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47マリリン
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マリリン・リンカーンを覚えておいでだろうか?
オリヴィアが学園を追い出されてから、サーカス団に拾われて、サーカスのお抱え専属医となったある日、興行先の子爵家領主へあいさつに行ったとき、転生者のマリリンと出会った。
オリヴィアの前世、神野太郎と同じく東都医科大学付属病院で看護師をしていた速水凛子だったのだ。
その彼女が看護業務の傍ら、ドハマリして遊んでいた乙女ゲームの世界に瓜二つが、今、この異世界らしいということを聞いた。
確か『救国の聖女様』という名の乙女ゲームと聞いた記憶がかすかにある。
オリヴィアは、乙女ゲームの中だと聞かされても、そもそも乙女ゲームに興味がなく、あらすじを聞かされたところで、何か行動する気は、サラサラなかったので、その時はそのまま聞き流していたのだが。
今、目の前にそのマリリンが鬼の形相をしながら、座っている。
「どうして、マルベールに行かなかったのよ?」
あの頃は4歳のおさなごで今は、7歳ぐらいになっているのだろうか?背も伸び、横にも大きくなっている。
「よくここがわかったわね。」
「パパがアデセルと通商しているのよ。それで、この国で誰かが聖女様に覚醒したって聞いたから、ピンと来たわ。リヴィは、マルベールに行って魔物退治して、それから王子様と結婚するのよ。それなのに、勝手にアデセルなんかに行ってしまって。」
「アデセルは、暖かくて、いいところよ。ほら前世のO県みたいでしょ。人々は親切だし、時間がゆっくり流れているような気がするわ。」
「あのねっ!ゲームには強制力というものがあるのよ?王子様と結婚したくはないの?」
「わたくし、もうしばらくしたら、アデセルの王子様と結婚するのよ。結婚式には招待させていただくわ。」
「えええー!それ、本当?おめでとう。Storyは、変わっても、やっぱり王子様と結婚する運命にあるのね。へぇー。」
少女から、しきりに感心されてもね。
「こちらには、しばらくいられるの?」
「そのつもりよ。マンゴーやパイナップルをたくさん食べるわ。ねぇ、旦那さんになる王子様を紹介してよ。どんな人?かっこいい?あ、……!それより、バーモンド殿下は行方不明になられたって話よ。知ってる?」
「え?それは、いつのこと?」
「うーーん、いつだったかな?リヴィと会って、そんなに時間は経っていないような?しばらくしてからの話だと思うわよ?」
そう言えば、この前、王都に絨毯を売りに行ったとき、ステファニーおばあさんの家ごとなかったわ。
あの時、「真の聖女様はステファニーおばあさんである」と告げたからか?ステファニーおばあさんもろとも連絡がつかなくなったのは、バーモンドと関係があるのかしら?
あれは、逃げるための時間稼ぎのつもりで言ったんだけど、軽はずみなことを言ってしまったみたい。
まさか?バーモンドがステファニーおばあさんを手にかけ、自責の念で出奔したとか?それとも、二人で駆け落ちしたこともあり得る話よね。バーモンドは、ああ見えて、マザコンなところがあったから。
頭の中をいろんな考えが浮かんでは、消える。かぶりを振って、そんな考えを打ち払う。
その姿を見て、マリリンは変に気を回す。
「あれれー?ひょっとして、逃がした魚は大きいとか、思ってる?」
「そんなわけないでしょ?」
と、そこへアールスハイド殿下がやってくる。
「これは、これは、可愛らしいお客様だったのですね。」
アールは、アンダルシアからの客と聞いて、身構えて、何かあれば、オリヴィアを守るつもりで部屋に入ってきたようだ。
「あっは。初めまして、マリリン・リンカーンでございます。アンダルシアでは、子爵家の令嬢をしております。」
マリリンは、やや緊張した面持ちで、ペコリと頭を下げている。
オリヴィアが学園を追い出されてから、サーカス団に拾われて、サーカスのお抱え専属医となったある日、興行先の子爵家領主へあいさつに行ったとき、転生者のマリリンと出会った。
オリヴィアの前世、神野太郎と同じく東都医科大学付属病院で看護師をしていた速水凛子だったのだ。
その彼女が看護業務の傍ら、ドハマリして遊んでいた乙女ゲームの世界に瓜二つが、今、この異世界らしいということを聞いた。
確か『救国の聖女様』という名の乙女ゲームと聞いた記憶がかすかにある。
オリヴィアは、乙女ゲームの中だと聞かされても、そもそも乙女ゲームに興味がなく、あらすじを聞かされたところで、何か行動する気は、サラサラなかったので、その時はそのまま聞き流していたのだが。
今、目の前にそのマリリンが鬼の形相をしながら、座っている。
「どうして、マルベールに行かなかったのよ?」
あの頃は4歳のおさなごで今は、7歳ぐらいになっているのだろうか?背も伸び、横にも大きくなっている。
「よくここがわかったわね。」
「パパがアデセルと通商しているのよ。それで、この国で誰かが聖女様に覚醒したって聞いたから、ピンと来たわ。リヴィは、マルベールに行って魔物退治して、それから王子様と結婚するのよ。それなのに、勝手にアデセルなんかに行ってしまって。」
「アデセルは、暖かくて、いいところよ。ほら前世のO県みたいでしょ。人々は親切だし、時間がゆっくり流れているような気がするわ。」
「あのねっ!ゲームには強制力というものがあるのよ?王子様と結婚したくはないの?」
「わたくし、もうしばらくしたら、アデセルの王子様と結婚するのよ。結婚式には招待させていただくわ。」
「えええー!それ、本当?おめでとう。Storyは、変わっても、やっぱり王子様と結婚する運命にあるのね。へぇー。」
少女から、しきりに感心されてもね。
「こちらには、しばらくいられるの?」
「そのつもりよ。マンゴーやパイナップルをたくさん食べるわ。ねぇ、旦那さんになる王子様を紹介してよ。どんな人?かっこいい?あ、……!それより、バーモンド殿下は行方不明になられたって話よ。知ってる?」
「え?それは、いつのこと?」
「うーーん、いつだったかな?リヴィと会って、そんなに時間は経っていないような?しばらくしてからの話だと思うわよ?」
そう言えば、この前、王都に絨毯を売りに行ったとき、ステファニーおばあさんの家ごとなかったわ。
あの時、「真の聖女様はステファニーおばあさんである」と告げたからか?ステファニーおばあさんもろとも連絡がつかなくなったのは、バーモンドと関係があるのかしら?
あれは、逃げるための時間稼ぎのつもりで言ったんだけど、軽はずみなことを言ってしまったみたい。
まさか?バーモンドがステファニーおばあさんを手にかけ、自責の念で出奔したとか?それとも、二人で駆け落ちしたこともあり得る話よね。バーモンドは、ああ見えて、マザコンなところがあったから。
頭の中をいろんな考えが浮かんでは、消える。かぶりを振って、そんな考えを打ち払う。
その姿を見て、マリリンは変に気を回す。
「あれれー?ひょっとして、逃がした魚は大きいとか、思ってる?」
「そんなわけないでしょ?」
と、そこへアールスハイド殿下がやってくる。
「これは、これは、可愛らしいお客様だったのですね。」
アールは、アンダルシアからの客と聞いて、身構えて、何かあれば、オリヴィアを守るつもりで部屋に入ってきたようだ。
「あっは。初めまして、マリリン・リンカーンでございます。アンダルシアでは、子爵家の令嬢をしております。」
マリリンは、やや緊張した面持ちで、ペコリと頭を下げている。
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