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Bonus track 3 ※
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一日の業務を終え、ディートハルトが戻ってきた。
「おいで。今日は一緒に寝よう」
就寝の時間になり、ベッドに入るよう促され、有紗はおずおずと尋ねた。
「あの、今日は本当にしないんですか……?」
「まだアリサは病み上がりでしょ? さすがにそんな女の子に無理させるほど酷い男じゃないつもりなんだけど」
むっとした口調で言い返された。
「でも同じ寝台では寝たいから、来て」
そう告げられ、腕を取られてベッドに引き込まれる。
有紗は向かい合って眠るのは好きではない。顔が近いと落ち着かないし、吐息が正面からかかるのが苦手だからだ。
それに配慮してか、くるんとひっくり返されると後ろ向きに抱き込まれた。
両方の手はお腹に回される。下腹部に当てられた手の平が暖かい。
性的な意図を一切感じさせない抱き方に、有紗は戸惑った。
(ホントにしないんだ……)
髪に顔が埋められている。
「おやすみ、アリサ」
囁きから数秒後、規則正しい寝息が聞こえてきた。
(え、早)
よっぽど疲れていたのだろうか。それとも寝付きがいいのか、穏やかな吐息に、有紗も眠りに誘われる。
ディートハルトに抱き込まれると爽やかな香りに包まれる。
浄化の魔術で体を清めた後も香るという事は、これは彼の体臭なのだろう。
(いい匂い)
相性のいい人からは、いい匂いがするのだと日本にいた時に何かの雑誌で読んだ事がある気がする。
たぶん大学生をターゲットにしたファッション雑誌だ。
たまにエッチな事や、彼氏の体の事の特集があったのを思い出す。
(相性、いいのかな……?)
ディートハルトとするのが気持ちいいのは本当だ。思い返すだけで顔が火を噴くほど熱く、恥ずかしくなるけれど。
すき。
逃げて。この世界の現実を知って。この人の事をいっぱい考えて、傍に戻ろうと思った。
妥協じゃないの?
そう自問自答する事はある。
顔が良くて地位もあって、有紗を求めてくれて、ちょっとしつこくてねちっこいなと思うけど、気持ちよくしてくれるから。
顔が良いって本当にすごいアドバンテージだ。ただしイケメンに限る、なんて言葉が日本にあったけど、本当にその通りだと思う。
有紗はお腹に回るディートハルトの手に手の平を重ねた。有紗のものよりずっと大きくて骨ばっている。この手が有紗を必要としてくれるというのがとても尊い。
いらなくなるまで、どうか傍に。
目を閉じるとぽろりと涙が零れた。
◆ ◆ ◆
「あの……き、今日は私がしてもいいですか……?」
全裸になって、さあ抱き合おう、とした所で、控えめにアリサから言われ、ディートハルトは目を瞬かせた。
「アリサがするって、何を?」
「その、ディート様のを、なめたり、とか……」
「は? なめる? アリサが!?」
舐める。口淫。男のものを、女の子が舐める行為。
そう言う行為が男女の閨にはあって、だけどアリサに求めようとは思っても見なかったディートハルトは呆気に取られた。
苛立ちのあまり一度だけ求めた事は頭からすっぽりと抜けている。あれはあまりにも腹が立って、やれるものならやってみろとばかりに口走っただけで、まさか本当にやるとは思ってなくて。
娼婦に昔やらせたら気絶されて、それ以来やらせた事なんかなかった行為で、ちょっとしてもらった時は滅茶苦茶気持ちよかった、だけど。
「いや、こんなもの舐めるとか汚いから……しなくていいよ」
そこは排泄の場所でもある。そんな不浄の場所を舐めさせるなんて、そんな事。
「浄化されてますよね? じゃあ汚くないです。それに私……昨日も一昨日もできなかったから……」
