嫌だと思うのだが、これでもまだ足りないようだ。ならばもっと過激な事をしなければ。
全裸のリュリュが目の前にいる。マイラは本当は恥ずかしくて堪らないのだ。顔が熱くて、心臓はバクバク激しい音を立てている。
それでも羞恥をこらえ、彼の体に触れた。腕や胸に、手を滑らせる。
リュリュの肌はツルツルスベスベだ。
彼の触り心地のいい肌の感触に心臓は激しく高鳴った。
これからどうすればいいのだろう。いつまで触っていればいいのだろう。
そろそろおぞましさに顔を顰めているかと窺えば、リュリュは顔を赤くして息を乱していた。熱っぽく潤んだ彼の瞳がまっすぐにマイラをとらえている。
まさかそんな目で見られているとは思わず、ビックリして視線を落とし、そこにあるものに更に驚いた。
彼のぺニスが反応を示しているのだ。小さなそれが、ピンッと勃ち上がっている。
「っ、っ……!?」
マイラは目を白黒させる。
既に性教育を受けているので、その仕組みは一応理解しているつもりだ。性的な刺激を受け、興奮状態になると男性器は勃起するのだと。
これはどういう事だろう。マイラが習っていない男性器の仕組みがあるのかもしれない。嫌悪感が強すぎるあまり、勃起する事もあるのかもしれない。
「マイラ……っ」
「っ……!?」
動揺して動けないマイラの手をリュリュが掴む。
ああ、漸く拒まれるのだ、とマイラは安堵した。触るなと手を振り払われ、軽蔑の眼差しを向けられるのだと。
自分はやっと目的を達成できたのだ。マイラはそう思っていたのに。
握られたマイラの手は、ゆっくりと彼の下肢へと導かれた。
「ね、マイラ……。ここも、触って……」
「っぇ……!?」
熱を帯びた囁きが耳に吹き込まれ、マイラはビクリと肩を震わせる。
「お願い、マイラ……」
潤んだ瞳が懇願するようにマイラを見つめている。
リュリュにそんな目で見られたらマイラは拒めない。
どうしてこうなったのか状況も理解できないまま、そっと彼の熱に触れる。
「あっ……」
「っ……!?」
リュリュの口から甘い声が漏れ、マイラは手を止める。
「止めないで、続けて……もっと触って、マイラ……」
「っ、っ……」
羞恥と混乱に頭がくらくらした。
頭は半ばパニックに陥っているというのに、マイラの手はリュリュの言葉に従い彼の欲望に触れる。
「ぎゅってして、擦って……。ああ……気持ちいい、マイラの手……。柔らかくて、あったかい……」
なんて言いながら、それはそれは嬉しそうに恍惚とした表情を浮かべるリュリュ。
おかしい。思っていた反応とまるで違う。
もしマイラがあの赤毛の少年にこんな事をされたら、気持ち悪くて死に物狂いで抵抗しただろう。
だというのに、リュリュは抵抗するどころか積極的にマイラに体を触らせている。
わけがわからない。どうしてこんな事に?
「気持ちいい……マイラ、マイラ……っ」
切羽詰まった声を上げ、リュリュは抱きついてくる。そしてマイラにキスをした。
大きくリュリュの体が震える。ぺニスを握る手に少量の熱い粘液の感触。
リュリュはゆっくりと顔を離した。
「ありがとう、マイラ。気持ちよかったよ」
にっこりと、無垢な笑顔を浮かべるリュリュ。
マイラは自分の掌を見下ろし、呆然とした。彼の体液で汚れている。
積もり積もった羞恥が一気に込み上げてきた。
汚れていない方の手で脱がした衣服を拾いリュリュに押し付ける。
「触られたくなかったら、もう二度と私に近づかないことよ!!」
怒鳴るように言い放ち、裸のままのリュリュを部屋から追い出した。
今度こそマイラはリュリュに嫌われるはずだった。嫌われて、リュリュは目も合わせてくれなくなるに違いない。そう思っていた。
なのに、リュリュはその後も変わらずマイラに近づいてきた。寧ろ前より距離が近くなった。
手を繋いだり腕を組んだり、ピッタリと身を寄せてきたり、ハグもするしキスもする。
ソファに並んで座り一緒におやつを食べている今も、彼はマイラの隣に隙間なく座っている。大きなソファは充分なスペースがあるというのに、まるで貼り付いているかのようにくっついている。
