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11.修羅場1
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さくらは、離婚をどう切り出そうか?とにかく先に両親のクリニックへ向かう。この時間帯なら、まだ診察中で、おそらく大さんも勤務しているはずだから。
正面入り口から入り、診察時間が修了するのを待つ。
待合室で、佐相金の週刊誌を見て過ごす。会社には、少し早いけど産休を出して認められた。グレゴリーの鶴の一声で、有給で産休が取れることになったので、嬉しい。でも、有給休暇は減らない。特別休暇という形で、100%給料が支給される。
CEOを恋人に持つといいわね。いろいろと便宜を図っいぇくれる。会いたいときは、夢の中でも会える。
グレゴリーが言うように、ロンドンから、エアラインを遣わずに、転移魔法ですぐ来たのだ。
そうだ。ロンドンでは朝食を済ませてきたけど、診察終了時の夕食を両親のために作ろうかと思う。
その方が、ゆっくりと話ができる。
待合室を通り抜け、そのまま診察室の前を通り、最奥の勝手口を開くと、そこは、実家の台所につながっている。
母は、すでに下ごしらえを終えているようだったので、自宅のマンションで調理しようと思いつく。
スーパーですぐ食べられるような食材を買い、学生時代から住み慣れたマンションへ向かう。
なぜか、鍵が開いている。
ヤダ!大さん、ジャギをかけ忘れて出かけているの?やーね。空き巣が入ったら、どうするのよ?まぁ、実家と違って、盗られるようなものは何もないけど。
そっとドアを開けて、様子をうかがう。玄関には、さくらのものではないパンプスがきちんと脱いで揃えてあった。
ん?だれだろう?
従姉妹かなぁ?母は診察中で診察室の前を通った時、中から声が聞こえたので間違いなかったし、って言うか、母は、こんなパンプスなど履かない。動きやすいローファーか運動靴と決まっている。
急患の対応などに追われるから、靴はペタンコの当靴しか履かないのが医者の常なのだ。
玄関ドアをそっと開け、閉める。
何か調理をしているような、いい匂いが漂ってくる。だれ?と思いながら、キッチンへ入ると、そこには見知らぬ若い女性がいた。
え?大さんに妹さんなんて、いたっけ?兄嫁さんの顔とは、少し違うように見える。うーん。でも、結婚式の時、1度だけお会いしたから、兄嫁さんかもしれない。
いつも外食ばかりの大さんを心配して、兄嫁さんがお料理を作ってくださりに来てくれているのかもしれない。
思い切って、さくらは「お義姉さん」と声をかけてみる。
「あら?アナタがさくらさん?え?身重だったの?知らなかったわ。」
……、妊娠したことは川村家にも言っているし、兄嫁さんから電話でおめでとうを言われた。だから、さくらが身重だと知らない第三者が家に勝手に入って、義姉と呼ばれてもなんとも思わない人ってことだよね?
これって、つまり大さんが浮気して、さくらのいない間に浮気相手を家に引きずり込んでいるってことよね?
「アナタ、どなたですか?」
「え?さっき、さくらちゃん、お義姉さんって、呼んでくれたじゃない?まだ義姉にはなってないけど、近いうちになるかもしれないわ。」
「つまり大の恋人ということですか?」
「うん。まぁ、そういうことになるかしらね。まだ籍は入っていないけど、内縁関係って言った方がいいかもしれないわ。」
「出てってください。ここは、私の家です。それも大学時代から、ずっとここに住んでいるんです。嘘だと思うのなら、管理人さんにでも誰でも聞いてみてください。」
「ちょ、ちょっと待ってよ。いいの?お兄さんの恋人を追い出すようなことをしても?それにそのお腹の中の子供、どうするつもり、お医者さんの娘さんだから、どうとでもなるだろうけど?私生児が悪いって言っているわけではないのよ、誤解しないでくれる?」
「アナタ、いつから大と関係しているのですか?この子は私生児ではありません。ちゃんとした入籍している父親がいます。」
「あ、あら、そうなのね。そらそうよね、佐倉クリニックのお嬢さんともあろう方が、そんな私生児なんて、産むわけがないわよね。ごめんなさい。家の中に女性ものの服があったので、「誰の?」と聞いたら、大さんが「妹」だって言ってくれたので、会いたかったわ。さくらちゃん。」
「は?何、言っているのですか?私は大の家内です。大は、佐倉家に婿養子に入ったのです。」
「えっえー!何、それ?うそでしょ?開業医の息子で独身だって話、ウソだったの?うあっとこれで、寿退社できると思って、今まで尽くしてきたのに。」
浮気相手は、ポロポロと涙を流す。
「女狩りよ。大と開業医の仲間は、そうやって、街へ繰り出しては、女をヤリ捨てる。私は、たまたま開業医の娘だったから、いいカモに見えたんでしょうね。ウチに養子として、転がり込んで、私がロンドンに研修に行っている間にアナタを連れ込むなんて。騙されていたのよ。お気の毒だけど、出て行ってもらえないかしら?それとも、これから起こる修羅場に参加する?」
「ええ。できたら、参加したいわ。」
「わかったわ。両親と大さんのご家族にも来てもらいます。」
「安心して、大のご両親も開業医よ。でも、この話、医師会に知れたら、タダでは済まされないように思うわ。」
浮気相手は、少し目を輝かせるが、医師会の面倒ごとは、やはり憂鬱なようだった。
正面入り口から入り、診察時間が修了するのを待つ。
待合室で、佐相金の週刊誌を見て過ごす。会社には、少し早いけど産休を出して認められた。グレゴリーの鶴の一声で、有給で産休が取れることになったので、嬉しい。でも、有給休暇は減らない。特別休暇という形で、100%給料が支給される。
CEOを恋人に持つといいわね。いろいろと便宜を図っいぇくれる。会いたいときは、夢の中でも会える。
グレゴリーが言うように、ロンドンから、エアラインを遣わずに、転移魔法ですぐ来たのだ。
そうだ。ロンドンでは朝食を済ませてきたけど、診察終了時の夕食を両親のために作ろうかと思う。
その方が、ゆっくりと話ができる。
待合室を通り抜け、そのまま診察室の前を通り、最奥の勝手口を開くと、そこは、実家の台所につながっている。
母は、すでに下ごしらえを終えているようだったので、自宅のマンションで調理しようと思いつく。
スーパーですぐ食べられるような食材を買い、学生時代から住み慣れたマンションへ向かう。
なぜか、鍵が開いている。
ヤダ!大さん、ジャギをかけ忘れて出かけているの?やーね。空き巣が入ったら、どうするのよ?まぁ、実家と違って、盗られるようなものは何もないけど。
そっとドアを開けて、様子をうかがう。玄関には、さくらのものではないパンプスがきちんと脱いで揃えてあった。
ん?だれだろう?