恥ずかしげに目を逸らしながら言われ、ディートハルトの顔に熱が集まった。
また心がふわふわする。何だろう。ふわふわとしてむずむずするこの感じ。
「……じゃあ」
ディートハルトは口を開くと、アリサの耳元に囁いた。
してみて。アリサのしたい様に。
許可を出すと、アリサの目線がこちらに戻ってきた。
◆ ◆ ◆
(きれいな顔)
顔立ちが整っているだけじゃない。細くて柔らかい金色の髪も、しみもそばかすもなくて、陶器の様になめらかに整った白い肌も彼の容貌を際立たせている。
瞳は宝石のように綺麗な深紅だし、髪の色よりも濃い金茶の睫毛は驚くほど長い。
クラウディアとそっくりな容貌なのに、決して女性的ではない精悍さも兼ね備えている。
「キスして。アリサから」
この人に求められるのは奇跡みたい。
吸い寄せられるように有紗は唇を寄せた。舌を入れる勇気は持てなくて、おままごとみたいに唇を引っ付けるだけの口付け。
「もう終わり?」
くす、とからかう様に笑われた。そんな顔も一々様になっているからこの人はずるい。
「終わりです」
恥ずかしいからできない。これからもっと恥ずかしい事をするんだけど。
指先を頬から首へ、胸板へと滑らせた。
ディートハルトの体は細身に見えるのに実は脱いだらすごい。余分な肉が一切無くて、でも筋肉の一つ一つがしっかりと付いているのがわかる。胸はぺったんこだ。胸板とはよくいったもので、本当に板みたいになっている。女の子とは違う男の人のからだ。
使い道のよくわからない乳首はすごく小さくて控えめで、そっと触れたら阻止された。
「ここは駄目」
「どうしてですか?」
「くすぐったいから。それに、男の胸なんて触っても楽しくないだろ」
そんな事はないけれど、嫌がっているのを押し切る事は有紗には出来ないので、指先を更に下に滑らせた。
当然のように腹筋は割れている。
ぼこぼことした感触に、小さなおへそ。
さらにその下に目をやると――隆起した男の象徴があった。
下生えをかき分けるようにそそり立つそれは、別の生き物みたいだけどそこまでグロテスクじゃない。
それはたぶん人種的なものだ。比較対象は、日本にいた時に興味本意で見たいやらしい動画である。
血管がぼこぼこ浮いて、いやらしい形をしているのに、妙な清潔感を感じるのはその色のせいだと思う。
先端からは、涙を流すみたいに透明な先走りがぷっくりと浮いていた。そっと指先で触れてみるとぬるぬるしている。
すくい取ってそっと舐めてみるとわずかに塩味だった。
(舐めちゃった)
いやらしい気持ちになったら分泌される、えっちな体液。
ちょん、ともう一度突っついてから、思い切って握ってみると、骨が入っているのかと思うぐらい硬かった。
保健体育の授業で、ここは海綿体で、興奮すると血が沢山流れ込んでこうなるって教わったけど、一体どれくらいの量の血液が流れ込んでこの硬さになっているのだろう。
硬くて太くて、更にドクドクと脈打つ不思議な器官。生殖器。
こんなに太くて大きなものが、自分の中に入るなんて信じられない。
有紗の女の子の部分が疼いた。何度も何度も膣内に受け入れてきたと思うと、いやらしさに凄く変な気持ちになる。
これは有紗の初めてを奪って、有紗の一番奥まで入ってきた唯一のもの。そして何度も何度も有紗の最奥をこじ開けて苛んで、拓いたもの。
今はこれを奥まで入れられると、それだけで気持ちよくて脳の中がとろとろに蕩けてしまう。
これで奥を小突かれるのが気持ちいいの。
この先っぽ。おちんちんの穴の所で抉られるのが好き。
握り込む手を左手に変えて、右手で先端に触れてみた。
ごつごつした幹の部分と違って、つるんとしてつやつやしていた。限界まで膨らんで涙を流して、早く欲を吐き出させろって言ってるみたい。
