78 / 80
78ニュータウン
しおりを挟む
ハーメルンの笛のごとき、マルベール国から、クランベールの兵士とマルベール国民を連れてきたオリヴィアとエリオットは、あらかじめ用意していた、団地に全員を収容する予定でいる。
大手ハウスメーカーの専属設計士だったエリオットの前世の知識を生かし、インプリンティング後の住まいを作ることを早々と提案していたのだ。
国境沿いにまるで、要塞のように立ちはだかる団地列は、1階が店舗と幼稚園、保育園、託児所で2階部分が小学学園の低学年の教室、3階部分が中学年、4階部分が高学年が使用する教室、5階から7階までを中等学園の生徒が使用する教室で、8階から10階までが高等学園、11階から14階までが大学になり、それ以上を住居としている。
エレベーターはもちろんあるが、住宅直通の者とそれぞれの学園ごとに止まるエレベーターと分けて設置した。
当然まだ生徒は一人もいない。これからこの団地に住む子供が通うための学園だから。
先生役は、住人の中から適性のあるものを選び、教師とする。
当分の間は、昼休憩時にそれぞれの自宅に戻ってもらい、昼ご飯を食べに帰ってもらう。少し落ち着けば、給食や食堂を整備し、食事の提供も考えている。
団地の前には、グランドがあり、ここで球技大会や運動会を催すことを視野に入れている。グランドの周りには、フェンスを張り巡らし、木々を植え、花壇を配置し、噴水とまではいかないがベンチを置いて休憩できるように配慮している。
グランドの斜め横に大型ショッピングセンターを作り、日常の買い物に便利なように工夫した。
このショッピングセンターの店員も団地の住民から選ぶことにする。
風呂から上がった住民たちは、先ほどの人別帳を元に部屋を振り分けていく。将来、家族を呼び寄せたい者もいるだろうから、単身者でも一律に5LDKの間取りにする。
ニッポン人の感覚からすれば、広すぎる感はあるが、ここは異世界だから白物家電にクローゼット、ベッドはホテル仕様にしたものをオリヴィアが前世通販で取り寄せ、ベッドメイキングは、スカイダウン家の侍女が総出で行ったのだ。
その甲斐あって、誰も彼もが笑顔である。マルベール国民の振り分けは、マルベール王子の重鎮だった宰相が、引き受けてくれたのだ。
エリオットの両親をかどわかし、ピーちゃんに脅迫状を詫した張本人なのだが、今や改心したみたいで、忠実な聖女様ファンの一人となっている。
クランベール側も、マルベールの宰相が名乗り出たせいか、総大将が振り分けを手伝ってくれることになったのだが、この総大将に見覚えがある。
絵姿で見たクランベール王子様ではないか?
なぜこんなところに王子様が、それも総大将として、以前オリヴィアがクランベールへ偵察?というか縁談の聞き合わせに行ったとき、ものすごく死んだ魚の目をしていた印象がある。
あまりにも覇気を感じられないその姿で、よくもまぁ総大将として、戦に挑んだものだと感心する。
それとも、周りからせっつかれて仕方なく引き受けたのだろうか?
