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6、めまい
生駒
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「お前、最近本当によく来るね。仕事大丈夫なのか?」
貴広がさすがに気づかって言った。
「あはは。歴代札幌営業所長は、席を外しているものなんだってさ。俺がずっと机にいると、所員が働きにくくてしょうがないんだって」
「はあ? 何だよそれ」
そんな慣習が出来るほど不在にしていれば、所長も不正をするかもしれないが、所員も不正し放題なのではないか。
貴広はそう腹の中で思ったが、あえて口にはしなかった。
世の中、言葉にするとシャレにならないこともある。
「マスター、俺行きます」
今日は大学で就職セミナーに参加する。いつもと少し違う時間だが、店に支障が出ないよう、良平はあれこれ片づけて店を出た。
良平が駅へ向けて歩き出すと、背後でブッブーと車のクラクションが鳴った。生駒だった。
「バイトくん、ガッコ? 乗せてくよ」
全開にした窓から、生駒が爽やかな笑顔を見せていた。
「結構です」
良平はそう答え通り過ぎようとした。生駒が言った。
「あれ? そんなこと言っちゃう? 貴広のコト考えるとさ」
良平は思わず足を止めた。
「君は俺との会話を断れないと思うよ」
貴広がさすがに気づかって言った。
「あはは。歴代札幌営業所長は、席を外しているものなんだってさ。俺がずっと机にいると、所員が働きにくくてしょうがないんだって」
「はあ? 何だよそれ」
そんな慣習が出来るほど不在にしていれば、所長も不正をするかもしれないが、所員も不正し放題なのではないか。
貴広はそう腹の中で思ったが、あえて口にはしなかった。
世の中、言葉にするとシャレにならないこともある。
「マスター、俺行きます」
今日は大学で就職セミナーに参加する。いつもと少し違う時間だが、店に支障が出ないよう、良平はあれこれ片づけて店を出た。
良平が駅へ向けて歩き出すと、背後でブッブーと車のクラクションが鳴った。生駒だった。
「バイトくん、ガッコ? 乗せてくよ」
全開にした窓から、生駒が爽やかな笑顔を見せていた。
「結構です」
良平はそう答え通り過ぎようとした。生駒が言った。
「あれ? そんなこと言っちゃう? 貴広のコト考えるとさ」
良平は思わず足を止めた。
「君は俺との会話を断れないと思うよ」
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