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Ⅵ クシュナ古代遺跡
9 兄妹迷宮に挑む6
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クシュナ古代遺跡北の九十八階層、あえて上層と同じ地区割りをすれば、百十八か百十九地区になるのだろうか。
蘇った俺の記憶に依れば、ここは北地区の九十八階層、時空変動前は居住区だった場所だ。
宇宙船のほぼ真ん中の階層で、俺達が住んでいた階層だ。
当初は探索が終わった星域の環境を、研究の為に写し取って持ち帰る為の区画だったが、目的星域に到達する前にエンジントラブルでこの星に不時着してしまい目的を失い、通常区画として再構築された区画だ。
当初の使用目的の性格上、他区画に比べて空が高く、緑の多い落ち着いた場所だったので、二人の住いとしてここを選択したのだ。
今は時空変動の影響で空間規模が十数倍に広がり、巨大な蔦が全面に生い茂っている。
植物の力は偉大で、階層を区画する隔壁すらも突き破っている。
「ホークさん、蔦沿いに降りた方が早そうですね」
「ああ、降り口を捜す手間は省けるがな」
「でもよ、あれって竜だよな。鳥じゃないよな」
「ここでの距離感は信用できないけど、僕も竜だと思うよ」
「ワイバーンくらいならあたいらでも戦えるけど、地竜クラスじゃ厳しいわよ」
「ねえホーク、装備を少し見直した方が良いんじゃない」
「ええ、あんなに多いと一斉に襲われたら対処できないですからね。これと同じくらいの装備を用意した方が良いでしょうね」
そう、出発前にお願いした戦闘戦隊風コスチュームが完成し、俺達はそれを着込んでいる。
ナナさん用に一揃え追加し、俺達の様子を見てアニーさんとレンさんとモニカさんも追加注文した。
モニカさんはピンクと赤、レンさん白、アニーさんはなんと豹柄、そしてナナさんはマリアにデザインを一任したので桜の木から桜吹雪が舞い落ちる凝った図柄のデザインとなった。
「俺達もそれを着なきゃ駄目か?」
「これ機動性抜群だし、強度も魔防力も抜群だよ。それにこれ今流行ってるんだよ」
そう、これを頼んだ工房も含め、組合全体にこれと同型の装備一式の注文が殺到して、寝る暇も無いと言われている。
今までこの手の装備の作成は単一工房で請け負うのが普通だった。
だが俺達の装備の作成に当たっては、各親方達が協力して、自分の得意とするパーツの作成を分担して作業を急いでくれた。
そして俺達からの追加注文もその体制で作成し始めたら、物凄い勢いで同型装備の注文が各工房に殺到し始めたため、同じ体制で作業を継続させざるを得なくなり、分業体制が確立してしまったそうなのだ。
始めてみれば、自分の得意なパーツの作成に集中できて徹底的に細部にまで拘れる。
これが親方達の職人気質にも合っていたようで、分業にした結果、出来上がりの品質が目に見えて上昇したそうなのだ。
しかも組合が受注して手配を行う体制も確立し、各工房は作成に集中できるので、作成期間自体は十分の一に短縮されたと言われている。
それでも評判が評判を呼び、冒険者からの注文のみに収まらず、採寸に訪れる近隣諸国の諸侯が殺到して作成が間に合わないのだ。
「それじゃ端っこの奴を一匹狩って工房への手土産にしましょう。たぶんあいつ等ダンジョン装置が作り出した奴じゃ無くて、実体を持ってると思いますよ」
九十五階層から倒しても光の粒になって消えない奴が出始めたのだ。
解体が面倒臭いので、リックサック型の大容量マジックボックスに収納して運んでいる。
時空変動の時に、俺の様に他空間へ飛ばされた者あれば、逆にこの空間に吸い込まれた奴もいる筈だ。
