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連載
番外『石の宴に獣は咆える』後編
しおりを挟む村の者たちに何も言わず、俺は東を目指した。
街の真ん中を通ると、見事に人族しか見当たらない。この大陸では当たり前の光景なのかもしれないけれど、俺にとってはとても奇異に映った。
街を抜け、道を東に進む。
東に進むごとに魔物は姿を見なくなり、通り過ぎる森は自然の食べ物も豊富で特に苦労もなく進むことが出来た。寝るのは木の枝の上や、土の段差の窪み。街には最低限しか寄らなかった。川や湖を見つけては身を洗い、着ていたものを洗い、水の袋に飲み水を補給し、また東に進む。
何日か歩き続けると、いきなり目の前がひらけ、一面が砂地の所が現れた。
これが、手紙に書かれていた北の若長老オランの守護する北の入り口の近くだ、とわかった。
そこからさらに東に向かえば、ジャルのいる入り口がある。
逸る足を抑えながら、俺は先に先に進んだ。
砂漠の地を過ぎ、ようやく緑の地に入る。
その途中にあった小さな街に寄り、足を休める。ジャルに会うからには、このすす汚れた身体を少しは身ぎれいにしていきたかった。
身体を洗えるところを街の人族に訊き、そこになけなしの硬貨を払う。部屋に通され、持ってきてもらった桶のお湯で身体を擦る。
ジャルと身体を重ねたのは、初めてジャルのすべてを受け入れた時が最後だった。
それ以来、慌ただしく日々は過ぎ、ただ寄り添うだけで身体を重ねることは出来なかった。
ジャルと袂を分かった今の状態でも、俺の番はジャルだけであり、他の人族に目を向けることなんてできそうになかった。
身体を拭き、その湯で着ていた服を洗い、風通りのいい窓際に干し、久しぶりのベッドに横になる。
もうすぐジャルに会えるのかと思うと、興奮してしまってなかなか睡魔はやってこなかった。
街の人から話を聞いて回り、最近誰かが今迄になかった洞窟で呪いを受けたという話を耳にすると、俺はすぐに詳しい話を聞かせてもらった。
この街から歩いて数時間の所、北西の森の奥に入って行くと岩肌の合間に洞窟があると。そこの最奥で獣人の石像があったから触れたら、呪われてしまったと。
そこだ、と俺はすぐにそこに向かった。
森の中を走り、木をかき分け、跳ね上がる心臓を抑え込みながら、必死で走った。
森の奥まで進むと、確かに街の人が話していたような洞窟があった。
中に入ると、奥に進む道に魔物がうろついているのが見えた。
手に持った剣をギュッと握りしめ、深呼吸をして、一歩足を踏み出す。
狼の形の魔物は、容赦なく襲ってきた。爪が掠め、時には腕に食いつかれながら最奥にたどり着くと、そこには重厚な石の細工の扉があった。
目いっぱい力を入れて、その扉を開くと、そこには……。
「ジャル……っ!」
愛しい人が、いた。
ジャルは、全身が石になっていた。でもあの表情は作りものの石像なんかとは違って、一緒にいた時の表情そのままの物だった。
これは、石像なんかじゃない。秘術を使ったジャルの今の姿だ。
確信した俺は、手を伸ばし、ジャルの足に縋りついた。
途端に全身に嫌な気が走る。
この地に来てからは疎遠になっていた、呪いの発動だった。
持ち物の中から解呪薬を取り出しそれを飲むと、足元から呪いが逃げていく。
でも、それでも、ジャルに手を伸ばさずにいられなくて、またも手を伸ばして呪いをこの身体に受けた。
ジャルがくれるものなら、呪いだって嬉しかった。
「ジャル……ジャルは、ここでこんな風になって、幸せ? 俺はあれだけ約束したのに、幸せっていう物がどういう物なのか、全然わからなくなったよ。ジャルがいないと幸せなんて来ないことが身に染みてわかったよ。ジャル。俺、ここでジャルと一緒にいる」
