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2話 場違いな召喚物
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再びガウス大司教に案内されて外に出た。
今までずっと室内に居た事もあり、一歩外に出ると、眩しさに目が眩む。手でひさしを作り空を見上げると、空は元の世界と同じで青く高かった。そして何と、太陽が二つ空の上に浮かんでいた。それが、僕にいやがおうにも異世界に来た事実を突きつけていた。
外では、恐竜映画で見たヴェロキラプトルのような竜が二頭、馬車につながれて待っていた。
「ご安心下さい。これはヴェロと言うとてもおとなしい走竜です。この世界では一般的に、移動の足として使用されております」
ヴェロと呼ばれた竜の顔には、元の世界で見た馬と同じようにハミが取り付けられていた。
「へぇいいツラしてんじゃぇか!」
「これ恐竜じゃないの!」
「すげぇな!」
「ほえぇ」
ちなみに最後が僕の声だ。ぽかんと口を開けて僕はヴェロを見ている。
赤髪君と茶髪君は、興奮した様子でヴェロに近づいているが、僕は近くづくなんてとんでもない!離れた所で見ている事にする。驚きなのは、唯一の女の子である青髪さんが、ヴェロに対して積極的に頬釣りまでしている事だ。
あっ。何か僕が惨めに思えてきた。
「では、こちらにお乗り下さい」
しばらくして焦れたガウス大司教に竜車に乗るように促された。青髪さんは名残惜しそうにヴェロから離れた。
竜車の外見はほとんど装飾も無く地味。しかし中に乗り込めばびっくり。中は意外に広かった。僕らとガウス大司教の5人乗っても狭いとは感じず、明かりも点いているので、カーテンが閉まっていても暗いと感じない。床には、長毛の絨毯が敷かれ、座席にもかなり座り心地が良い。異世界物では馬車の乗り心地は最悪というのが定番だったが、この馬車にはちゃんとサスペンションが付いており、乗り心地も悪くない。むしろ良い。
「ねぇ。ここら辺で自己紹介でもしない?いきなり集められたけど見たところ貴方達も日本人でしょ」
「おっ。そうだな。俺は熱田健二だ。高二」
以外にもヤンキーっぽい赤髪君が最初に自己紹介した。
高二って事は赤髪君は先輩なのか。
「私は、水上紗枝。同じく高二よ。あとガウスさん…でいいかしら?
「かまいません。…でなんでしょう?」
「私達の国では、苗字を前に、名を後にして名乗るのですが、こちらではどうなっているのでしょうか?」
「こちらでは名が先に、苗字は後になりますね。私は、ウィルソン・ガウスと申します」
「木下はじめ。高三だ」
「あら先輩なのね。貴方は?」
という事は皆僕より年上なのか。
「僕は、天田英行です。高校一年です」
「あら、君が一番年下なのね。よろしくね天田君」
そういうと水上先輩は、にこりと笑った。ちょっとクールっぽい人がにこりと笑うだけで凄い破壊力だ。
「あっはい。よっよろしくお願いします!熱田先輩。水上先輩、木下先輩」
「あ~俺は先輩ってガラじゃねぇから健二でいい。変わりにお前の事はヒデって呼ぶからな」
赤髪君改め健二さんは、照れくさそうに頬を指でぽりぽりとかいている。どうやら荒っぽいけど悪い人ではないようだ。
「分かりました。でも年上ですんでケンジさんって呼ばせてもらいます」
「まぁそれでいいか」
仮にも勇者として呼び出すんだから、召喚陣の方で悪い人を呼ばないようにしているのかもしれない。
ガウス大司教は、僕が、勇者の人達と自己紹介を含むたわいも無い話をしているのを忌々しそうに見ていたが、止める気は無いようだった。
二十分ほど竜車に乗っていると目的地に着いた。竜車を降りると底は広い広い草原だった。遠くには雪を被った山脈が見える。
竜車が走ってきた方を見ると、そちらにはうっそうとした森が茂っている。話によるとこの場所は結構な僻地に造られているので、僕らが召喚された建物以外周囲には、何も無いのらしい。
「こんな草原テレビでしか見たこと無いわ」
「空も…広いな」
そう感想をこぼしたのは、木下先輩だった。高い建造物の多い日本では早々にお目にかかれない青く広がった空があった。電柱も電線も無く、ただただ無限に広がる空と言うのを僕は生まれて初めて見た。
「んでよ。こんなとこまで来て俺達に何させようってんだ?おっさん」
「神が勇者に与えた力は、神霊機と呼ばれている神の写し身だそうです。勇者は神の写し身に乗り込みアポリオンと戦ったと伝わっています」
つまりロボットとパイロットって事かな?
