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79教祖様
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移民に住むところと仕事を与え、定住させる。これで平和的解決の第1段階は終了する。
第2段階としては、たまたまその時、屋内にいて雨に打たれなかった者たちをどうやって、再び雨に濡れさせるかということが問題である。
エリオットは、行商人に成りすまし、美味い酒やジュースに混ぜて、売り歩くことを思いつく。
「ところで、何のお酒や飲み物にする?やっぱりワインかぶどうジュースだろうか?」
「目新しいものでないと、なかなか飲んではくれなさそう。」
「いい香りがするものなら、飲んでみたいと思うかも?」
「それならブルーベリーティかベリーベリーティなら、どうかな?」
「大人には、それにほんの少し、お酒を混ぜて、相手がドワーフなら直接ウオッカやテキーラの試飲会をしてもよさそうだね。」
「とにかく試飲会と称して、タダでふるまえば、割と飲んでくれると思う。」
タダほど安いものはないかわりに、タダほど高いものもないというわけ。
「子供には、ジュースやブルーベリーティでもいいかもしれないけど、大人にならブランデーやウイスキーに冷えたビールのほうがウケるよ。」
「だったら、わたくしも一緒に行かないと、冷えたビールが出せないでしょ。」
「クーラーボックスで事足りるけど、オリヴィアさえ良ければ、エスコートするよ。」
というわけで、またしても二人そろってラブラブしながら、周辺国にインプリンティングを飲ませる行脚に出かけることにしたのだ。
聖女様が行かれるのならと、ライオンちゃんにピーちゃんも一緒。スカイダウン家からも護衛が引っ付いてくる。
エリオットが行くのなら、周辺各国へ布教活動をしなければ、となぜか旧アンダルシア国教会も何名か修道士を派遣するという。
思いがけずに婚前旅行のつもりは大所帯での大移動として、行くことになるのはいつものことながら、オリヴィアとエリオットには少々迷惑な話。
とはいっても、マルベールへは、転移魔法で行くだけだから、そう手間はかからない。
それで、とりあえず明日にでも、出発ということになり、教会では、人選に大わらわして、大騒ぎとなる。
オリヴィアは、前世通販に余念がない。
「ウイスキーにブランデーにテキーラ、紹興酒もあったほうがいいわね。ウオッカはストレートで飲む?念のため、氷を用意してロックにした方が安全かしら。ミネラルウオーターも必要かもしれない。忘れちゃいけないのが、ビールよね。」
オリヴィアは、前世通販で買いこんだ大量のお酒類を異空間に仕舞う。
樽で飲む者のためには、あらかじめインプリンティング薬を仕込ませておく。準備万端調ったところで、ふとエリオットを見ると、他の修道士たちに「ガッチャンミー」の解説とともに、教えている。
さすが、元坊主の息子だけあり、説法などはお手の物なのだろう。やたら説得力だけはある。
いつの間にか司祭様までがお越しになられ、エリオットの説法に耳を傾けておられる。
いやはや大したものだ。これなら前世世界なら教祖様としてもてはやされたことだろう。
と何気に見ていたら、ついに!司祭様までがエリオットに向かって手を合わせ始めた。
ええーっ!どうするの?司祭様曰く、
「聖女様とご結婚された暁には、エリオット殿が我が国教会の教祖となられるように、取り計らいます。」
エリオット本人は、まんざらでもなさそうな顔をしている。もしかして、やる気満々なのかしらね。
「俺、東都大学出てから、仏教系の大学に2年間通って、宗派僧侶の最高位を取得したんだぜ。学士入学したんだけどさ、入学するときはかなり大変だったんだよ。」
「それで、お寺さん継いだの?」
「まさか。親父が現役だったから、そのまま大手ハウスメーカーに就職して、結婚して、先に俺がくたばっちまったってわけ。でも夏季休暇の時なんか、バイクで檀家回りをしたものだぜ。お布施はそっくり俺の小遣いになったものさ。それで銀座のクラブへ飲み歩いてさ。あの頃は良かったなぁ。懐かしい。もう二度と戻れないだろうか?」
