運命が分からないのなら
「どいつもこいつも運命、運命って反吐が出る。希少なんじゃないのかよ。俺フェロモン分からないって公言してるの理解してないんじゃ…?もし運命が目の前に現れても俺は本物か偽物かの判断がつかないからまじで運命って信用ならねぇ。はぁ、このままだと一生結婚なんてできねぇかもな…そんときは…俺をもらってくれる?」
毒を吐きながら、そう言って微笑む幼馴染の彼は誰よりも運命という言葉が嫌いだった。
だからといってはなんだが、「自分が運命の番だ」だなんて、幼馴染の俺からは言いたくなかった。
それが裏目に出るなんて、知らずに。
「好きです…!!僕たち運命ですよね!?こんなにいい匂いで、こんなに胸が苦しいのに…っ!!この苦しみがわからないなら、僕を否定する理由にはならないじゃないですか…!!」
仕事からの帰り道。押しかけてきたのは、幼馴染の会社の後輩で。運命という言葉を嫌悪していた幼馴染もどうやら満更ではないようで。絆されて、離れていく幼馴染。運命が分からないならそばにいれるだけでいいと思ってた。俺が唯一の運命だから、俺から離れていくことなんてないと思っていた。
もう今更「運命だ」なんて言えない。
目の前が真っ暗になった。
運命を捨てて生きていく主人公と
運命を知らずのうちに捨ててしまった幼馴染の
幸福と後悔の話
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