「そこ見るの、そんなに面白い?」
尋ねられて有紗ははっと我に返った。
「じ、自分にはついてないから……」
「ふうん、男がおっぱい好きなのと一緒なのかな」
じ、と胸を見られて有紗は思わず手で隠した。
「やっぱり無理だったらいいよ。こんなもの舐めるもんじゃないし」
「無理じゃないです」
一回は口にしているので抵抗感はそんなにない。浄化されているので綺麗なはずだ。
有紗は思い切ってそこに顔を近付けると、舌を出してぺろりと先端を舐めてみた。
やっぱりしょっぱい。先っぽからとろとろ流れてる透明な体液。
ちゅ、とキスしてみると、ディートハルトの腹筋がわずかに動いた。
そのまま舌を突き出して、ぺろぺろと舐めてみる。
嫌悪感はなかった。先っぽ以外に味はない。でも、ディートハルトの体臭に混じって青臭いような匂いがする。雄の匂いだ。そう思うと子宮がずくんと疼いた。
ぺろぺろと舐めていると、自分が犬になったような気がした。前に舐めた時にディートハルトにも言われたことだけど。
ううん、有紗は雌犬だ。この雄が欲しくて欲しくて仕方ない。
もし本当に犬だったら、今は必死に尻尾を振っている。
ご主人様、すき、すき、って。
「ん……」
ちゅ、ぴちゃ……
微かな水音が有紗の興奮も高めていく。
いやらしいのは男の人だけじゃない。女の子だって好きな人の前ならみだらになる。
いやらしくてはずかしいけど、これがすき。これがほしい。ありさのなかのおんなのこをみたして。
「よくこんなの舐めれるね……」
時にキスをまじえながらぺろぺろ舐めていたら、頭を優しく撫でられた。
「咥えてみて。無理ならいいから」
ディートハルトの顔はいいからって顔じゃない。
明らかに期待をはらんだ男の顔だ。
上目遣いで様子を伺いながらあむっと咥えたら、息を呑む気配が伝わってきた。
口もとを抑えて、欲情に潤んだ瞳でこちらの様子をじっと見ている。
色っぽくて凄くきれい。男の人なのに。
「歯、立てないように気をつけて、もっと奥まで咥えて……」
「ん……」
頑張って指示通りにしたら、喉の奥からくぐもった声が漏れた。
「気持ちいい……」
はあっという吐息と共に、蕩けた囁きが耳朶をくすぐった。
「舌、動かしてみて」
苦しい。顎が外れそう。でも凄く気持ちよさそうな声、顔。
もっと気持ちよくしてあげたい。その一心で、頑張って口腔内の肉塊に舌を這わせる。
幹の血管を辿るように。しょっぱい体液がとめどなく溢れる先端を抉るように。
至近距離に見える下生えがいやらしかった。
ああ、でも苦しい。
吸い付きながらゆっくりと肉塊を唇から出すと、完全に出し切る直前に、はあ、と頭上から吐息が聞こえた。
「それも気持ちい……頭、動かしてもいい……?」
苦しかったけど、おねだりされたら聞いてあげたくなる。
こくりと頷くと、頭を両手で優しく掴まれた。
ディートハルトの手の誘導に従って、頭を動かして唇で彼のものを扱く。
歯を立てないように頑張って口を開けて、舌も出来る範囲で動かして。
女の子の場所だけじゃなくて、こっちでもこの人を愛してあげたい。
「ごめん、苦しかったら止めて」
囁きと共に頭を掴む手が強くなった。そして、有紗の頭がディートハルトの主導で動かされた。
喉奥は突かないよう、苦しくなる限界直前で止めてくれる。ああ、でも速度が早くて、歯を立てないようにするので精一杯。
「……っ」
ディートハルトの喉からくぐもった声が漏れた。
頭を強制的に上に上げられ、肉棒が唇から飛び出す。
びゅる、と先端から白い液体が飛び出すのが見えた。続いて、熱い飛沫が有紗の顔から胸元にかけてぶちまけられる。
そこがひくひくと痙攣する度にびゅるびゅると精液が溢れ出てくるのが見えた。
いやらしい。これが射精。こんな風に、いつも一番奥に出されてたんだ。
「ごめん、我慢できなかった……」
