フィックスド辺境伯家の秘密(元夫の隠し子は、私が立派に育ててみせます‼︎)

星 佑紀

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とある暴走族のリーダー、就職する‼︎

0021:秘密警察

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⭐︎ ここは、フィックスド辺境伯領のとある街中に建てられた『首都代理市役所』の目の前にある小さな広場。愉快な仲間達と一緒にステビア侯爵と対峙していたパトリック殿下の前に、とある書類一式を抱えたノアが、ダッシュで駆け寄る‼︎

「パトリック殿下、例の書類を持ってきました‼︎(殿下に駆け寄り、書類の入った封筒を差し出すノア)」

「ありがとう、ノア! ……ふむふむ、……全部揃っているみたいだね。(封筒から書類を抜き出し、目を通す殿下)」

「おっ、やっとを使う時が来たんだな!(サネユキ)」

「……サネユキ様は、この書類のことを知ってるんですか?(ノア)」

「ああ! 何せ、その書類を取りまとめたのは、私だからな!(ややドヤ顔のサネユキ)」

「そ、そうなんですか。(少し引き気味のノア)」

「わちゃわちゃうるさいですね! 烏合の衆の者達よ、……もう少しすれば警察に取り押さえられるのですから、最後くらい静かに出来ないのですか?(皮肉ステビア侯爵)」

「うん? …………警察か。(サッとチャラ男警察官ロベルトを見るパトリック殿下)」

「…………。(シュパパッと帰ってきたノアの背後に身を隠すロベルト)」

「……まあ、いいかな。(きゅるるん顔の殿下)」

「パトリック殿下も烏合の衆と一緒に刑務所に送ってあげますから、楽しみにしててくだされ!(ステビア侯爵)」

「うん。……よくわからないけど、なんかありがとう。……最後にさ、『首都圏活性化税』分のお金を納税して刑務所に入りたいから、ステビア侯爵の後ろにいるお役人さんに申告書類とお金を手渡してもいいですよね?(トコトコと十歩程進み、きゅるるんをやめない殿下)」

「…………いいでしょう。……アルベル税務官、殿下の所まで行って差し上げなさい。(ステビア侯爵)」

「はい、上院議員様!(俊敏な動きを見せるお役人)」

⭐︎ とあるお役人は、速やかに殿下の前までやって来た!

「(小声で)パトリック殿下、……今日は、議員様がここ代理市役所へ視察に来られることを、前もってご連絡させていただきましたのに、何故こんなあからさまになされたのですか? 議員様は、なかなか残酷なお方ですので、殿下の身の安全が危険に及んでしまいかねませんよ。(複雑な心境のお役人)」

