大好きな母と縁を切りました。

むう子

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第二章

28話

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私はお母様にジェノシーに行ったとは言えず、アルフォードの書庫へ向かい、たまたまルークに出会ったことにし、ルークから聞いた話だと説明することにした。

「まあ、ルークってあのエイダン侯爵のご子息にあっていたの!?あなたはまだ婚約者のいる身なのよ?」

「たまたま会っただけよ。約束したわけでもなんでもないわ」

「それでも男の人と2人で話すなんて変な噂でも流れたら……」

「レアロナ。心配しすぎだよ。たまたま会っただけだとナーシャが言ってるんだ。少し黙って話を聞こう」

その貧困の原因はぶどう園の木や畑が枯れそうになっていること。そして工場をどこかの公爵に騙されて売り払うことになったこと、そのせいで平民達はその日暮らしをせざるを得ない状況を説明した。

「そんなことに……。それなら私も一緒にジェノシーの人々を助けに行こう。」


「ありがとうございますお義父様。お義父様にはジェノシーの栄養失調の人たちを助けて欲しいの……でもお金にもならないこんなこと頼んでもいいのかなって」   

「お金なんて関係ないよ。ナーシャの大事な故郷がそんなことになっているなら助けるのは当たり前だろう。
それにしても私も忙しくてジェノシーのワイン工場をドルーラ公爵が買収することになったと少し噂で聞いてはいたがまさかそんな畑やぶどう園がダメになっていたとは……。それにラクロアス侯爵が闇カジノで負けたからだとは……そこまでは私も知らなかったな。」

ドルーラ公爵が主犯……。
私の婚約も関係しているの?
もしかして私のせいでジェノシーが……?そんなことって…

「……」

「ドルーラ公爵が……?」

「ああ。首都にバーを作るとかなんとか。だがそれが悪事を働いて奪ったとなれば皇帝陛下も黙ってはいないだろう……。だけど今皇帝陛下が出てきてもすぐにジェノシーの平民達が助かるわけじゃあない……。ラクロアス侯爵もカジノで遊んでしまっているからね。ナーシャこの話はとりあえず外部で話さないようにしなさい。」

「はい。お父様……。」
 
あんなに一緒に食事しなさいと言っていたお母様が黙り込んだ。

「レアロナ。君はラクロアス侯爵から何も聞いていないのかい」

「……ええ、何も。そんなことになっているなんて知らなかったわ。知ってたらきっとあなたに相談してたわ」

「そうか。そうだね。ラクロアス侯爵にあとで連絡してあげなさい。離れてるとはいえナーシャの大事な親戚だろう」

……お母様の様子がおかしい。
さっきまで勢いがついてたのに静かに話を聞こうと言われたとはいえあまりにも静かすぎる。なんだか叔父様のこともジェノシーのこともすこし知ってるような雰囲気だった。

「お母様、私も久しぶりに叔父様と話したいの。一緒にはなしてもいい?」

「ダメよ!!……ほらあなたがこれ以上巻き込まれるのは見たくないのよ」

「……わかったわ。」

やっぱりお母様、ジェノシーや叔父様のことで何か知ってるんだわ。でもお母様がそんなに隠したいことなんて……一体なにを知ってるの?

ほんとは部屋でソランとティエラを待ちたかったけど
公爵のことやお母さまが絡んでることも分かったし一緒に食事をしてよかったのかもしれない。

それにしてもソランとティエラ……いつ戻ってくるかしら……

私は待ってる間もリーツを高めようと目を閉じた。

……さっきよりティエラの光が弱まってる。
どういうことなの?さっきソランを連れてくるって……

お願いもっともっと溢れて。陣を書きながら私は必死に願った。リーツは透明な箱から溢れてそうになり透明箱も高くなっていった。

《ソラン?ティエラ?溢れてるリーツが分かる?いくら使っても大丈夫よ!!》

っっふう……
ただ陣を使うと体力は一気に減るようで
半日運動をしたような体力の消耗にどっと疲れるみたい。

"ありがとう。もう何も気にする必要ないくらい力を使えそうね。私たちなら大丈夫だから。1度精霊界に戻るわ"

《そっちは大丈夫なの……?》


また返事が無くなる……
何の説明も無いのも心配で帰ってくるまでは寝ない!!
と意気込み必死に呪術関係や魔法関係の本を読み続けた。


___________
ピヨピヨ……ピイピイ
いつの間にか寝落ちしてしまったみたい……。
「ソラン!?ティエラ!?」

"大丈夫。帰ってきたわ"

「良かった……帰ってこれたのね。大丈夫だった?」

安心して2人に抱きついた。
「どこも痛いところはないの?」

"ああ。1度精霊界に帰ったからな"

"帰ったからな!?連れて帰ってもらったからな。の間違いでしょう!?"

"はは。今回ばかりはティエラに助けてもらったよ。感謝してる"

「一体何があったの?」

"俺はいつも通り木の上でゆっくり動きがないか待ってたんだが呪術師が俺の気配に気がついてたのか急に結界を一気に広げやがったんだ。俺はそれにぶつかって消してた気配が少し出てしまったみたいで相手は俺のことは見えてないようだったけど大きい範囲で呪術をかけられて動けなくなってたんだ。その上動けないのをいいことにスペラケーション……契約主の元へ戻ると契約が破棄される呪術をかけられた。まだ暴れる段階では無いと堪えているところにティエラとウィンが来てくれて逃げられたんだ"

"あの呪術師結構出来る男だったわね。
どうって事ないけど私も気配を消してるとはいえ居場所はバレてるしちょっと厄介だったわ。離れてるのに私も呪術にかかってたしね。一瞬、向こうは帰らないと諦めたのか私たちに向かって爆破魔法を仕掛けて来たから私が岩で食い止めてウィンの風を使ってそのタイミングで抜け出したってわけ"

「そうだったの……私が未熟なせいでごめんね。ソランに見張ってもらってる時点で戦える準備をしておくべきだった……」

"いや、向こうが結界を張ったからこっちも油断してたしな。こんな数日で呪術師も動くとは思ってなかったから仕方ない。それに今回のおかげでリーツを高めることにも成功したと思えばいい"

"ふふふっそうね。で、一応居場所を把握するための術とかかけられてたらナーシャの事もバレちゃうしまだまずいから精霊界に帰って色々してたって訳。私達も一応精霊王だからこんな危険余裕よ。でもすぐに連絡しなくてごめんね、一応スペラケーション使われてたから連絡も最低限にしてたのよ"

スペラケーション……そんな呪術もあるのね……。
ティエラ達に安易に動いてもらうのは危険すぎるんじゃ…。

"あ、変なことは考えなくていいぞ。呪術なんて気にするな。俺たちが気配消したりしてなければ呪術なんて余裕で吹き飛ばせるからな。"

"ええ、それにテミニエル様にソランが人間界に戻れなくなるかもって脅してデムルメ……呪術無効魔法をかけて貰ったから帰ったからね。万が一1度くらい当たっても無事よ"

「2人とも……」


そのあとも少し話し合いもしかすると呪術師の力も強いため下手したら2週間後くらいにはボリスを召喚するかもしれないと気を引き締めた。



コンコンッ
「ナーシャ。急だが今日ジェノシーに行かないか?」

「お義父様、こんなに早く動いてもらって大丈夫なの?」

「ああ。今日は朝のうちなら動けるんだが明日から少し忙しくてね。」

「ありがとう!!」

「いや、それに少しナーシャと話したかったしね」
    
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