退魔師・久遠馨の心霊事件帖

未練を残して現世に留まる霊魂――地縛霊。未練は時が経つにつれやがて、悪霊へと変化していく。
楽になりたくともなれない哀れな地縛霊たちを、時に厳しく時に諭しつつ冥界へとあげる。それが退魔師である久遠家の仕事。
政財界にも太いパイプを持ち、世俗とは繋がりを絶ち、ひっそりと生きつつこの世ならざる者たちを導く。
そんな久遠家の家督を嗣いだばかりの二十二歳の青年、馨(かおる)が奔走する。

【第壱帖・白藤の情念】

名古屋市の男性日本舞踊家が、三月上旬に福井県にある人工ダム湖畔で姿を消した。警察は事件と事故の両方で捜査を開始するも、行方が掴めないまま二か月が経過。男性の婚約者は古い付き合いのある退魔師である、久遠家に行方を捜してほしいと依頼。背後に地縛霊の影を感じた馨は失踪現場へと飛ぶ。そこには悲しい伝説にまつわる、悪霊の存在があった。

【第弐帖・デッサン】

退魔師・久遠馨の許婚である女子高校生の円城寺佳奈が、通っている高校の美術準備室で怪奇現象に巻き込まれた。
三十年前から校内で噂される、『夕方五時以降、美術準備室に近付いてはいけない。怪奇現象が起こるから』の真相を確かめようとして、スマホに不気味な少女が写りこんでしまった。解決するために、顔も見たこともない許婚と、美術部員だがクラス内で浮いた存在の上田舞の協力を得ながら真相を探る。
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