第2段階としては、たまたまその時、屋内にいて雨に打たれなかった者たちをどうやって、再び雨に濡れさせるかということが問題である。
エリオットは、行商人に成りすまし、美味い酒やジュースに混ぜて、売り歩くことを思いつく。
「ところで、何のお酒や飲み物にする?やっぱりワインかぶどうジュースだろうか?」
「目新しいものでないと、なかなか飲んではくれなさそう。」
「いい香りがするものなら、飲んでみたいと思うかも?」
「それならブルーベリーティかベリーベリーティなら、どうかな?」
「大人には、それにほんの少し、お酒を混ぜて、相手がドワーフなら直接ウオッカやテキーラの試飲会をしてもよさそうだね。」
「とにかく試飲会と称して、タダでふるまえば、割と飲んでくれると思う。」
タダほど安いものはないかわりに、タダほど高いものもないというわけ。
「子供には、ジュースやブルーベリーティでもいいかもしれないけど、大人にならブランデーやウイスキーに冷えたビールのほうがウケるよ。」
「だったら、わたくしも一緒に行かないと、冷えたビールが出せないでしょ。」
「クーラーボックスで事足りるけど、オリヴィアさえ良ければ、エスコートするよ。」
というわけで、またしても二人そろってラブラブしながら、周辺国にインプリンティングを飲ませる行脚に出かけることにしたのだ。
聖女様が行かれるのならと、ライオンちゃんにピーちゃんも一緒。スカイダウン家からも護衛が引っ付いてくる。
エリオットが行くのなら、周辺各国へ布教活動をしなければ、となぜか旧アンダルシア国教会も何名か修道士を派遣するという。
思いがけずに婚前旅行のつもりは大所帯での大移動として、行くことになるのはいつものことながら、オリヴィアとエリオットには少々迷惑な話。
とはいっても、マルベールへは、転移魔法で行くだけだから、そう手間はかからない。
それで、とりあえず明日にでも、出発ということになり、教会では、人選に大わらわして、大騒ぎとなる。
オリヴィアは、前世通販に余念がない。
「ウイスキーにブランデーにテキーラ、紹興酒もあったほうがいいわね。ウオッカはストレートで飲む?念のため、氷を用意してロックにした方が安全かしら。ミネラルウオーターも必要かもしれない。忘れちゃいけないのが、ビールよね。」
オリヴィアは、前世通販で買いこんだ大量のお酒類を異空間に仕舞う。
樽で飲む者のためには、あらかじめインプリンティング薬を仕込ませておく。準備万端調ったところで、ふとエリオットを見ると、他の修道士たちに「ガッチャンミー」の解説とともに、教えている。
さすが、元坊主の息子だけあり、説法などはお手の物なのだろう。やたら説得力だけはある。
いつの間にか司祭様までがお越しになられ、エリオットの説法に耳を傾けておられる。
いやはや大したものだ。これなら前世世界なら教祖様としてもてはやされたことだろう。
と何気に見ていたら、ついに!司祭様までがエリオットに向かって手を合わせ始めた。
ええーっ!どうするの?司祭様曰く、
「聖女様とご結婚された暁には、エリオット殿が我が国教会の教祖となられるように、取り計らいます。」
エリオット本人は、まんざらでもなさそうな顔をしている。もしかして、やる気満々なのかしらね。
「俺、東都大学出てから、仏教系の大学に2年間通って、宗派僧侶の最高位を取得したんだぜ。学士入学したんだけどさ、入学するときはかなり大変だったんだよ。」
「それで、お寺さん継いだの?」
「まさか。親父が現役だったから、そのまま大手ハウスメーカーに就職して、結婚して、先に俺がくたばっちまったってわけ。でも夏季休暇の時なんか、バイクで檀家回りをしたものだぜ。お布施はそっくり俺の小遣いになったものさ。それで銀座のクラブへ飲み歩いてさ。あの頃は良かったなぁ。懐かしい。もう二度と戻れないだろうか?」
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