「(小声で)大丈夫、大丈夫。……全然問題無い。むしろ、飛んで火に入る夏の虫かな。(きゅるるん殿下)」

「…………それは、一体?(疑問符パレードなお役人)」

「(小声で)はい、……が、探し回っていた『ステビア侯爵の脱税』の書類と、『行方不明の議員』の所在を調べ上げたリストだよ。(封筒一式をお役人に手渡す殿下)」

「──っ⁉︎(ええええええっ⁉︎ いいいい、今なの⁉︎ なかなかお困りのお役人)」

「(小声で)これを王国議会に提出すれば、ステビア侯爵の権威も、ちょっとは下がるよね?(きゅるきゅるん殿下)」

「……それは、まあ、……そうですが。(困るううう‼︎ 今までの色々な段取りがパアになるううう‼︎ 悩むお役人)」

「うん? なんか、顔色が悪いね。……それなら、に一旦身柄を拘束させようか! それならアルベル君も、やりやすいでしょ!(きゅるるん殿下)」

「秘密警察様がいらっしゃるんですか⁉︎(慄きのお役人)」

「うん。丁度一緒にデモやってサンドイッチ食べてたから、僕が言っといてあげるよ!(にんまり殿下)」

「いやいや、ちょっと待ってください! 殿下、落ち着いてー⁉︎(どうすればいいんだ⁉︎ 答えが出ないお役人)」

⭐︎ するとそこへ、殿下達の様子が少しおかしいと感じたノア(背後にロベルト)がトコトコやって来た‼︎

「パトリック殿下、書類を手渡すだけなのに、時間がかかりすぎですよ。何かあったんですか?(やや慎重ノア)」

「……。(いい感じにノアの背後に隠れてるロベルト)」

「ううん、お役人界の期待の星『アルベル君』が、書類に関して複雑な考えがあるみたいだからさ、相談にのってたところなのさ。(ニタニタ殿下)」

「ああ、そうなんですね。……アルベル税務官、もし殿下の書類に不備があるなら、今すぐ修正してきますけど、大丈夫ですか?(親切心ノア)」

「ああ、いや、……フィックスド辺境伯様のお手を煩わせるなんて……。(色々考えすぎて顔面蒼白なお役人)」

「……。(冷たい視線でお役人を見てるロベルト)」

「気にしないでくださいよ、アルベル税務官。……先日は、色々、首都圏活性化税の対策を相談させていただきましたからね。書類の修正くらい簡単ですよ。(シュパパっとお役人の手元から書類一式を取り上げるノア)」

「ああああああ⁉︎(殿下以外の人に中身を見られる⁉︎)」

「うん? ……これは⁉︎(書類を見て眉を顰めるノア)」

「──っ‼︎(ノアの背後で瞳が暗くなるロベルト)」

「……殿下。……首都に住む貴族達は、こんな額のお金を蓄えてるんですか?(信じられない表情のノア)」

「……どうだろうね。ただ一つだけ言えることは……。」

⭐︎ と、殿下が言い終わらないうちに、とある黒い影がステビア侯爵の背後に回り、侯爵の首裏を手刀で殴打した‼︎

「────っ‼︎(ガクッと足元から落ちていく侯爵)」

「上院議員様ーー⁉︎(侯爵に駆け寄ろうとするお役人)」

「はい、ストップ‼︎ ここにいる全員、絶対に動かない‼︎(今までのチャラさはどこにいったのかというくらいの真面目さで、侯爵に手錠をかける交番警察官ロベルト)」

「えええええ⁉︎(まままさか、このチャラい警察官が……⁉︎ 驚愕のお役人)」

「……秘密警察。……通称シークレットチャラ男。(謎のドヤ顔で厨二病っぽい雰囲気を漂わせる殿下)」

「……さすが、ロベルトさん。……よくわからないけど、動きが早い。(状況をあまり理解していないノア)」

「……うむ、ニホンの忍びと同等の身のこなし、あっぱれだな。……スカウトしたいくらいだ。(ステビア侯爵が気絶しているのに、のんきなサネユキ)」

「「「──っ⁉︎(びっくり仰天なデモ活動者達)」」」

「ここにいるみなさん、……今日のことは、絶対に他言無用っス‼︎ ステビア侯爵が何故か気絶して何故か手錠にかけられた事は、誰にも言わないように! いいですね‼︎(ブラックな雰囲気を漂わせる秘密警察ロベルト)」

「「「はい‼︎(条件反射で応答するデモ員達)」」」

「あと、ノアっちが持ってるその書類、ちょっと今から使うんで、貸してもらいますね‼︎(ステビア侯爵をズルズル引き摺りながら、ノアの前までやってきたロベルト)」

「あっ、はい。どうぞ。修正前でいいなら。(ノア)」

⭐︎ ノアは、ロベルトに謎の書類一式を手渡した!

「あざっス、ノアっち‼︎ それでは皆さん、俺はちょっと野暮用なんで、デモから抜けますが、一般の方々にご迷惑をおかけしない範囲で、デモ頑張ってください! そこのお役人さんも、一緒にデモね! んじゃ、パトリック殿下、ノアっち、お先に失礼します!(早口マシンガンロベルト)」

「うん、……ステビア侯爵のこと、あんまり拷問しちゃダメだよー。(若干ドン引きな殿下)」

「……。(よくわからないけど、かっこええ! ノア)」

「それは、状況にヨルっす‼︎ では、みなさん、お先っす‼︎(デモ員に向かって敬礼して、ステビア侯爵をズルズル引き摺りながらフィックスド中央警察署に向かうロベルト)」

⭐︎ 謎の警察官ロベルトとステビア侯爵は去った!

「……とりあえずみんな、サンドイッチを食べてから再開しようね。アルベル君も一緒に。(殿下)」

「「「ラジャー!(デモ員達)」」」

「ら、らじゃー!(もうどうにでもなーれ‼︎ アルベル)」

「頑張るぞー!(よくわかっていないノア)」

「私もサンドイッチ貰ってもいいのか?(元気サネユキ)」


⭐︎ 収拾がついてないですが、もう少しだけデモは続きます!
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