どうしてなのだろう。彼の嫌がる事をしてきたはずなのに、何故彼は懲りずにマイラに近づいてくるのだろう。
マイラはハッとある可能性に気づく。
リュリュはもしかしたら、無類の女好きなのかもしれない。
女であれば外見も性格もどうでもいい。女であれば何でもいい。そんな来る者は拒まずな豪胆な女好きなのではないか。
何という事だ。もしそうだとしたら将来結婚しても、女性に誘われたら簡単に浮気してしまうかもしれない。浮気しまくり愛人を沢山作って、いずれ大惨事へと発展してしまう危険が高い。
マイラはリュリュの将来が心配で堪らなくなった。
浮気はいけない事なのだと、今のうちにそれとなく教えておかなくては。奔放な女遊びの末、恨みを買って殺されるなんて、リュリュにそんな大人になってほしくない。
「私、浮気する人って最低だと思うの」
唐突なマイラの発言にリュリュはパチパチと瞬きし、それから頷いた。
「そうだね」
「愛人を作るのって、よくないと思うわ」
「僕もそう思うよ」
リュリュは迷いなく同意する。しかしそれが本心なのか疑わしい。ただマイラに話を合わせているだけなのではないか。
結婚後の事ばかり考えていたが、結婚前の方が危ないのかもしれない。決まったパートナーがいないからこそ、色んな女性に手を出しまくるのではないか。
数年後にはリュリュも個人的にパーティー等の催しに参加する事になる。そうすれば、可愛いご令嬢や妖艶な美女と関わる機会がどっと増える。
果たして彼はその誘惑に抗えるのだろうか。
リュリュは今は天使のように愛らしい少年だが、数年後には誰もを魅了する美しい青年へと成長するだろう。きっと沢山の女性がリュリュに群がる。
誘われたらあっさりついていってしまうのではないか。後先考えずに手を出して、結婚前に色んな女性との間に子供を作ってしまうのではないか。
想像してマイラは青ざめた。リュリュの将来の事を考えると不安しかない。最悪の事態だけは阻止しなくては。
「私、一途に一人だけを愛する人が素敵だと思うの」
「そうだね。僕も一人だけを愛するよ」
リュリュはきっぱりと断言するが、マイラに色々している時点で全く説得力がない。
マイラの胸は罪悪感に痛んだ。
恐らく、彼を無類の女好きに目覚めさせてしまったのは自分なのだ。元々根本にあったとしても、きっかけを作ってしまったのはマイラだろう。
自分のせいでリュリュが将来恨みを買って女性に刺されるような事になってしまったらどうしよう。
こんなつもりではなかったのに、どうしてこうなってしまったのか。
マイラは己の行動を悔やんだ。
リュリュの体に触れたあの日から、彼はおやすみのキスだけでなく体に触れてほしいとねだってくるようになった。
あの時リュリュを裸にして体に触れたのはマイラの方からだ。それを自覚しているので、マイラは強く断れない。
そういうつもりではなかったとはいえ、先に手を出したのは自分なのだ。そう考えると負い目のようなものを感じてしまい、リュリュを拒めなかった。
予想外にはじまったその触れ合いは、マイラが十五歳、リュリュが十二歳になった今でも続いていた。
こんな事を続けてはいけない。それはわかっている。
マイラに触れてほしいと言ってくるくらいなのだから、リュリュは幼いながらにかなり性欲が強いのだろう。
もしマイラが拒絶したら、彼はその有り余る性欲をどこで吐き出すのか。
今はマイラだけで我慢しているようだが、そのマイラが拒めば彼はどうやって性欲を発散させるのか。
そう考えると不安だった。屋敷を飛び出し、誰彼構わず襲いかかってしまうのではないかと。
彼はまだ子供だけれど、そんな事になりかねないとマイラは本気で思っていた。
だから、やめさせなくてはいけないとわかっていても、結局できないままだった。
そんなある夜の事だ。
「マイラ。今日は僕にマイラの体を触らせて」
リュリュがとんでもない事を言い出した。
「嫌よ! ダメよ!」
