【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました！

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私の言葉には、鎌田さんが慌てたような顔で作り笑いをした。



「そこで何で俺が出てくるの？」



「だって、好きじゃないですか。」



”鎌田さん、もう言っちゃいなよ。
イトコ同士なんて結婚だって出来るし、子作りだって出来るじゃん。
従姉としてだけじゃなく女の子としても好きだって、愛してるって言っちゃいなよ。“



「なに？愛姉って俺のことが好きだったの？
俺ら従姉弟じゃん。
生まれた子どもに“何か”があるかもしれないし、普通の子どもが出来る可能性が高い男を選んでおきなよ。
周りに“イトコ同士なんて気持ち悪い”って思う人も出てくるだろうし。」



好きになった相手に愛の言葉を伝えることが出来、その相手からも愛の言葉を貰えている青さんにはきっと分からない。
そんな彼女さんが沢山いた青さんにはきっと鎌田さんの気持ちは分からない。



愛している人に”愛してる“と伝えられないことがどんなに苦しいか。
でもそれ以上に、その人が自分のこと愛してくれていると分かっているのに、その人から愛の言葉を貰えないことがどんなに苦しいことなのか。



一平さんの姿が自然と浮かんできて、何だか泣きそうになった。



そしてこの口がやっぱり勝手に動いた。



「「“普通”の子どもって何ですか？」」



”普通“の子どもとして生まれることが出来なかった私がその言葉を出したら、私の言葉とマナリーの言葉が重なった。



「店長、それを言うなら私なんてレズだし、“普通”の子どもとして産まれなかったってことですか？」



私の”友達“であるマナリーの声にフッと心が軽くなり、私も小さく頷きながら言った。



「私も“普通”じゃないからな・・・。
五体満足ではあるけど、“家”が普通じゃないし私自身も“普通”の女の子ではないし・・・。」



私達の言葉に鎌田さんは苦笑いの見本みたいな苦笑いになる。



「俺が言いたいのは、そういう“普通”の話じゃないんだよね。
イトコ同士だとそうでない場合よりも確率が高くなるし、そうなったら愛姉も子どもも可哀想だから。」



鎌田さんの口から出た”可哀想“という言葉に心が反応してしまう。
鎌田さんだって青さんと同じように私のことを”可哀想“と思っていただろうけど、加藤の”家“に生まれた私に”可哀想“だと言ってくることはなかった。



鎌田さんは”そういう人“だから。



鎌田さんは男心も女心も、そして子ども心にも寄り添うことが出来る、そんな綺麗で格好良いお兄さんだったから。



そんな鎌田さんに、言う。



「「私は“可哀想”なんかじゃない。」」



そしたらまた、マナリーと言葉が重なった。