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After Story
結局こうなる
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「神子様、ぜひ私とも一曲」
「構いませんよ」
お義兄さんとのダンスが終わったと思ったらいつのまにか近づいてきていたマスルール様に捕まった。嫌じゃないけど、普通にびっくりしました。
「ふふ、お久しぶりですね。最近はどのようにお過ごしで?」
「変わりませんよ。ダグとずっといちゃいちゃしてます」
「ふふ、仲がよろしいのは良いことです。ですが、あわよくば神子様とお近づきになりたいと考える者も少なくありませんので、どうかお気をつけくださいね」
まぁ一応神子だからねぇ……神子の力を利用してやろうって考える人も少なくないんだろうけど、正直バカなの? って感じだよ。僕はダグ以外になんて全く興味ないし、そもそも、その人のことが好きだからって過ちを良しとしてしまえば、僕は神子としての資格を剥奪されるんじゃないかな。神様だって私利私欲のために権力を振りかざすような人間を神子にしようとは思わないよ。だから神子を利用なんてできないと思うんだけど、誰もそう考えないのかな?
「ご忠告ありがとうございます。ダグやリディアによってそういう方達は僕に近づけもしないと思いますけど気をつけておきます」
「たしかに神子様の周りには番犬が随分と多いですからね」
「みんな過保護なんです」
「ふふ、こんなにも可愛らしい方にはつい過保護になってしまう気持ちは分かりますよ」
そこは分からなくていいかなぁ。これ以上過保護要員増えたら僕ちょっと困ります。疲れるから歩いたらダメとかそのうち言い出しそう。僕のなけなしの筋力がさらに落ちちゃうよ……僕これ以上非力になりたくないです。
「さぁ、そろそろ曲も終わりますね。愛しい方の元へお送りしましょう」
「ありがとうございます、楽しかったです」
「こちらこそ。とても良い時間を過ごせました。宰相に自慢しなくては」
「たまには宰相さんに優しくしてあげてくださいね」
「ふふ、わかりました。たまには労ってみましょう」
……なんだか労わるのもひねりにひねって宰相さんを困らせそうな予感がします。頑張って、宰相さん。
マスルール様にダグの元へ連れて行って貰い、カウチに戻って少し休憩。ダグにそっともたれかかりながら果実水を飲んでリラックス。流石に9回は疲れました。でも部屋に戻る前にダグともう一度踊りたいなぁ……
「足は大丈夫か?」
「大丈夫だよ。それに誰の足も踏まなかった!」
なんとか踏まずに踊れたんだよ! ダグとの練習の賜物です。ダグが少しずつクセを変えてくれたりして、誰と踊っても大丈夫なように訓練したんだよ……本当にダグの器用さは凄いと思う。出来ないのは料理と裁縫だって聞いたけど、なんで出来ないのか本当に不思議。ダグほど器用なら簡単に出来そうだけどなぁ。
「くく、よかったな。あとでもう一曲踊れるか?」
「うん! 僕もダグと踊りたかったの」
でもこっちからお誘いをかけるのはマナー違反だから言えずにいたのです。誘ってもらえてよかった!