「神の写し身?それが私達の力?」
「聖書によれば、心の中で強く呼ぶのだそうです。そうすれば神霊機は答え、現れると…」
「へぇ~面白そうじゃん。やってやるぜ」
健二さんは、僕達の居る場所から少し離れた場所に移動すると、そこに立って目をつぶった。そしてしばらくそのままでいると突然叫んだ。
「ん?お!?おお!来た来た来た来たぁああああああ!召喚!フレイムソス!」
すると、健二さんの目の前の足元に巨大な魔法陣が現れた。その魔法陣は炎を纏っており、空中へと浮かび上がると縦横無尽に回転し始めた。巨大な火の玉に姿を変えた魔法陣の回転が最高潮に達した時、光と共に巨大な人型が現れた。それは胸に緑色の宝玉を持つ真っ赤鎧に身を包んだ鋼の巨人だった。
背中に大きな剣を一本背負い。神像を思わせる神々しさと勇猛さを併せ持っている。
すごい!巨大ロボだ!スーパーロボットだ。僕は量産型ロボットが一番好きだけど、スーパーロボットを嫌いなわけじゃない。むしろ嫌いな男が居るだろうか?いや、いない!
召喚が終わると、ズゥンと地面に着地した。
「おお!すっげー!これロボか!ボロだな!かっけー!」
召喚した本人である健二さんは大興奮でフレイムソスと呼んだロボット。いや、神霊機の足元を走り回りながら見上げている。
「…」
「…なんと」
水上先輩はその光景に言葉が出ず、木下先輩はただただ感嘆していた。
「おお、おお!神よ!」
僕達の後ろでは、ガウス大司教が涙を流して、地面に跪いている。こちらの世界では、神話の神が目の前に現れたようなものなのかもしれない。
「さぁお二方も、神霊機の召喚をお試し下され!」
「じゃあ今度は私がやってみるわ!」
今度は、水上先輩が名乗りをあげ、健二さんの左側ちょっと離れた場所まで走っていくと目を閉じた。
「ああ!これがそうなのね。召喚!アクアヴィーネ!」
何か感じ取った水上先輩は高らかに呼んだ。
するとフレイムソスを召喚した時と同じような魔法陣が現れた。今度の魔法陣は水らしきものとを纏っており、空中に浮かび上がると巨大な水球へと姿を変え、今度は、蒼い流麗な装甲を持った女性型ロボットが姿を現した。手には三叉の槍を持っており、周囲には水で出来たと思われる羽衣が舞っている。その幻想的な美しさに一同が息を飲む。
「貴方綺麗ね。アクアヴィーネ」
水上先輩は、アクアヴィーネを見上げて微笑んだ。
「じゃあ、今度は俺がやる!」
召喚に成功した二人を見て俄然やる気になった木下先輩が、健二さんの右側に移動して目を閉じる。
「むっ!召喚!ククノチ!」
そして何かを感じ取ると、カッ!と目を見開いて叫んだ。
クリスマスなどに作られるリースのように枝や、蔓で絡み合って作られた半透明の魔法陣が現れ、空中に浮かび上がる。そして何処からとも無く大量の葉が回転する魔法陣を取り囲む。そしてその葉が爆発するように飛び散ると、そこには、ブラウンの装甲に太い四本の足を持ち、蛇腹状のいかにも伸びそうな腕に武器を持つ事を拒否したかのような殴りに特化した拳を持つ。漢らしいフォルムをしたロボットだった。
三体揃った神霊機が大自然の中たたずむ姿は壮観で、何の前知識も無い僕が見ても感動を禁じえない素晴らしいものだ。
惜しむらくはパイロットが僕では無い事か、でもまぁ勇者じゃないから仕方が無い。
思わず立ち尽くして見上げていると、興奮した様子の健二さんが僕のほうへと走ってきた
「おい!お前もやってみろよ。だいじょぶだってお前だって召喚されたんだから何か出るだろ!」
「えっ!でも…」
僕は、健二さん達みたいに髪の色が変わった訳じゃないんで無理だと思うなぁ。
「いいから男は度胸だ!」
「そうよ。やってみても損は無いわ」
「うむ」
他の勇者様二人にも同じような事を言われた。
まぁやっても恥をかくだけだし、やってみようかな。もしか・・・もしかしたら僕にも何か召喚出来るかもしれないし!
