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68 トトロスの港町
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全員を見送った後、僕等も扉を潜って北大陸へと向かった。
扉の繋がっている場所は北大陸の一番西側、トトロスという港町だ。
扉は、空の酒壺が堆く積み上がっている酒場街の小便臭い裏路地にあり、不規則に並んでいる酒場の裏口に紛れて人目を引く事がない。
空中に光って現れた鍵で扉を閉め、鍵は紐を通してアイテムボックスへ入れる。
酒場街の表通りへ出ると、懐かしい北大陸語が溢れていた。
「ねえタケちゃん、私全然言葉が解らないよ」
「大丈夫だよ、俺が教えてやるから」
「うん、それじゃ今晩からお願いね」
「ダメ―、僕がうんと厳しく教える」
「タケちゃーん、アキが意地悪する」
「ツルはどうだ」
「全然平気。父ちゃん、この掏りどうする」
「くすぐり倒しても良いぞ」
「わーい」
身体の外にいても、身体の中にいても、ツルのやることはあまり変わらない。
笑い転げて涙を流している掏りの女を、指でツンツンと突いている。
キムノさんとツルの認識票を作る為、港の入国管理事務所へ向かった。
乗船札は無いと言ったら、兵士達に取り囲まれ、危なく牢屋へ連れて行かれそうになった。
ダークエルフ風の南大陸民の若い女性とエルフ風の中央大陸民の少女を連れた怪しげな東大陸民の男女。
マニアックな奴隷を扱う闇奴隷商人と疑われ、最初から胡散臭いと思われ、警戒されていたらしい。
僕達も新しい認識票を発行して貰う積もりでいたのだが、諦めて隊長らしき男にスノウの認識票を示す。
「国家連合の極秘任務だ。内々に責任者と話がしたい」
「申し訳ない。中央大陸とのトラブルは避けたいものですから、中央大陸民の入国は厳重に監視しているんです。少女を騙して連れ込んで、王侯貴族や富豪に売り払う奴隷商人が多くて困っているんです」
ちなみに、一番人気は中央大陸のエルフ風美少女、南大陸のダークエルフ風美女も結構人気があるらしい。
確かに肌のきめ細かさが違う。(”ガツン”、「痛って、何すんだ明美」「何となく」)
隠密行動と説明して、東大陸分が二枚、南大陸分一枚、中央大陸分が一枚、無事認識票を発行して貰えた。
両替商へ行って、中央大陸の貨幣を北大陸貨幣に交換して貰う。
東大陸民の認識票じゃ宿が借りられなかったので、ストロベリのタケミチの認識票で宿を借りる。
「父ちゃん、あたいもこの札一杯欲しい」
「これを一杯持ってるのは良くないことなんだよ、ツル、嘘吐きの証拠なんだ」
「父ちゃんは嘘吐きなの」
「ああ、嘘吐きさ。ツルはキムノおばちゃんとアキおばちゃんに喧嘩して欲しくないだろ」
「うん」
「父ちゃんも同じだよ。だからアキおばちゃんに嘘吐かなきゃならないんだ」
「ビリビリされるから」
「・・・・・、ビリビリも嫌いだけど、おばちゃん達に笑っていて欲しいからだよ」
「ふーん、あたいも嘘吐いた方が良い」
「ツルは嘘吐いちゃ駄目だよ、黙っていてくれれば大丈夫だよ」
「うん、判った」
宿に風呂は無いので、公衆浴場へ入りに行く。
海が一望できる眺めの良いに岩場にお湯が沸いており、北大陸なので混浴だった。
服を洗濯して岩の上に広げる、風魔法で乾かす方が早いのだが、何となく習慣で周りと同じ行動をしていた。
