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021『檻』✲獣姦/擬人化
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さも当然のように、かなり慣れた手付きで、レオに押し倒されたシオンの背中を真っ白なシーツが受けとめる。
漆黒の獅子の姿から、褐色肌の青年に変身したレオは何か言おうとしているシオンの口に、自らを重ねた。
「⋯⋯⋯⋯怖い」
当たり前に覆い被さるレオの首に両腕を回したシオンがぽつりぽつり声を漏らす。
「契約印、ただの傷なのに」
シオンのうなじに在る、レオの牙が深々と刻まれた契約印。誰も彼もが抗えない、絶対的な証。
「ただの、レオが噛んだ痕なのに」
国の政治を担う大臣はおろか、建国からその血筋を守ってきた王家でさえも、この証に逆らえる者は居ない。
「ただの⋯⋯⋯⋯」
強く抱きしめて、無意識のうちにシオンの檻をつくったレオがその耳元で、低く囁く。
「誰が何を言おうとも、お前は俺の主だ、シオン」
もう一度、口付けをしたレオが目を潤ませたシオンに告げる。
「手離さない、どこにも行くな」
シオンの左薬指に嵌っていた、ヒイラギとの結婚指輪を抜き取ったレオはそのまま無造作に投げ捨て、上書きするように歯型をつけた。
「未来永劫、俺の傍らに居ろ」
あまりにも横暴なプロポーズ⋯⋯という名の、監禁宣言。だが、シオンの応えは『はい』だ。
「ヘラクレスに犯された時、思ったんだ『レオが良い、レオじゃなきゃ嫌だ』って」
予想外の発言に驚いたはずみで、青年の姿から獅子の姿に戻ったレオのたてがみを撫でるシオンの手が、ほんの少しだけ震えている。
「牙が痛いとか、権力が怖いとか、いろいろ思う事はあるけどさ」
漆黒のたてがみに頬を擦り寄せたシオンの声は弱々しいのに、しっかりと想いが込められていた。
「痛くても、怖くても、レオが⋯⋯レオから受けたモノなら、大丈夫」
全部、受け入れる。
だから⋯⋯。
「もっと深く奥まで、侵て」
✲
「ん⋯⋯っ」
文字通り、レオに最奥まで侵されたシオンがうつ伏せの体勢で、真っ白だったシーツにしがみつく。
「ぁ、んう⋯⋯っあ⋯⋯」
自室の床に、無造作に放り投げられた、結婚指輪をやっと視認したシオンが「あぁ⋯⋯」と何も嵌っていない自身の左薬指に目を向ける。
人間の姿をしたレオに付けられた歯型をまじまじ観察しているシオンを、レオは笑った。
「なんだ?」
シオンの最奥まで来たのに動かないレオが、うなじに牙を立てる。
「いや⋯⋯」
計り知れない寵愛と独占欲が混ざり合った痛みを受け入れていたシオンが、レオの漆黒のたてがみをポンポンたたく。
「ちゃんと人間の歯型だなーって」
シオンのうなじから牙を離したレオがネコ科動物特有のザラついた舌で、わずかに滲み出た血液を舐めとる。
「当たり前だろう、親父殿が創った身体だぞ」
そこまで言って、レオは気付く。
「獅子の俺と、人間の俺、シオンはどちらに侵される方が良い?」
我ながら意地悪な問いをしたな、と珍しく反省じみた事を考えるレオに対して、シオンの声はとにかく甘かった。
「良いよ」
ぐしゃぐしゃのシーツに顔を伏したままの、シオンの淡い紫色の髪を月明かりが射抜く。
「レオが相手なら、どんなレオでも良いよ」
再び人間の姿に戻った、レオがモノを挿入したままぐるんっとシオンの身体を仰向けにした。
「ひぁっ!?」
突然変わった姿と体位にあられもない声をあげたシオンは瞬時に察する。
⋯⋯⋯⋯あ、喰われる。
「一体どこまで、俺を捉えたら気が済むんだ」
人間の姿をした獣がシオンを襲う。
「っあ!? あ、あぁっん、んぁっ!」
挿入たまま止めていた時間を取り戻すような、性交というよりは交尾に近い動きが、シオンを追い詰めていく。
最奥まで侵されたかと思えば、弱いトコロを抉りながら、また奥深くまで突き上げられる。
「急に、どうしっ、ぁあ、ったの! んぁあぁっ!? ~~~~~~~~ッ!!」
度重なる絶頂に呼吸が追いついていない、ひっきりなしに啼くシオンの口を塞いで、呼吸を送り込んだレオの、鮮血色の目が【淡紫の花】を映す。
「元より手放すつもりなど、無い。だが、言わせろ」
まったく力が入らないシオンの髪を愛でる、レオの声音が低い。
「片時でも、俺から離れられると思うな」
逃げられない事なんて、最初から知ってた。拒否権が無い事も、最初からわかってる。
「シオン」
ずっと逃げたい、抗いたい、って思ってたけど、今は違う。
「愛しい、俺の【淡紫の花】」
