フィックスド辺境伯家の秘密(元夫の隠し子は、私が立派に育ててみせます‼︎)

星 佑紀

文字の大きさ
28 / 48
とある暴走族のリーダー、就職する‼︎

0022:デモ集会解散!

しおりを挟む
⭐︎ ここは、フィックスド辺境伯領のとある街中に建てられた『首都代理市役所』の目の前にある小さな広場。


「みんなー、本日最後のデモだよーー‼︎(パト殿下)」

「「「ラジャーー‼︎(愉快な仲間達)」」」

「とにかく、市民の、……特に、首都の国民の生活を、陰で支えている辺境地の民に増税するのは、大反対だ‼︎(相変わらず、とある女性のプラカードを掲げる殿下)」

「「「増税反対!(愉快な仲間達)」」」

⭐︎ 若者達の強い声が、小さな広場に鳴り響く!

「それじゃあ、首都代理市役所側のアルベル君も、ありったけの思いの丈を吐いちゃって‼︎(さりげなく税務官アルベルを一番前例に誘導する殿下)」

「で、ですが殿下……。(これが上官に知られると、明日から無職なんですよ……。 かなり悩むアルベル)」

「大丈夫、大丈夫! もし、このデモが原因で税務官を辞めることになったら、僕の商会で働けばいいんだから! 崖から飛び降りるつもりで言ってみなよ!(きゅるるん殿下)」

「……そうですね。……(轟きわたる声で)首都の貴族様達が、無理難題を言って来て、各代理市役所はてんてこ舞いだあああーーー! 税金全般に関して、素人が口を出さないでくれええ‼︎(タガが外れたアルベル)」

「「「税務官、大変そう‼︎(同情する仲間達)」」」

「そうだね。……これから先、増税する事が決定して実際に増税が始まると、一番忙しくなるのは、市役所のお役人達だ。……特に市役所の窓口に立つ人は、国民からの厳しい声の矢面に立たされるわけだからね。……増税を断固阻止して、市役所の事務作業を、これ以上増やさせないぞーーー!(左腕を突き上げる殿下)」

「「「増税反対‼︎(殿下以外のデモ員達)」」」

「よし、パトリック、……もう少しで、日が落ちる。今日はこれくらいでいいだろう。(サネユキ)」

「そうだね。みんな、今日は、わざわざお仕事をお休みして、僕のデモ活動に参加してくれて、本当にありがとう。今後も引き続き増税を阻止するまで続ける予定だから、次回も協力してくれたらとてもありがたいです。最後に、デモの解散後、みんなが首都側の密偵から狙われる可能性があって、とても危険だから、今から約一カ月は、僕が用意している宿泊場所で待機していてほしい。お仕事に関しても、僕が話をつけておくから、宿泊場所の中でしてね。(慎重殿下)」

「「「ラジャー‼︎(気持ちを引き締める皆)」」」

「ありがとう。それじゃあ、サネユキ、みんなを場所へ誘導してあげて。(殿下)」

「ああ! 任せておけ‼︎(頷くサネユキ)」

「ということで、今日は解散! お疲れ様!(殿下)」

「「「お疲れ様っス‼︎(愉快な仲間達)」」」

「では、パトリックのご友人殿、今すぐ私達の隠れ家に向かうから、ついてきてくれ。(サネユキ)」

「「「お願いします!(内心安心感が強い皆)」」」

「アルベル君も、後の事は、僕がいい感じにやっておくから、サネユキについて行って。(殿下)」

「……ありがとうございます、パトリック殿下。(うるうるの税務官アルベル)」

「うんうん、今後に期待しているからね。(微笑み殿下)」

⭐︎ デモ員達と税務官アルベルは、殿下とノアにお別れの挨拶をしながら、サネユキの後を追うのであった。

「「「パトリック殿下と、アニキ、今日はありがとうございました‼︎(律儀な仲間達)」」」

「うんうん、お礼はいいからね。あと変な輩には、要注意だよ。(にっこり殿下)」

「みんなー、気をつけてなー‼︎(ノア)」

「「「ラジャーー‼︎(お別れする仲間達)」」」

⭐︎ 首都代理市役所の前には、殿下とノアの二人が残った!

「ノアもお疲れ様、お家に帰ってゆっくりしなよ。」

「では、そうさせていただきます。パトリック殿下、お疲れ様でした。(やったー! 今日は反省会無いぞ! ノア)」

⭐︎ すると、そこへ一羽の鳩が、ノアの頭の上に降り立った!

『クルックルウ!(お客が待っとるで。 ジト目鳩)』

「「────っ⁉︎(ノアとパトリック殿下)」」

「殿下……。(息を呑むノア)」

「うん。……鳩っち、お客様は人でいいのかな?(殿下)」

『クルックウ!(そうやで。 ジト目鳩)』

「わかった。……ノア、とりあえず、アルベル君の方は一旦保留にして、一緒に辺境伯邸へ帰るよ。(殿下)」

「そうですね。……行きましょうか。(オーマイガーー⁉︎ 内心休憩したいノア)」


⭐︎ ノアは、乗って来た自転車を押しながら、パトリック殿下と一緒に、来た道を戻るのであった‼︎




【おまけ】

⭐︎ ここは、トルネード王国、首都『王城』

⭐︎ その王城内の中心に位置する、トルネード国王、謁見の間『トルネードアイズ』に、チャラい風貌をした警察官が、とある首都貴族『ステビア侯爵』を引き摺りながらノコノコ入って来た!

