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vs. 使いっぱ。
閑話。その時。
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ブランシェット侯爵、テオドール・ブランシェットは狂喜した。
行方不明、生死不明の最愛の妻についてのかなり信頼できる情報を入手したためである。
侯爵は、即行で執事の1人と従僕を情報にあった国、オンタリオ皇国へと派遣した。
ありとあらゆる手段──ぶっちゃけ、金とコネを縦横無尽に使い倒して。
さて。
侯爵が居るサルファー王国と、オンタリオ皇国の間には、テクティアという国があった。
侯爵は、執事達にまずそのテクティアとサルファー王国との国境の街の一番近くにある国教会に設置された転移陣を使わせて。
その後は、高級宿や冒険者組合の転移陣を利用させ、遠話の魔道具その他を持たせて送り出した。
一番費用がかからないのは、毎年それなりに寄進している国教会。
冒険者組合は、持っているヤツからはそれなりにいただけ、と、なかなかの使用料を要求される。
その分、間違いは起きないようだが。
高級宿は、宿泊した利用客に限り、ある程度の融通をきかせてくれる。
金にモノを言わす……ってヤツだ。
まぁ、一番後腐れの無い方法でもある。
諸々の手配の最中に、後添いであるローズマリー──いまだに元公爵令嬢の高慢さが天元突破しているが──が、何やら大声で喚いていた。
また何やら悪巧みを始めたようだが、構うものか。
今度こそ、愛する者を守らなければ。
侯爵は、ちょっと微妙な思考の持ち主だった。
物事の、良いところだけ信じている。
死んだはずの先妻が生きていて、無事に子供も生まれていた。
ああ、良かったね。
これからは、家族皆で仲良く暮らしていこうね~……。
なんて、おとぎ話じゃあるまいし。
現実は、めでたしめでたし、では終わらない。
侯爵の想像どおりに先妻と子供を迎える事が出来たとしても、問題はある。
今居る後妻と、その背後に居る公爵家との関係ははどうするのか、とか。
託卵された子供とはいえ、侯爵家の子として貴族院に登録されている娘、マリアンヌはどうなるのか? など。
そんな事は、一切考えてなかった。
とにかく、最愛の妻クラウディアとその子供の事しか頭に無かった。
後妻であるローズマリー・カルギリア・ブランシェット侯爵夫人は、猛っていた。
猛り狂っていた。
もう十数年も前に綺麗に始末したはずの邪魔者が、まだ生きていて。
更に邪魔者が増えているとか……。
正直に言って、夫たるテオドール・ブランシェット侯爵に対する愛情はすでに無い。
愛情は無いか、それなりの執着心はまだある。
アレは、もうわたくしのモノになったのだから、ある程度のワガママは許して──。
いや、今アレが考えている事は、ワガママの範囲を逸脱している。
また、手を下さなければならないのか。
とりあえず、実家から譲り受けた影働きのモノを、今回も従僕として送り込む事に成功した。
いつものように、邪魔な芽は早めに排除させなければ──。
今までのように、ねぇ?
ローズマリー・カルギリア・ブランシェット侯爵夫人は、口元に酷薄な笑みを浮かべていた。
行方不明、生死不明の最愛の妻についてのかなり信頼できる情報を入手したためである。
侯爵は、即行で執事の1人と従僕を情報にあった国、オンタリオ皇国へと派遣した。
ありとあらゆる手段──ぶっちゃけ、金とコネを縦横無尽に使い倒して。
さて。
侯爵が居るサルファー王国と、オンタリオ皇国の間には、テクティアという国があった。
侯爵は、執事達にまずそのテクティアとサルファー王国との国境の街の一番近くにある国教会に設置された転移陣を使わせて。
その後は、高級宿や冒険者組合の転移陣を利用させ、遠話の魔道具その他を持たせて送り出した。
一番費用がかからないのは、毎年それなりに寄進している国教会。
冒険者組合は、持っているヤツからはそれなりにいただけ、と、なかなかの使用料を要求される。
その分、間違いは起きないようだが。
高級宿は、宿泊した利用客に限り、ある程度の融通をきかせてくれる。
金にモノを言わす……ってヤツだ。
まぁ、一番後腐れの無い方法でもある。
諸々の手配の最中に、後添いであるローズマリー──いまだに元公爵令嬢の高慢さが天元突破しているが──が、何やら大声で喚いていた。
また何やら悪巧みを始めたようだが、構うものか。
今度こそ、愛する者を守らなければ。
侯爵は、ちょっと微妙な思考の持ち主だった。
物事の、良いところだけ信じている。
死んだはずの先妻が生きていて、無事に子供も生まれていた。
ああ、良かったね。
これからは、家族皆で仲良く暮らしていこうね~……。
なんて、おとぎ話じゃあるまいし。
現実は、めでたしめでたし、では終わらない。
侯爵の想像どおりに先妻と子供を迎える事が出来たとしても、問題はある。
今居る後妻と、その背後に居る公爵家との関係ははどうするのか、とか。
託卵された子供とはいえ、侯爵家の子として貴族院に登録されている娘、マリアンヌはどうなるのか? など。
そんな事は、一切考えてなかった。
とにかく、最愛の妻クラウディアとその子供の事しか頭に無かった。
後妻であるローズマリー・カルギリア・ブランシェット侯爵夫人は、猛っていた。
猛り狂っていた。
もう十数年も前に綺麗に始末したはずの邪魔者が、まだ生きていて。
更に邪魔者が増えているとか……。
正直に言って、夫たるテオドール・ブランシェット侯爵に対する愛情はすでに無い。
愛情は無いか、それなりの執着心はまだある。
アレは、もうわたくしのモノになったのだから、ある程度のワガママは許して──。
いや、今アレが考えている事は、ワガママの範囲を逸脱している。
また、手を下さなければならないのか。
とりあえず、実家から譲り受けた影働きのモノを、今回も従僕として送り込む事に成功した。
いつものように、邪魔な芽は早めに排除させなければ──。
今までのように、ねぇ?
ローズマリー・カルギリア・ブランシェット侯爵夫人は、口元に酷薄な笑みを浮かべていた。
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