「まぁやって見たら良いんじゃないですかね。どうせ無理でしょうけど…」
おい、ガウス大司教。あなた僕へのヘイト隠さなくなりましたね?
「じゃあ、やってみますよ。何も出なくても笑わないでくださいよ?」
「何もでなくっても笑わないわ。それが普通だもの」
僕は、適当な場所まで離れると、目をつぶった。
えーっと、心の中で強く呼ぶだっけ?もう三機全部出て来てるじゃん。なのに呼んでも来るのかね?まぁでもやってみるか…。
来い~。俺のロボット来い~。来てくれ~!来て下さいお願いします!
――――不正なアクセスを検知しました。アクセスをしゃzxcvbんm、。・¥
突然僕の頭の中に聞き覚えの無い女性の声が響く。抑揚が少なく平坦な喋りから機械音声だと思う。だがその声が全てを喋り終える前に狂ったかのように僕には理解できない事を言い始めた。
何だ!?不正アクセス?何にアクセスしたんだ?これなんだ!絶対危ない奴だよ!ええと中断!シャットダウン!Ctrl+Alt+Del!
僕はそれを中断しようと色々と止めろという命令を繰り返すが、止る様子は無い。こんな不安になる気分は、こっそり見ていたア○ルトサイトでブラクラを踏んだ時以来だ。
止れ止れ止れ止れーーーーーーーーーーーー!!
――――直ちに使用を中だだだだだだだだだ。ブツン!
使用を中断しろといいたかったであろう声は、ブツ切れた。
――――アップデートを完了しました。コールして下さい。現在アンロックされているのは、量産型ギアソルジャー"GS-06 ザム"です
量産型!
その言葉を聞いた瞬間僕は、召喚の言葉を口にした。
「コール!GS-06 ザム!」
先輩達の召喚陣とは違い、それは僕の目の前に、空間を切り取るように長方形を描いていた聳え立つ様に現れた。その長方形には、どうやら設計図らしく、そこには一体のロボットの全体像が描かれていた。
設計図が後ろにスライドすると、それにあわせ設計図から飛び出したかのように一体の灰色のロボが現れた。
そのロボットは、神霊機を比べ一回り小さい。
頭部は、フリッツヘルムと言う第二次大戦時にドイツ軍で使用されたヘルメットと似た形をしていて、目はモノアイ、いわんや一つ目。マスク部は、鳥の嘴の様にパーツが伸びている。
全体的に工業製品らしく平面を多用した造型に、両肩には丸いショルダーアーマーを装備していた
手には円錐の先を切り落としたようなドラムマガジンのマシンガンを携えている。
しいて似たマシンガンを上げるなら第二次大戦時にドイツで作られたMG42だろうか。MG42の銃身を短くして未来っぽいスコープをつければ本当にそっくりだ。
神霊機がツインアイのヒーロー然としたロボットなのに対し、新たに召喚されたロボットザムは一回り小さい兵器然としたロボットだった。
しかも、アニメとかで出てきたら悪役の下っ端ロボ。いわゆる雑魚敵としか思えないようなデザイン。
ああ!とても僕好みのロボットだ!