「どうして? マイラはいつも僕の体に触って気持ちよくしてくれるでしょ? だから僕もマイラを気持ちよくしてあげたいんだ」
「い、いいっ! そんなのいらない……っ」
マイラはぶんぶんとかぶりを振って拒否する。
「遠慮しないで。僕、マイラに気持ちよくなってもらえるように頑張るから」
「きゃっ……!?」
ニコッと愛らしく微笑むリュリュに、ベッドに押し倒された。
自分よりもずっと小さかったリュリュは今では同じ背丈になり、いつの間にか筋肉もついて、力では敵わなくなっていた。
「ちょっとっ……ぃやっ、やめて、やめなさいってば……!」
寝巻きを脱がされそうになり、マイラは必死に抵抗する。
マイラの体型は、胸はぺったんこなのにお腹は肉付きがよくてぷにぷになのだ。それはマイラのコンプレックスとなっていた。
こんな体、見せたくない。特に、リュリュには見られたくない。顔も体も完璧に整っている彼の目に、こんな恥ずかしい体を晒したくない。
だから懸命に手足を動かし逃げ出そうとするけれど、リュリュに押さえつけられてかなわない。
部屋の外に響くくらいの悲鳴を上げれば、誰かが駆けつけてくれるかもしれない。けれどこんなところを見られたら、きっとリュリュが厳しい叱責を受ける事になる。もしかしたら、この屋敷を追い出されてしまうかもしれない。
元はと言えば、マイラが悪いのだ。リュリュを性に目覚めさせてしまったから。その結果、彼がここを追い出されてしまうなんてあってはならない。
これはマイラの責任なのだから、自分でどうにかしなくては。
そう考えて自力でリュリュを止めようとするけれど、体力面でもマイラは彼に負けていた。早々に疲れてしまったマイラから、リュリュは衣服を剥ぎ取る。
「や、やだっ! 見ないで……っ」
腕で体を隠そうとするが、リュリュに両手首を掴まれてそれを阻まれる。
「マイラ……マイラの、おっぱい……」
リュリュの視線はマイラの体に釘付けだ。彼は息を乱し、頬を紅潮させ、瞬きもせずにマイラの裸を凝視している。
こんなみっともない体を見て、興奮している。
マイラは確信した。彼はやはり、女であれば何でもいいのだ。どんな顔でも、どんな体でも、相手が誰でもいいのだ。
無類の女好きの彼は、この先女たらしへと成長するに違いない。誰彼構わず手を出して、そして最終的には大勢の恨みを買って殺される。そんな未来が予想できてしまう。
「だ、ダメ! やめなさい、リュリュ!」
「大丈夫だよ、マイラ。痛くしない、優しく触るからね」
リュリュは宥めるように言ってくるが、誰もそんな心配はしていない。
「可愛い、マイラのおっぱい……」
うっとりとした顔で彼はマイラの胸を見下ろす。
コンプレックスである貧乳をまじまじと見つめられる恥ずかしさに、顔だけでなく全身が熱くなる。
「見ないでよ、バカッ」
「あ、ごめんね。気持ちよくするって言ったのに、見てるだけじゃ気持ちよくならないよね」
「そうじゃなっ……!?」
自分が言っているのはそういう事ではない、と文句を言う前にリュリュの掌が乳房を包み込んだ。
「や、やだぁ……っ」
「ああ、すごい……マイラのおっぱい柔らかくて気持ちいい……っ」
ふにふにとマイラの胸を揉み、リュリュは感嘆の声を上げる。
小さな胸は揉み心地などよくないだろうに、彼は蕩けた顔でマイラの胸の感触を堪能している。
こんなに感動しているのは、彼が女性の胸にはじめて触れるからだ。この先色んな女性と関係を持てば、マイラの胸になど見向きもしなくなるのだろう。
そう考えると惨めで悲しい気持ちになった。
「触らないでっ……もう、やめなさいって言ってるでしょ……っ」
「ご、ごめん……僕が気持ちよくなるんじゃなくて、マイラを気持ちよくしてあげなきゃいけないのに」
「だから、そうじゃな、あっ……!」
「ここ……マイラのピンク色の可愛い乳首、いっぱい触るから気持ちよくなって……」
「や、やだっ、そこ……んんんっ」
指の腹で胸の突起を優しく擦られて、鼻にかかったような甘い声が口から漏れる。
