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第2章

52.縁談2

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 結局、今、リゾートホテルに宿泊中の人全員とお見合いすることにした。

 百聞は一見に如かず。なので。

 最初のお見合い候補者が、ケセラン国の東隣パサラン国の王子様でガブリエル殿下、柔らかな物腰で、なかなかのイケメン。

 こう見えてもジェニファーは、面食いだから、心の中で、「もう、この人でいい」と思ってしまったぐらい端正な顔立ちをしていらっしゃった。

 「「うっ、お美しい!」」

 初めての顔合わせだというのに、二人とも一目ぼれしてしまって、いつまでも互いの眼を見続けて、お見合いにならない。

 そこで、教皇様が、「ゴホン」と咳払いなさって。ハっと我に返る。

 「ジェニファー様、どうかわたしを選んでくださいませ。我が国は鉱業が発展しておりますが、何分、山の仕事ですから事故が頻繁に起きてしまいます。何卒、聖女様の祈りで山の神の怒りを鎮めていただきたいのです」

 「そうですね。なんならこれから一緒に行ってみますか?」

 「えっ!?」

 もう、ジェニファーは、ガブリエルでいいと思っているので、そんなに頻繁に事故が起こるのならば、ちょっと行ってみてもいいという気にさえなっている。

 教皇様は、大変慌てられたご様子で、すっかり目を泳がせていらっしゃる。

 「ほ、他のお見合い相手はどうされるおつもりですか?」

 「ああ。そうでしたわね、すっかりわすれてしまいましたわ。では、いっぺんにお会いしましょう」

 「えっ!それは、また……」

 残りのお見合い相手を一堂に集めて、お茶会形式でお見合いすることになったのだが、なぜかその席にガブリエルも呼ばれている。片時も、お互い離れがたいという雰囲気をすでに醸し出しているので、他のお見合い相手に失礼になるのでは……と、教皇様は、ご心配されているご様子。

 だって仕方がないでしょ。恋に落ちるということは、時間ではないのだから。

 でもそんな心配はいらなかった。他のお見合い相手は、さらに鈍感だったから。聖女様と謁見できるというだけで、舞い上がっていて、なぜ集団見合いなのかの意味も考えていないような連中ばかりで助かる。

 それで当たり障りのないような話をして、お見合いは終了したのだが、まだ島に居座り続けるようなので、どういう神経かと聞きたいぐらい。どうやら、他のお見合い相手は、聖女様の親衛隊を自負していて、この先も、この島の住人になりたがっているように思える。

 それはそれでありがたいような?シャーロットやエリオールなどと恋仲にでも、なってもらえれば願ってもないことなんだけど、最初に一番いい男とお見合いしてしまったので、残ったお見合い相手に興味をそそられることはない。

 それでしばらくはリゾートホテルに滞在してくれるというから、ここから先は商売用の笑顔を張り付ける。

 「お部屋代は、10日分前金で頂戴することになっております。ごゆるりとお過ごしください」

 いずれも、どこかの国の王子様クラスなので、盗りはぐれることはないと思うが、こういっておく方が安心できる。

 それでパサラン国までの足をどうしようか悩む。自分一人だけなら飛んでいく。でもガブリエル王子も一緒となると、手を繋いで飛んでいく。

 ガブリエル王子には護衛の騎士や側近もいらっしゃることなので、二人だけのランデブーというわけにもいかない。

 それにジェニファーの方にも、パサラン国にお祈りに行くと言えば、もれなく付いてくる教会関係者に両親、いや、今回はパサラン国に挨拶に行くわけではないから、両親には遠慮してもらって、でも教会関係者は、きっとついてくるだろうな。

 全員に浮遊魔法をかけるのもちょっとばかり大変。

 第一、目が離せなくなるもの。ガブリエル様と二人だけならいいけど。うーん。

 何気なく、沿岸線に目をやり、思いついたことがある。
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