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Ⅴ 中央大陸
12 兄妹申請する
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翌朝、全員で迷宮管理事務所のダンジョン入場許可申請窓口に出向く。
「またお前等か、何度来てもまだまだ順番は回って来ないぞ。昨日王宮魔術師研修所からまとまった申請が有ったからな、お前等の待ち順位は百番位繰り下がってるぞ。さー、帰った、帰った」
「今日は、再申請に来た。再計測を頼む」
「なに?その若いの二人を加えるのか。まあ、ゴミみたいな魔力の木偶の坊二人よりはましと思うが、大して順位は変わらんぞ」
「駄目な理由でも有るのか、無かったら計ってくれ」
「仕方ない、規則だから計ってやるが、後から文句を言うなよ」
銀貨七枚を支払い、隣室の計測室に入る。
学校の教室くらいの広さの部屋の中央に刻印が刻まれた円陣が描かれており、その円陣の向こう側にやる気の無さそうな銀髪の女性職員が不機嫌そうに操作卓の前に座っていた。
卓の脇にもう一人、短いスカートを履いた銀髪の女性が寄り掛かっていたので、たぶん二人の無駄話を中断されたので不機嫌なのだろう。
「おじさん、早く真中の円の中に入って」
ホークさんが円陣の中に入ると、その女性が操作卓の出力ダイアルで感度を調整しながら刻印を光らせる。
「はーい、五十八。次の人」
「プッ、何これ」
ホークさんに睨まれて、卓に寄り掛かっている女性が慌てて口を押さえる。
次にウィルさんが円陣に入る、ホークさんと同じ位に刻印が輝く。
「五十三、はーい、次の人」
「顔は合格だったのになー、五十三じゃなー」
次は、モニカさん、刻印が強く輝く。
「二百三、次の人」
「庶民としてはまあまあかな」
あれ?昨日聞いた数字より増えてる。
「僕達、昨日竜の肉を食べて置いたんだ」
こっそり耳打ちしてからレンさんが円陣に向かう。
「三百二、次の人」
「庶民としては合格かな」
アニーさんが、だらしなく操作卓に寄り掛かる女性を睨んでから円陣に入る。
「おばさんコワー」
「ほい、二百五十六。大した事ないじゃん」
「ぷぷぷぷだね」
「煩いよ、小娘共」
「平民のくせに魔術師に喧嘩売るのかい」
「魔術の優劣は魔力だけで決まるんじゃないよ、教えてやろうか、安くしとくよ」
「まあ待てアニー、喧嘩は計測が終わってからにしろ」
「五十八の屑が偉そうに口出すんじゃないよ」
「なんだとこの野郎、裸にひん剥いて表通りに放り出すぞ」
「やれるもんならやってみな。黒焦げにしてやるぜ」
「上等だよ、先にお前等を灰にしてやるさ」
「ちょっと、待って下さい」
睨み合っている四人を止めようと円陣を跨いだら、刻印がもの凄い目が眩むような光を放った。
「えっ?何今の。まだ魔力通してないよ」
「刻印が勝手に反応したの?漏れ出てる魔力だけあの強さなの」
女性二人が唖然としている、急いで四人の間に分け入る。
「まあ、落ち着いて。俺達はまだ計測して貰ってませんから」
「判ったわ、あなたに免じて黒焦げは勘弁してあげるわ。刻印陣の中に入って頂戴」
「すいません、連れを先にお願いします。マリア」
「ほーい」
マリアが円陣を跨ぐと俺と同じ様に刻印が輝いた。
操作卓の前に座った女性が慌てて感度を絞る、何か緊張している、そしてスイッチを入れた。
「千二百を越えました、計測不能です」
「・・・・・」
二人の女性は呆然と画面を見つめている。
「すいません、次俺をお願いします」
「あっ、失礼しました。今準備いたします」
女性の手が震えている、スイッチが入った。
「同じです、お二人共千二百越えで計測不能です」
