睡眠スキルは最強です！ 〜現代日本にモンスター!? 眠らせて一方的に倒し生き延びます！〜

21. レアモンスター

　どういう仕組みかは分からないが、突然現れた金色のオーク。
　コイツは間違いなくレアモンスターだろう。

　問題は金属のような光沢を全身から放っていて、剣で切るのは少し難しそうな点だが……。

　とりあえず眠らせてから考えよう。

「っ……」

　身体に力を入れて、全力で地面を蹴る。
　すると簡単にオークの目の前まで距離を詰めることが出来た。

　寝ろッ！

　祈りながら手を伸ばす。
　だが、ゴー〇ド・オークはよろけただけで、眠る気配は全くなかった。

　それでも動きは素早くない。
　さっさと倒そうと首を狙って剣を振ったのだが……。

　カンッ！

　乾いた音とともに攻撃が弾かれた。
　おまけに……

「グオォォ……」

「あっ、待て逃げるな！」

　……オークは俺に背を向けて全力で走り出した。
　そのタイミングでレナさんが追いついてきて、一緒になって追いかけることに。

「寝ろ！」

「はっ！」

　カンッ！

「マジで逃げるなって！」

　あ、躓つまずいた。

「ふんっ！」

　首めがけて剣を振り下ろす。
　しかし再び弾かれた。

　あ、少し凹んでいらっしゃる。

　スタスタ……。

「マジで待てって」

　まぁ、俺があのオークなら全力で逃げるけど。
　幸い足はこっちの方が上らしく、余裕で追いつけている。ちなみに基準はレナさんの走る速さだ。

　俺を基準に考えたらスキルの効果が乗ってしまうからな。

「マジで寝ろよ……いい加減に寝てくれ」

　もう嫌になってきた。
　だがレアアイテムのためだ。絶対に倒す。

「やあっ！」

　ガギィンッ！

「ナイス！」

　首の金属がめくれて、中の肉が見えるようになった。
　そこを目掛けて全力で剣を突き出す。

　だが……。

「うわっ」

　タイミングよくオークがコケたせいで、剣は空を切った。

　ガバッ……スタスタ……。

　再び元気に駆け出すオーク。
　ちなみにここまで数分の出来事だ。

「寝ろ！」

　そしてついに、オークはドサリと音を立てて地面に突っ伏した。
　しかし隣からも音が……。

「レナさん!?」

　左隣に目を向けると、何故かレナさんがすやすやと寝息を立てていた。
　もしかしたら左手の効果範囲の中に入ってしまったのだろうか？

　とりあえず、オークが効果範囲に入らないようにして……。

「起きろぉぉぉぉ！」

　全力で叫びながら手を突き出した。

「えっ……!?」

　混乱しているらしいが、無事にレナさんは目を覚ました。

　これで一緒に倒せばレナさんにも経験値が入るだろう。
　某RPGゲームだと金属のモンスター、特にスライムは経験値が美味い。きっとこいつも大量の経験値をくれるはずだ。

「トドメ刺すよ」

「う、うん……」

　まだ混乱していたらしいが、ゴー〇ド・オークを見るなり勢いよく立ち上がるレナさん。
　これで準備は整った。

「せーの」

　一緒に剣をオークの首に突き刺す。
　そしてグリグリと回してみたり、体重をかけてみたり。

「死なないな……」

　だが……三分かけても、このオークが消えることはなかった。

　もしかして、硬い上にHP沢山あるパターンですか？