はあ、はあ、
乱れた吐息と共に掠れた謝罪の声。
有紗は頬に手をやると、付着した精液を指先で拭った。
ぬるぬるしている。そして青臭いような変な匂い。
ぺろ、と舐めてみる。
「ちょ、有紗!」
焦った声がおかしい。
変な味。えぐいような苦いような。全く美味しくはないけど、とてもいやらしい雄の味がした。
「よく舐めれるね。不味くないの?」
「まずいです。でも平気です」
あなたのものだから。そう言外に込めて答えると、ディートハルトは複雑そうな表情をした。
「口に出しても良かったのに」
「いや……それはさすがに……」
「次は口で出していいですから」
「本気で言ってる?」
こくんと頷くと、信じられないものを見る目を向けられた。
「でも、凄いやらしいね。俺のでべとべと」
身を起こすと、胸元に飛び散ったものをぬるぬると塗り広げられた。
マーキングされてるみたいで凄く嬉しい。前は嫌で嫌でたまらなかった行為なのに。
体の中も外も、もっとマーキングして欲しい。私はこの人のものだから。
有紗のそんな気持ちをよそに、浄化の魔術が使われた。
せっかくかけてもらった精液が一瞬で消えてしまう。
「消えちゃった……」
「だって精液まみれだとちょっと触るの嫌だし」
「ディート様のなのに」
「だから嫌なんだろ」
「ディート様の精液ですよ?」
「精液は汚いだろ」
「汚いですか?」
「排泄物と一緒だ」
(そこまで?)
有紗は目を瞬かせた。
その頬にディートハルトの手が触れた。
唇が指でなぞられる。
「信じらんない。この口であんな……」
「そんなにですか?」
「うん……でもすごく嬉しかった」
指が唇の中に入ってきたので、有紗はぱくんと咥えると、優しく舌を這わせた。
「アリサ、やらしい」
ディートハルトの瞳が、再び溶けていく。
ちゅぷ、と唇の中の指が引き抜かれ、そのままゆっくりとベッドに押し倒された。
「次はこっちで……」
下肢に手が這わされる。
有紗ははい、と頷くと、ディートハルトの体に手を回した。
「おいで。今日は一緒に寝よう」
就寝の時間になり、ベッドに入るよう促され、有紗はおずおずと尋ねた。
「あの、今日は本当にしないんですか……?」
「まだアリサは病み上がりでしょ? さすがにそんな女の子に無理させるほど酷い男じゃないつもりなんだけど」
むっとした口調で言い返された。
「でも同じ寝台では寝たいから、来て」
そう告げられ、腕を取られてベッドに引き込まれる。
有紗は向かい合って眠るのは好きではない。顔が近いと落ち着かないし、吐息が正面からかかるのが苦手だからだ。
それに配慮してか、くるんとひっくり返されると後ろ向きに抱き込まれた。
両方の手はお腹に回される。下腹部に当てられた手の平が暖かい。
性的な意図を一切感じさせない抱き方に、有紗は戸惑った。
(ホントにしないんだ……)
髪に顔が埋められている。
「おやすみ、アリサ」
囁きから数秒後、規則正しい寝息が聞こえてきた。
(え、早)
よっぽど疲れていたのだろうか。それとも寝付きがいいのか、穏やかな吐息に、有紗も眠りに誘われる。
ディートハルトに抱き込まれると爽やかな香りに包まれる。
浄化の魔術で体を清めた後も香るという事は、これは彼の体臭なのだろう。
(いい匂い)
相性のいい人からは、いい匂いがするのだと日本にいた時に何かの雑誌で読んだ事がある気がする。
たぶん大学生をターゲットにしたファッション雑誌だ。
たまにエッチな事や、彼氏の体の事の特集があったのを思い出す。
(相性、いいのかな……?)
ディートハルトとするのが気持ちいいのは本当だ。思い返すだけで顔が火を噴くほど熱く、恥ずかしくなるけれど。
すき。
逃げて。この世界の現実を知って。この人の事をいっぱい考えて、傍に戻ろうと思った。
妥協じゃないの?
