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*WEB連載版
第35話 戸惑うアデライザ
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突然のダンス。身に覚えのない祝・婚約。
唖然とする私のもとに、ロゼッタさんが舞台から降りてきて礼をした。
「おめでとうございます、奥様」
「え!?」
「すみませんまだ早かったようですね。未来の奥様」
「え!? い、いえ。あ、あの……。あ、ロゼッタさん、素晴らしい舞でした」
「ありがとうございます、未来の奥様。……長いのでアデライザ様とお呼びさせていただきます」
長さ的には同じような……?
ていうかどういうこと、これは?
「よろしいですか、アデライザ様。これからあなたはルベルド様の奥様になられるのです、つまりはこの館の女主人でございます。そしてルベルド様とご結婚なさるということは王子妃になられるということでもあります。ご不安もございましょうが、ですがご安心下さいませ。女主人教育、ならびに王子妃教育はこのロゼッタめが承らせていただきますわ」
「は?」
つまり教育を教える側から教わる側になる、ってこと? ていうかなんなのこれ?
とまどう私を誤解したのだろう、クライヴくんがロゼッタさんに笑いかけてきた。
「ロゼッタ、アデライザ先生が困っているじゃないか」
「しかしこれは大事なことですので、いま言っておきませんと」
「祝いの席だよ? そんなのは後回しにしようよ。それより勝負しよう、勝負」
そう言ってクライヴくんは拳を構える。
「素手で戦って勝ったら僕と付き合ってくれる――その約束、忘れたわけじゃないだろ?」
え?
「それこそ祝いの席には不要なものでしょう」
「御前試合は祝事の華じゃないか」
シュッ、と拳を繰り出すクライヴくん。ロゼッタさんはなんなくそれを避け――
「仕方ありませんね。ではアデライザ様、失礼いたします。ごゆるりとお楽しみくださいませ」
と淑女の礼をして再び舞台の上にあがっていったのだった。もちろん、それにクライヴくんも続く。
「あはは。そういうことらしいぜ」
ルベルド殿下が笑った。
「告白されたときにロゼッタのやつ、『私に素手で勝ったら付き合う』って言ったんだとさ。まったく、素直じゃないんだから」
えー。そうなの!? てっきりすぐOKするかと思ったんだけど……。
ていうか、ちょっと待って。
「殿下、あの。これはいったい……」
「まあコーヒーでも飲もうぜ、先生。そういう約束だったんだから」
私はまだ頭が混乱していたけれど、とりあえず彼に促されるままテーブルの席に着いた。
目の前には香り立つコーヒーが供され――
「そうですね、まずはコーヒーですね」
コーヒーとなれば話は別だ。
私はコーヒーに砂糖とミルクを入れた。
唖然とする私のもとに、ロゼッタさんが舞台から降りてきて礼をした。
「おめでとうございます、奥様」
「え!?」
「すみませんまだ早かったようですね。未来の奥様」
「え!? い、いえ。あ、あの……。あ、ロゼッタさん、素晴らしい舞でした」
「ありがとうございます、未来の奥様。……長いのでアデライザ様とお呼びさせていただきます」
長さ的には同じような……?
ていうかどういうこと、これは?
「よろしいですか、アデライザ様。これからあなたはルベルド様の奥様になられるのです、つまりはこの館の女主人でございます。そしてルベルド様とご結婚なさるということは王子妃になられるということでもあります。ご不安もございましょうが、ですがご安心下さいませ。女主人教育、ならびに王子妃教育はこのロゼッタめが承らせていただきますわ」
「は?」
つまり教育を教える側から教わる側になる、ってこと? ていうかなんなのこれ?
とまどう私を誤解したのだろう、クライヴくんがロゼッタさんに笑いかけてきた。
「ロゼッタ、アデライザ先生が困っているじゃないか」
「しかしこれは大事なことですので、いま言っておきませんと」
「祝いの席だよ? そんなのは後回しにしようよ。それより勝負しよう、勝負」
そう言ってクライヴくんは拳を構える。
「素手で戦って勝ったら僕と付き合ってくれる――その約束、忘れたわけじゃないだろ?」
え?
「それこそ祝いの席には不要なものでしょう」
「御前試合は祝事の華じゃないか」
シュッ、と拳を繰り出すクライヴくん。ロゼッタさんはなんなくそれを避け――
「仕方ありませんね。ではアデライザ様、失礼いたします。ごゆるりとお楽しみくださいませ」
と淑女の礼をして再び舞台の上にあがっていったのだった。もちろん、それにクライヴくんも続く。
「あはは。そういうことらしいぜ」
ルベルド殿下が笑った。
「告白されたときにロゼッタのやつ、『私に素手で勝ったら付き合う』って言ったんだとさ。まったく、素直じゃないんだから」
えー。そうなの!? てっきりすぐOKするかと思ったんだけど……。
ていうか、ちょっと待って。
「殿下、あの。これはいったい……」
「まあコーヒーでも飲もうぜ、先生。そういう約束だったんだから」
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コーヒーとなれば話は別だ。
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