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山暮らし
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劉備は、涿郡の山に逃げた。
関羽、張飛、簡雍の他、十人ほどの元義勇兵たちが従っている。
「殿、これからどうやって生きていくんだ? 山賊にでもなるつもりか?」と簡雍が言った。彼は劉備のことを「殿」と呼ぶようになっている。
「山賊にはならない。基本的には自給自足をする。狩りと採集で暮らす」
「それだと酒が飲めねえ」
「簡雍、張世平殿と蘇双殿に会いにいって、いくらか援助してくれるよう頼んでくれ。出世払いで」
「殿が出世するのは、いつになることやら」
簡雍は張世平の屋敷へ行った。広大な馬牧場の中に建っている。
「劉備殿は、安熹県で派手にやらかしたようですな」
張世平は笑った。
「はあ。馬鹿な上司を持つと、苦労します」
「世間では評判になっていますよ。悪徳督郵を懲らしめた。大衆は痛快事だと思っています。劉備殿は男を上げた」
簡雍は驚いた。劉備に臣従するのは、悪くないのかもしれない。将来、本当に出世するかも。
「我々は当面、山に籠もって暮らすつもりです」
「それがいいでしょう」
「狩りをして生き延びるつもりなんですが、いくらかお金もほしい。貸してもらえませんか」
「私は劉備殿を助けたい。提供しましょう。返さなくていい」
張世平は大金を取り出した。
「ありがとうございます」
簡雍は額を床にこすりつけた。
蘇双も「返却など不要です」と言って、大金を簡雍に渡した。
「本当に返さなくていいのですか」
「劉備殿は、この世になくてはならない人だと思っています。彼を援助するのは、私の喜びです」
劉備には人気がある、と簡雍は感じた。
彼は大金を山に持ち帰った。
「こんなにもらえたのか」
劉備が驚くほどの大金だった。
「酒が浴びるほど飲めるじゃねえか」
「兄者、この金は大切に使わなければなりませんぞ。酒に費やしてはいけません」
「まあ、そうだよな」
「この金は私が管理します。しっかりと節約します」
関羽が金銭を取り、革袋に入れた。
酒が飲みたい劉備、張飛、簡雍は、うらめしそうに革袋を見た。
彼らは山で狩りをし、鹿、猪、雉などを獲って食べた。
栗や山菜、果物、芋の採集もした。
関羽はときどき山を下り、安酒を買ってきた。
焚き火をして、肉を焼き、みんなで酒を飲んで騒いだ。
「いまは山暮らしをしているが、いずれまた世に出る。きっと機会が来る。おれは世のため人のために働く」
劉備はそう言って、ちびちびと大切そうに酒を飲んだ。
「山暮らしも悪くねえ。おれは劉備兄貴となら、一生こんな生活をしてもいい。でも、いつかは大暴れしたいな」
張飛は豪快に杯を干した。
「張飛、酒を水みたいに飲むな。おかわりはやらんぞ」
「関羽兄貴、もう一杯だけ!」
ふだん胸を張っている張飛が情けない声を出すと、みんなが笑った。
簡雍は、こいつらと苦難をともにする一生も悪くない、と思った。劉備に賭けてみよう。
山暮らしは、一年ほどで終わった。
恩赦が出たのである。
後漢末期、社会は混乱し、犯罪をしないと生きていけない人が多い。
恩赦がないと、秩序の維持がむずかしかった。
劉備たちは、堂々と涿県へ帰ることができた。
関羽、張飛、簡雍の他、十人ほどの元義勇兵たちが従っている。
「殿、これからどうやって生きていくんだ? 山賊にでもなるつもりか?」と簡雍が言った。彼は劉備のことを「殿」と呼ぶようになっている。
「山賊にはならない。基本的には自給自足をする。狩りと採集で暮らす」
「それだと酒が飲めねえ」
「簡雍、張世平殿と蘇双殿に会いにいって、いくらか援助してくれるよう頼んでくれ。出世払いで」
「殿が出世するのは、いつになることやら」
簡雍は張世平の屋敷へ行った。広大な馬牧場の中に建っている。
「劉備殿は、安熹県で派手にやらかしたようですな」
張世平は笑った。
「はあ。馬鹿な上司を持つと、苦労します」
「世間では評判になっていますよ。悪徳督郵を懲らしめた。大衆は痛快事だと思っています。劉備殿は男を上げた」
簡雍は驚いた。劉備に臣従するのは、悪くないのかもしれない。将来、本当に出世するかも。
「我々は当面、山に籠もって暮らすつもりです」
「それがいいでしょう」
「狩りをして生き延びるつもりなんですが、いくらかお金もほしい。貸してもらえませんか」
「私は劉備殿を助けたい。提供しましょう。返さなくていい」
張世平は大金を取り出した。
「ありがとうございます」
簡雍は額を床にこすりつけた。
蘇双も「返却など不要です」と言って、大金を簡雍に渡した。
「本当に返さなくていいのですか」
「劉備殿は、この世になくてはならない人だと思っています。彼を援助するのは、私の喜びです」
劉備には人気がある、と簡雍は感じた。
彼は大金を山に持ち帰った。
「こんなにもらえたのか」
劉備が驚くほどの大金だった。
「酒が浴びるほど飲めるじゃねえか」
「兄者、この金は大切に使わなければなりませんぞ。酒に費やしてはいけません」
「まあ、そうだよな」
「この金は私が管理します。しっかりと節約します」
関羽が金銭を取り、革袋に入れた。
酒が飲みたい劉備、張飛、簡雍は、うらめしそうに革袋を見た。
彼らは山で狩りをし、鹿、猪、雉などを獲って食べた。
栗や山菜、果物、芋の採集もした。
関羽はときどき山を下り、安酒を買ってきた。
焚き火をして、肉を焼き、みんなで酒を飲んで騒いだ。
「いまは山暮らしをしているが、いずれまた世に出る。きっと機会が来る。おれは世のため人のために働く」
劉備はそう言って、ちびちびと大切そうに酒を飲んだ。
「山暮らしも悪くねえ。おれは劉備兄貴となら、一生こんな生活をしてもいい。でも、いつかは大暴れしたいな」
張飛は豪快に杯を干した。
「張飛、酒を水みたいに飲むな。おかわりはやらんぞ」
「関羽兄貴、もう一杯だけ!」
ふだん胸を張っている張飛が情けない声を出すと、みんなが笑った。
簡雍は、こいつらと苦難をともにする一生も悪くない、と思った。劉備に賭けてみよう。
山暮らしは、一年ほどで終わった。
恩赦が出たのである。
後漢末期、社会は混乱し、犯罪をしないと生きていけない人が多い。
恩赦がないと、秩序の維持がむずかしかった。
劉備たちは、堂々と涿県へ帰ることができた。
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