「さすが、賢者と勇者だね」
「えっ!賢者様と勇者様だったんですか。誰か所長を呼んで来て」
丁重に応接室へ案内された。
「甚だ失礼とは思いますが、管理局からの命令ですので、確認試験を受けて頂けますでしょうか」
「ええ、良いですよ」
「ありがとう御座います。それでは準備させて頂きますので、その間ここで御寛ぎ下さい」
所長が部屋から出て行くと、事務のお姉さん達がお茶とお菓子を持って現れた。
全員美人で、何故か全員俺の前にお茶と菓子を置いて、ウインクしながら身体を俺に摺り寄せて来る、うん、極楽だ、うっひっひっ。
”ガブリ”
鼻の下を伸ばしていたら、突然右腕に痛みが走った、そう、マリアが右腕に齧り付いていた。
美人のお姉さん達が慌てて退出して、俺の右腕には血の滲んだマリアの歯形が見事に残された。
全員にお茶と菓子を配らされた後、マリアの前で正座させられ、頭をポカポカ叩かれる。
「マリアちゃん、悪気は無いんだから勘弁してやったら」
「駄目です」
「これも男の甲斐性なんじゃない」
「駄目です」
「男なんだから仕方ないわよ」
「駄目です」
「裸に剥いて表にぶら下げておくか、手伝うぞ」
「いやです、止めて下さい」
「ほれ、こいつまだ反省してないぞ」
「ウィルさん、煽らないで下さいよ」
所長さんが中々帰って来ない、段々足が痺れて来る。
ーーーーー
王室魔術院魔術研修所所長 マリン
迷宮管理事務所の所長から連絡が入った、迷宮入場許可申請窓口に賢者と勇者が現れたと言うのだ。
入場資格試験を実施するので、たまたま生徒達の引率で樹に来ていた私にも立ち会って欲しいとの依頼だった。
二人の魔力は千二百を越えているという、これは突出した魔力を持っている王ですら凌駕する数字だ、これは一般に知られていない事項だが、もしこの二人から王権の主張が有ったなら、古法に沿って魔術院は判定会議を開催しなければならなくなる。
私の手には余る事柄なので、急いで院長に隼便を送った。
「またお前等か、何度来てもまだまだ順番は回って来ないぞ。昨日王宮魔術師研修所からまとまった申請が有ったからな、お前等の待ち順位は百番位繰り下がってるぞ。さー、帰った、帰った」
「今日は、再申請に来た。再計測を頼む」
「なに?その若いの二人を加えるのか。まあ、ゴミみたいな魔力の木偶の坊二人よりはましと思うが、大して順位は変わらんぞ」
「駄目な理由でも有るのか、無かったら計ってくれ」
「仕方ない、規則だから計ってやるが、後から文句を言うなよ」
銀貨七枚を支払い、隣室の計測室に入る。
学校の教室くらいの広さの部屋の中央に刻印が刻まれた円陣が描かれており、その円陣の向こう側にやる気の無さそうな銀髪の女性職員が不機嫌そうに操作卓の前に座っていた。
卓の脇にもう一人、短いスカートを履いた銀髪の女性が寄り掛かっていたので、たぶん二人の無駄話を中断されたので不機嫌なのだろう。
「おじさん、早く真中の円の中に入って」
ホークさんが円陣の中に入ると、その女性が操作卓の出力ダイアルで感度を調整しながら刻印を光らせる。
「はーい、五十八。次の人」
「プッ、何これ」
ホークさんに睨まれて、卓に寄り掛かっている女性が慌てて口を押さえる。
次にウィルさんが円陣に入る、ホークさんと同じ位に刻印が輝く。
「五十三、はーい、次の人」
「顔は合格だったのになー、五十三じゃなー」
次は、モニカさん、刻印が強く輝く。
「二百三、次の人」
「庶民としてはまあまあかな」
あれ?昨日聞いた数字より増えてる。
「僕達、昨日竜の肉を食べて置いたんだ」
こっそり耳打ちしてからレンさんが円陣に向かう。
「三百二、次の人」
「庶民としては合格かな」
アニーさんが、だらしなく操作卓に寄り掛かる女性を睨んでから円陣に入る。