呪いを受けるのももう気にせず、ジャルに腕を伸ばし、台座の上に昇りジャルの腰に腕を回す。
俺が知っているジャルの気持ちのいい毛並みとは似ても似つかない硬質の石の手触りに、笑いすらこみ上げてくる。
今身体を蝕み始めた呪いは、身体の中をギュッと握られたような痛みを俺にもたらしてくる。
初めてかかる呪いだった。
「そういえば、ノイエさんが前に腹が引き裂かれたように痛くなる呪いに掛かったことがあったな……いきなり口から血を吐いたノイエさんにあの時はすごく焦ったけど、呪いが解けた瞬間懐に入れていた宝石を目の前で泣いていた奥さんに差し出してたっけ。その瞬間「馬鹿っ!」って奥さんに張り倒されてて……その、呪いかなあ。いてて……」
ギリギリとする痛みに、喉から何かがこみ上げてくる。
でも、ジャルがいるこの場所でこの命を落とせるのはとてつもなく甘美なことのように思えた。
ジャルはもう動かないし、話も出来ない。だったら、俺がここで魂になってジャルと共にこの場に留まるのもいいんじゃないかな。
痛みに耐えられなくなり、手がジャルから離れて、足が台座から滑り落ちる。地面に投げ出されても、そのせいで痛いのか呪いのせいで痛いのかすら判断できなくなっていた俺は、口から流れる液体をただ転がったまま見ていた。
「ったく、何やってんだよ! ふざけんなよフォリス!」
前によく聞いた声が耳元に飛び込んでくる。
と同時に口に何かが流し入れられ、背中から呪いが流れ落ちていくのがわかった。
そして、さらに口に傷を治す薬が流し込まれて、むせて半分くらい零しながらも飲み込むと、腹の中のギリギリした痛みがだんだんと引いてきた。
ずっとしていた耳鳴りが引いていき、掠れていた視界がクリアになる。
「……グリーン」
転がったまま見上げると、ジャルの石像の前には、器用に羽根をずらして腕組みしたグリーンが柳眉を釣り上げて立っていた。
彼は獣人の村に向かったはずだった。
錯覚かと思い慌てて起きると、幻だと思ったグリーンが手を差し出してくれた。羽根の付いた手が俺の手をしっかりと掴み、引き揚げてくれる。
その感触が、夢ではないと伝えてくれた。
目が合った瞬間、グリーンは再度嘴を開いた。
「この、馬鹿野郎! お前何ジャルを泣かせてるんだよ! 何ここで命を捨てようとしてるんだよ! こいつと約束してるんだろ! 幸せになるって!」
「でも俺、ジャルがいないと幸せなんてなれないから! ジャルのいない日々を暮らしてきて、わかったのはそれだけだよ! だって、ジャルがいないんだ。横を見ても、後ろを見ても、どこを探してもジャルが、笑ってくれないから。それだけで、俺が生きてる意味がない」
「意味ならある。何でここにジャルが立っているかわかるか?」
グリーンは羽根でぽん、とジャルの足を叩いた。
それは、人族を獣人の村に近付けないため。ジャルは東の若長老だから、獣人の村にはいかずに、ここに立っているのではないか。
そう言うと、グリーンは首を振った。
「若長老だろうと、行きたいやつは村に移住してよかったんだ。ただ、こいつは、どうせ一緒にいられないなら、少しでもフォリスの近くにいたい、といって自ら盾役を買って出たんだよ。それにこいつは生きてるし意志もあるし、今ずっとフォリスを見てるぞ」
「え、でも……」
こいつの心が聞こえるやつが、こいつが泣き喚きながらフォリスを助けてくれって言い続けてるって教えてくれてな。仕方なく俺が来たんだよ、とグリーンは溜め息を吐いた。
「どうせ放っておくとまたここで同じことやらかすんだろフォリスは。だから、特別にお前にだけ教えてやるよ」
そう言うと、グリーンはどこかからパッと酒の瓶を取り出した。
そういえばグリーンはこういう小手先の技がとても得意だった、と思い出す。
何をするのかわからずただグリーンの動きを見ていると、グリーンはいきなりジャルの頭から酒を流し始めた。
