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Ⅴ 中央大陸
14 兄妹試験を受ける 2
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シャルノールのダンジョンと同様にマリアが小石で簡単に倒して行く、俺やホークさん達は歩いて行くだけだ。
「マリア、これは試験なんだからお前一人で倒しちゃ駄目だろう」
「ふん」
まだ怒っている。
「マリアちゃん、ジョージ君には僕からも良く言い聞かせるから、だから僕等にもやらせて」
「・・・はい、兄ちゃん、オンブ」
「はい、はい」
背負ってやると、マリアは直ぐに寝息を立て始めた。
昨晩俺達が終わった後マリアとジョージに身体を明け渡したのだが、マリアとジョージも頑張ったので、俺達は圧倒的に睡眠時間が足りてないのだ。
要領良くモンスターを倒して行くホークさん達を、後ろから歩いてのんびりと眺めていたら、突然マリアが首筋に唇を寄せて舐めはじめた。
「おい、マリア?マリアなのか」
「そうよ、お兄ちゃん。懐かしいな、お兄ちゃんに背負って貰うのは四年振りかな」
「そうか、マリアは初中後背負ってるぞ」
「羨ましいなマリアちゃん、お兄ちゃんに甘えられて」
「ジョージに替わってやろうか」
「ううん、兄さん魔獣とか怨霊は苦手だからこのままで良い」
「そーか、なら次は湿地帯のフロアみたいなんで、甲羅の舟を出してくれるか」
「はい、お兄ちゃん」
ーーーーー
クルシュ家令嬢 アンプローズ
賢者が甘える様に背負われました、小娘らしいやり口に思わず失笑してしまいました。
ところが、暫くすると、皮が剥ける様に賢者の髪色が白銀に変わり、賢者の雰囲気が大きく変わりました。
髪の毛以外は何も変化していないのですが、別の女、私達と同様に駆け引きに長けた別の女が急に現れた感じでした。
「私達からかわれていた様ね」
「ええ、今までの粗野な小娘の姿は演技だった様ね、悔しいけど気が付かなかったわ」
「さすが賢者と言う事かしらね」
ステージが湿地帯に変わりました、動きが不自由になるこのステージならば魔術での攻撃が見られると思ったのですが、甲羅の舟を取り出して素通りしてしまいました。
「ねえアン、今の氷術と火術」
「いいえ、全部熱術よ」
「でも舟の後ろで何かが燃えてたわよ」
「ええ、燃えていたのは水よ」
「えっ、何で水が燃えるのよ」
「水はね、物凄く熱すると燃える気体に変わるのよ、そうでしょナナ」
「ええそうよ、海で魔獣を討伐する時に使うのよ。でもね、膨大な魔力が必要なので使い手は限られるわ。だけど今の勇者の熱術見た?氷のレール作る時に回収した熱を使ってるから大して魔力は使ってないのよ。魔術のコントロールが正確なら最小限の魔力で必要な事象は起こせる、魔術書に書いてあったことのお手本よね」
「ええ、それに場の事象変化を最小限にするように物凄く気を配ってるわ。勇者様だからもっと大雑把な使い方を想像してたけど意外よね」
「細かくて粘着質なのかな、それってちょっと嫌よね」
「細かく粘着質って言うより、元々の魔術の精度が桁違いに正確なんじゃないかな。あれだけ難しい事してるのに、仲間の人達と雑談していましたものね」
「ハル、勇者様はどのくらい事象変化を起こせると思う」
「魔力が大きいだけのお馬鹿さんと思ってましたけで、見に来て良かったわ。魔術の構築強度が桁外れに大きいから、王都全部を覆う氷のドームを作って、中を灼熱地獄するのは可能でしょうね。それにあの賢者さん、メテオを使えるらしいわよ。うちの国の魔術軍は、あの二人に勝てないんじゃないかしら」
「うわー、子種を巡って身内争いしてる場合じゃ無いって事かしらね。父さまに頼んで国から出さない方法を考えて貰いましょうか。ナツ、彼方の力であの二人をコントロールできないかしら」