どちらかと言えば、クランベール王子は武闘派ではなく、事務方それも管理部門の責任者というほうが性にあっていると思う。
宰相になれても、王としての器はない。
だからインプリンティングしてあげて、クランベールの王子のためにはなっただろう。
まぁ、本人はどう思っているかは、わからない。
とにかく王子様の言うことには、絶対服従だから、手っ取り早い。王子で総大将に鍵を貰った者は、そそくさとエレベーターに乗り込む。
エリオットは、土禁の習慣を付けさせようとするが、どうもうまくいかない。
エレベーターボーイをしなければ、乗り方さえわからない者ばかりなので、鍵の左側の番号で並ばせることにしたのだ。
オリヴィアもエレベーターガールをすることにしたら、オリヴィアの方ばかりに並ばれて、困った。
それでは、とてもこの人数を捌けないから、いちいち一緒に乗らず、行き先会のボタンだけを押し、その甲斐で止まっているところを下から押して、呼ぶようにしたのだ。
そうすることで、ひとり3台ずつ、エリオットと二人で6台のエレベーターを動かすことができる。
大手ハウスメーカーの専属設計士だったエリオットの前世の知識を生かし、インプリンティング後の住まいを作ることを早々と提案していたのだ。
国境沿いにまるで、要塞のように立ちはだかる団地列は、1階が店舗と幼稚園、保育園、託児所で2階部分が小学学園の低学年の教室、3階部分が中学年、4階部分が高学年が使用する教室、5階から7階までを中等学園の生徒が使用する教室で、8階から10階までが高等学園、11階から14階までが大学になり、それ以上を住居としている。
エレベーターはもちろんあるが、住宅直通の者とそれぞれの学園ごとに止まるエレベーターと分けて設置した。
当然まだ生徒は一人もいない。これからこの団地に住む子供が通うための学園だから。
先生役は、住人の中から適性のあるものを選び、教師とする。
当分の間は、昼休憩時にそれぞれの自宅に戻ってもらい、昼ご飯を食べに帰ってもらう。少し落ち着けば、給食や食堂を整備し、食事の提供も考えている。
団地の前には、グランドがあり、ここで球技大会や運動会を催すことを視野に入れている。グランドの周りには、フェンスを張り巡らし、木々を植え、花壇を配置し、噴水とまではいかないがベンチを置いて休憩できるように配慮している。
グランドの斜め横に大型ショッピングセンターを作り、日常の買い物に便利なように工夫した。
このショッピングセンターの店員も団地の住民から選ぶことにする。
風呂から上がった住民たちは、先ほどの人別帳を元に部屋を振り分けていく。将来、家族を呼び寄せたい者もいるだろうから、単身者でも一律に5LDKの間取りにする。
ニッポン人の感覚からすれば、広すぎる感はあるが、ここは異世界だから白物家電にクローゼット、ベッドはホテル仕様にしたものをオリヴィアが前世通販で取り寄せ、ベッドメイキングは、スカイダウン家の侍女が総出で行ったのだ。
その甲斐あって、誰も彼もが笑顔である。マルベール国民の振り分けは、マルベール王子の重鎮だった宰相が、引き受けてくれたのだ。
エリオットの両親をかどわかし、ピーちゃんに脅迫状を詫した張本人なのだが、今や改心したみたいで、忠実な聖女様ファンの一人となっている。
クランベール側も、マルベールの宰相が名乗り出たせいか、総大将が振り分けを手伝ってくれることになったのだが、この総大将に見覚えがある。
絵姿で見たクランベール王子様ではないか?
なぜこんなところに王子様が、それも総大将として、以前オリヴィアがクランベールへ偵察?というか縁談の聞き合わせに行ったとき、ものすごく死んだ魚の目をしていた印象がある。
あまりにも覇気を感じられないその姿で、よくもまぁ総大将として、戦に挑んだものだと感心する。
それとも、周りからせっつかれて仕方なく引き受けたのだろうか?
どちらかと言えば、クランベール王子は武闘派ではなく、事務方それも管理部門の責任者というほうが性にあっていると思う。
宰相になれても、王としての器はない。
だからインプリンティングしてあげて、クランベールの王子のためにはなっただろう。
まぁ、本人はどう思っているかは、わからない。
とにかく王子様の言うことには、絶対服従だから、手っ取り早い。王子で総大将に鍵を貰った者は、そそくさとエレベーターに乗り込む。
エリオットは、土禁の習慣を付けさせようとするが、どうもうまくいかない。
エレベーターボーイをしなければ、乗り方さえわからない者ばかりなので、鍵の左側の番号で並ばせることにしたのだ。
オリヴィアもエレベーターガールをすることにしたら、オリヴィアの方ばかりに並ばれて、困った。
それでは、とてもこの人数を捌けないから、いちいち一緒に乗らず、行き先会のボタンだけを押し、その甲斐で止まっているところを下から押して、呼ぶようにしたのだ。
そうすることで、ひとり3台ずつ、エリオットと二人で6台のエレベーターを動かすことができる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
161
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる