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1 : 悪口が罪ですって?!
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藍色の腰にまで伸びたゆるふわロングで、優しげな黄緑色の垂れ目をしたマリエルは、幼いときから一緒にいる私の自慢の友人ですわ。
大抵いつも一緒に行動していますので、私の周りで起きた事についてもよく知っておりますの。
...でも、あの日のマリエルはとても衝撃を受けていたから、証言は他の方に頼んだ方が良かったかしら?
あぁ、私ったら駄目ね...急いでいたとは言え、少し冷静に考えれば分かることなのに。
言葉では大丈夫だと言ってくれていたけれど、緊張からか強張ったお顔が微かに青褪めてもいるし、体も小刻みに震えているわ...ごめんなさい、マリエル。
「私は、あまりの衝撃にお恥ずかしながら声も出せず...固まるしかありませんでした。
ユーティリカ様や他の皆様も真っ青なお顔でしたけれど、不法侵入者など遭遇したこともございませんので、どうしたら良いのかが分からず...とても不安でした。」
「そうなのね...それは不安でしたでしょう。
この場で話してくれてありがとう。
もうお座りになられて?
誰か、膝掛けかなにか持ってきてくれるかしら?
このような場で、それも理不尽に怒鳴られて、とても緊張したでしょう...少し体が震えているから、きちんと暖まりなさいね。」
「は、はい!失礼致します。」
「第2王子、ユーティリカ嬢の罪というよりは、貴方の不貞の証人達でしたわね?
王命で決まった婚約者のいる身で、他の女性と身体を触れ合わせるだなんて...貴方はどんな教育を受けておりましたの?」
証言を終えて王妃陛下に労われたマリエルが、強張った顔をしながらも私に笑いかけてくれました。
今回のことは急なお願いでしたもの、どうせなら断っても良いのに...引き受けてくれて、本当に優しい子なのよね。
あらあら...王妃陛下?
第2王子を見る目が、ゴミムシの類いを見る目になっておりますわよ。
私としては、勝手に自爆してくださいましたので嬉しい限りですわ!
「悪口を言ったのはこの雌狐ですよ??!」
「あら、貴方が訴えているユーティリカ嬢の発言は、悪口という判定にはなりませんわ。
ユーティリカ嬢は、見たままの事実を述べただけでしょう?
その女性と貴方との間に、不貞の関係があったことも確かなことのようですわね。
自分の婚約者が、娼婦のような格好をした他の女性と目の前で抱き合っていれば、動揺してもおかしくはありません。
剰え、妄りに肌を露出させている人が王立学園の生徒であると思えないのは、当たり前のことです。」
「不貞などではありません!!
フェリスと私の関係は真実の愛です!!!」
「ユーティリカ嬢という王命による婚約者がいる身でありながら、他の女性と真実の愛を語るだなんて、貴方は本当に紳士ではありませんわね。
せめて、ユーティリカ嬢との婚約を破棄してから真実の愛を貫けばよいのに......。
この婚約...王家にとっては利益があれど、ユーティリカ嬢にとってもルーベリン家にとっても、不利益はあれど何の利益もありませんのよ?」
えぇ、えぇ、我が家にも私にも、第2王子殿下と婚約する利益なんてこれっぽっちもないのですから、婚約を解消したいと普通に頼んでいただければ喜んで解消させていただきますわ!
「お前ぇ!!!
黙って聞いていれば好き勝手に言いやがって!!!
お前が公爵に我が儘を言って結ばれた婚約だろうが!!!」
いいえ、今のは王妃陛下のお言葉であって、私は何も言っておりませんわ。
まるで、私が発言したかのように怒鳴りつけるのは止めて下さいませ。
けれど、どうやら王妃陛下も私が発言することを許してくださるご様子ですし、仕方ありませんわね。
私の発言ではありませんけれど、私がお答えいたしましょうか...。
*
大抵いつも一緒に行動していますので、私の周りで起きた事についてもよく知っておりますの。
...でも、あの日のマリエルはとても衝撃を受けていたから、証言は他の方に頼んだ方が良かったかしら?
あぁ、私ったら駄目ね...急いでいたとは言え、少し冷静に考えれば分かることなのに。
言葉では大丈夫だと言ってくれていたけれど、緊張からか強張ったお顔が微かに青褪めてもいるし、体も小刻みに震えているわ...ごめんなさい、マリエル。
「私は、あまりの衝撃にお恥ずかしながら声も出せず...固まるしかありませんでした。
ユーティリカ様や他の皆様も真っ青なお顔でしたけれど、不法侵入者など遭遇したこともございませんので、どうしたら良いのかが分からず...とても不安でした。」
「そうなのね...それは不安でしたでしょう。
この場で話してくれてありがとう。
もうお座りになられて?
誰か、膝掛けかなにか持ってきてくれるかしら?
このような場で、それも理不尽に怒鳴られて、とても緊張したでしょう...少し体が震えているから、きちんと暖まりなさいね。」
「は、はい!失礼致します。」
「第2王子、ユーティリカ嬢の罪というよりは、貴方の不貞の証人達でしたわね?
王命で決まった婚約者のいる身で、他の女性と身体を触れ合わせるだなんて...貴方はどんな教育を受けておりましたの?」
証言を終えて王妃陛下に労われたマリエルが、強張った顔をしながらも私に笑いかけてくれました。
今回のことは急なお願いでしたもの、どうせなら断っても良いのに...引き受けてくれて、本当に優しい子なのよね。
あらあら...王妃陛下?
第2王子を見る目が、ゴミムシの類いを見る目になっておりますわよ。
私としては、勝手に自爆してくださいましたので嬉しい限りですわ!
「悪口を言ったのはこの雌狐ですよ??!」
「あら、貴方が訴えているユーティリカ嬢の発言は、悪口という判定にはなりませんわ。
ユーティリカ嬢は、見たままの事実を述べただけでしょう?
その女性と貴方との間に、不貞の関係があったことも確かなことのようですわね。
自分の婚約者が、娼婦のような格好をした他の女性と目の前で抱き合っていれば、動揺してもおかしくはありません。
剰え、妄りに肌を露出させている人が王立学園の生徒であると思えないのは、当たり前のことです。」
「不貞などではありません!!
フェリスと私の関係は真実の愛です!!!」
「ユーティリカ嬢という王命による婚約者がいる身でありながら、他の女性と真実の愛を語るだなんて、貴方は本当に紳士ではありませんわね。
せめて、ユーティリカ嬢との婚約を破棄してから真実の愛を貫けばよいのに......。
この婚約...王家にとっては利益があれど、ユーティリカ嬢にとってもルーベリン家にとっても、不利益はあれど何の利益もありませんのよ?」
えぇ、えぇ、我が家にも私にも、第2王子殿下と婚約する利益なんてこれっぽっちもないのですから、婚約を解消したいと普通に頼んでいただければ喜んで解消させていただきますわ!
「お前ぇ!!!
黙って聞いていれば好き勝手に言いやがって!!!
お前が公爵に我が儘を言って結ばれた婚約だろうが!!!」
いいえ、今のは王妃陛下のお言葉であって、私は何も言っておりませんわ。
まるで、私が発言したかのように怒鳴りつけるのは止めて下さいませ。
けれど、どうやら王妃陛下も私が発言することを許してくださるご様子ですし、仕方ありませんわね。
私の発言ではありませんけれど、私がお答えいたしましょうか...。
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