「勇者様は意志力が強過ぎて無理ね、さっきアプローチしようとしたら跳ね返されたわ。毒でも盛って朦朧とした時なら可能でしょうけど、リスクが大き過ぎるわね。そうね、お酒を飲ませて酩酊させてみましょうか、お酒の所為にすれば誤魔化せるかもしれないし」
「父さんに場を設定して貰いましょう、上手くいったら皆さまにも勇者を使わせてあげますから心配しないで下さいね」
ーーーーー
二十階層の中ボスを倒して試験は終了。
結局マリアはずっと熟睡していて、もう一人のマリアが最後まで手伝ってくれた。
結果は翌日伝えられるとのことなので、俺達は一旦宿に引き上げた。
「ねえ、兄ちゃんしよ」
「おいマリア、お前は昼寝てたけど、俺は起きてたんだぞ、だから昨日からの寝不足が続いてるんだ」
「大丈夫だよ、二日三日寝なくても死にやしないよ。ねー、しよ、しよ、しよ」
「もう一人のマリアに身体を直ぐに明け渡すんだから時間も無いぞ」
「それなら大丈夫、今日は一晩私が使っても良いって」
「えっ、お前達中で会話が可能なのか」
「そうだけど、兄ちゃん達は喋れないの」
「・・・無理だ」
「だから、ねー、しよ」
俺は根性を振り絞って相手を始めたのだが、結局夢中になって、気が付いたら窓の外明るくなっており、鳥が鳴いていた。
寝不足の頭を抱えて翌朝ホークさん達と迷宮管理事務所へ向かう。
「ジョージ君、若いと言ってもやり過ぎは身体に悪いよ。隅ができてるよ」
「はい、反省してます」
「なんだそれは!」
「すいません、これは命令なんで」
許可証は今渡せない、王宮で催される懇親会後に渡すとの回答だった。
仕方が無いので王宮に向かうことにした。
ーーーーー
「ルク、ナツ、本当に大丈夫なのか」
「父さまも覚悟を決めて下さい」
「そうです、痺れ薬の入ったお酒も準備しましたし、魔力増幅腕輪も宝物庫から借りてきました」
「でもなー、失敗したらなー」
「あなた、今更何弱気な事を言ってるんですか、男ならピシッとしなさい」
「はい、ごめんなさい」
「マリア、これは試験なんだからお前一人で倒しちゃ駄目だろう」
「ふん」
まだ怒っている。
「マリアちゃん、ジョージ君には僕からも良く言い聞かせるから、だから僕等にもやらせて」
「・・・はい、兄ちゃん、オンブ」
「はい、はい」
背負ってやると、マリアは直ぐに寝息を立て始めた。
昨晩俺達が終わった後マリアとジョージに身体を明け渡したのだが、マリアとジョージも頑張ったので、俺達は圧倒的に睡眠時間が足りてないのだ。
要領良くモンスターを倒して行くホークさん達を、後ろから歩いてのんびりと眺めていたら、突然マリアが首筋に唇を寄せて舐めはじめた。
「おい、マリア?マリアなのか」
「そうよ、お兄ちゃん。懐かしいな、お兄ちゃんに背負って貰うのは四年振りかな」
「そうか、マリアは初中後背負ってるぞ」
「羨ましいなマリアちゃん、お兄ちゃんに甘えられて」
「ジョージに替わってやろうか」
「ううん、兄さん魔獣とか怨霊は苦手だからこのままで良い」
「そーか、なら次は湿地帯のフロアみたいなんで、甲羅の舟を出してくれるか」
「はい、お兄ちゃん」
ーーーーー
クルシュ家令嬢 アンプローズ
賢者が甘える様に背負われました、小娘らしいやり口に思わず失笑してしまいました。
ところが、暫くすると、皮が剥ける様に賢者の髪色が白銀に変わり、賢者の雰囲気が大きく変わりました。
髪の毛以外は何も変化していないのですが、別の女、私達と同様に駆け引きに長けた別の女が急に現れた感じでした。
「私達からかわれていた様ね」
「ええ、今までの粗野な小娘の姿は演技だった様ね、悔しいけど気が付かなかったわ」
「さすが賢者と言う事かしらね」
ステージが湿地帯に変わりました、動きが不自由になるこのステージならば魔術での攻撃が見られると思ったのですが、甲羅の舟を取り出して素通りしてしまいました。