ツルの髪と身体を洗ってやったら、明美とキムノさんにもせがまれ、結局三人の髪と身体まで洗う羽目になった。
「ツルちゃん、そこはお姉ちゃんの場所だから退いて頂戴」
「嫌、ツルはここが良いの。おばちゃん大人なのに可笑しいよ」
「おばちゃんじゃなくてお姉ちゃんね。お姉ちゃんだからまだ大丈夫よ」
明美とツルが僕の膝の上を争っていた。
確かに明美も大人の領域に入りつつあることを自覚している様で、結局諦めて、僕の右側に座って胸を引っ付けている。
宿の食事は美味しかった。
ポルポロでの食事と違って、肉も魚も野菜も新鮮だった。
「兄ちゃん、美味いねこれ」
「ああ、美味いな」
「タケちゃん、このお肉も美味しいわよ。平原牛かしら」
「うん、平原牛だよ。こっちの山牛の肉も美味しいぞ」
「父ちゃん、味が生っぽいよ」
「ツル、これが普通の味なんだぞ」
「ふーん」
部屋は一部屋しか貸して貰えなかった。
北大陸の文化なのか、部屋にはベットが一つしかない。
ツルは大喜びなのだが、明美とキムノさんは険しい顔をしている。
ツルが現れてからは、ツルが寝る時に離れないので、エッチは自粛している。
ツルは昔の明美の様に、僕を敷布団替わりにして寝ている。
駅馬車を乗り継いで聖都へ向かう事三日目、馬車はミノタウロスに襲われた。
護衛が真っ先に逃げ出し、乗客達は諦めて馬車の中で震えていたのだが、欲求不満の明美とキムノさんが飛び出して行って、ミノタウロスを消し炭にした。
駅馬車組合がお礼に広い宿を用意してくれたのだが、部屋に入った途端、戦闘の興奮を引き摺っている明美とキムノさんが襲い掛かって来た。
僕も十分に溜まっており、迎撃態勢は整っている。
ぎゃふんと言うまで、念入りに反撃させて貰った。
「父ちゃん、くすぐっても良い」
「ああ、ちょっとだけな。縛っちゃ駄目だぞ」
「うん、判った」
扉の繋がっている場所は北大陸の一番西側、トトロスという港町だ。
扉は、空の酒壺が堆く積み上がっている酒場街の小便臭い裏路地にあり、不規則に並んでいる酒場の裏口に紛れて人目を引く事がない。
空中に光って現れた鍵で扉を閉め、鍵は紐を通してアイテムボックスへ入れる。
酒場街の表通りへ出ると、懐かしい北大陸語が溢れていた。
「ねえタケちゃん、私全然言葉が解らないよ」
「大丈夫だよ、俺が教えてやるから」
「うん、それじゃ今晩からお願いね」
「ダメ―、僕がうんと厳しく教える」
「タケちゃーん、アキが意地悪する」
「ツルはどうだ」
「全然平気。父ちゃん、この掏りどうする」
「くすぐり倒しても良いぞ」
「わーい」
身体の外にいても、身体の中にいても、ツルのやることはあまり変わらない。
笑い転げて涙を流している掏りの女を、指でツンツンと突いている。
キムノさんとツルの認識票を作る為、港の入国管理事務所へ向かった。
乗船札は無いと言ったら、兵士達に取り囲まれ、危なく牢屋へ連れて行かれそうになった。
ダークエルフ風の南大陸民の若い女性とエルフ風の中央大陸民の少女を連れた怪しげな東大陸民の男女。
マニアックな奴隷を扱う闇奴隷商人と疑われ、最初から胡散臭いと思われ、警戒されていたらしい。
僕達も新しい認識票を発行して貰う積もりでいたのだが、諦めて隊長らしき男にスノウの認識票を示す。
「国家連合の極秘任務だ。内々に責任者と話がしたい」
「申し訳ない。中央大陸とのトラブルは避けたいものですから、中央大陸民の入国は厳重に監視しているんです。少女を騙して連れ込んで、王侯貴族や富豪に売り払う奴隷商人が多くて困っているんです」