今までずっと室内に居た事もあり、一歩外に出ると、眩しさに目が眩む。手でひさしを作り空を見上げると、空は元の世界と同じで青く高かった。そして何と、太陽が二つ空の上に浮かんでいた。それが、僕にいやがおうにも異世界に来た事実を突きつけていた。
外では、恐竜映画で見たヴェロキラプトルのような竜が二頭、馬車につながれて待っていた。
「ご安心下さい。これはヴェロと言うとてもおとなしい走竜です。この世界では一般的に、移動の足として使用されております」
ヴェロと呼ばれた竜の顔には、元の世界で見た馬と同じようにハミが取り付けられていた。
「へぇいいツラしてんじゃぇか!」
「これ恐竜じゃないの!」
「すげぇな!」
「ほえぇ」
ちなみに最後が僕の声だ。ぽかんと口を開けて僕はヴェロを見ている。
赤髪君と茶髪君は、興奮した様子でヴェロに近づいているが、僕は近くづくなんてとんでもない!離れた所で見ている事にする。驚きなのは、唯一の女の子である青髪さんが、ヴェロに対して積極的に頬釣りまでしている事だ。
あっ。何か僕が惨めに思えてきた。
「では、こちらにお乗り下さい」
しばらくして焦れたガウス大司教に竜車に乗るように促された。青髪さんは名残惜しそうにヴェロから離れた。
竜車の外見はほとんど装飾も無く地味。しかし中に乗り込めばびっくり。中は意外に広かった。僕らとガウス大司教の5人乗っても狭いとは感じず、明かりも点いているので、カーテンが閉まっていても暗いと感じない。床には、長毛の絨毯が敷かれ、座席にもかなり座り心地が良い。異世界物では馬車の乗り心地は最悪というのが定番だったが、この馬車にはちゃんとサスペンションが付いており、乗り心地も悪くない。むしろ良い。
「ねぇ。ここら辺で自己紹介でもしない?いきなり集められたけど見たところ貴方達も日本人でしょ」
「おっ。そうだな。俺は熱田健二だ。高二」
以外にもヤンキーっぽい赤髪君が最初に自己紹介した。
高二って事は赤髪君は先輩なのか。
「私は、水上紗枝。同じく高二よ。あとガウスさん…でいいかしら?
「かまいません。…でなんでしょう?」
「私達の国では、苗字を前に、名を後にして名乗るのですが、こちらではどうなっているのでしょうか?」
「こちらでは名が先に、苗字は後になりますね。私は、ウィルソン・ガウスと申します」
「木下はじめ。高三だ」
「あら先輩なのね。貴方は?」
という事は皆僕より年上なのか。
「僕は、天田英行です。高校一年です」
「あら、君が一番年下なのね。よろしくね天田君」
そういうと水上先輩は、にこりと笑った。ちょっとクールっぽい人がにこりと笑うだけで凄い破壊力だ。
「あっはい。よっよろしくお願いします!熱田先輩。水上先輩、木下先輩」
「あ~俺は先輩ってガラじゃねぇから健二でいい。変わりにお前の事はヒデって呼ぶからな」
赤髪君改め健二さんは、照れくさそうに頬を指でぽりぽりとかいている。どうやら荒っぽいけど悪い人ではないようだ。
「分かりました。でも年上ですんでケンジさんって呼ばせてもらいます」
「まぁそれでいいか」
仮にも勇者として呼び出すんだから、召喚陣の方で悪い人を呼ばないようにしているのかもしれない。
ガウス大司教は、僕が、勇者の人達と自己紹介を含むたわいも無い話をしているのを忌々しそうに見ていたが、止める気は無いようだった。
二十分ほど竜車に乗っていると目的地に着いた。竜車を降りると底は広い広い草原だった。遠くには雪を被った山脈が見える。
竜車が走ってきた方を見ると、そちらにはうっそうとした森が茂っている。話によるとこの場所は結構な僻地に造られているので、僕らが召喚された建物以外周囲には、何も無いのらしい。
「こんな草原テレビでしか見たこと無いわ」
「空も…広いな」
そう感想をこぼしたのは、木下先輩だった。高い建造物の多い日本では早々にお目にかかれない青く広がった空があった。電柱も電線も無く、ただただ無限に広がる空と言うのを僕は生まれて初めて見た。
「んでよ。こんなとこまで来て俺達に何させようってんだ?おっさん」
「神が勇者に与えた力は、神霊機と呼ばれている神の写し身だそうです。勇者は神の写し身に乗り込みアポリオンと戦ったと伝わっています」
つまりロボットとパイロットって事かな?