「もう少し休憩してから踊ろう」
「うん、楽しみ」
みんなと踊るのも楽しかったけど、やっぱりダグと踊るのが1番好きだなぁ。ダグが好きだからかな? ダグとすることはなんだって楽しいし、ダグと何かしているときは幸せ。
「ダグ大好き」
「どうしたいきなり? 俺も愛しているぞ」
ん~!! 本当に大好き!! さらっと、でもしっかり本心だってわかる声音で返してくれるのが本当に嬉しいし幸せ。こういうところもダグのいいところだよね。
「そろそろ踊るか?」
「うん!」
「お手をどうぞ」
「ふふ、喜んで」
ダグはいつも手を差し出してくれるけれど、何回されてもいつもドキドキする。そっと手を乗せたらダグの目元がふって嬉しそうに緩むの。それを見ると僕も嬉しくてたまらなくなって思わず目一杯抱きつきたくなるけど今は舞踏会中だからと我慢……部屋に戻ったら速攻で抱きつきます。
「上手くなったな」
「ダグのおかげだよ。僕でもできる運動ができて嬉しいんだ」
「暖かくなったら乗馬もしてみよう」
「うぐ……」
馬の上から見れる景色は最高なんだけど降りた後の痛みがなぁ……あれは本当に辛い。
「くく、自分で乗れたら気持ちいいぞ?」
「頑張るけどぉ……ダグが教えてくれなきゃ嫌だよ」
「もちろん俺が教える。リディアやヴォイド様ならまだしも、ほかの男をユキに近付けたくないからな」
出たダグの独占欲。嬉し恥ずかしって感じです。
「さて、随分とダンスに慣れたようだから少し変わったことをするぞ」
「え? ……っわぁ!?」
いきなり両手で腰を両手で掴んで持ち上げられ、そのままぐるぐると数回転。それで終わるかと思えばヒョイっと横抱きに変えられてさらに回転。目を瞬いている僕に笑いかけるダグと少し遠く聞こえる盛り上がる声。
「もう、びっくりするじゃん」
「驚いた顔が見たかったんだ。このまま部屋へ戻ろう」
「うん」
体勢が安定するようにダグの首に手を回せばダグが歩き出した。騒つくホールから抜け出し、人気がなくなってもまだ僕はダグの腕の中。じーっとダグを見つめているとふわりとお酒の香りがした。
「ダグ、結構お酒飲んだ?」
「……臭いか?」
今ほんの一瞬ダグの動きが止まった。お酒は好きでもお酒くさいとは思われたくないのかな。
「ううん、大丈夫だよ。ただどれくらい飲んだのかなぁって」
「……ユキがダンスを踊っている間にシャンパンを3本とウイスキーを1本空けた」
「酔わないの?」
僕ダグが酔ってるところ見たことないなぁ……僕飲んだことないからわからないけど、結構な量なんじゃない? まぁでもこの世界の人ってみんなお酒いっぱい飲むみたいだしなぁ……普通なのかな?
「酔ったのは新人の頃くらいだな。団長に死ぬほど飲まされてな……」
「アルバスさんならやりそう。勝負とかにしそうな感じ」
「まさにそれだ。しかも負けたら罰ゲームがあるからタチが悪い……」
あ、もしかしてその時に兵舎のロビーにあるドリンクバーの全部を混ぜたやつ飲まされたのかな。アルバスさんに勝てる人っているのかなぁ……見てみたいや。
「飲むのはいいけど病気になんないでね?」
「気をつけよう。長生きしなければならないからな」
「そうだよ、一緒にお爺ちゃんになるんだから」
「そうだな」
のんびり日向ぼっこするのが夢です。綺麗な湖のほとりで隠居するのが1番の夢だけど叶うかなぁ……まぁダグといられるならどこでもいいや。
部屋へ着いたら2人でいちゃいちゃしながらお風呂に入り、お風呂から上がってもまだいちゃいちゃ。随分と伸びた僕の髪の毛もダグが楽しそうに香油をつけながら乾かしてくれました。
「ふふ、舞踏会の時の髪型も好きだけど、やっぱり僕はあんまりいじってない方が見慣れてて好きだな」
舞踏会の時はダグはオールバックにするの。もちろん物凄くかっこいいけど、舞踏会に来てる誰よりもかっこいいけど、やっぱりいつものダグの方が好き。触るとサラサラふわふわしてるのも高ポイントです。
「俺もあの髪型は落ち着かないな。ユキはどんな髪型でも可愛いが」
「僕ダグに可愛いって言われるの好き……」
甘くて優しい声音で言われるものだからきゅんきゅんするのです。ぎゅうぎゅうに詰まった愛しいって感情が伝わってきて……そんな声を聞くと僕はもう力が抜けてひたすらにダグにすり寄っちゃいます。
「その台詞は可愛すぎるだろう。俺の理性を試しているのか?」
「そ、そんなことしてないもん」
あわててばっと離れるも既に時遅し。ダグの目は捕食者の目になっておりました。もちろん僕に逃げる術などなく。ギラギラと目を光らせたダグにおいしくいただかれましたとさ。
……まぁ可愛いっていっぱい言ってくれて幸せすぎたので何も問題はありません! 僕は初めての舞踏会の時みたいにならなかったのに、とは思ったけどもね。
「構いませんよ」
お義兄さんとのダンスが終わったと思ったらいつのまにか近づいてきていたマスルール様に捕まった。嫌じゃないけど、普通にびっくりしました。
「ふふ、お久しぶりですね。最近はどのようにお過ごしで?」
「変わりませんよ。ダグとずっといちゃいちゃしてます」
「ふふ、仲がよろしいのは良いことです。ですが、あわよくば神子様とお近づきになりたいと考える者も少なくありませんので、どうかお気をつけくださいね」
まぁ一応神子だからねぇ……神子の力を利用してやろうって考える人も少なくないんだろうけど、正直バカなの? って感じだよ。僕はダグ以外になんて全く興味ないし、そもそも、その人のことが好きだからって過ちを良しとしてしまえば、僕は神子としての資格を剥奪されるんじゃないかな。神様だって私利私欲のために権力を振りかざすような人間を神子にしようとは思わないよ。だから神子を利用なんてできないと思うんだけど、誰もそう考えないのかな?