「おばさんコワー」
「ほい、二百五十六。大した事ないじゃん」
「ぷぷぷぷだね」
「煩いよ、小娘共」
「平民のくせに魔術師に喧嘩売るのかい」
「魔術の優劣は魔力だけで決まるんじゃないよ、教えてやろうか、安くしとくよ」
「まあ待てアニー、喧嘩は計測が終わってからにしろ」
「五十八の屑が偉そうに口出すんじゃないよ」
「なんだとこの野郎、裸にひん剥いて表通りに放り出すぞ」
「やれるもんならやってみな。黒焦げにしてやるぜ」
「上等だよ、先にお前等を灰にしてやるさ」
「ちょっと、待って下さい」
睨み合っている四人を止めようと円陣を跨いだら、刻印がもの凄い目が眩むような光を放った。
「えっ?何今の。まだ魔力通してないよ」
「刻印が勝手に反応したの?漏れ出てる魔力だけあの強さなの」
女性二人が唖然としている、急いで四人の間に分け入る。
「まあ、落ち着いて。俺達はまだ計測して貰ってませんから」
「判ったわ、あなたに免じて黒焦げは勘弁してあげるわ。刻印陣の中に入って頂戴」
「すいません、連れを先にお願いします。マリア」
「ほーい」
マリアが円陣を跨ぐと俺と同じ様に刻印が輝いた。
操作卓の前に座った女性が慌てて感度を絞る、何か緊張している、そしてスイッチを入れた。
「千二百を越えました、計測不能です」
「・・・・・」
二人の女性は呆然と画面を見つめている。
「すいません、次俺をお願いします」
「あっ、失礼しました。今準備いたします」
女性の手が震えている、スイッチが入った。
「同じです、お二人共千二百越えで計測不能です」
「さすが、賢者と勇者だね」
「えっ!賢者様と勇者様だったんですか。誰か所長を呼んで来て」
丁重に応接室へ案内された。
「甚だ失礼とは思いますが、管理局からの命令ですので、確認試験を受けて頂けますでしょうか」
「ええ、良いですよ」
「ありがとう御座います。それでは準備させて頂きますので、その間ここで御寛ぎ下さい」
所長が部屋から出て行くと、事務のお姉さん達がお茶とお菓子を持って現れた。
全員美人で、何故か全員俺の前にお茶と菓子を置いて、ウインクしながら身体を俺に摺り寄せて来る、うん、極楽だ、うっひっひっ。
”ガブリ”
鼻の下を伸ばしていたら、突然右腕に痛みが走った、そう、マリアが右腕に齧り付いていた。
美人のお姉さん達が慌てて退出して、俺の右腕には血の滲んだマリアの歯形が見事に残された。
全員にお茶と菓子を配らされた後、マリアの前で正座させられ、頭をポカポカ叩かれる。
「マリアちゃん、悪気は無いんだから勘弁してやったら」
「駄目です」
「これも男の甲斐性なんじゃない」
「駄目です」
「男なんだから仕方ないわよ」
「駄目です」
「裸に剥いて表にぶら下げておくか、手伝うぞ」
「いやです、止めて下さい」
「ほれ、こいつまだ反省してないぞ」
「ウィルさん、煽らないで下さいよ」
所長さんが中々帰って来ない、段々足が痺れて来る。
ーーーーー
王室魔術院魔術研修所所長 マリン
迷宮管理事務所の所長から連絡が入った、迷宮入場許可申請窓口に賢者と勇者が現れたと言うのだ。
入場資格試験を実施するので、たまたま生徒達の引率で樹に来ていた私にも立ち会って欲しいとの依頼だった。
二人の魔力は千二百を越えているという、これは突出した魔力を持っている王ですら凌駕する数字だ、これは一般に知られていない事項だが、もしこの二人から王権の主張が有ったなら、古法に沿って魔術院は判定会議を開催しなければならなくなる。
私の手には余る事柄なので、急いで院長に隼便を送った。
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