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48嫉妬
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「わぁっー!かっこいい!」
マリリンが思わず声に出して、言ってから、すっかり和やかなムードになった。このあたり前世看護師だけあり、雰囲気を変えるのがうまい。
「リンちゃんとリヴィって、どういう関係?」
「うふふ。」
どういってごまかそうかと思っていると
「あのね。リヴィお姉さまが、アンダルシアにいらしたときに、偶然知り合ったのよ。ちょうど、領地へ帰られる途中に、ウチの領地があって、立ち寄ってくださったの。」
「なるほど。リンちゃんとリヴィは同じアンダルシア国民だったから、社交界ではなく、そういうつながりがあるんだね。」
「ねぇ。アールお兄様、リンに御本読んでくださらない?アンダルシアと表現が違うから、わからなくて。」
「ああ、いいよ。」
いつの間に、アール呼びで、しかもお兄様なんて!でも、アールも急に可愛い妹ができたような感覚になり、まんざらでもなさそう。
まずい!このままでは、リンちゃんに盗られるかも?いやいや、オリヴィアとの年齢差は12歳ぐらいだから、たぶん大丈夫なはず。でも、殿方の多くは、若い女性を好む。それは、若いほど受胎確率が高くなり、子孫を残せる可能性があるから。いわば本能だ。
前世の記憶が過る。
同僚で、若い女の尻ばかりを追いかけていた医師がいた。女のほうも、相手が医師と言うだけで、いとも簡単に股を開く。
「女の価値は、20歳前後、25歳の女なんて、何の価値もない。」
そのくせ処女はめんどくさいと言い、ロストバージンをしたばかりの経験の浅い女の子を狙っていた。
と、思い出していると、まさにオリヴィアは、その旬な年齢に当てはまっているのではないか?
それにロストバージンのお相手は、ほかならぬアール殿下なのだから、ここは責任を取ってもらわないと困る。
今夜、アールは泊っていくつもりでいるみたいだが、リンがいるから、しばらくお預けをくらわしてやろうと思っている。
だって、あの娘、前世で行かず後家の上、欲求不満で死んだのよ。だから、「声」を聴かれたくない。
ライオンちゃんが足元に来て、鼻でオリヴィアを押す。
ライオンちゃんは、オリヴィアが考えていること、すべてお見通しなのだから、恐れ入る。
そのまま部屋の外まで、連れ出されると、その場にしゃがみ込んで、「乗れ」という合図を送ってくる。
その指示に従い、ライオンちゃんの背中にしがみつく。
ライオンちゃんは、少しだけカラダを大きくして、王都のあちこちを走り回ってくれる。温かいはずの風が、涼しく感じ気持ちいい。さっきまでの嫉妬に満ちた感情は、すっかり消え失せている。
スカっとした気分で、王都のタウンハウスの扉に手をかけた時、中からリンとアール殿下の笑い声が聞こえてくる。
扉から手をはなし、振り返ってライオンちゃんのほうを見ながら、
「今日は、このまま領地へ帰りましょう。」
ライオンちゃんに再び、跨り、そのまま転移魔法をかけて、領地に着く。
侯爵邸の前まで飛ぶと、侯爵邸の中から使用人がぞろぞろ出てくる。
「お嬢様、今日は王都でお泊りではなかったのでございますか?」
「アール様はお忙しいようだから、こちらに戻ってきましたのよ。」
少しウソを吐く。
「まぁ、殿下も少しは、お役が付いたのでございますね。聖女様と結婚するというのに、いつまでたっても冷や飯食いでは、格好になりませんもの。」
使用人は、領地だからの気楽さゆえか、言いたいことを言う。
そのまま、カントリーハウスの自室にこもり、お風呂を頂いて、簡単な食事を済ませ、眠ることにする。
使用人たちは、アール殿下と何かあったと勘付いているが、何も言わずにいてくれることはありがたい。