そう自問自答する事はある。
顔が良くて地位もあって、有紗を求めてくれて、ちょっとしつこくてねちっこいなと思うけど、気持ちよくしてくれるから。
顔が良いって本当にすごいアドバンテージだ。ただしイケメンに限る、なんて言葉が日本にあったけど、本当にその通りだと思う。
有紗はお腹に回るディートハルトの手に手の平を重ねた。有紗のものよりずっと大きくて骨ばっている。この手が有紗を必要としてくれるというのがとても尊い。
いらなくなるまで、どうか傍に。
目を閉じるとぽろりと涙が零れた。
◆ ◆ ◆
「あの……き、今日は私がしてもいいですか……?」
全裸になって、さあ抱き合おう、とした所で、控えめにアリサから言われ、ディートハルトは目を瞬かせた。
「アリサがするって、何を?」
「その、ディート様のを、なめたり、とか……」
「は? なめる? アリサが!?」
舐める。口淫。男のものを、女の子が舐める行為。
そう言う行為が男女の閨にはあって、だけどアリサに求めようとは思っても見なかったディートハルトは呆気に取られた。
苛立ちのあまり一度だけ求めた事は頭からすっぽりと抜けている。あれはあまりにも腹が立って、やれるものならやってみろとばかりに口走っただけで、まさか本当にやるとは思ってなくて。
娼婦に昔やらせたら気絶されて、それ以来やらせた事なんかなかった行為で、ちょっとしてもらった時は滅茶苦茶気持ちよかった、だけど。
「いや、こんなもの舐めるとか汚いから……しなくていいよ」
そこは排泄の場所でもある。そんな不浄の場所を舐めさせるなんて、そんな事。
「浄化されてますよね? じゃあ汚くないです。それに私……昨日も一昨日もできなかったから……」
恥ずかしげに目を逸らしながら言われ、ディートハルトの顔に熱が集まった。
また心がふわふわする。何だろう。ふわふわとしてむずむずするこの感じ。
「……じゃあ」
ディートハルトは口を開くと、アリサの耳元に囁いた。
してみて。アリサのしたい様に。
許可を出すと、アリサの目線がこちらに戻ってきた。
◆ ◆ ◆
(きれいな顔)
顔立ちが整っているだけじゃない。細くて柔らかい金色の髪も、しみもそばかすもなくて、陶器の様になめらかに整った白い肌も彼の容貌を際立たせている。
瞳は宝石のように綺麗な深紅だし、髪の色よりも濃い金茶の睫毛は驚くほど長い。
クラウディアとそっくりな容貌なのに、決して女性的ではない精悍さも兼ね備えている。
「キスして。アリサから」
この人に求められるのは奇跡みたい。
吸い寄せられるように有紗は唇を寄せた。舌を入れる勇気は持てなくて、おままごとみたいに唇を引っ付けるだけの口付け。
「もう終わり?」
くす、とからかう様に笑われた。そんな顔も一々様になっているからこの人はずるい。
「終わりです」
恥ずかしいからできない。これからもっと恥ずかしい事をするんだけど。
指先を頬から首へ、胸板へと滑らせた。
ディートハルトの体は細身に見えるのに実は脱いだらすごい。余分な肉が一切無くて、でも筋肉の一つ一つがしっかりと付いているのがわかる。胸はぺったんこだ。胸板とはよくいったもので、本当に板みたいになっている。女の子とは違う男の人のからだ。
使い道のよくわからない乳首はすごく小さくて控えめで、そっと触れたら阻止された。
「ここは駄目」
「どうしてですか?」
「くすぐったいから。それに、男の胸なんて触っても楽しくないだろ」
そんな事はないけれど、嫌がっているのを押し切る事は有紗には出来ないので、指先を更に下に滑らせた。
当然のように腹筋は割れている。
ぼこぼことした感触に、小さなおへそ。
さらにその下に目をやると――隆起した男の象徴があった。
下生えをかき分けるようにそそり立つそれは、別の生き物みたいだけどそこまでグロテスクじゃない。
