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第3章・残念なドラゴンニュートの女の子
114:終わらせる
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エッタさんたちがカルロと激しい戦闘をしている最中、俺は地面に血塗れの状態で倒れている。そんな俺の姿をオリヴァーは、完全に見下すようにしてみている。
そうオリヴァーとの第2ラウンドは、またも俺の完全敗北となってしまった。意識はあるものの全身血塗れで、体に力が入らず立ち上がる事ができない。
「どうだ? これで、お前も納得しただろ。お前と俺の戦いは完全に、決着がついたってわけだ」
「ちょっと待てよ………」
「ほぉ。これだけ打ちのめされて、まだ喋られるっていうのは感心するな………だが、もう立ち上がる力もないだろ。勝負は、これで終わりだ」
「はぁ、はぁ……どうして、お前は世界に名を広めた傭兵だというのに、ここまで堕ちて来た!!」
オリヴァーは俺に完勝して、自分の城に戻ろうとするがボコボコにやられた俺が呼び止める。これだけ痛めつけたのに、まだ喋られるのかと感心してくる。そんなのはどうなって良い、俺が負けたままではエッタさんたちへ顔向けできないし、わざわざ苦労して首都まできた意味がない。
しかし体は血液が減ってしまったからか、ピクリともしないので歩いて行くオリヴァーを止められない。そこで俺は、有名だった人間が悪人に落ちた理由を問いた。すると歩き始めたオリヴァーはピタッと動きを止めるのである。
「どうして、そんな事を お前に話さなきゃいけないんだ?」
「ただの子供の好奇心さ。ヒーローが悪に堕ちていくのには、昔から興味があるんもんでね」
「そうかそうか。まぁ冥土の土産に教えてやっても良いが、単純に お前が嫌いだから言わん………言う事があるとすれば、仲間を作って群れてるから勝てねぇんだよ」
「はぁ? 何回も聞かされてるけど、その理論は何だよ」
「それが お前の聞きたかった答えかも知れないな………もう会う事は無いだろうが、地獄で待ってろよ」
オリヴァーは過去に何かあったらしく、仲間とか人というのが嫌いみたいだ。俺としては理解できない事だが、きっとオリヴァーは心に傷を負っているのだろう。まぁ知ったこっちゃないが。
こんなところで俺は倒れているのに、オリヴァーは軽い足取りで城に帰っていくのを見る事しかできない屈辱がある。どうにか体を動かせないかと力を入れるが、体を起こすこと自体ができないのである。
オリヴァーは俺の方を1度も振り向く事なく城に戻っていく。すると城の大きな扉がギギギーッと開いて、扉の前で待っていた執事頭が深々と頭を下げる。
「お帰りなさいませ……」
「ベン。国中の傭兵団員を王都に集めろ………集める時に到着次第、王都内の冒険者たちを殲滅するように指示しろ」
「承知いたしました………」
オリヴァーは執事頭のベンに頼んで、共和傭兵団の団員たちを王都に集めるように指示をさせた。その団員たちを集めて、王都内の冒険者たちを殲滅させるように仕掛ける。
命令を出したオリヴァーは、王の間に入ると王座に座して目を瞑り最愛の女性であるスミカについて考える。そして数分後に王座から立ち上がって、地下の神殿のようなところに向かった。
前と変わらず全面の壁には、古代文字で書かれた何かの文章があったり、正面には女神を模した木彫りの像があった。その木彫りの像の前で、膝を着いて地面に頭を着け祈る。
* * *
エッタさんがカルロの意識を最大限に集中させた。それによってイローナちゃんがパワーを溜めて、さらにカルロの視界に回り込む時間が作れたのである。
そして完全にカルロの意表を突いたイローナちゃんの攻撃は、カルロの顔面を撃ち抜いて地面に倒した。これはエッタさんが、前衛で戦う前にイローナちゃんに耳打ちして伝えた事だ。
「上手くいって良かった。正直なところ、私が居なくてもエッタさんだけで勝てたんじゃない」
「そんな事ないわ。イローナちゃんが居なかったら、私だって危なかった」
イローナちゃんは自分が居なくても、エッタさんだけで勝てたんじゃないのかと言う。しかしエッタさんは少しの間に集中したからやられなかっただけで、イローナちゃんが居なかったら最終的にやられてしまっていたと言う。
何がどうあれカルロに勝利したのは事実であり、とりあえずは俺のところに向かおうとした。次の瞬間に、カルロは立ち上がってエッタさんの首を掴み持ち上げた。
「うぅ!! 気を失ったはずじゃ………」
「死んでも女には負けられねぇんだ」
「エッタさんを離して」
「もう俺の腹には致命傷の傷が2つあるんだ。死ぬのは時間の問題だ………それなら最後の力で道連れにしてやるよ!!」
