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27話 洋服選び

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 サンビークの散策に出掛けるのは俺とカエデとメイラン。
 シェミィはお留守番、一緒に出掛けるか?と聞いたらベッドで丸くなったので寝かせてやることにする、昼飯頃に一度宿に戻ってシェミィにご飯を食わせてから再度出掛けるようにしよう。

「ご主人様!どこ行く?」
「まずは2人の服を買いに行こうか、服屋は何処だ?」
「私分かるわよ、こっちね」

 メイランの案内で服屋へ向かった。

「メイラン、この街に詳しいのか?」
「詳しい訳ではないけれど、前に1度だけガルム様に連れられて来た事があるのよ。食事処や武器屋防具屋くらいなら案内出来るわ」
「助かる!お、ここが服屋か」

 服屋の看板を見つけ、その店に入る。
 店内を見ると女性物の服が大量に陳列されている。

「可愛い服がいっぱい!ご主人様、ホントにいいの?」
「あぁ、3日分と予備くらい買う予定だから、上下合わせて4着と肌着とか選んでくれ、他にも要る物があるなら言ってくれたら買うぞ」
「わかった!あまり高くならないように選んでくる!」
「あまり値段は気にしなくていいぞ!」

 俺はそういったが、カエデが値札を確認しながら店内を巡っていく、金銭面気にして安く済ませようとしてくれる気遣いは嬉しい。

「コウガ様、何か気付いたりしないかしら?」
「ん?何か?」

 俺は周囲を見渡してみる、そういえば……男性物が見当たらない気がする、って事は……この店レディース専門店!?

「なぁメイラン、この店……まさか女性用の……」
「ふふっ、気付いたようね。ほら、こんなのどうかしら?」

 メイランが紐に近いような下着を陳列棚から手に取り、自分の身体の前に合わせて見せつけてくる。

「ぶっ!!何で物を手に取ってるんだ!」
「コウガ様顔が真っ赤ね、反応を見るの楽しいわ」
「こんな事してないで、そろそろ自分の服探してくれ!只でさえこの店内に居る事自体恥ずかしいんだからな!?」
「仕方ないわね、コウガ様が限界になる前に選んでしまいましょうか」

 メイランもようやく自分の服を選びにいく。
 支払うのは俺なので店から離れるわけにもいかず、あまり周りを見ないようにしつつ2人が選び終わるのを待つ。
 するとカエデが俺の元にやってきた。

「ねぇご主人様、これとこれ……どっちの方が似合うかな?」

 カエデが持ってる物を見るに、3着は既に決まったようだが、ラスト1着をどっちにしようか決められなかったようだ。
 カエデが持ってきた2着がこれだ。

 1着目が尻尾穴付きで、前世でいうデニム風のショートパンツみたいなやつだ。
 激しく動き回るカエデなら、ショートパンツのような脚の邪魔にならない服の方が動きやすくて良いのだろう。
 あと、これは俺の個人的な事なのだが、カエデの脚はなかなか引き締まって美しいのだ、それをいつでも見れるのは俺からしても嬉しい!膝枕とかしてもらいたくなる。

 2着目が尻尾穴付きの巻きスカート型ズボンだ、これは動きやすさを意識しつつもオシャレに寄せた服だな。
 短パンに近いくらいの短さのスカートなのだが、中はズボンになっているので動き回っても大丈夫な仕様だ。
 見た目はミニスカートでデザインもなかなか良い、脚も先程ではないが美しく見えて文句ない。

 どっちも捨て難いな……確かにどっちが良いか迷ってしまう。
 ふと値段を見てみると驚愕した、想像した値段より安かった。
 カエデの決めてきた服の合計金額を計算してみると、銀貨50枚5万ノルンにも満たないのだ。
 これならその2着両方買っていいと思った。

「カエデ、思ったより値段が安くて、考えてた予算より安く済んでるんだ、だから両方買おう!」
「えっ!?い、いいの……?お金大事なんだから控えた方が……」
「ずっと奴隷服で我慢させてきたからな……これくらいはさせてくれ、カエデにはかなり助けられたから、俺からのプレゼントと思ってくれ」
「ご主人様……!ありがとう!」

 カエデに抱き着かれる、俺はカエデの頭を撫でてから一緒にレジへ向かいお金を支払った。
 メイランは試着をしており、まだ時間が掛かりそうだったのでカエデが手伝いに行った。
 俺がレジ近くで暇をつぶしていると、レジに居た女性店員さんに声を掛けられた。

「お客様、先程は良い物を見せて頂きました。良ければ2人にアクセサリー等のプレゼントしては如何でしょう?特別サービスしますよっ」

 こそっと店員から言われた、よく見たら胸ポケットをパカパカさせながら。
 カエデにはお世話になったし、メイランもこの街の案内を頼んでいる、プレゼントしたら良い思い出にもなるだろう。