それはたぶん人種的なものだ。比較対象は、日本にいた時に興味本意で見たいやらしい動画である。
血管がぼこぼこ浮いて、いやらしい形をしているのに、妙な清潔感を感じるのはその色のせいだと思う。
先端からは、涙を流すみたいに透明な先走りがぷっくりと浮いていた。そっと指先で触れてみるとぬるぬるしている。
すくい取ってそっと舐めてみるとわずかに塩味だった。
(舐めちゃった)
いやらしい気持ちになったら分泌される、えっちな体液。
ちょん、ともう一度突っついてから、思い切って握ってみると、骨が入っているのかと思うぐらい硬かった。
保健体育の授業で、ここは海綿体で、興奮すると血が沢山流れ込んでこうなるって教わったけど、一体どれくらいの量の血液が流れ込んでこの硬さになっているのだろう。
硬くて太くて、更にドクドクと脈打つ不思議な器官。生殖器。
こんなに太くて大きなものが、自分の中に入るなんて信じられない。
有紗の女の子の部分が疼いた。何度も何度も膣内に受け入れてきたと思うと、いやらしさに凄く変な気持ちになる。
これは有紗の初めてを奪って、有紗の一番奥まで入ってきた唯一のもの。そして何度も何度も有紗の最奥をこじ開けて苛んで、拓いたもの。
今はこれを奥まで入れられると、それだけで気持ちよくて脳の中がとろとろに蕩けてしまう。
これで奥を小突かれるのが気持ちいいの。
この先っぽ。おちんちんの穴の所で抉られるのが好き。
握り込む手を左手に変えて、右手で先端に触れてみた。
ごつごつした幹の部分と違って、つるんとしてつやつやしていた。限界まで膨らんで涙を流して、早く欲を吐き出させろって言ってるみたい。
「そこ見るの、そんなに面白い?」
尋ねられて有紗ははっと我に返った。
「じ、自分にはついてないから……」
「ふうん、男がおっぱい好きなのと一緒なのかな」
じ、と胸を見られて有紗は思わず手で隠した。
「やっぱり無理だったらいいよ。こんなもの舐めるもんじゃないし」
「無理じゃないです」
一回は口にしているので抵抗感はそんなにない。浄化されているので綺麗なはずだ。
有紗は思い切ってそこに顔を近付けると、舌を出してぺろりと先端を舐めてみた。
やっぱりしょっぱい。先っぽからとろとろ流れてる透明な体液。
ちゅ、とキスしてみると、ディートハルトの腹筋がわずかに動いた。
そのまま舌を突き出して、ぺろぺろと舐めてみる。
嫌悪感はなかった。先っぽ以外に味はない。でも、ディートハルトの体臭に混じって青臭いような匂いがする。雄の匂いだ。そう思うと子宮がずくんと疼いた。
ぺろぺろと舐めていると、自分が犬になったような気がした。前に舐めた時にディートハルトにも言われたことだけど。
ううん、有紗は雌犬だ。この雄が欲しくて欲しくて仕方ない。
もし本当に犬だったら、今は必死に尻尾を振っている。
ご主人様、すき、すき、って。
「ん……」
ちゅ、ぴちゃ……
微かな水音が有紗の興奮も高めていく。
いやらしいのは男の人だけじゃない。女の子だって好きな人の前ならみだらになる。
いやらしくてはずかしいけど、これがすき。これがほしい。ありさのなかのおんなのこをみたして。
「よくこんなの舐めれるね……」
時にキスをまじえながらぺろぺろ舐めていたら、頭を優しく撫でられた。
「咥えてみて。無理ならいいから」
ディートハルトの顔はいいからって顔じゃない。
明らかに期待をはらんだ男の顔だ。
上目遣いで様子を伺いながらあむっと咥えたら、息を呑む気配が伝わってきた。
口もとを抑えて、欲情に潤んだ瞳でこちらの様子をじっと見ている。
色っぽくて凄くきれい。男の人なのに。
「歯、立てないように気をつけて、もっと奥まで咥えて……」
「ん……」
頑張って指示通りにしたら、喉の奥からくぐもった声が漏れた。
「気持ちいい……」