気を失っていたはずなのだが、男としてのプライドで立ち上がると、せめてエッタさんを殺して道連れにしようとする。エッタさんを助ける為、イローナちゃんはカルロに攻撃をした。
しかし既に致命傷を受けているカルロは、ダメージを受けても死ぬのなら道連れにしてやると言う気持ちで痛みを感じない。エッタさんの顔色が、だんだんと悪くなって来ている。
イローナちゃんも、さすがにヤバいと思い始めていると、突然にカルロの首がスパンッと刎ねられたのである。
「えっ!? アラグ?」
「おっとぉ? 大変そうだったから助けてみたけど………大きなお世話だったかな?」
「いいえ、感謝します。助けてもらわなかったら、ちょっと危ないところだったわ………」
地面にエッタさんはドサッと落ちると、どうして助かったのかとカルロの居た後ろを見るとアラグが剣を振り下ろしていた。
ギリギリのところで第2師団と第3師団を倒して、手に余裕が出てきたところでアラグが助けに来ていた。それによってエッタさんは助かる事になったのである。
「そっちは良く、2師団も相手にして余裕があるわね」
「まぁこれでもSS級の冒険者ではあるからな。そっちこそ女だけで、第1師団長を良く倒したもんだなぁ」
「女とか関係ないわ。私たちは、ミナト様のファミリーとして強くなければいけないんです!!」
エッタさんはアラグの女なのに強いなという言葉に、目元をピクッとさせて苛立っていた。俺のファミリーに入ったからには、という心意気で居てくれるのは嬉しいもんだ。しかし危険に晒したくないと言うのも本音である。
そういう感じでエッタさんとアラグが話していると、フローレンが2人のところにやってくる。
「2人とも、王都にクロスロード連盟軍たちが到着しました」
「なんだって!? 到着したという事は、このままじゃあミナト様の邪魔されちゃう………」
「そうなったら、俺らも不本意だよなぁ………フローレン。どうする?」
「これは潮時かもしれませんね………私たちはクロスロード連盟軍との契約を破棄します」
王都グラスにクロスロード連盟軍のトラスト中将たちが到着したのである。フローレンたち的にも、ここまでクロスロード連盟軍には頭が挙げられない状態だった。しかし限界に達していたので、クロスロード連盟軍との関係を終わらせる決断をした。
「ようやくだな。あんな奴らに、自由な冒険者の俺たちが顎で使われてんのは限界だったからな………暴れるってんなら、それなりに気張らないとな」
アラグもクロスロード連盟軍との関係を終わらせる事に、納得して賛同する事にしたのである。
そうオリヴァーとの第2ラウンドは、またも俺の完全敗北となってしまった。意識はあるものの全身血塗れで、体に力が入らず立ち上がる事ができない。
「どうだ? これで、お前も納得しただろ。お前と俺の戦いは完全に、決着がついたってわけだ」
「ちょっと待てよ………」
「ほぉ。これだけ打ちのめされて、まだ喋られるっていうのは感心するな………だが、もう立ち上がる力もないだろ。勝負は、これで終わりだ」
「はぁ、はぁ……どうして、お前は世界に名を広めた傭兵だというのに、ここまで堕ちて来た!!」
オリヴァーは俺に完勝して、自分の城に戻ろうとするがボコボコにやられた俺が呼び止める。これだけ痛めつけたのに、まだ喋られるのかと感心してくる。そんなのはどうなって良い、俺が負けたままではエッタさんたちへ顔向けできないし、わざわざ苦労して首都まできた意味がない。
しかし体は血液が減ってしまったからか、ピクリともしないので歩いて行くオリヴァーを止められない。そこで俺は、有名だった人間が悪人に落ちた理由を問いた。すると歩き始めたオリヴァーはピタッと動きを止めるのである。
「どうして、そんな事を お前に話さなきゃいけないんだ?」
「ただの子供の好奇心さ。ヒーローが悪に堕ちていくのには、昔から興味があるんもんでね」
「そうかそうか。まぁ冥土の土産に教えてやっても良いが、単純に お前が嫌いだから言わん………言う事があるとすれば、仲間を作って群れてるから勝てねぇんだよ」
「はぁ? 何回も聞かされてるけど、その理論は何だよ」
「それが お前の聞きたかった答えかも知れないな………もう会う事は無いだろうが、地獄で待ってろよ」
オリヴァーは過去に何かあったらしく、仲間とか人というのが嫌いみたいだ。俺としては理解できない事だが、きっとオリヴァーは心に傷を負っているのだろう。まぁ知ったこっちゃないが。
こんなところで俺は倒れているのに、オリヴァーは軽い足取りで城に帰っていくのを見る事しかできない屈辱がある。どうにか体を動かせないかと力を入れるが、体を起こすこと自体ができないのである。
オリヴァーは俺の方を1度も振り向く事なく城に戻っていく。すると城の大きな扉がギギギーッと開いて、扉の前で待っていた執事頭が深々と頭を下げる。
