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vs. お貴族サマ。

黒師匠と白師匠。

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いろいろ教えてくれた師匠達。
一番長く師事したのは、暗黒大陸から流れてきたってゆー……。
パッと見、じーさんだかばーさんだか分からない、黒炭よりも黒い肌した白いちぢれっ毛の、白濁した眼のシワシワの呪術師だった。
……後々、じーさんでもばーさんでもない上に、思いの外若いって判明してビックリしたけど。

なんでも。
この黒師匠ってば、生まれた時から男女どっちでもあり、どっちでもなかったんだってさ。

そんな話を聞いて、頭の中がこんがらがった私を見ながらほえほえと笑ってた黒師匠。
今、どこらへんに居るんだろう。

しつこく黒師匠を追っかけてきた、白師匠からうまく逃げられたのかな。



この黒師匠に師事したのって、何でだったっけか。

確か──。

ごはん時に、なんかのはずみで同席したんだっけ?
その時は、まさか盲目とは分からなかったけど──白濁した眼をくわっと見開いて、私の顔を凝視して。
ナニやらおやじ殿とこそこそーっと話して。
そのまま、なんとな~くなし崩しに師事する事になって。
結局、一年近く一緒に放浪した、かな。
うん、多分。

その間、私ら3人って家族と見なされてたかもだわ。
じーばーさんと父親と娘の3人家族。
実際には、血の繋がりなんかカケラもない3人だったりするんだが。
……楽しかったな。
呪術は私に合ってたみたいで。
黒師匠は、自分の持てる知識を私に仕込んでくれた。

が。

ある日。
黒師匠は、見えない眼を中空に据えて。

「……面倒なヤツが近づいてきおった」

そう言うと、私とおやじ殿が引き留める間もなく忽然と姿をくらましてしまった。
それこそ煙のように。

えええええ……と、おやじ殿と2人、ちょっと茫然としてたその翌日。
私らのトコに殴り込んできたのは。

「ここに黒の呪術師が居ただろう!?」

超上から目線の、白い──白子、いわゆるアルビノの森の民だった。



森の民。
オンタリオ皇国じゃ、エルフと言われてるね。
基本的に、金や銀の髪に翠の瞳で長身優美な、耳の尖った長生き種族だ。
植物じみた、欲望なんて知りませ~ん……って顔してその実私ら人間種と変わらないって人々な。

その白子の──色素の無い、全身全体的に白い、眼と唇だけ血赤の森の人は。
黒師匠を一方的に追い回してる妖術師だった。
で、性別は、男だった。

……森の民が妖術師?

なんか、イメージ違うよね。
でも、確かにその白い森の人は妖術師だった。
黒師匠を追い回してる理由は、黒師匠と術対決したい……って。
黒師匠は、拒絶したんだって。
でも、森の人はどーしても黒師匠の呪術を破りたいって。
正直身勝手な理由で。

もう20年くらい追い回してるそーな。

……そりゃ、黒師匠逃げるわ。



滔々と、自分の都合ばかり並べたてる白い森の人を、おやじ殿と2人、半眼になって見ていたら。
白い森の人は、ナニかに気付いたようにじー……っと私を見て。

「お前、アレの弟子だな? ……よし。わたしの術も教えてやろう。どちらが優れているか、はっきりするだろう」

えー。



こうして、白い森の人──白師匠は、頼んでもいないのに私の押し掛け師匠になった。

……森の人の思考回路って、分かんない。







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