「チーーッス、ラーズベルト公爵に国王陛下、お疲れ様っス‼︎(謎のチャラ男警察官ロベルト)」

「ロベルト君⁉︎ ……えっ⁉︎ ステビア侯爵も一緒なの⁉︎(かなり驚いているラーズベルト公爵)」

「……。(困惑顔な国王陛下)」

「ウッス! 今日、たまたま、パトリック殿下がデモをしてたんで、面白そうだから参加してたら、大きなの匂いを嗅ぎつけたんで、しょっぴいて来たっス‼︎(なかなかくだけた口調のロベルト)」

「────っ⁉︎(えええ⁉︎ 色々時間をかけて証拠集めをしていたのにーー⁉︎ 複雑な心境のラーズベルト公爵)」

「ロベルト、……の事は後でいい。……パトリックは、元気そうだったか?(国王陛下)」

「ウッス! パトリック殿下は、フィックスド領の若い領民を率いて、立派にステビア侯爵と渡り合っていましたよ‼︎ それはもう、男でも惚れ惚れするぐらいには、しっかりと、なされてました‼︎(ドヤ顔のチャラ男ロベルト)」

「そうか。(、約束通りパトリックは、自身の力で地道にやっておりますぞ。 無表情を崩さない国王陛下)」

「ロベルト君、……その、ステビア侯爵の息は、まだあるんだよね?(とても心配しているラーズベルト公爵)」

「当たり前っすよ! こんな汚い輩の為に、自分の手を汚すだなんて、俺には出来ないっす‼︎(渋顔のロベルト)」

「そ、それならよかった。(安心したああああ! もしステビア侯爵の息が切れてたら、反乱分子を調べる事がかなり難しくなるところだったよ! 安堵しまくりの公爵)」

「あと、これが、この貴族様の、汚職資料っすよ‼︎(ラーズベルト公爵に、分厚い封筒を手渡すチャラ男ロベルト)」

「ああああ、ありがとうね。(すごいな。やっぱり、現地の人たちの情報網の利便性は計り知れない。 感心の公爵)」

「……ということは、もう、『首都圏活性化税』を進めなくてもいいのだな。(国王陛下)」

「そうですね。そうなりますね。(ラーズベルト公爵)」

「そういえば、どうして国王陛下は、首都圏活性化税をやろうとしてたんですか?(ロベルト)」

「ああ、それはだな……。(国王陛下)」

「全ての汚職に関する事柄を引出す為のです。(公爵)」

「おとり?(チャラ男警察官ロベルト)」

「そうです。……かなりずっと前から、ステビア侯爵の動向が怪しかったのですが、その動きを証明するような証拠が無かった。だから、今回、ステビア侯爵たっての新しい政策に乗ったように見せかけて、証拠を得るように、各方面に働きかけていたのですが、……パトリック殿下とロベルト君に、一歩先を越されてしまったようですね。(微笑む公爵)」

「そっスね! いやー、なんか申し訳ないっス‼︎(なかなかドヤ顔でとてもチャラいロベルト)」

「いい。……ロベルト、今回、ありがとう。だがしかし、これ以上、ロベルトを危険に晒すつもりは、毛頭ない。ロベルト、無理しなくていいんだからな。(優しげの国王)」

「国王陛下、ラーズベルト公爵、……悪いですが俺は、孤児だった頃に、お二人に助けられたお陰で、良い暮らしが出来てるんです! 俺の忠誠心をみくびらないでくださいよ‼︎(真面目な事を言っているが見た目はチャラいロベルト)」

「ああ。(うるうるお目々の国王陛下)」

「……。(じーーんとくるラーズベルト公爵)」

「お二人から非難されても、俺は、トルネードを良くする為に、勝手にやってるだけなんで。それでは、失礼するっス‼︎(速やかにステビア侯爵をドサっと置いて出るロベルト)」

⭐︎ チャラ男警察官ロベルトは、一人退出した。


「……アレックス、後は頼んだぞ。(国王陛下)」

「はい、陛下。(深くお辞儀をするアレックス公爵)」

「ユエとの関わりが、証拠として出ていればいいんだがな。(渋いお顔の国王陛下)」

「陛下。あくまで中庸の考えを持ってください。……陛下はこれからも、月国王との関係を良好にしていなければ、月国王に逃げられます。……亡くなった同期達の為にも。」

「……そうだな。(言葉が詰まる国王陛下)」

「それに、……これは、私の勘ですが、……ユエは、何かを隠しています。その何かがわからないから、同期達が軒並み逝ってしまいましたが。……私は、古代の古文書をもう一度深く、あたってみます。ですから陛下は絶対に、ユエの味方でいてください。(ラーズベルト公爵)」

「……わかった。(覚悟を決めた顔の国王陛下)」

「私も仕事の為下がりますが、……陛下、もうすぐからのノア君に、例の引き継ぎがあります。……変装して陛下も拝見しに行きましょうね。(ラーズベルト公爵)」

「ああ。……楽しみだな。(目が煌めく国王陛下)」

「では、失礼します。(サッと退出する公爵)」

⭐︎ トルネードアイズには、深く目を瞑る国王だけがいた。


「兄上、、皆、……なぜ私達だけを残して、先に逝ってしまったのですか。(左目から雫が溢れ落ちる国王陛下)」


⭐︎ ……国王陛下に応える声は、何もないのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!

キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。 だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。 「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」 そこからいろいろな人に愛されていく。 作者のキムチ鍋です! 不定期で投稿していきます‼️ 19時投稿です‼️

身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

絵麻
恋愛
 桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。  父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。  理由は多額の結納金を手に入れるため。  相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。  放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。  地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。  

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

処理中です...