そんな連中が此処に住み付いたのだろう。
今町は資材不足に悩まされている。
俺達が遺跡に潜り始めてそろそろ二月経つのだが、町の規模が十倍くらい膨れ上がっている。
俺達が持ち帰る遺物のオークションに参加する人や装備作成に訪れる諸侯が引き連れてくる家来達がその主な要因なのだが、地上からの物資の輸送能力は崖を下る籠に頼っているので変わっていないのだ。
だから、食糧も含めて物資が不足している。
狩った魔獣を持ち帰って肉を分けたら、近所の宿の主人達が大喜びしていた。
龍一頭なら、相当人数の胃袋を補える筈だ。
ーーーーー
クシュナ古代遺跡 鑑定術師兼迷宮探索補助員 ナナ
ジョージさんが龍を狩ると言い出した時は冗談かと思いました。
二百年前、この町は龍に襲われたことがあります。
王都から派遣された魔術師軍団が追い返したそうですが、町の人口は四分の一に減ったそうです。
龍に喰われた人が四分の一、残りは遺跡に逃げ込んで戻らなかった人達だそうです。
それ以来、冒険者には緊急時の迷宮内での一般市民の保護を誓約させ、我々迷宮探索補助員の随行を義務付ける制度が出来たと聞いています。
そんな恐ろしい存在の筈なのに、ジョージさんは本気の様です。
少し近づいた段階で私は悟りました。
竜退治なんて御伽噺にしか過ぎないと。
これは人間が如何にか出来る存在じゃありません。
きっと神様に近い存在なのでしょう。
「兄ちゃん、メテオ使って良い」
「駄目だ、他の連中の気を引いたら面倒だろ。氷で頭を覆って鳴かない様にして落とすから、地面に貼りつけてくれ。そしたら俺が止めを刺す」
「うん、解った」
何が解ったんでしょうか、鳴かないようにする?地面に貼り付ける?何を馬鹿な話をしてるんでしょうか。
「ジョージ、煮殺しはできないのか」
「ええ、ホークさん。ここじゃ水が少な過ぎるんですよ」
「あそこの水溜りは使えないの」
「あの大きさじゃ五匹分くらいですね。あの周辺には八十六匹くらい隠れてますから一斉に襲われますよ。一匹ずつ周辺を飛んでる奴を削った方が安全でしょうね」
はて?海賊さんも変な話をしています。
煮殺す?そんな大きなお鍋は見たことありません。
上空を飛んでいる龍をジョージさんが見詰めています。
突然龍がバタバタと足掻き始め、高度を落とし始めました。
ジョージさんがその龍に向かって走り始めました。
ここの空間は時々捻れているので、迷子にならない様にと私とマリアさんはジョージさんと腰紐を結んであります。
なのでジョージさんは私とマリアさんを両脇に抱えて走り始めたのですが、周りの光景が物凄い勢いで後ろに飛んで行きます。
龍が地面に足を着けた途端沈んで行ます。
下が沼地だったのでしょうか。
半分沈んだ状態で動きを止めた龍にジョージさんが駆け上がりました。
小山を登っている様な感覚で、龍が見えない分、恐怖心が治まりました。
叢の様な場所でジョージさんが立ち止まりました。
私達二人を脇に降ろすと、剣を抜きました。
剣が熱を帯びて光り始めると、その剣を叢に突き立てました。
物の焦げる臭いがして、足元からビクリと振動が伝わってきました。
ジョージさんが剣を引き抜くと、剣は光と熱を失います。
剣を鞘に戻し、マリアさんと私を再び脇に抱えると、ジョージさんは叢の道を走り始めました。
叢の道と思っていたのは龍のたてがみでした。
背負い袋の中に尻尾から龍が吸い込まれて行く様子は、とても不思議な光景でした。
これが私の経験した初めての龍退治の様子です。
戻ってからが大変でした。
町外れに革職人さんや調理師に集まって貰い、ジョージさんに、龍解体の説明会を開いて貰いました。
なんか物凄く手馴れている感じがします。