「マイラの乳首、可愛いね。あ、触ってたらどんどん固くなってきた」
「やだ、ぁっ、んっ……そこ、触らないで……っ」
「声も可愛い……顔も真っ赤で可愛い……すごく可愛い、マイラ」
マイラよりも余程可愛い顔をしたリュリュが、可愛い可愛いと誉め揚してくる。
やはり彼は女たらしになるに違いない。思ってもいない褒め言葉で女性を気分よくさせる術をもう持ち合わせているのだ。
「やぁっ……んっ、やめなさ、やめて、リュリュ……っ」
「そっか。指で触るよりも舐めた方が気持ちいいよね」
「な、なに言って……っ」
「はあっ……マイラの乳首、美味しそう……。僕、いっぱい舐めるね」
「やめ、やっ、んあぁっ」
熱い息を吐き、リュリュは小さな舌で胸の突起を舐め上げた。そのままぴちゃぴちゃと舌を這わせる。
ぬるりとぬめった感触に、マイラは断続的に甘ったるい声を上げた。
「やだ、ばかぁっ、あんっ、そんなところ、舐めないで、あっあっ」
丁寧に執拗にねぶられ、柔らかかった乳首はツンと固く尖り唾液でてらてらと濡れていく。
リュリュに乳首を舐められているという羞恥と罪悪感にマイラは泣きたくなった。
リュリュは両方の乳首を何度も何度も舐めた。一体どれだけの時間舐められ続けているのか、マイラにはもうわからない。
「んゃぁあっ、もうっ……もう、やっ、あぁんっ、舐めないでぇ……っ」
「ああ、ごめんね、夢中になっちゃって……」
リュリュが胸から顔を上げる。やっと終わったのだとマイラは思った。
「舐めるだけじゃ飽きちゃうよね。今度はいっぱい吸うね」
「……は? え? なに、あっ、ああぁっ」
散々舐められた乳首にしゃぶりつかれ、マイラは甲高い声を上げる。
「ひっ、やっ、吸わない、でぇっ……あっあっ、だめぇっ、もう、やめっ、あっんっ、んぁああっ」
ちゅぱっちゅぱっと音を立てて乳房に吸い付かれ、マイラは更なる羞恥と快楽に襲われた。
「んっ……はあっ……美味しい……マイラの、おっぱい……」
「ひうぅっ、んっ、んっ、やああっ」
リュリュは本当に美味しいものを味わっているかのようにマイラの乳首をしゃぶる。
頬を赤く染めて、とろんとした瞳のリュリュは愛らしいけれど、彼は容赦なくマイラの乳首を舐めて吸い上げ味わい尽くそうとしてくる。
沢山舐められて、しゃぶられて、マイラの乳首はどんどん敏感になっていく。
ちゅうっと優しく吸われると背中が浮き上がるほど気持ちよくて、甘噛みされれば全身が痺れるような快感が駆け抜ける。
マイラは顔をぐちゃぐちゃにして喘ぐ事しかできない。こんなみっともない姿を晒したくないのに、自分ではもうどうする事もできないのだ。
「やだぁっ、あっあぁっ、リュリュ、んぁっ、リュリュぅ、おねがい、もう、やめてぇっ……」
「でも、今日はマイラをいっぱい気持ちよくするって約束したから……」
彼は言うが、そんな約束した覚えはない。
「もういいっ、もう気持ちいいからぁっ、いっぱい気持ちよくなったの、だから、もう……っ」
「ほんと? マイラ、気持ちよかった?」
リュリュはあんないやらしい事をしてきたとは思えないくらい純粋に、嬉しそうに瞳を輝かせた。
もうやめてほしいマイラはコクコクと頷く。
「どれ? どれが一番気持ちよかった?」
「そん、なの、わかんな……。ぜ、ぜんぶ……リュリュにされたの、全部気持ちよかったから……っ」
マイラの言葉に、リュリュは喜色満面の笑顔を浮かべる。
「良かった! じゃあもっとするね! 今日だけじゃなくて、これからも沢山するからね!」
「っえ!? 待っ……やっ、あぁっ、もうだめぇぇ……っ」
結局彼が満足するまで胸を弄られ続ける事になった。
どれくらいの時間が過ぎたのか、もうわからない。
舐めて、しゃぶられて、転がされ、押し潰され、口と指で散々嬲られ尽くした乳首は腫れたようにじんじんと熱を持ち、濃い赤に染まってぷっくりと膨らんでいる。
「はあっ……マイラ……僕、マイラをたくさん気持ちよくできた?」
満ち足りた顔で尋ねてくるリュリュを、涙で潤む瞳で睨み付ける。
睨まれているのにリュリュは嬉しそうだ。