驚いて言葉もなくただ目を見開いてみていると、酒の掛かったところが石の色から少しずつ俺の記憶のジャルに近い色に変色していき。
そのキリリとした口から長い舌が伸びて、口の周りをぺろりと舐めた。
「……!」
光のなかった目の中に光が宿り、俺の心を射抜く。
満遍なく身体に酒を掛けられた石像は、すでに石像なんかではなく、濡れた愛しいジャルに変化していた。
その腕が、飛び込んで欲しいとばかりに開く。
俺は迷わずその腕に飛び込んだ。
抱き着いたジャルの感触は、さっきまでの硬い物ではなく、風呂上りに俺に拭いてくれと甘えてくるジャルの濡れそぼった感触そのままで。
ギュッと抱きしめられたその腕は、俺を愛してくれた力強く弾力のある腕そのままだった。
「ばか、フォリス……! 何でこんなところまで来ちまうんだよ……!」
「だって、ジャルに会いたかったから」
「俺に触って呪われて、何死のうとしてるんだよ! ふざけんなよ! 幸せになるって……! 約束したじゃねえか!」
とても大きな身体で、とても強く優しいジャルは、やっぱりちょっと涙もろくて。
今日もまた、盛大に涙をこぼしていた。
「ダメだった。約束、破っちゃった。だって、ここに穴があいちゃったみたいでさ、色んな感情がその穴からだんだんとなくなっていっちゃって。何も感じなくて、何も心に響かなくて。それでどうやって幸せを感じればいいのか、わからなくなったんだ」
もう嘘はつけなかった。
気丈な振りをするような余裕は、すでに日々の摩耗した生活の中ですっかりなくなっていた。
求めて止まなかった腕の中で、小さく笑うと、ぐす、と鼻をすする音がした。
「ごめんなフォリス。俺がお前に惚れたばっかりにお前の運命を捻じ曲げちまった」
「そんなことない。俺はジャルの番になれて、とてもとても幸せだった。だからジャル、俺またここに来てもいい? この近くで暮らして、ジャルに会いに来ていい?」
「フォリス……」
ダメだと言われても、俺はきっと自分が来れる限りここに来る確信があった。
ジャルもそれはわかっているようで、俺の髪を大きな手のひらでゆっくりと撫でて、「ああ……」と返事してくれた。
「だがな、石の俺に触るのは絶対にダメだ。酒だ。酒を掛ければそこに掛かった術が酒に濡れてる時だけ解呪されるから、酒を掛けてから触ってくれ」
「うん、そうする。お酒だね。ジャル、お酒大好きだもんね。沢山持ってくる。だから、来るなって言わないで」
「言わねえ。絶対に言えねえ。俺もお前に会いたかった。二度とこういうふうに抱きしめられるとは思ってもみなかった。近くにいるだけで満足だって自分をだましてたけど、ダメだ。会いてえ。抱きてえ。フォリスの笑顔が見てえ」
「うん俺も同じ」
ジャルの身体に抱き着いていた手を後ろに回して、そっと尻尾の付け根に触る。
すると、焦ったような声が上から降ってきた。
「馬鹿……! 触るんじゃねえよ! 酒が渇くとその格好のまま石になっちまうんだからよ、ここが勃起したまま石になったらどうすりゃいいんだよ……!」
真っ赤になりながら慌てて両手で俺の肩を掴んで引きはがすジャルに、俺はとうとう久しぶりの笑い声を上げていた。
それから俺は、近くの集落に住み着いた。
小さな小さな集落で、老人しかいないところだったせいか、俺がここに住まわせて欲しいというと集落の人たちは俺を歓迎してくれた。
時折洞窟の方を見てはおびえる集落の人の姿を目にするのは少しだけ寂しいけれど、俺は安定して暮らせるようになった。
そこで力仕事と物書きの仕事をしては、酒を大量に買い、ジャルの元に通い、二人で宴を開く。
たまに獣人の村からグリーンもやってきては混ざって大騒ぎして大笑いして帰っていく。
手土産だと言って、ジャルの首にアクセサリを掛けたのは、グリーンだった。まだジャルが石の時に俺にそれを見せて、サッと首にぶら下げる。その文面にほくそえみながら、ジャルを酒で起こす。