「ご忠告ありがとうございます。ダグやリディアによってそういう方達は僕に近づけもしないと思いますけど気をつけておきます」
「たしかに神子様の周りには番犬が随分と多いですからね」
「みんな過保護なんです」
「ふふ、こんなにも可愛らしい方にはつい過保護になってしまう気持ちは分かりますよ」
そこは分からなくていいかなぁ。これ以上過保護要員増えたら僕ちょっと困ります。疲れるから歩いたらダメとかそのうち言い出しそう。僕のなけなしの筋力がさらに落ちちゃうよ……僕これ以上非力になりたくないです。
「さぁ、そろそろ曲も終わりますね。愛しい方の元へお送りしましょう」
「ありがとうございます、楽しかったです」
「こちらこそ。とても良い時間を過ごせました。宰相に自慢しなくては」
「たまには宰相さんに優しくしてあげてくださいね」
「ふふ、わかりました。たまには労ってみましょう」
……なんだか労わるのもひねりにひねって宰相さんを困らせそうな予感がします。頑張って、宰相さん。
マスルール様にダグの元へ連れて行って貰い、カウチに戻って少し休憩。ダグにそっともたれかかりながら果実水を飲んでリラックス。流石に9回は疲れました。でも部屋に戻る前にダグともう一度踊りたいなぁ……
「足は大丈夫か?」
「大丈夫だよ。それに誰の足も踏まなかった!」
なんとか踏まずに踊れたんだよ! ダグとの練習の賜物です。ダグが少しずつクセを変えてくれたりして、誰と踊っても大丈夫なように訓練したんだよ……本当にダグの器用さは凄いと思う。出来ないのは料理と裁縫だって聞いたけど、なんで出来ないのか本当に不思議。ダグほど器用なら簡単に出来そうだけどなぁ。
「くく、よかったな。あとでもう一曲踊れるか?」
「うん! 僕もダグと踊りたかったの」
でもこっちからお誘いをかけるのはマナー違反だから言えずにいたのです。誘ってもらえてよかった!