「ふふ……マイラの目、とろとろになってて可愛い……」
可愛いわけがない。髪も顔もぐちゃぐちゃで、きっと酷い事になっている。それなのに、マイラよりもよっぽど可愛いリュリュがそれを言うなんて、嫌味だろうか。
「とろとろになってる可愛いマイラ、もっと見たいな……」
うっとりと囁いて、リュリュの唇が再び肌に落とされる。
「えっ、やっ……うそ……っ」
リュリュの顔が胸から下へと移動していくのに焦った。もう終わりではなかったのか。
慌てるマイラを無視してリュリュの唇はちゅっちゅっと音を立てて下へ下りていく。
肉付きのいい腹部を舐めて食まれ、臍を舌先で擽られ、ぞくりとした感覚に肩が震える。
散々喘がされた疲労感から抵抗もできず、リュリュの手によって脚を開かれた。
「やっ、やだぁ……!」
「わ、すごい……マイラのここ、ぬるぬるになってる……っ」
「ひっ、いやっ、やだぁ……っ」
興奮した様子でそこへ顔を近づけられ、マイラは羞恥に身悶えた。
「いっぱい気持ちよくなってくれたんだ……。嬉しいなぁ」
リュリュは頬を赤く染めて無垢な笑みを浮かべている。
じっくりと秘所を見られている。漏らした蜜で濡れそぼった恥ずかしい場所を、彼に凝視されている。
耐え難い羞恥に頭がくらくらした。
「や、見ないで、リュリュぅ……っ」
「恥ずかしがってるの? 大丈夫。すごく綺麗だよ、マイラ」
そういう問題ではない。そうじゃないのだ。
けれど訂正したところでリュリュにわかってもらえない。
「ふふふ……マイラのここも、美味しそう」
そんな言葉が聞こえ、ギョッと目を見開く。
「うそっ、待っ、リュリュ……ひあぁっ!」
反射的に制止の声を上げるも、止めるよりも先に秘所を舐め上げられた。ねっとりと、味わうように。
そのままぴちゃぴちゃと舌を這わされる。
「うそっ、やだ、ばかぁっ、んあぁっ、やめ、リュリュぅ……っ」
身を捩り逃げようとするけれど、がっちり腰を押さえられて彼の腕から抜け出せない。
「やだ、やだぁっ、舐めないで、あぁっ、ひうぅっ」
花弁をねぶっていた舌は、やがてその上にある花芽に伸びてくる。敏感な箇所を舌先で刺激され、強い快感に襲われる。
「ああっ、だめ、そこぉっ……舐めるの、だめ、あぁっ、リュリュぅっ」
駄目だと訴えても彼の舌はそこを舐め続けるのをやめてくれない。寧ろマイラが声を上げれば上げるほど、彼の舌は執拗にそこを攻め続ける。
コロコロと飴玉を転がすように弄ばれ、マイラは快感に身をくねらせる。
「ここ、そんなに気持ちいいんだね。マイラの中からとろとろが溢れて止まらなくなってるよ」
「ひぅんっ」
小さな粒の根本から先端までをつぅ……っと舐め上げられ、マイラは背中を仰け反らせ快楽に喘ぐ。
「可愛い、マイラ。びくびくって体が跳ねてるの」
クスクスと可愛らしい笑みを零しながら、リュリュは淫靡に花芽を攻め立てる。
小さな唇にぱくりとそこを含まれて、ちゅうっと吸い上げられると強烈な快感が全身を駆け抜けた。
「ひあっ、あああぁ──っ」
ガクガクとはしたなく腰が揺れ、一際甲高い声が漏れた。
頭の中が真っ白になるような強すぎる感覚に、マイラは呆然と荒い呼吸を繰り返す。
「マイラ、イッてくれたの?」
「わかんな……なに……?」
自分の身に何が起きたのかはよくわからないが、リュリュが嬉しそうだというのはひしひしと伝わってくる。
「嬉しい……嬉しいよ、マイラ……。ね、もっとイッて、もっともっと気持ちよくなって……」
「ひゃぁんっ」
リュリュは秘所をねぶりはじめた。
淫らな行為が再開され、マイラは涙混じりの嬌声を上げる。
「んゃあっ、もう、やっ、あっあっあっ」
蜜にまみれた花弁を舐め回し、それからリュリュの舌は蜜を溢れさせる膣内へと伸ばされた。
自身で触れた事もない場所へと侵入され、マイラは目を見開き首を振り立てる。
「ひうっ!? んぁっ、なか、だめぇっ、ああっ、そんなとこ、舐めちゃいやあぁっ」
にゅるにゅるとした感覚が胎内を蠢く。リュリュの舌は小さく、けれど確実にマイラの中を犯し掻き回している。