「お帰りなさいませ……」
「ベン。国中の傭兵団員を王都に集めろ………集める時に到着次第、王都内の冒険者たちを殲滅するように指示しろ」
「承知いたしました………」
オリヴァーは執事頭のベンに頼んで、共和傭兵団の団員たちを王都に集めるように指示をさせた。その団員たちを集めて、王都内の冒険者たちを殲滅させるように仕掛ける。
命令を出したオリヴァーは、王の間に入ると王座に座して目を瞑り最愛の女性であるスミカについて考える。そして数分後に王座から立ち上がって、地下の神殿のようなところに向かった。
前と変わらず全面の壁には、古代文字で書かれた何かの文章があったり、正面には女神を模した木彫りの像があった。その木彫りの像の前で、膝を着いて地面に頭を着け祈る。
* * *
エッタさんがカルロの意識を最大限に集中させた。それによってイローナちゃんがパワーを溜めて、さらにカルロの視界に回り込む時間が作れたのである。
そして完全にカルロの意表を突いたイローナちゃんの攻撃は、カルロの顔面を撃ち抜いて地面に倒した。これはエッタさんが、前衛で戦う前にイローナちゃんに耳打ちして伝えた事だ。
「上手くいって良かった。正直なところ、私が居なくてもエッタさんだけで勝てたんじゃない」
「そんな事ないわ。イローナちゃんが居なかったら、私だって危なかった」
イローナちゃんは自分が居なくても、エッタさんだけで勝てたんじゃないのかと言う。しかしエッタさんは少しの間に集中したからやられなかっただけで、イローナちゃんが居なかったら最終的にやられてしまっていたと言う。
何がどうあれカルロに勝利したのは事実であり、とりあえずは俺のところに向かおうとした。次の瞬間に、カルロは立ち上がってエッタさんの首を掴み持ち上げた。
「うぅ!! 気を失ったはずじゃ………」
「死んでも女には負けられねぇんだ」
「エッタさんを離して」
「もう俺の腹には致命傷の傷が2つあるんだ。死ぬのは時間の問題だ………それなら最後の力で道連れにしてやるよ!!」
気を失っていたはずなのだが、男としてのプライドで立ち上がると、せめてエッタさんを殺して道連れにしようとする。エッタさんを助ける為、イローナちゃんはカルロに攻撃をした。
しかし既に致命傷を受けているカルロは、ダメージを受けても死ぬのなら道連れにしてやると言う気持ちで痛みを感じない。エッタさんの顔色が、だんだんと悪くなって来ている。
イローナちゃんも、さすがにヤバいと思い始めていると、突然にカルロの首がスパンッと刎ねられたのである。
「えっ!? アラグ?」
「おっとぉ? 大変そうだったから助けてみたけど………大きなお世話だったかな?」
「いいえ、感謝します。助けてもらわなかったら、ちょっと危ないところだったわ………」
地面にエッタさんはドサッと落ちると、どうして助かったのかとカルロの居た後ろを見るとアラグが剣を振り下ろしていた。
ギリギリのところで第2師団と第3師団を倒して、手に余裕が出てきたところでアラグが助けに来ていた。それによってエッタさんは助かる事になったのである。
「そっちは良く、2師団も相手にして余裕があるわね」
「まぁこれでもSS級の冒険者ではあるからな。そっちこそ女だけで、第1師団長を良く倒したもんだなぁ」
「女とか関係ないわ。私たちは、ミナト様のファミリーとして強くなければいけないんです!!」
エッタさんはアラグの女なのに強いなという言葉に、目元をピクッとさせて苛立っていた。俺のファミリーに入ったからには、という心意気で居てくれるのは嬉しいもんだ。しかし危険に晒したくないと言うのも本音である。
そういう感じでエッタさんとアラグが話していると、フローレンが2人のところにやってくる。
「2人とも、王都にクロスロード連盟軍たちが到着しました」
「なんだって!? 到着したという事は、このままじゃあミナト様の邪魔されちゃう………」
「そうなったら、俺らも不本意だよなぁ………フローレン。どうする?」
「これは潮時かもしれませんね………私たちはクロスロード連盟軍との契約を破棄します」
王都グラスにクロスロード連盟軍のトラスト中将たちが到着したのである。フローレンたち的にも、ここまでクロスロード連盟軍には頭が挙げられない状態だった。しかし限界に達していたので、クロスロード連盟軍との関係を終わらせる決断をした。
「ようやくだな。あんな奴らに、自由な冒険者の俺たちが顎で使われてんのは限界だったからな………暴れるってんなら、それなりに気張らないとな」
アラグもクロスロード連盟軍との関係を終わらせる事に、納得して賛同する事にしたのである。
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