はあっという吐息と共に、蕩けた囁きが耳朶をくすぐった。
「舌、動かしてみて」
苦しい。顎が外れそう。でも凄く気持ちよさそうな声、顔。
もっと気持ちよくしてあげたい。その一心で、頑張って口腔内の肉塊に舌を這わせる。
幹の血管を辿るように。しょっぱい体液がとめどなく溢れる先端を抉るように。
至近距離に見える下生えがいやらしかった。
ああ、でも苦しい。
吸い付きながらゆっくりと肉塊を唇から出すと、完全に出し切る直前に、はあ、と頭上から吐息が聞こえた。
「それも気持ちい……頭、動かしてもいい……?」
苦しかったけど、おねだりされたら聞いてあげたくなる。
こくりと頷くと、頭を両手で優しく掴まれた。
ディートハルトの手の誘導に従って、頭を動かして唇で彼のものを扱く。
歯を立てないように頑張って口を開けて、舌も出来る範囲で動かして。
女の子の場所だけじゃなくて、こっちでもこの人を愛してあげたい。
「ごめん、苦しかったら止めて」
囁きと共に頭を掴む手が強くなった。そして、有紗の頭がディートハルトの主導で動かされた。
喉奥は突かないよう、苦しくなる限界直前で止めてくれる。ああ、でも速度が早くて、歯を立てないようにするので精一杯。
「……っ」
ディートハルトの喉からくぐもった声が漏れた。
頭を強制的に上に上げられ、肉棒が唇から飛び出す。
びゅる、と先端から白い液体が飛び出すのが見えた。続いて、熱い飛沫が有紗の顔から胸元にかけてぶちまけられる。
そこがひくひくと痙攣する度にびゅるびゅると精液が溢れ出てくるのが見えた。
いやらしい。これが射精。こんな風に、いつも一番奥に出されてたんだ。
「ごめん、我慢できなかった……」
はあ、はあ、
乱れた吐息と共に掠れた謝罪の声。
有紗は頬に手をやると、付着した精液を指先で拭った。
ぬるぬるしている。そして青臭いような変な匂い。
ぺろ、と舐めてみる。
「ちょ、有紗!」
焦った声がおかしい。
変な味。えぐいような苦いような。全く美味しくはないけど、とてもいやらしい雄の味がした。
「よく舐めれるね。不味くないの?」
「まずいです。でも平気です」
あなたのものだから。そう言外に込めて答えると、ディートハルトは複雑そうな表情をした。
「口に出しても良かったのに」
「いや……それはさすがに……」
「次は口で出していいですから」
「本気で言ってる?」
こくんと頷くと、信じられないものを見る目を向けられた。
「でも、凄いやらしいね。俺のでべとべと」
身を起こすと、胸元に飛び散ったものをぬるぬると塗り広げられた。
マーキングされてるみたいで凄く嬉しい。前は嫌で嫌でたまらなかった行為なのに。
体の中も外も、もっとマーキングして欲しい。私はこの人のものだから。
有紗のそんな気持ちをよそに、浄化の魔術が使われた。
せっかくかけてもらった精液が一瞬で消えてしまう。
「消えちゃった……」
「だって精液まみれだとちょっと触るの嫌だし」
「ディート様のなのに」
「だから嫌なんだろ」
「ディート様の精液ですよ?」
「精液は汚いだろ」
「汚いですか?」
「排泄物と一緒だ」
(そこまで?)
有紗は目を瞬かせた。
その頬にディートハルトの手が触れた。
唇が指でなぞられる。
「信じらんない。この口であんな……」
「そんなにですか?」
「うん……でもすごく嬉しかった」
指が唇の中に入ってきたので、有紗はぱくんと咥えると、優しく舌を這わせた。
「アリサ、やらしい」
ディートハルトの瞳が、再び溶けていく。
ちゅぷ、と唇の中の指が引き抜かれ、そのままゆっくりとベッドに押し倒された。
「次はこっちで……」
下肢に手が這わされる。
有紗ははい、と頷くと、ディートハルトの体に手を回した。
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