ちなみに、一番人気は中央大陸のエルフ風美少女、南大陸のダークエルフ風美女も結構人気があるらしい。
確かに肌のきめ細かさが違う。(”ガツン”、「痛って、何すんだ明美」「何となく」)
隠密行動と説明して、東大陸分が二枚、南大陸分一枚、中央大陸分が一枚、無事認識票を発行して貰えた。
両替商へ行って、中央大陸の貨幣を北大陸貨幣に交換して貰う。
東大陸民の認識票じゃ宿が借りられなかったので、ストロベリのタケミチの認識票で宿を借りる。
「父ちゃん、あたいもこの札一杯欲しい」
「これを一杯持ってるのは良くないことなんだよ、ツル、嘘吐きの証拠なんだ」
「父ちゃんは嘘吐きなの」
「ああ、嘘吐きさ。ツルはキムノおばちゃんとアキおばちゃんに喧嘩して欲しくないだろ」
「うん」
「父ちゃんも同じだよ。だからアキおばちゃんに嘘吐かなきゃならないんだ」
「ビリビリされるから」
「・・・・・、ビリビリも嫌いだけど、おばちゃん達に笑っていて欲しいからだよ」
「ふーん、あたいも嘘吐いた方が良い」
「ツルは嘘吐いちゃ駄目だよ、黙っていてくれれば大丈夫だよ」
「うん、判った」
宿に風呂は無いので、公衆浴場へ入りに行く。
海が一望できる眺めの良いに岩場にお湯が沸いており、北大陸なので混浴だった。
服を洗濯して岩の上に広げる、風魔法で乾かす方が早いのだが、何となく習慣で周りと同じ行動をしていた。
ツルの髪と身体を洗ってやったら、明美とキムノさんにもせがまれ、結局三人の髪と身体まで洗う羽目になった。
「ツルちゃん、そこはお姉ちゃんの場所だから退いて頂戴」
「嫌、ツルはここが良いの。おばちゃん大人なのに可笑しいよ」
「おばちゃんじゃなくてお姉ちゃんね。お姉ちゃんだからまだ大丈夫よ」
明美とツルが僕の膝の上を争っていた。
確かに明美も大人の領域に入りつつあることを自覚している様で、結局諦めて、僕の右側に座って胸を引っ付けている。
宿の食事は美味しかった。
ポルポロでの食事と違って、肉も魚も野菜も新鮮だった。
「兄ちゃん、美味いねこれ」
「ああ、美味いな」
「タケちゃん、このお肉も美味しいわよ。平原牛かしら」
「うん、平原牛だよ。こっちの山牛の肉も美味しいぞ」
「父ちゃん、味が生っぽいよ」
「ツル、これが普通の味なんだぞ」
「ふーん」
部屋は一部屋しか貸して貰えなかった。
北大陸の文化なのか、部屋にはベットが一つしかない。
ツルは大喜びなのだが、明美とキムノさんは険しい顔をしている。
ツルが現れてからは、ツルが寝る時に離れないので、エッチは自粛している。
ツルは昔の明美の様に、僕を敷布団替わりにして寝ている。
駅馬車を乗り継いで聖都へ向かう事三日目、馬車はミノタウロスに襲われた。
護衛が真っ先に逃げ出し、乗客達は諦めて馬車の中で震えていたのだが、欲求不満の明美とキムノさんが飛び出して行って、ミノタウロスを消し炭にした。
駅馬車組合がお礼に広い宿を用意してくれたのだが、部屋に入った途端、戦闘の興奮を引き摺っている明美とキムノさんが襲い掛かって来た。
僕も十分に溜まっており、迎撃態勢は整っている。
ぎゃふんと言うまで、念入りに反撃させて貰った。
「父ちゃん、くすぐっても良い」
「ああ、ちょっとだけな。縛っちゃ駄目だぞ」
「うん、判った」
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