「まあ、若い小さな幼体だから練習には丁度良かったよ」
「えっ!これで小さいんですか」
「成体ならこれの三倍はあるよ」
翌日、二十八匹程狩った時点で、気が付いた龍達は怯えて下の階層へ逃げて行きました。
蘇った俺の記憶に依れば、ここは北地区の九十八階層、時空変動前は居住区だった場所だ。
宇宙船のほぼ真ん中の階層で、俺達が住んでいた階層だ。
当初は探索が終わった星域の環境を、研究の為に写し取って持ち帰る為の区画だったが、目的星域に到達する前にエンジントラブルでこの星に不時着してしまい目的を失い、通常区画として再構築された区画だ。
当初の使用目的の性格上、他区画に比べて空が高く、緑の多い落ち着いた場所だったので、二人の住いとしてここを選択したのだ。
今は時空変動の影響で空間規模が十数倍に広がり、巨大な蔦が全面に生い茂っている。
植物の力は偉大で、階層を区画する隔壁すらも突き破っている。
「ホークさん、蔦沿いに降りた方が早そうですね」
「ああ、降り口を捜す手間は省けるがな」
「でもよ、あれって竜だよな。鳥じゃないよな」
「ここでの距離感は信用できないけど、僕も竜だと思うよ」
「ワイバーンくらいならあたいらでも戦えるけど、地竜クラスじゃ厳しいわよ」
「ねえホーク、装備を少し見直した方が良いんじゃない」
「ええ、あんなに多いと一斉に襲われたら対処できないですからね。これと同じくらいの装備を用意した方が良いでしょうね」
そう、出発前にお願いした戦闘戦隊風コスチュームが完成し、俺達はそれを着込んでいる。
ナナさん用に一揃え追加し、俺達の様子を見てアニーさんとレンさんとモニカさんも追加注文した。
モニカさんはピンクと赤、レンさん白、アニーさんはなんと豹柄、そしてナナさんはマリアにデザインを一任したので桜の木から桜吹雪が舞い落ちる凝った図柄のデザインとなった。
「俺達もそれを着なきゃ駄目か?」
「これ機動性抜群だし、強度も魔防力も抜群だよ。それにこれ今流行ってるんだよ」
そう、これを頼んだ工房も含め、組合全体にこれと同型の装備一式の注文が殺到して、寝る暇も無いと言われている。
今までこの手の装備の作成は単一工房で請け負うのが普通だった。
だが俺達の装備の作成に当たっては、各親方達が協力して、自分の得意とするパーツの作成を分担して作業を急いでくれた。
そして俺達からの追加注文もその体制で作成し始めたら、物凄い勢いで同型装備の注文が各工房に殺到し始めたため、同じ体制で作業を継続させざるを得なくなり、分業体制が確立してしまったそうなのだ。
始めてみれば、自分の得意なパーツの作成に集中できて徹底的に細部にまで拘れる。
これが親方達の職人気質にも合っていたようで、分業にした結果、出来上がりの品質が目に見えて上昇したそうなのだ。
しかも組合が受注して手配を行う体制も確立し、各工房は作成に集中できるので、作成期間自体は十分の一に短縮されたと言われている。
それでも評判が評判を呼び、冒険者からの注文のみに収まらず、採寸に訪れる近隣諸国の諸侯が殺到して作成が間に合わないのだ。
「それじゃ端っこの奴を一匹狩って工房への手土産にしましょう。たぶんあいつ等ダンジョン装置が作り出した奴じゃ無くて、実体を持ってると思いますよ」
九十五階層から倒しても光の粒になって消えない奴が出始めたのだ。
解体が面倒臭いので、リックサック型の大容量マジックボックスに収納して運んでいる。
時空変動の時に、俺の様に他空間へ飛ばされた者あれば、逆にこの空間に吸い込まれた奴もいる筈だ。
そんな連中が此処に住み付いたのだろう。
今町は資材不足に悩まされている。
俺達が遺跡に潜り始めてそろそろ二月経つのだが、町の規模が十倍くらい膨れ上がっている。