今は、ただただレオの寵愛みに溺れていたい⋯⋯。
「レオ」
深く、深く、もっと最奥まで、もっと満たして。
「もっと侵して」
漆黒の獅子の姿から、褐色肌の青年に変身したレオは何か言おうとしているシオンの口に、自らを重ねた。
「⋯⋯⋯⋯怖い」
当たり前に覆い被さるレオの首に両腕を回したシオンがぽつりぽつり声を漏らす。
「契約印、ただの傷なのに」
シオンのうなじに在る、レオの牙が深々と刻まれた契約印。誰も彼もが抗えない、絶対的な証。
「ただの、レオが噛んだ痕なのに」
国の政治を担う大臣はおろか、建国からその血筋を守ってきた王家でさえも、この証に逆らえる者は居ない。
「ただの⋯⋯⋯⋯」
強く抱きしめて、無意識のうちにシオンの檻をつくったレオがその耳元で、低く囁く。
「誰が何を言おうとも、お前は俺の主だ、シオン」
もう一度、口付けをしたレオが目を潤ませたシオンに告げる。
「手離さない、どこにも行くな」
シオンの左薬指に嵌っていた、ヒイラギとの結婚指輪を抜き取ったレオはそのまま無造作に投げ捨て、上書きするように歯型をつけた。
「未来永劫、俺の傍らに居ろ」
あまりにも横暴なプロポーズ⋯⋯という名の、監禁宣言。だが、シオンの応えは『はい』だ。
「ヘラクレスに犯された時、思ったんだ『レオが良い、レオじゃなきゃ嫌だ』って」
予想外の発言に驚いたはずみで、青年の姿から獅子の姿に戻ったレオのたてがみを撫でるシオンの手が、ほんの少しだけ震えている。
「牙が痛いとか、権力が怖いとか、いろいろ思う事はあるけどさ」
漆黒のたてがみに頬を擦り寄せたシオンの声は弱々しいのに、しっかりと想いが込められていた。
「痛くても、怖くても、レオが⋯⋯レオから受けたモノなら、大丈夫」
全部、受け入れる。
だから⋯⋯。
「もっと深く奥まで、侵て」
✲
「ん⋯⋯っ」
文字通り、レオに最奥まで侵されたシオンがうつ伏せの体勢で、真っ白だったシーツにしがみつく。
「ぁ、んう⋯⋯っあ⋯⋯」
自室の床に、無造作に放り投げられた、結婚指輪をやっと視認したシオンが「あぁ⋯⋯」と何も嵌っていない自身の左薬指に目を向ける。
人間の姿をしたレオに付けられた歯型をまじまじ観察しているシオンを、レオは笑った。
「なんだ?」
シオンの最奥まで来たのに動かないレオが、うなじに牙を立てる。
「いや⋯⋯」
計り知れない寵愛と独占欲が混ざり合った痛みを受け入れていたシオンが、レオの漆黒のたてがみをポンポンたたく。
「ちゃんと人間の歯型だなーって」
シオンのうなじから牙を離したレオがネコ科動物特有のザラついた舌で、わずかに滲み出た血液を舐めとる。
「当たり前だろう、親父殿が創った身体だぞ」
そこまで言って、レオは気付く。
「獅子の俺と、人間の俺、シオンはどちらに侵される方が良い?」
我ながら意地悪な問いをしたな、と珍しく反省じみた事を考えるレオに対して、シオンの声はとにかく甘かった。
「良いよ」
ぐしゃぐしゃのシーツに顔を伏したままの、シオンの淡い紫色の髪を月明かりが射抜く。
「レオが相手なら、どんなレオでも良いよ」
再び人間の姿に戻った、レオがモノを挿入したままぐるんっとシオンの身体を仰向けにした。
「ひぁっ!?」
突然変わった姿と体位にあられもない声をあげたシオンは瞬時に察する。
⋯⋯⋯⋯あ、喰われる。
「一体どこまで、俺を捉えたら気が済むんだ」
人間の姿をした獣がシオンを襲う。
「っあ!? あ、あぁっん、んぁっ!」
挿入たまま止めていた時間を取り戻すような、性交というよりは交尾に近い動きが、シオンを追い詰めていく。
最奥まで侵されたかと思えば、弱いトコロを抉りながら、また奥深くまで突き上げられる。
「急に、どうしっ、ぁあ、ったの! んぁあぁっ!? ~~~~~~~~ッ!!」
度重なる絶頂に呼吸が追いついていない、ひっきりなしに啼くシオンの口を塞いで、呼吸を送り込んだレオの、鮮血色の目が【淡紫の花】を映す。
「元より手放すつもりなど、無い。だが、言わせろ」
まったく力が入らないシオンの髪を愛でる、レオの声音が低い。
「片時でも、俺から離れられると思うな」
逃げられない事なんて、最初から知ってた。拒否権が無い事も、最初からわかってる。
「シオン」
ずっと逃げたい、抗いたい、って思ってたけど、今は違う。
「愛しい、俺の【淡紫の花】」
今は、ただただレオの寵愛みに溺れていたい⋯⋯。
「レオ」
深く、深く、もっと最奥まで、もっと満たして。
「もっと侵して」
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