その時間が愛おしかった。未だに、ジャルを全身で愛していた。
だから、それだけで俺の胸は満たされていた。
しかし、人族の俺にとって時とは無情なもので、老いていく俺は、段々と洞窟の魔物をいなすことも難しくなっていた。
水鏡を覗き込んでも、そこに映るのは、ただの初老の男の顔だった。
それでもジャルは毎回のように俺の身体を抱きしめてくれた。愛してる、とささやいてくれた。
俺も、愛している。だから、もう、会いに行くのはこれで最後にしよう。
愛用の剣を腰に差し、洞窟に向かう。
村で優しく俺を迎え入れてくれた老人たちはみなすでに他界し、運命の輪廻の輪を巡っている。集落は一人また一人、と人が減り、とうとう俺だけになった。
親しくなった近くの街の人がこっちに越してこいと誘ってくれたけれど、俺はそれを断り、ジャルの元に足を向けた。
もう、これで最後。
そう心に決めて。
洞窟の入り口に足を踏み入れると、昔と変わらない姿のグリーンが立っていた。
「グリーン……」
「そろそろ隠居の歳だろ。俺がジャルの所まで連れてってやるよ」
俺の前に立ったグリーンは、軽く魔物を倒しながら、俺をジャルの所まで先導してくれた。
相変わらずジャルは格好良く、人好きのする顔で入り口を見ていた。
持参した酒を下ろし、ふう、と息を吐く。
グリーンに頼んでジャルの頭から酒を掛けて貰うと、俺は早速杯を用意した。
三人で昔話に花を咲かせ、いつものように笑って別れを告げる。
ジャルが石像に戻ると、グリーンは俺を洞窟の入り口まで送ってくれた。
「なあ、フォリス、お前、もうここには来ないつもりだろ」
「そ、んなこと……」
言葉を詰まらせた俺に溜め息を吐き、グリーンは俺を上から下まで眺めた。
「ジャルは気付いてるぞ。お前の腹に病気があること」
その言葉に、ハッとして腹を抑える。
言われた通り、俺の身体は最近思うように動かなくなっていた。その原因が何かの病気だということもわかっていた。
「それを治そうにもフォリスの腕じゃ少し症状はよくなっても治る薬は作れねえだろ。俺が作った薬をやるよ。飲めば一発で治るぜ」
どこかからパッと瓶を取り出したグリーンが、それを差し出すのを手で遮ると、俺はゆっくりと首を振った。
「いらないよ。俺は、これでいいんだ。今まで幸せだった。グリーンもありがとう。君がいなかったら、俺はきっとあの時ジャルの目の前で命を捨てていたと思う。そして、ジャルを悲しませていたと思う。ただ、俺ももうこんな身体だから。きっとこの病が運命なら、それに逆らわずに流れに乗ることにする」
「フォリス……」
立ち尽くすグリーンに背を向けて、俺は一人自分だけの集落に帰っていった。
そして、ペンを手に取ると、何も書かれていない、今まで少しずつ少しずつ貯めていた紙を取り出した。
物書きとして、書きたいことがあるんだ。
それはとても大切なことで、大事なことで。
だからどうか後世に伝えて欲しい。
こんな素敵で幸せなところがあったんだよ。
こんなに素敵な獣がいたんだよ。
沢山あった紙がすべて文字で埋め尽くされ、ペンのインクも尽きる。
まとめた紙を布で包み、魔法の文字を描いて封をする。
『人族と獣人が
互いに寄り添って
生きることの出来る世界が
来ることを祈って
私はこの書をしたためました
願わくは
愛しいあの人が
今も笑って居られるよう
私の存在を忘れ
心から消し去り
幸せになってほしい
それだけが
私のひとつの心残り』
その日、小さな集落の最後の命は地に帰り、呪いの洞窟と呼ばれ人々から恐れられた洞窟の中からは、ずっと獣の咆哮のような泣き声が聞こえ続けたという。
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