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お兄様の結婚式
17[回想]
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「旦那様...王家より、私宛の封書が届きましたわ。」
「封書?君にかい?」
愛する妻との結婚式を終えて、これまで特に休みなく宰相補佐として働いてきた王宮へと1ヶ月の長期休暇を申請して、妻であるシオンの望む新婚旅行とやらに出掛け帰国したのは昨日のことだ。
2週間の旅行で...まだ休みは残っている。
何故、妻に王家よりの封書が届くのか...なにやら面倒な気配がするな。
シオンも眉間に皺を寄せて困惑しているし、これは私が処理するのが良いだろう。
「えぇ、私宛ですわ...私はこの国に知り合いなどおりませんし、とても1人で開ける勇気が持てませんの。
ご一緒してくださいますか?」
「あぁ、構わないよ。
王家より封書が届くなど、どういうことなのかな?
皆目見当もつかないよ。」
私の部屋にあるソファに並んで座り、先ずはシオンが読み進めるのを眺めて待っていようか。
...?シオンの表情が無くなったな......どうしたのやら?
「.....ハァー。」
「どうしたんだい?」
「旦那様、私、愛人となれと命じられましたわ。
...私は結婚したばかりですのに、この方は知らないのかしら?」
「すまないが、見せてくれ。」
シオンを愛人だと??
結婚したばかりの夫婦に、愛人契約を持ちかけるなど意味が分からない。
王族とて、常識を違えるなど正気ではあるまい。
誰からの封書なのやら...?
「えぇ、どうぞ。」
「..........ほぉ、結婚式で君を見初めたらしい。
王家の方が参加していたとは知らなかったな...王家の方々は、誰も招待していないのだが?」
「『...愛し合う私達を引き裂くなど、運命とはかくも困難なものだとは!!...』
と...書かれておりますけれど、もしかして、愛し合う私達とは、私とこの方を指しますの?
私が愛しておりますのは、旦那様ただお1人ですのに...。」
「そうだな...幼い頃より妄想の激しい男だからな......コレは。
ハァー、面倒なことになったぞ?」
ハァー...この男はやっぱりアホなのだな。
このような個人の意思を無視する所業を...王族とて易々と出来ることでは無いだろうに。
『...私の親友の結婚式に参加したときに、美しい白の清廉なドレスを身に纏う君と出会ったね。
愛する君を一目見たときから、私は君の虜となってしまったのだ!!
私の立場上、君は先ずは愛妾という立場となってしまうが、私達の愛の結晶は直ぐにでも証明されるだろう。
愛し合う2人の子供なのだから、それはさぞ可愛らしいのだろうな...楽しみだ!!
私は、男の子は3人は欲しいな...女の子ならば、何人いても良いだろう。
君に似た娘なら、きっと美しいのだろうな。
あぁ、正妃である妻とは政略でしかないのだから、どうぞ安心して嫁いでくれて良いよ!!...』
うーん、何度読んでも理解し難いな...まさか、親友とは私のことを言っているのか?
1度も、友だなどと感じたことなど無いのだが?
国王陛下の頼みで、学園に通う間暫し側にてお支えしていたが...コイツの問題行動が多すぎて、陛下へと嘆願して卒業前に辞した程だ。
...それ以後、関わったことは夜会以外ではない筈で...それも、コイツの起こした騒ぎに巻き込まれただけなのだがな。
それに、この"美しい白い清廉なドレスを身に纏う君と出会った"というのは...どう妄想したんだ?
花嫁の身に纏う色のドレスを、花嫁以外に着る阿呆はどこにもいないだろうに......知能を捨ててしまっているようだな。
これでは、親友の花嫁に勝手な恋慕をしているだけだろう...親友というのは事実ではないが。
*
「封書?君にかい?」
愛する妻との結婚式を終えて、これまで特に休みなく宰相補佐として働いてきた王宮へと1ヶ月の長期休暇を申請して、妻であるシオンの望む新婚旅行とやらに出掛け帰国したのは昨日のことだ。
2週間の旅行で...まだ休みは残っている。
何故、妻に王家よりの封書が届くのか...なにやら面倒な気配がするな。
シオンも眉間に皺を寄せて困惑しているし、これは私が処理するのが良いだろう。
「えぇ、私宛ですわ...私はこの国に知り合いなどおりませんし、とても1人で開ける勇気が持てませんの。
ご一緒してくださいますか?」
「あぁ、構わないよ。
王家より封書が届くなど、どういうことなのかな?
皆目見当もつかないよ。」
私の部屋にあるソファに並んで座り、先ずはシオンが読み進めるのを眺めて待っていようか。
...?シオンの表情が無くなったな......どうしたのやら?
「.....ハァー。」
「どうしたんだい?」
「旦那様、私、愛人となれと命じられましたわ。
...私は結婚したばかりですのに、この方は知らないのかしら?」
「すまないが、見せてくれ。」
シオンを愛人だと??
結婚したばかりの夫婦に、愛人契約を持ちかけるなど意味が分からない。
王族とて、常識を違えるなど正気ではあるまい。
誰からの封書なのやら...?
「えぇ、どうぞ。」
「..........ほぉ、結婚式で君を見初めたらしい。
王家の方が参加していたとは知らなかったな...王家の方々は、誰も招待していないのだが?」
「『...愛し合う私達を引き裂くなど、運命とはかくも困難なものだとは!!...』
と...書かれておりますけれど、もしかして、愛し合う私達とは、私とこの方を指しますの?
私が愛しておりますのは、旦那様ただお1人ですのに...。」
「そうだな...幼い頃より妄想の激しい男だからな......コレは。
ハァー、面倒なことになったぞ?」
ハァー...この男はやっぱりアホなのだな。
このような個人の意思を無視する所業を...王族とて易々と出来ることでは無いだろうに。
『...私の親友の結婚式に参加したときに、美しい白の清廉なドレスを身に纏う君と出会ったね。
愛する君を一目見たときから、私は君の虜となってしまったのだ!!
私の立場上、君は先ずは愛妾という立場となってしまうが、私達の愛の結晶は直ぐにでも証明されるだろう。
愛し合う2人の子供なのだから、それはさぞ可愛らしいのだろうな...楽しみだ!!
私は、男の子は3人は欲しいな...女の子ならば、何人いても良いだろう。
君に似た娘なら、きっと美しいのだろうな。
あぁ、正妃である妻とは政略でしかないのだから、どうぞ安心して嫁いでくれて良いよ!!...』
うーん、何度読んでも理解し難いな...まさか、親友とは私のことを言っているのか?
1度も、友だなどと感じたことなど無いのだが?
国王陛下の頼みで、学園に通う間暫し側にてお支えしていたが...コイツの問題行動が多すぎて、陛下へと嘆願して卒業前に辞した程だ。
...それ以後、関わったことは夜会以外ではない筈で...それも、コイツの起こした騒ぎに巻き込まれただけなのだがな。
それに、この"美しい白い清廉なドレスを身に纏う君と出会った"というのは...どう妄想したんだ?
花嫁の身に纏う色のドレスを、花嫁以外に着る阿呆はどこにもいないだろうに......知能を捨ててしまっているようだな。
これでは、親友の花嫁に勝手な恋慕をしているだけだろう...親友というのは事実ではないが。
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