「神の写し身?それが私達の力?」
「聖書によれば、心の中で強く呼ぶのだそうです。そうすれば神霊機は答え、現れると…」
「へぇ~面白そうじゃん。やってやるぜ」
健二さんは、僕達の居る場所から少し離れた場所に移動すると、そこに立って目をつぶった。そしてしばらくそのままでいると突然叫んだ。
「ん?お!?おお!来た来た来た来たぁああああああ!召喚!フレイムソス!」
すると、健二さんの目の前の足元に巨大な魔法陣が現れた。その魔法陣は炎を纏っており、空中へと浮かび上がると縦横無尽に回転し始めた。巨大な火の玉に姿を変えた魔法陣の回転が最高潮に達した時、光と共に巨大な人型が現れた。それは胸に緑色の宝玉を持つ真っ赤鎧に身を包んだ鋼の巨人だった。
背中に大きな剣を一本背負い。神像を思わせる神々しさと勇猛さを併せ持っている。
すごい!巨大ロボだ!スーパーロボットだ。僕は量産型ロボットが一番好きだけど、スーパーロボットを嫌いなわけじゃない。むしろ嫌いな男が居るだろうか?いや、いない!
召喚が終わると、ズゥンと地面に着地した。
「おお!すっげー!これロボか!ボロだな!かっけー!」
召喚した本人である健二さんは大興奮でフレイムソスと呼んだロボット。いや、神霊機の足元を走り回りながら見上げている。
「…」
「…なんと」
水上先輩はその光景に言葉が出ず、木下先輩はただただ感嘆していた。
「おお、おお!神よ!」
僕達の後ろでは、ガウス大司教が涙を流して、地面に跪いている。こちらの世界では、神話の神が目の前に現れたようなものなのかもしれない。
「さぁお二方も、神霊機の召喚をお試し下され!」
「じゃあ今度は私がやってみるわ!」
今度は、水上先輩が名乗りをあげ、健二さんの左側ちょっと離れた場所まで走っていくと目を閉じた。
「ああ!これがそうなのね。召喚!アクアヴィーネ!」
何か感じ取った水上先輩は高らかに呼んだ。
するとフレイムソスを召喚した時と同じような魔法陣が現れた。今度の魔法陣は水らしきものとを纏っており、空中に浮かび上がると巨大な水球へと姿を変え、今度は、蒼い流麗な装甲を持った女性型ロボットが姿を現した。手には三叉の槍を持っており、周囲には水で出来たと思われる羽衣が舞っている。その幻想的な美しさに一同が息を飲む。
「貴方綺麗ね。アクアヴィーネ」
水上先輩は、アクアヴィーネを見上げて微笑んだ。
「じゃあ、今度は俺がやる!」
召喚に成功した二人を見て俄然やる気になった木下先輩が、健二さんの右側に移動して目を閉じる。
「むっ!召喚!ククノチ!」
そして何かを感じ取ると、カッ!と目を見開いて叫んだ。
クリスマスなどに作られるリースのように枝や、蔓で絡み合って作られた半透明の魔法陣が現れ、空中に浮かび上がる。そして何処からとも無く大量の葉が回転する魔法陣を取り囲む。そしてその葉が爆発するように飛び散ると、そこには、ブラウンの装甲に太い四本の足を持ち、蛇腹状のいかにも伸びそうな腕に武器を持つ事を拒否したかのような殴りに特化した拳を持つ。漢らしいフォルムをしたロボットだった。
三体揃った神霊機が大自然の中たたずむ姿は壮観で、何の前知識も無い僕が見ても感動を禁じえない素晴らしいものだ。
惜しむらくはパイロットが僕では無い事か、でもまぁ勇者じゃないから仕方が無い。
思わず立ち尽くして見上げていると、興奮した様子の健二さんが僕のほうへと走ってきた
「おい!お前もやってみろよ。だいじょぶだってお前だって召喚されたんだから何か出るだろ!」
「えっ!でも…」
僕は、健二さん達みたいに髪の色が変わった訳じゃないんで無理だと思うなぁ。
「いいから男は度胸だ!」
「そうよ。やってみても損は無いわ」
「うむ」
他の勇者様二人にも同じような事を言われた。
まぁやっても恥をかくだけだし、やってみようかな。もしか・・・もしかしたら僕にも何か召喚出来るかもしれないし!
