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Ⅴ 中央大陸
10 兄妹王都に入る
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魔法王国の王都は、大昔に巨大隕石が作ったクレーターの中にある。
高濃度の魔気を含んだ巨大隕石が、粉塵となってクレーター内に降り積もり、クレーター内の大気の魔気濃度を異常に高めている。
その高濃度の魔気の影響でクレーター内の木々は巨大化し、そこで育った人々にも高い魔力を与えた。
ここでは魔力の回復が早い事も相まって、数多くの優秀な魔術師を輩出し、高度な魔道具技術や傑出した魔術を発展させて来た。
その様な国のベースが、より多くの優秀な魔術師を輩出し、より高度な魔術に発展させることが、この国の社会システムとして正しい方向と認識させ、自己責任の幅が広い、他国とは異なるモラル認識を持つ国として発展させて来た。
また、人としての尺度は魔力の大小により判断され、たとえ名家に生まれたとしても、魔力の小さい物は社会的地位は得られず、単なる種馬程度の認識しか与えられない、そんな国だった。
クレーターの上の切り立った崖から王都を見下ろすと、大きな広葉樹の森にしか見えない。
下へ降りるには、降下場にある太い縄で結ばれた大きな籠を使うしかないのだが、降籠と昇籠の乗客のバランスを取って動かすシステムなので、降下場には籠待ちの長蛇の列が出来ていた。
昇籠の客が少ないのだろうか、列の動く気配が無い。
面倒臭いので、俺達は崖を駆け下りることにした。
地上に降りてみて驚いた、高さ三メートルは有りそうな立派な雑草が生い茂っており、とても歩ける状況では無い。
上から見た時は葉に隠れて判らなかったが、雑草の間から上を見上げると、樹々には枝間を結ぶ吊り橋が蜘蛛の巣の様に張り巡らされており、ゆらゆらと頼りなげに風に揺れている。
幅は辛うじて人がすれ違える物から、荷車が渡れそうな物まで様々だ。
その吊り橋の間を縫うように太い縄が張られており、その縄に吊り下げられた帆を張った籠が、人や荷を満載して走り抜けて行く。
巨大な樹の枝には、びっしりと家が立ち並んでおり、ここは樹上の空中都市だったのだ。
地上から樹上に向かう橋も籠も無い、崖の籠の降車場は崖の中腹に出来ており、そこから樹に向かう縄が、扇の様に伸びていた。
仕方が無いので、襲って来た蟷螂の化物を五匹倒してから崖を登って降車場へと向かう。
樹へ向かう籠乗場は空いていた、買い求めた地図で目的の冒険者ギルドは森のほぼ中心、千七百二十三樹に有る事も判った。
だが経路図が複雑過ぎてどの籠に乗れば良いのか判らなかった、取り敢えず中心の方面に向か籠に乗り込むことにした。
ソファーが並べられ、メイドさんが飲み物を配っている籠が来たので乗り込もうとしたら、係員に咎められた。
「おいこら、それは魔術師さま専用籠だ、お前達庶民はそっちの籠だ」
子爵位を振りかざそうかとも思ったのだが、大人気ないので背もたれのない木のベンチが並んだ籠に乗り込む。
ーーーーー
王宮魔術師見習い ジアゾ
エリートである私が監視なぞの下らん仕事で時間を潰されるのは甚だ不本意だ、だが上司からの命令なので逆らえない、なのでここ、南の降車場の貴賓室から籠を降りて来る連中を監視している。
メルルーレン国から勇者と賢者と称する者達が我が国に入ったので監視せよとの話だった、海竜を倒したとの話だったが、この手の話は枝葉が付くものだ。
大方、少し大きな海蛇を倒した程度の話にしか過ぎないのだろう。
崖を駆け下りた猿が二匹いた、大した技量だが所詮猿は猿だ、案の定髪の毛は白と黒の斑なので、典型的など平民だ、魔術師専用籠に乗ろうとして籠乗り場の係員に咎められていた。
勇者や賢者と呼ばれる連中だ、それなりの魔力が有るのだろうから、最低限でもプラチナブロンドだろう。
「親父、酒が無いぞ、早く持って来い」
「はい、魔術師さま。直ぐにお持ちします」
ーーーーー
何度も籠を乗り直したり、縄にしがみ付いて不安定な吊り橋渡ったりしたのだが、中々辿り着けない。
足が棒の様になったので、喫茶店に入って店員に尋ねることにした。
「冒険者ギルドへ行きたいんですが」
「ほら、そこ。焼き煉瓦造りの建物が見えるだろ。あそこだよ」
店員の指差した先は隣の樹の枝、手の届きそうな場所に冒険者ギルドが見える。
「でもなー、あそこに行くには一回南か東の降車場に戻って籠を乗り直さない行けないんだよなー」
「あんなに近いのに吊り橋も無いんですか」
「無い」
何か腹が立って来た。
「マリア、飛ぶぞ」
「えっ!兄ちゃんまだ練習中って言ってなかったっけ」
「まだ練習中だが関係ない、飛ぶぞ。諦めろ」
「えー」
マリアを御姫様抱っこして、枝から飛び降りる。
靴の裏に氷粒を貼り付け、氷粒の中で爆発を起こして推進力に変える。
左右の足のバランスを取るのが凄く難しいのだが、バランスを崩して何度か転びそうになったものの、無事正面の樹の冒険者ギルドに辿り着いた。
冒険者ギルドの掲示板に、レンさんからの伝言が貼りつけてあった。