「もう少し休憩してから踊ろう」
「うん、楽しみ」
みんなと踊るのも楽しかったけど、やっぱりダグと踊るのが1番好きだなぁ。ダグが好きだからかな? ダグとすることはなんだって楽しいし、ダグと何かしているときは幸せ。
「ダグ大好き」
「どうしたいきなり? 俺も愛しているぞ」
ん~!! 本当に大好き!! さらっと、でもしっかり本心だってわかる声音で返してくれるのが本当に嬉しいし幸せ。こういうところもダグのいいところだよね。
「そろそろ踊るか?」
「うん!」
「お手をどうぞ」
「ふふ、喜んで」
ダグはいつも手を差し出してくれるけれど、何回されてもいつもドキドキする。そっと手を乗せたらダグの目元がふって嬉しそうに緩むの。それを見ると僕も嬉しくてたまらなくなって思わず目一杯抱きつきたくなるけど今は舞踏会中だからと我慢……部屋に戻ったら速攻で抱きつきます。
「上手くなったな」
「ダグのおかげだよ。僕でもできる運動ができて嬉しいんだ」
「暖かくなったら乗馬もしてみよう」
「うぐ……」
馬の上から見れる景色は最高なんだけど降りた後の痛みがなぁ……あれは本当に辛い。
「くく、自分で乗れたら気持ちいいぞ?」
「頑張るけどぉ……ダグが教えてくれなきゃ嫌だよ」
「もちろん俺が教える。リディアやヴォイド様ならまだしも、ほかの男をユキに近付けたくないからな」
出たダグの独占欲。嬉し恥ずかしって感じです。
「さて、随分とダンスに慣れたようだから少し変わったことをするぞ」
「え? ……っわぁ!?」
いきなり両手で腰を両手で掴んで持ち上げられ、そのままぐるぐると数回転。それで終わるかと思えばヒョイっと横抱きに変えられてさらに回転。目を瞬いている僕に笑いかけるダグと少し遠く聞こえる盛り上がる声。
「もう、びっくりするじゃん」
「驚いた顔が見たかったんだ。このまま部屋へ戻ろう」
「うん」
体勢が安定するようにダグの首に手を回せばダグが歩き出した。騒つくホールから抜け出し、人気がなくなってもまだ僕はダグの腕の中。じーっとダグを見つめているとふわりとお酒の香りがした。
「ダグ、結構お酒飲んだ?」
「……臭いか?」
今ほんの一瞬ダグの動きが止まった。お酒は好きでもお酒くさいとは思われたくないのかな。
「ううん、大丈夫だよ。ただどれくらい飲んだのかなぁって」
「……ユキがダンスを踊っている間にシャンパンを3本とウイスキーを1本空けた」
「酔わないの?」
僕ダグが酔ってるところ見たことないなぁ……僕飲んだことないからわからないけど、結構な量なんじゃない? まぁでもこの世界の人ってみんなお酒いっぱい飲むみたいだしなぁ……普通なのかな?
「酔ったのは新人の頃くらいだな。団長に死ぬほど飲まされてな……」
「アルバスさんならやりそう。勝負とかにしそうな感じ」
「まさにそれだ。しかも負けたら罰ゲームがあるからタチが悪い……」
あ、もしかしてその時に兵舎のロビーにあるドリンクバーの全部を混ぜたやつ飲まされたのかな。アルバスさんに勝てる人っているのかなぁ……見てみたいや。
「飲むのはいいけど病気になんないでね?」
「気をつけよう。長生きしなければならないからな」
「そうだよ、一緒にお爺ちゃんになるんだから」
「そうだな」
のんびり日向ぼっこするのが夢です。綺麗な湖のほとりで隠居するのが1番の夢だけど叶うかなぁ……まぁダグといられるならどこでもいいや。
部屋へ着いたら2人でいちゃいちゃしながらお風呂に入り、お風呂から上がってもまだいちゃいちゃ。随分と伸びた僕の髪の毛もダグが楽しそうに香油をつけながら乾かしてくれました。
「ふふ、舞踏会の時の髪型も好きだけど、やっぱり僕はあんまりいじってない方が見慣れてて好きだな」
舞踏会の時はダグはオールバックにするの。もちろん物凄くかっこいいけど、舞踏会に来てる誰よりもかっこいいけど、やっぱりいつものダグの方が好き。触るとサラサラふわふわしてるのも高ポイントです。
「俺もあの髪型は落ち着かないな。ユキはどんな髪型でも可愛いが」
「僕ダグに可愛いって言われるの好き……」
甘くて優しい声音で言われるものだからきゅんきゅんするのです。ぎゅうぎゅうに詰まった愛しいって感情が伝わってきて……そんな声を聞くと僕はもう力が抜けてひたすらにダグにすり寄っちゃいます。
「その台詞は可愛すぎるだろう。俺の理性を試しているのか?」
「そ、そんなことしてないもん」
あわててばっと離れるも既に時遅し。ダグの目は捕食者の目になっておりました。もちろん僕に逃げる術などなく。ギラギラと目を光らせたダグにおいしくいただかれましたとさ。
……まぁ可愛いっていっぱい言ってくれて幸せすぎたので何も問題はありません! 僕は初めての舞踏会の時みたいにならなかったのに、とは思ったけどもね。
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