「まぁやって見たら良いんじゃないですかね。どうせ無理でしょうけど…」
おい、ガウス大司教。あなた僕へのヘイト隠さなくなりましたね?
「じゃあ、やってみますよ。何も出なくても笑わないでくださいよ?」
「何もでなくっても笑わないわ。それが普通だもの」
僕は、適当な場所まで離れると、目をつぶった。
えーっと、心の中で強く呼ぶだっけ?もう三機全部出て来てるじゃん。なのに呼んでも来るのかね?まぁでもやってみるか…。
来い~。俺のロボット来い~。来てくれ~!来て下さいお願いします!
――――不正なアクセスを検知しました。アクセスをしゃzxcvbんm、。・¥
突然僕の頭の中に聞き覚えの無い女性の声が響く。抑揚が少なく平坦な喋りから機械音声だと思う。だがその声が全てを喋り終える前に狂ったかのように僕には理解できない事を言い始めた。
何だ!?不正アクセス?何にアクセスしたんだ?これなんだ!絶対危ない奴だよ!ええと中断!シャットダウン!Ctrl+Alt+Del!
僕はそれを中断しようと色々と止めろという命令を繰り返すが、止る様子は無い。こんな不安になる気分は、こっそり見ていたア○ルトサイトでブラクラを踏んだ時以来だ。
止れ止れ止れ止れーーーーーーーーーーーー!!
――――直ちに使用を中だだだだだだだだだ。ブツン!
使用を中断しろといいたかったであろう声は、ブツ切れた。
――――アップデートを完了しました。コールして下さい。現在アンロックされているのは、量産型ギアソルジャー"GS-06 ザム"です
量産型!
その言葉を聞いた瞬間僕は、召喚の言葉を口にした。
「コール!GS-06 ザム!」
先輩達の召喚陣とは違い、それは僕の目の前に、空間を切り取るように長方形を描いていた聳え立つ様に現れた。その長方形には、どうやら設計図らしく、そこには一体のロボットの全体像が描かれていた。
設計図が後ろにスライドすると、それにあわせ設計図から飛び出したかのように一体の灰色のロボが現れた。
そのロボットは、神霊機を比べ一回り小さい。
頭部は、フリッツヘルムと言う第二次大戦時にドイツ軍で使用されたヘルメットと似た形をしていて、目はモノアイ、いわんや一つ目。マスク部は、鳥の嘴の様にパーツが伸びている。
全体的に工業製品らしく平面を多用した造型に、両肩には丸いショルダーアーマーを装備していた
手には円錐の先を切り落としたようなドラムマガジンのマシンガンを携えている。
しいて似たマシンガンを上げるなら第二次大戦時にドイツで作られたMG42だろうか。MG42の銃身を短くして未来っぽいスコープをつければ本当にそっくりだ。
神霊機がツインアイのヒーロー然としたロボットなのに対し、新たに召喚されたロボットザムは一回り小さい兵器然としたロボットだった。
しかも、アニメとかで出てきたら悪役の下っ端ロボ。いわゆる雑魚敵としか思えないようなデザイン。
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