”二千十三樹十三枝の蜘蛛の巣亭で待っている”
俺には樹の見分けが付かないし、経路図を見ても頭がパンクしそうだ、一難去ってまた一難だ。
高濃度の魔気を含んだ巨大隕石が、粉塵となってクレーター内に降り積もり、クレーター内の大気の魔気濃度を異常に高めている。
その高濃度の魔気の影響でクレーター内の木々は巨大化し、そこで育った人々にも高い魔力を与えた。
ここでは魔力の回復が早い事も相まって、数多くの優秀な魔術師を輩出し、高度な魔道具技術や傑出した魔術を発展させて来た。
その様な国のベースが、より多くの優秀な魔術師を輩出し、より高度な魔術に発展させることが、この国の社会システムとして正しい方向と認識させ、自己責任の幅が広い、他国とは異なるモラル認識を持つ国として発展させて来た。
また、人としての尺度は魔力の大小により判断され、たとえ名家に生まれたとしても、魔力の小さい物は社会的地位は得られず、単なる種馬程度の認識しか与えられない、そんな国だった。
クレーターの上の切り立った崖から王都を見下ろすと、大きな広葉樹の森にしか見えない。
下へ降りるには、降下場にある太い縄で結ばれた大きな籠を使うしかないのだが、降籠と昇籠の乗客のバランスを取って動かすシステムなので、降下場には籠待ちの長蛇の列が出来ていた。
昇籠の客が少ないのだろうか、列の動く気配が無い。
面倒臭いので、俺達は崖を駆け下りることにした。
地上に降りてみて驚いた、高さ三メートルは有りそうな立派な雑草が生い茂っており、とても歩ける状況では無い。
上から見た時は葉に隠れて判らなかったが、雑草の間から上を見上げると、樹々には枝間を結ぶ吊り橋が蜘蛛の巣の様に張り巡らされており、ゆらゆらと頼りなげに風に揺れている。
幅は辛うじて人がすれ違える物から、荷車が渡れそうな物まで様々だ。
その吊り橋の間を縫うように太い縄が張られており、その縄に吊り下げられた帆を張った籠が、人や荷を満載して走り抜けて行く。
巨大な樹の枝には、びっしりと家が立ち並んでおり、ここは樹上の空中都市だったのだ。
地上から樹上に向かう橋も籠も無い、崖の籠の降車場は崖の中腹に出来ており、そこから樹に向かう縄が、扇の様に伸びていた。
仕方が無いので、襲って来た蟷螂の化物を五匹倒してから崖を登って降車場へと向かう。
樹へ向かう籠乗場は空いていた、買い求めた地図で目的の冒険者ギルドは森のほぼ中心、千七百二十三樹に有る事も判った。
だが経路図が複雑過ぎてどの籠に乗れば良いのか判らなかった、取り敢えず中心の方面に向か籠に乗り込むことにした。
ソファーが並べられ、メイドさんが飲み物を配っている籠が来たので乗り込もうとしたら、係員に咎められた。
「おいこら、それは魔術師さま専用籠だ、お前達庶民はそっちの籠だ」
子爵位を振りかざそうかとも思ったのだが、大人気ないので背もたれのない木のベンチが並んだ籠に乗り込む。
ーーーーー
王宮魔術師見習い ジアゾ
エリートである私が監視なぞの下らん仕事で時間を潰されるのは甚だ不本意だ、だが上司からの命令なので逆らえない、なのでここ、南の降車場の貴賓室から籠を降りて来る連中を監視している。
メルルーレン国から勇者と賢者と称する者達が我が国に入ったので監視せよとの話だった、海竜を倒したとの話だったが、この手の話は枝葉が付くものだ。
大方、少し大きな海蛇を倒した程度の話にしか過ぎないのだろう。
崖を駆け下りた猿が二匹いた、大した技量だが所詮猿は猿だ、案の定髪の毛は白と黒の斑なので、典型的など平民だ、魔術師専用籠に乗ろうとして籠乗り場の係員に咎められていた。
勇者や賢者と呼ばれる連中だ、それなりの魔力が有るのだろうから、最低限でもプラチナブロンドだろう。
「親父、酒が無いぞ、早く持って来い」
「はい、魔術師さま。直ぐにお持ちします」
ーーーーー
何度も籠を乗り直したり、縄にしがみ付いて不安定な吊り橋渡ったりしたのだが、中々辿り着けない。
足が棒の様になったので、喫茶店に入って店員に尋ねることにした。
「冒険者ギルドへ行きたいんですが」
「ほら、そこ。焼き煉瓦造りの建物が見えるだろ。あそこだよ」
店員の指差した先は隣の樹の枝、手の届きそうな場所に冒険者ギルドが見える。
「でもなー、あそこに行くには一回南か東の降車場に戻って籠を乗り直さない行けないんだよなー」
「あんなに近いのに吊り橋も無いんですか」
「無い」
何か腹が立って来た。
「マリア、飛ぶぞ」
「えっ!兄ちゃんまだ練習中って言ってなかったっけ」
「まだ練習中だが関係ない、飛ぶぞ。諦めろ」
「えー」
マリアを御姫様抱っこして、枝から飛び降りる。
靴の裏に氷粒を貼り付け、氷粒の中で爆発を起こして推進力に変える。
左右の足のバランスを取るのが凄く難しいのだが、バランスを崩して何度か転びそうになったものの、無事正面の樹の冒険者ギルドに辿り着いた。
冒険者ギルドの掲示板に、レンさんからの伝言が貼りつけてあった。
”二千十三樹十三枝の蜘蛛の巣亭で待っている”
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