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17. お茶会①

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 アラン様から突然告白された日から2日、私は王宮のテラスでテーブルを挟んでアラン様と向かい合っていた。
 昨日は生憎の雨だったけれど、今日は雲一つない青空が広がっていて、心地よい陽気になっている。

 今は私がハステイル王国の王宮で過ごしていた時のことを話し終えたところで、アラン様は手を握りしめていた。

「……そうか。そんなことがあったんだな。辛かっただろうに、話してくれてありがとう」

 不思議なことに、辛いことを思い出しているはずの私が涙を流すことはなく、代わりにアラン様が目に涙を浮かべていた。

「王族が怖くなっている時に告白なんてしまってすまなかった……」

「いえ、アラン様は優しい方ですから大丈夫ですわ!」

 慌てて否定する私。人のために涙を流す王族がいるなんて思いもしなかったから、とても困惑している。
 この涙は偽りなんかではない。どうして彼は私なんかのために涙を流しているのかしら……?

「本当に大丈夫なのか……?」

「はい。アラン様なら大丈夫です」

「そうか……ありがとう。
 こうしてはいられないな。すぐに父上にハステイルとの国交を解消するように言いたいのだが、僕が説明したところで意味がないんだ。
 協力してもらえないか?」

「もちろんですわ」

 私は即答した。私なんかのことを想ってくれている彼の力になりたくて、酷い行いをしているヴィルハルト王子を野放にしたくなくて。
 国の利益のための行動でもあるはずなのだけど、不思議と嫌な気持ちはなかった。

「ありがとう。お茶会はまた後で開こう」

「ええ」

 頷いた私は彼の後をついていき、さっきまでとは違って明るい話をしながら玉座の間へと向かった。

 そして……

「父上、大事な話があります」

 ……お菓子を食べている最中だった国王陛下と対面した。

「にゃにがあった?」

「あっ、食べ終えてからで大丈夫です」

 数秒後……

「オホン、何が起きたのだ?」

 そう言い直す陛下。それを見た私は笑いを堪えるのに必死だった。

「ハステイルの王族が酷い行いをしていることがはっきりしました。さっきフィリアが語ってくれたのです」

「フィリア嬢。何があったのか、詳しく説明してもらえるか?」

「はい。婚約を結び、王宮暮らしをするようになってから、それは始まりました」

 陛下から何かを見極めるような視線を注がれながら、私は説明を始めた。
 そこに脚色や偽りを混ぜることはなく、時には暴力を振るわれたことも含めてありのままを話した。

 話し終えると、陛下は神妙な面持ちで立ち上がると、こう口にした。

「偽りは無いようだな。辛かっただろうに……感謝する。礼の品は後ほど用意する」

 そう言って玉座を離れる陛下。
 私は慌てて断ろうと口を開いたのだけど……

「お礼の言葉だけで十分ですわ」

「いや、それでは私の気が済まない」

 ……陛下が聞き入れてくれることはなかった。
 結局、かなりお高そうな髪飾りを頂くことになってしまって、恐縮しっ放しになる私だった。
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