「ねえアン、今の氷術と火術」
「いいえ、全部熱術よ」
「でも舟の後ろで何かが燃えてたわよ」
「ええ、燃えていたのは水よ」
「えっ、何で水が燃えるのよ」
「水はね、物凄く熱すると燃える気体に変わるのよ、そうでしょナナ」
「ええそうよ、海で魔獣を討伐する時に使うのよ。でもね、膨大な魔力が必要なので使い手は限られるわ。だけど今の勇者の熱術見た?氷のレール作る時に回収した熱を使ってるから大して魔力は使ってないのよ。魔術のコントロールが正確なら最小限の魔力で必要な事象は起こせる、魔術書に書いてあったことのお手本よね」
「ええ、それに場の事象変化を最小限にするように物凄く気を配ってるわ。勇者様だからもっと大雑把な使い方を想像してたけど意外よね」
「細かくて粘着質なのかな、それってちょっと嫌よね」
「細かく粘着質って言うより、元々の魔術の精度が桁違いに正確なんじゃないかな。あれだけ難しい事してるのに、仲間の人達と雑談していましたものね」
「ハル、勇者様はどのくらい事象変化を起こせると思う」
「魔力が大きいだけのお馬鹿さんと思ってましたけで、見に来て良かったわ。魔術の構築強度が桁外れに大きいから、王都全部を覆う氷のドームを作って、中を灼熱地獄するのは可能でしょうね。それにあの賢者さん、メテオを使えるらしいわよ。うちの国の魔術軍は、あの二人に勝てないんじゃないかしら」
「うわー、子種を巡って身内争いしてる場合じゃ無いって事かしらね。父さまに頼んで国から出さない方法を考えて貰いましょうか。ナツ、彼方の力であの二人をコントロールできないかしら」
「勇者様は意志力が強過ぎて無理ね、さっきアプローチしようとしたら跳ね返されたわ。毒でも盛って朦朧とした時なら可能でしょうけど、リスクが大き過ぎるわね。そうね、お酒を飲ませて酩酊させてみましょうか、お酒の所為にすれば誤魔化せるかもしれないし」
「父さんに場を設定して貰いましょう、上手くいったら皆さまにも勇者を使わせてあげますから心配しないで下さいね」
ーーーーー
二十階層の中ボスを倒して試験は終了。
結局マリアはずっと熟睡していて、もう一人のマリアが最後まで手伝ってくれた。
結果は翌日伝えられるとのことなので、俺達は一旦宿に引き上げた。
「ねえ、兄ちゃんしよ」
「おいマリア、お前は昼寝てたけど、俺は起きてたんだぞ、だから昨日からの寝不足が続いてるんだ」
「大丈夫だよ、二日三日寝なくても死にやしないよ。ねー、しよ、しよ、しよ」
「もう一人のマリアに身体を直ぐに明け渡すんだから時間も無いぞ」
「それなら大丈夫、今日は一晩私が使っても良いって」
「えっ、お前達中で会話が可能なのか」
「そうだけど、兄ちゃん達は喋れないの」
「・・・無理だ」
「だから、ねー、しよ」
俺は根性を振り絞って相手を始めたのだが、結局夢中になって、気が付いたら窓の外明るくなっており、鳥が鳴いていた。
寝不足の頭を抱えて翌朝ホークさん達と迷宮管理事務所へ向かう。
「ジョージ君、若いと言ってもやり過ぎは身体に悪いよ。隅ができてるよ」
「はい、反省してます」
「なんだそれは!」
「すいません、これは命令なんで」
許可証は今渡せない、王宮で催される懇親会後に渡すとの回答だった。
仕方が無いので王宮に向かうことにした。
ーーーーー
「ルク、ナツ、本当に大丈夫なのか」
「父さまも覚悟を決めて下さい」
「そうです、痺れ薬の入ったお酒も準備しましたし、魔力増幅腕輪も宝物庫から借りてきました」
「でもなー、失敗したらなー」
「あなた、今更何弱気な事を言ってるんですか、男ならピシッとしなさい」
「はい、ごめんなさい」
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