俺達が持ち帰る遺物のオークションに参加する人や装備作成に訪れる諸侯が引き連れてくる家来達がその主な要因なのだが、地上からの物資の輸送能力は崖を下る籠に頼っているので変わっていないのだ。
だから、食糧も含めて物資が不足している。
狩った魔獣を持ち帰って肉を分けたら、近所の宿の主人達が大喜びしていた。
龍一頭なら、相当人数の胃袋を補える筈だ。
ーーーーー
クシュナ古代遺跡 鑑定術師兼迷宮探索補助員 ナナ
ジョージさんが龍を狩ると言い出した時は冗談かと思いました。
二百年前、この町は龍に襲われたことがあります。
王都から派遣された魔術師軍団が追い返したそうですが、町の人口は四分の一に減ったそうです。
龍に喰われた人が四分の一、残りは遺跡に逃げ込んで戻らなかった人達だそうです。
それ以来、冒険者には緊急時の迷宮内での一般市民の保護を誓約させ、我々迷宮探索補助員の随行を義務付ける制度が出来たと聞いています。
そんな恐ろしい存在の筈なのに、ジョージさんは本気の様です。
少し近づいた段階で私は悟りました。
竜退治なんて御伽噺にしか過ぎないと。
これは人間が如何にか出来る存在じゃありません。
きっと神様に近い存在なのでしょう。
「兄ちゃん、メテオ使って良い」
「駄目だ、他の連中の気を引いたら面倒だろ。氷で頭を覆って鳴かない様にして落とすから、地面に貼りつけてくれ。そしたら俺が止めを刺す」
「うん、解った」
何が解ったんでしょうか、鳴かないようにする?地面に貼り付ける?何を馬鹿な話をしてるんでしょうか。
「ジョージ、煮殺しはできないのか」
「ええ、ホークさん。ここじゃ水が少な過ぎるんですよ」
「あそこの水溜りは使えないの」
「あの大きさじゃ五匹分くらいですね。あの周辺には八十六匹くらい隠れてますから一斉に襲われますよ。一匹ずつ周辺を飛んでる奴を削った方が安全でしょうね」
はて?海賊さんも変な話をしています。
煮殺す?そんな大きなお鍋は見たことありません。
上空を飛んでいる龍をジョージさんが見詰めています。
突然龍がバタバタと足掻き始め、高度を落とし始めました。
ジョージさんがその龍に向かって走り始めました。
ここの空間は時々捻れているので、迷子にならない様にと私とマリアさんはジョージさんと腰紐を結んであります。
なのでジョージさんは私とマリアさんを両脇に抱えて走り始めたのですが、周りの光景が物凄い勢いで後ろに飛んで行きます。
龍が地面に足を着けた途端沈んで行ます。
下が沼地だったのでしょうか。
半分沈んだ状態で動きを止めた龍にジョージさんが駆け上がりました。
小山を登っている様な感覚で、龍が見えない分、恐怖心が治まりました。
叢の様な場所でジョージさんが立ち止まりました。
私達二人を脇に降ろすと、剣を抜きました。
剣が熱を帯びて光り始めると、その剣を叢に突き立てました。
物の焦げる臭いがして、足元からビクリと振動が伝わってきました。
ジョージさんが剣を引き抜くと、剣は光と熱を失います。
剣を鞘に戻し、マリアさんと私を再び脇に抱えると、ジョージさんは叢の道を走り始めました。
叢の道と思っていたのは龍のたてがみでした。
背負い袋の中に尻尾から龍が吸い込まれて行く様子は、とても不思議な光景でした。
これが私の経験した初めての龍退治の様子です。
戻ってからが大変でした。
町外れに革職人さんや調理師に集まって貰い、ジョージさんに、龍解体の説明会を開いて貰いました。
なんか物凄く手馴れている感じがします。
「まあ、若い小さな幼体だから練習には丁度良かったよ」
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