長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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狂気の嫉妬

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夕日が沈み始めた頃マイケル・ヒューイットは、六本木のラグジュアリーホテルのスイートに着くき、そこには一夜とジェイクが居た。
マイケルはサングラスをかけ、ノーネクタイに崩したワイシャツにスーツ。
側近を部屋から出すとソファに腰掛けた。

「お2人とも、お元気そうで」

スーツの上着のボタンを緩め、サングラスを外すとジェイクをジッと見つめる。
マイケルは美しいサラサラの金髪。真っ青な瞳。白い肌に、一夜のセクシーな美しさとはまた違う繊細な美しい顔。

「そして、相変わらず仲がよろしいようで」

皮肉交じりに言う。一夜もジェイクも居心地が悪い。

「長旅お疲れ様でした。お夕飯はレストランをご予約してますが」

一夜が言うと、マイケルはやっと一夜を視界に入れた。

「食事はどうでもいいよ。それよりジェイコブと二人にしてほしい。アンソニーはもう帰って」

マイケルの言葉に、縋るようにジェイクは一夜を見るが、一夜は「悪いな」と言う顔で部屋を出て行った。


 ジェイク、気をつけろよ!


部屋を出ると一夜は心の中で呟いた。
マイケルは立ち上がると、ジェイクに近づく。ジェイクは後ずさりする。

「なぜ逃げる?」

挑むマイケル。

「いや、別に」

怯えるジェイク。

「ジェイク、久しぶり。僕にフラれてアンソニーを追いかけると思わなかったよ」

マイケルはジェイクに抱きつく。身長差10cm低いマイケルがジェイクの首に腕を回し顔を引き寄せる。
マイケルの唇がジェイクの唇を奪うが、ジェイクは抵抗してマイケルの舌は阻止する。

「もう、僕は君の浮気を許してるよ。君がアンソニーに似た男と浮気をしたのも、僕にヤキモチを妬いて欲しかったんでしょ」

「だから、あいつとはなんでもないんだ。アンソニーは本当にただの友達で!」

ジェイクの話を聞かず、マイケルが手早くジェイクのベルトを外し、ホックとチャックを下ろすとスラックスが落ちる。

「マイケル!」

ジェイクはマイケルの手を押さえる。

「ジェイクが僕以外に何人と浮気しても僕は許してきたけど、あいつだけは許せなかった。アンソニーに似たあいつは。僕がいながら、あいつを抱いて気持ちよかった?アンソニーの代わりに抱いたの?」

怒りに満ちた顔でマイケルは尋ねる。

「聞いてくれ!別にあの子は東洋人だっただけで、アンソニーにそんなに似てはいなかっただろう!アンソニーに似ていたから抱いた訳じゃない!」

マイケルはまたジェイクに抱きつく。ジェイクはマイケルの嫉妬が怖かった。優姫のことは絶対バレてはいけないと思った。
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