別に喧嘩をしたわけでも、何でもない。けど、心の中のモヤモヤが治まらない。
マリリンが思わず声に出して、言ってから、すっかり和やかなムードになった。このあたり前世看護師だけあり、雰囲気を変えるのがうまい。
「リンちゃんとリヴィって、どういう関係?」
「うふふ。」
どういってごまかそうかと思っていると
「あのね。リヴィお姉さまが、アンダルシアにいらしたときに、偶然知り合ったのよ。ちょうど、領地へ帰られる途中に、ウチの領地があって、立ち寄ってくださったの。」
「なるほど。リンちゃんとリヴィは同じアンダルシア国民だったから、社交界ではなく、そういうつながりがあるんだね。」
「ねぇ。アールお兄様、リンに御本読んでくださらない?アンダルシアと表現が違うから、わからなくて。」
「ああ、いいよ。」
いつの間に、アール呼びで、しかもお兄様なんて!でも、アールも急に可愛い妹ができたような感覚になり、まんざらでもなさそう。
まずい!このままでは、リンちゃんに盗られるかも?いやいや、オリヴィアとの年齢差は12歳ぐらいだから、たぶん大丈夫なはず。でも、殿方の多くは、若い女性を好む。それは、若いほど受胎確率が高くなり、子孫を残せる可能性があるから。いわば本能だ。
前世の記憶が過る。
同僚で、若い女の尻ばかりを追いかけていた医師がいた。女のほうも、相手が医師と言うだけで、いとも簡単に股を開く。
「女の価値は、20歳前後、25歳の女なんて、何の価値もない。」
そのくせ処女はめんどくさいと言い、ロストバージンをしたばかりの経験の浅い女の子を狙っていた。
と、思い出していると、まさにオリヴィアは、その旬な年齢に当てはまっているのではないか?
それにロストバージンのお相手は、ほかならぬアール殿下なのだから、ここは責任を取ってもらわないと困る。
今夜、アールは泊っていくつもりでいるみたいだが、リンがいるから、しばらくお預けをくらわしてやろうと思っている。
だって、あの娘、前世で行かず後家の上、欲求不満で死んだのよ。だから、「声」を聴かれたくない。
ライオンちゃんが足元に来て、鼻でオリヴィアを押す。
ライオンちゃんは、オリヴィアが考えていること、すべてお見通しなのだから、恐れ入る。
そのまま部屋の外まで、連れ出されると、その場にしゃがみ込んで、「乗れ」という合図を送ってくる。
その指示に従い、ライオンちゃんの背中にしがみつく。
ライオンちゃんは、少しだけカラダを大きくして、王都のあちこちを走り回ってくれる。温かいはずの風が、涼しく感じ気持ちいい。さっきまでの嫉妬に満ちた感情は、すっかり消え失せている。
スカっとした気分で、王都のタウンハウスの扉に手をかけた時、中からリンとアール殿下の笑い声が聞こえてくる。
扉から手をはなし、振り返ってライオンちゃんのほうを見ながら、
「今日は、このまま領地へ帰りましょう。」
ライオンちゃんに再び、跨り、そのまま転移魔法をかけて、領地に着く。
侯爵邸の前まで飛ぶと、侯爵邸の中から使用人がぞろぞろ出てくる。
「お嬢様、今日は王都でお泊りではなかったのでございますか?」
「アール様はお忙しいようだから、こちらに戻ってきましたのよ。」
少しウソを吐く。
「まぁ、殿下も少しは、お役が付いたのでございますね。聖女様と結婚するというのに、いつまでたっても冷や飯食いでは、格好になりませんもの。」
使用人は、領地だからの気楽さゆえか、言いたいことを言う。
そのまま、カントリーハウスの自室にこもり、お風呂を頂いて、簡単な食事を済ませ、眠ることにする。
使用人たちは、アール殿下と何かあったと勘付いているが、何も言わずにいてくれることはありがたい。
別に喧嘩をしたわけでも、何でもない。けど、心の中のモヤモヤが治まらない。
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