「……お願い出来ますか?」

 こっそり銀貨10枚をチップとして胸ポケットに入れる

「あら?ふふふっ、良いでしょう。表にまだ出てない掘り出し物をお出ししましょう、こちらへ……」

 俺は奥の部屋に案内されると、仕分け最中のアクセサリーや、何故か武器や防具もあった。

「これらはまだ届いたばかりの新作達です、私達は武器屋と防具屋も一緒に運営しておりまして、全てここに集約されてから仕分けをして店に出されます。特別に表に出す前のアクセサリーをお売りしましょう!防具屋に置くようなステータスUP系アクセサリーです、中には一点物を作る錬金術師や鍛冶師の作品もあります、お楽しみください」
「良いですね、では拝見します」

 俺は久しぶりに鑑定スキルを使いアクセサリーを物色する。
 トライデント王国で見た事あるようなアクセサリーもいっぱい見掛けるが、中には王国で見た事も無い作品で前世のネットで見た事あるような作品があった。これには名前が刻まれていた、これが錬金術師の一点物か。

『フィオレロの指輪』(ルビー)
 火属性ダメージ強化、STR中UP
 製作者、錬金術師ミツキ ミコシバ

 この名前……まさか日本人か!?
 この製作者の品を探してみると、フィオレロの指輪の宝石違いが1点ずつ見つかった。
 ルビーにオパール、エメラルドやアクアマリン……俺でも分かるような有名な宝石が並んでるな、色によって効果が違うみたいだ。

「店員さん、これ1点いくらですか?」
「これは、錬金術師ミツキの作品ですね、デザイン重視のアクセサリーなので、銀貨40枚って所ですね。」
「銀貨40枚、ならこの中から3つ選ぶので少しだけサービスしてもらえませんか?」
「良い物見せてもらって更にチップまで貰いましたから、特別サービスしましょう!1つ銀貨40枚の所を30枚!合計銀貨90枚でどうでしょうか!」

 チップに銀貨10枚渡してるが、割引が銀貨30枚分だから銀貨20枚サービスか、良いね買った!

「分かりました、買います!」
「ありがとうございます!」

 俺は金貨1枚渡し、銀貨10枚のお釣りと商品を貰った。
 フィオレロの指輪のルビー(火属性ダメージUP、STR中UP)とエメラルド(風属性ダメージUP、AGI中UP)とターコイズ(氷属性ダメージUP、氷属性命中時、AGI中down)だ。

「お客様、是非また来てくださいね」
「はい、サンビークに来たらまた来ます」

 奥の部屋から戻ってくると、カエデとメイランはレジ近くの椅子に座って待ってくれていた。

「ご主人様、おかえりなさい!」
「奥の部屋に行ったと聞いて待っていたのだけれど、何か買ったのかしら?」
「あぁ、いい買い物をしたよ。まぁまずはメイランの服を精算しようか」

 レジにてお金を支払うと、先程の店員さんから「着替えていきますか?更衣室使ってもらっても構いませんよ?」と言われたので、2人には新しい服へ着替えてもらった。

 更衣室から照れながら出てきたカエデは、あの迷っていたデニム風ショートパンツを履いていた。
 俺からのプレゼントだと意識して、1番最初に履きたかったのだろう。
 シャツもショートパンツに合う物を選んでおり、文句無しだ。

「ご主人様、どうかな……?」
「あぁ、可愛くて似合ってるぞ!脚が綺麗に見えて尚良い!」
「そんなに良いの?この脚」
「膝枕して欲しいくらい素晴らしいぞ!やっぱり狼人族なだけあって脚が発達してるからな、スラッとしつつも引き締まってて俺好みだ!」
「あ、ありがとうご主人様……!」

 照れて顔は赤いが、こちらを見て笑顔を見せてくれるカエデ。そして嬉しくて尻尾をぶんぶんと激しく振られている、可愛すぎる!

 対するメイランは大きい胸を武器に、胸元がV字に開いたシャツを来ていた、スボンはガウチョパンツで大人っぽい印象を受ける。

「メイランはかなり大人っぽいコーデだな!胸元がかなり空いてるのがアレだが、似合ってるぞ!」
「ありがとう、これでコウガ様もメロメロになるわね!」

 凄い自信だな、確かに胸も好きではあるし!釘付けだけど!
 こっちに巨乳を近付けないで!ピンチになっちゃうよ!

「あら、視線がいやらしいわよ?」
「見せつけてくるからだろう!」
「私もこれ見せたらご主人様喜んでくれるかな……?」

 カエデが自分の胸をむにむにと触って何か考えている。
 カエデも巨乳程ではないが大きめではある。

「カエデは純粋でいて!カエデの胸も良いサイズで好きだから!」

 この買い物でどっぷり疲れた気がした、まだお昼にもなってないんだが……
 俺達のサンビーク散策はまだまだ続く。 
 プレゼントは散策終わりに渡すとしよう。
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