内壁を舐められるなんとも言えない感触に、腰が甘く痺れ肌が粟立つ。
「らめっ、あぁっ、リュリュぅっ、ひっあっあっ、らめぇっ」
くちゅくちゅと響く卑猥な音が羞恥を煽り、自分のはしたない声と、リュリュにされている行為と、行為をやめさせようとしながらも感じてしまう己の浅ましい体と、積み重なるそれらの羞恥にマイラはどうにかなってしまいそうだった。
恥ずかしさで死ぬ事があるのなら自分はきっともう命を落としている。
恥ずかしさで死ぬ事があるのなら人を一人死に至らしめているかもしれないというのに、リュリュは夢中になってそこを舐め続けている。肉壁を擦るように舐め上げ、溢れる体液を啜り、思う様味わい尽くそうとしている。
「んあぁっ、あっあっ、きもちぃ、んっ、ああぁっ」
マイラの口から無意識に零れたその言葉をリュリュは聞き逃さず、彼は更に執拗に丹念に中を舐め回す。
ぬぽぬぽと舌を抜き差しされ、花芽を指で転がされ、マイラは何度も絶頂へと導かれた。
声を上げ、爪先を震わせ、蜜を漏らし、絶頂を繰り返す内に腹の奥がむずむずと疼きはじめる。胎内が何かを求めてきゅんきゅんと収縮する。
快楽を与えられるたび、疼きはどんどん大きく激しくなっていく。
中を満たして欲しくて堪らなくなって、遂にはリュリュに縋りついてしまいそうなほどに。
そんな状態にまで追い詰められ、マイラはポロポロ涙を流した。
「リュリュっ、リュリュぅ、お願……もうやめてぇ、もうやなのぉっ、お願い、リュリュぅ……っ」
このまま続けられたら、本当にリュリュに縋ってしまいそうだった。リュリュが欲しいと、自分から求めてしまう。
それが怖くて、マイラは恥を捨て子供のように泣きながら懇願した。
するとリュリュはすぐにやめてくれた。
「ああ、マイラ、ごめん、ごめんね」
「うぅっ……」
「マイラが気持ちよくなってくれるのが嬉しくて、夢中になっちゃった。ごめんね、今日はもうしないから、泣かないで」
リュリュは宥めるようにマイラの頭を撫で、涙を拭い、何度も謝る。
「今日は」という部分が引っ掛かったが、漸くやめてくれた事に安堵して、疑問は意識の外へ流れていった。
それにしても、やはりリュリュは危険だ。既に女性を悦ばせる術を知り尽くしている。
その美貌でだけでなく、ベッドの上でのテクニックでも女性をメロメロにしてしまう。リュリュに目をつけられ手を出された女性は、皆彼の虜になってしまうのではないか。
色んな女性と遊び回るリュリュが容易に想像できてしまう。
彼は遊びの感覚で無邪気に、自分の魅力に無自覚に、沢山の女性と関係を持ち、その女性達を夢中にさせ傷つけ恨まれる、とんでもないクズになってしまうかもしれない。
リュリュの最悪の未来を想像し黙り込むマイラに、勘違いした彼が不安そうに声をかけてくる。
「マイラ……? マイラ……怒っちゃった? ごめんね、ごめんなさい……」
「……別に、怒ってないわ」
「ほんと? 僕のこと、嫌いになってない?」
しゅんと肩を落として上目遣いにこちらを見つめるリュリュは、捨てられた子犬のように純粋で愛らしい。つい先ほどまで淫猥な行為に耽っていたとはとても思えない。
「リュリュを嫌いになんてならないわ」
それはマイラの本心だ。きっと何をされてもマイラは彼を嫌いになれない。
いっそ嫌いになれたらよかったのに。そうしたら、彼に釣り合わない自分にショックを受ける事もなかった。彼を我が儘で振り回してきた過去の自分を消し去りたいと後悔の念に苦しむ事もなかった。これからどんなに可愛い女の子達がリュリュの隣に立っても、悲しむ事なんてなかったのに。
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自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
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