従姉妹かなぁ?母は診察中で診察室の前を通った時、中から声が聞こえたので間違いなかったし、って言うか、母は、こんなパンプスなど履かない。動きやすいローファーか運動靴と決まっている。
急患の対応などに追われるから、靴はペタンコの当靴しか履かないのが医者の常なのだ。
玄関ドアをそっと開け、閉める。
何か調理をしているような、いい匂いが漂ってくる。だれ?と思いながら、キッチンへ入ると、そこには見知らぬ若い女性がいた。
え?大さんに妹さんなんて、いたっけ?兄嫁さんの顔とは、少し違うように見える。うーん。でも、結婚式の時、1度だけお会いしたから、兄嫁さんかもしれない。
いつも外食ばかりの大さんを心配して、兄嫁さんがお料理を作ってくださりに来てくれているのかもしれない。
思い切って、さくらは「お義姉さん」と声をかけてみる。
「あら?アナタがさくらさん?え?身重だったの?知らなかったわ。」
……、妊娠したことは川村家にも言っているし、兄嫁さんから電話でおめでとうを言われた。だから、さくらが身重だと知らない第三者が家に勝手に入って、義姉と呼ばれてもなんとも思わない人ってことだよね?
これって、つまり大さんが浮気して、さくらのいない間に浮気相手を家に引きずり込んでいるってことよね?
「アナタ、どなたですか?」
「え?さっき、さくらちゃん、お義姉さんって、呼んでくれたじゃない?まだ義姉にはなってないけど、近いうちになるかもしれないわ。」
「つまり大の恋人ということですか?」
「うん。まぁ、そういうことになるかしらね。まだ籍は入っていないけど、内縁関係って言った方がいいかもしれないわ。」
「出てってください。ここは、私の家です。それも大学時代から、ずっとここに住んでいるんです。嘘だと思うのなら、管理人さんにでも誰でも聞いてみてください。」
「ちょ、ちょっと待ってよ。いいの?お兄さんの恋人を追い出すようなことをしても?それにそのお腹の中の子供、どうするつもり、お医者さんの娘さんだから、どうとでもなるだろうけど?私生児が悪いって言っているわけではないのよ、誤解しないでくれる?」
「アナタ、いつから大と関係しているのですか?この子は私生児ではありません。ちゃんとした入籍している父親がいます。」
「あ、あら、そうなのね。そらそうよね、佐倉クリニックのお嬢さんともあろう方が、そんな私生児なんて、産むわけがないわよね。ごめんなさい。家の中に女性ものの服があったので、「誰の?」と聞いたら、大さんが「妹」だって言ってくれたので、会いたかったわ。さくらちゃん。」
「は?何、言っているのですか?私は大の家内です。大は、佐倉家に婿養子に入ったのです。」
「えっえー!何、それ?うそでしょ?開業医の息子で独身だって話、ウソだったの?うあっとこれで、寿退社できると思って、今まで尽くしてきたのに。」
浮気相手は、ポロポロと涙を流す。
「女狩りよ。大と開業医の仲間は、そうやって、街へ繰り出しては、女をヤリ捨てる。私は、たまたま開業医の娘だったから、いいカモに見えたんでしょうね。ウチに養子として、転がり込んで、私がロンドンに研修に行っている間にアナタを連れ込むなんて。騙されていたのよ。お気の毒だけど、出て行ってもらえないかしら?それとも、これから起こる修羅場に参加する?」
「ええ。できたら、参加したいわ。」
「わかったわ。両親と大さんのご家族にも来てもらいます。」
「安心して、大のご両親も開業医よ。でも、この話、医師会に知れたら、タダでは済まされないように思うわ。」
浮気相手は、少し目を輝かせるが、医師会の面倒ごとは、やはり憂鬱なようだった。
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