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俺の部活の時間が終わり、急いで着替え近くの居酒屋に向かう。
ここも、よく大塚先生に連れてきてもらった店だ。
ここ数年はそれもなくなっていたが。
「すみません、遅くなりました。」
先に座りお酒とおつまみを食べていた大塚先生に声を掛ける。
「こちらこそごめんね?先に始めちゃってた。」
ふんわりと笑った大塚先生は、もう少しで60歳とは思えないな・・・と改めて思う。
生ビールを頼み、乾杯をする。
卒業式の話や、新年度の話を軽くしてから、「それで、お話なんですが・・・」と切り出した。
姿勢を正した俺に、大塚先生まで姿勢を正す。
「実はですね・・・その・・・好きな子がおりまして・・・、付き合おうという話が出ていまして・・・。」
こんな話を大塚先生にするのが滅茶苦茶恥ずかしくて、なかなか上手く言葉が出てこない。
そんな俺を不思議そうに見てから、「あ!」と大塚先生が笑った。
「わたしにそんな話をしてくれるということは、高校の子なの?」
鋭い指摘に感謝し、俺は頷く。
「あら~!そう~!
まだ在学してるの?あ、でもこのタイミングだとこの前の卒業式で卒業したの?」
と、教師と生徒の恋愛なのに、軽い感じで聞いてくる。
「いえ・・・もっと前に卒業してる子でして・・・。」
「あら、そうなの?
それなら全然問題ないんじゃない?」
「教師と元生徒の恋愛ですし、話が回った時に親御さん達がどう思うのかも気になりますし、生徒達に悪い影響を与えることもあるかも・・・という懸念もありまして。」
「フフッ、吉岡先生、まだ女子生徒から大人気だしね?」
と、大塚先生は面白そうに笑う。
「でも、偉いわね。
付き合う前からちゃんと話してくれて?」
「来年度は、大塚先生が学年主任の学年の担任ですし、この件でご迷惑をお掛けするかもしれません。」
「そういうところ、抜かりなくて隙がないのに、吉岡先生が元生徒にか~・・・。
まあ、わたしもそうなんだけどね?」
大塚先生が恥ずかしそうに笑ってからビールを飲んだ。
「わたしも、旦那が元教え子なの。」
「そうなんですか!?」
急なカミングアウトに驚く。
「当時は結構話題になったから、古い先生達は知ってるけどね。
あ・・・!!吉岡先生にも昔・・・ずっと昔に話したことがあるかも。
吉岡先生が入ってきてすぐの頃、わたしが受け持った子で“天性の人たらし”の子がいたって!
その子が今の旦那で・・・」
大塚先生は突然話を止め・・・
「もしかして・・・」
ゆっくり、俺を見る。
「吉岡先生のお相手、早川さん?」
ここも、よく大塚先生に連れてきてもらった店だ。
ここ数年はそれもなくなっていたが。
「すみません、遅くなりました。」
先に座りお酒とおつまみを食べていた大塚先生に声を掛ける。
「こちらこそごめんね?先に始めちゃってた。」
ふんわりと笑った大塚先生は、もう少しで60歳とは思えないな・・・と改めて思う。
生ビールを頼み、乾杯をする。
卒業式の話や、新年度の話を軽くしてから、「それで、お話なんですが・・・」と切り出した。
姿勢を正した俺に、大塚先生まで姿勢を正す。
「実はですね・・・その・・・好きな子がおりまして・・・、付き合おうという話が出ていまして・・・。」
こんな話を大塚先生にするのが滅茶苦茶恥ずかしくて、なかなか上手く言葉が出てこない。
そんな俺を不思議そうに見てから、「あ!」と大塚先生が笑った。
「わたしにそんな話をしてくれるということは、高校の子なの?」
鋭い指摘に感謝し、俺は頷く。
「あら~!そう~!
まだ在学してるの?あ、でもこのタイミングだとこの前の卒業式で卒業したの?」
と、教師と生徒の恋愛なのに、軽い感じで聞いてくる。
「いえ・・・もっと前に卒業してる子でして・・・。」
「あら、そうなの?
それなら全然問題ないんじゃない?」
「教師と元生徒の恋愛ですし、話が回った時に親御さん達がどう思うのかも気になりますし、生徒達に悪い影響を与えることもあるかも・・・という懸念もありまして。」
「フフッ、吉岡先生、まだ女子生徒から大人気だしね?」
と、大塚先生は面白そうに笑う。
「でも、偉いわね。
付き合う前からちゃんと話してくれて?」
「来年度は、大塚先生が学年主任の学年の担任ですし、この件でご迷惑をお掛けするかもしれません。」
「そういうところ、抜かりなくて隙がないのに、吉岡先生が元生徒にか~・・・。
まあ、わたしもそうなんだけどね?」
大塚先生が恥ずかしそうに笑ってからビールを飲んだ。
「わたしも、旦那が元教え子なの。」
「そうなんですか!?」
急なカミングアウトに驚く。
「当時は結構話題になったから、古い先生達は知ってるけどね。
あ・・・!!吉岡先生にも昔・・・ずっと昔に話したことがあるかも。
吉岡先生が入ってきてすぐの頃、わたしが受け持った子で“天性の人たらし”の子がいたって!
その子が今の旦那で・・・」
大塚先生は突然話を止め・・・
「もしかして・・・」
ゆっくり、俺を見る。
「吉岡先生のお相手、早川さん?」
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