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第2章 拠点開発
第55話 未知の匂いに釣られて
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「じゃあ大樹の裏側、まだ探索していない北の領域を探索しに行こうかテン。」
「キュキュイ!」
「シャシャア?」
「いや、案内は大丈夫だよ。そんなに急いで同行する必要もないからな。大蜘蛛はゾンとルアと遊んであげてくれないか?最近あまり2人と遊んでいないだろ?」
「シャ!」
「じゃあ僕たちがいない間は任せたよ。」
☆
さて、どう探索を進めていくかだな。普段だったら浅いところから徐々に面を広げるように探索するのだが、今回の目的の1つに大蜘蛛が言っていた未知の魔物の確認がある。なので今回は未知の魔物の確認を最優先にするため、大樹の周りから続いている川とも言えるほど大きな水の流れに沿って進んで行くとしようか。
「キュ!」
「おっと、また方向がずれていたか。ありがとうテン。」
「キュイ!」
北側も相変わらず霧の領域に覆われている。川に沿って移動しているはずなのに、気づいたら川から離れ別の方向に行こうとしてしまう。いったいどうしてこうなってしまうのか。明らかにおかしい霧の存在が原因だと思うのだが、魔法が発動している気配もなく、本当に分からない。だがテンのおかげで霧の領域も迷いなく進んで行ける。
「キュイ?」
「いやなに、テンがいてくれて良かったなって。」
「キュキュキュキュ!」
器用に6尾の尾を許しながら喜ぶテンの様子は非常に可愛らしい。1尾の時は可愛らしく左右に揺れるだけの尻尾だったが、6尾の今はその尻尾が揺れる様はまるで1つ1つの尻尾が自分で意思を持って踊っているようだ。その様がなんだか面白くて、普段からなんとかテンを喜ばせようとするのは仕方ないことだろう。でもテンはなんでもすぐに喜んでくれるからいつでも見れるんだけどね。
霧の領域を抜けた後もこれといって特に変わった様子はない。ただ魔物の気配が少ないくらいか。
「キュ……キュキュ?」
ただ先ほどからテンが鼻をヒクヒクとさせ、頭をキョロキョロしている。僕より何倍も嗅覚のいいテンには何かの匂いがしているのだろうが僕には感じ取れない。どうやらテンにしても嗅いだことの無い匂いのようでなんの匂いかは分かっていないらしい。
それから1時間ほど進んでようやく僕も匂いを感じ取ることが出来た。だがこの匂いはなんだ?今までに全く嗅いだことの無い匂いだ。少し鼻につく匂いだ。臭い…わけではないんだがいい匂いでもない。これはテンが困惑するのも分かるな。
「キュ」
「ああ、僕も複数の気配を感じた。」
不思議な匂いに困惑しながらも進んでいると、不意に複数の気配が僕たちの感知範囲に入ったことに気づいた。相手が近づいていてきた…というよりは僕たちが相手に近づいたことで気配を感知したといった所だろう。その存在たちは特に動いてる様子はなく、群れで固まっているようだ。それにしても複数の気配か。大蜘蛛とのコミュニケーションで勝手に一体だと勘違いしていた。ここはまだまだ大蜘蛛とコミュニケーションを取らねばならない所だな。
だんだんとその気配へと近づいていく。はてさて、何が出るのか期待半分怖さ半分といったところだろうか。
「キュキュイ!」
「シャシャア?」
「いや、案内は大丈夫だよ。そんなに急いで同行する必要もないからな。大蜘蛛はゾンとルアと遊んであげてくれないか?最近あまり2人と遊んでいないだろ?」
「シャ!」
「じゃあ僕たちがいない間は任せたよ。」
☆
さて、どう探索を進めていくかだな。普段だったら浅いところから徐々に面を広げるように探索するのだが、今回の目的の1つに大蜘蛛が言っていた未知の魔物の確認がある。なので今回は未知の魔物の確認を最優先にするため、大樹の周りから続いている川とも言えるほど大きな水の流れに沿って進んで行くとしようか。
「キュ!」
「おっと、また方向がずれていたか。ありがとうテン。」
「キュイ!」
北側も相変わらず霧の領域に覆われている。川に沿って移動しているはずなのに、気づいたら川から離れ別の方向に行こうとしてしまう。いったいどうしてこうなってしまうのか。明らかにおかしい霧の存在が原因だと思うのだが、魔法が発動している気配もなく、本当に分からない。だがテンのおかげで霧の領域も迷いなく進んで行ける。
「キュイ?」
「いやなに、テンがいてくれて良かったなって。」
「キュキュキュキュ!」
器用に6尾の尾を許しながら喜ぶテンの様子は非常に可愛らしい。1尾の時は可愛らしく左右に揺れるだけの尻尾だったが、6尾の今はその尻尾が揺れる様はまるで1つ1つの尻尾が自分で意思を持って踊っているようだ。その様がなんだか面白くて、普段からなんとかテンを喜ばせようとするのは仕方ないことだろう。でもテンはなんでもすぐに喜んでくれるからいつでも見れるんだけどね。
霧の領域を抜けた後もこれといって特に変わった様子はない。ただ魔物の気配が少ないくらいか。
「キュ……キュキュ?」
ただ先ほどからテンが鼻をヒクヒクとさせ、頭をキョロキョロしている。僕より何倍も嗅覚のいいテンには何かの匂いがしているのだろうが僕には感じ取れない。どうやらテンにしても嗅いだことの無い匂いのようでなんの匂いかは分かっていないらしい。
それから1時間ほど進んでようやく僕も匂いを感じ取ることが出来た。だがこの匂いはなんだ?今までに全く嗅いだことの無い匂いだ。少し鼻につく匂いだ。臭い…わけではないんだがいい匂いでもない。これはテンが困惑するのも分かるな。
「キュ」
「ああ、僕も複数の気配を感じた。」
不思議な匂いに困惑しながらも進んでいると、不意に複数の気配が僕たちの感知範囲に入ったことに気づいた。相手が近づいていてきた…というよりは僕たちが相手に近づいたことで気配を感知したといった所だろう。その存在たちは特に動いてる様子はなく、群れで固まっているようだ。それにしても複数の気配か。大蜘蛛とのコミュニケーションで勝手に一体だと勘違いしていた。ここはまだまだ大蜘蛛とコミュニケーションを取らねばならない所だな。
だんだんとその気配へと近づいていく。はてさて、何が出るのか期待半分怖さ半分といったところだろうか。
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