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Ⅰ ヒューロス国
7 兄妹自由都市に辿り着く
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マリアは不満そうだったが、ボーナスポイントは保留状態にしてある。
理由は目的地に到着した時に違うスキルが必要になると思ったのだ。
町の人間と敵対するなら兎も角、棍棒も投石も、ましてや自称メテオなんて絶対に不要だと考えたのだ。
「ねえ、兄ちゃん。せめてストーン使わせて」
「駄目、土術に割り振るぐらいだったら礼儀を復活させろよ」
「ねえ、たった1ポイントだよ」
「駄目、1ポイントを笑う者は1ポイント泣くんだ」
「笑ってないもん」
「屁理屈言うな、俺達は追われてんだぞ。変装のスキルだって必要になるかも知れないんだぞ」
「考え過ぎだよ兄ちゃん、私達に勝てる奴なんていないよ」
「相手は犬じゃないんだぞ、伯爵の家来を皆殺しにしたら俺達人類の敵になっちゃうぞ」
「うーん、あたし達変わって来てるでしょ、だから大丈夫よ」
「髪の色が少し変わっただけだろ、絶対に駄目だ」
「ぶー」
確かにマリアの言う通り、この世界に来て一週間、俺達の身体は変化している。
まず俺もマリアも背が少し伸びて筋肉もついて肩幅が広くなった。
そう、譲治と真理亜の体格に少し近づいているのだ。
髪にも黒髪が混じり始めた、このまま譲治と真理亜に変われば逃げる必要も無いのだが、如何せん顔が全然変わっていない。
さらに付け加えれば、多少顔の柔らかさが失せている、うん、危ない顔に変わって来ている。
強い魔獣も現れなくなり、俺達の経験値も停滞する。
すると、俺達の背の倍くらい有る先端を尖らせた杭を並べた塀に突き当った。
「跳び越える、兄ちゃん」
たぶん今の俺達の能力なら可能だろう。
「ちょっと待て、何か変な感じがする」
犬を一匹捕まえて来て、塀の上に放り投げてみる。
杭の先端から稲妻が出て、黒焦げになった犬が落ちて来た。
「可哀そうな事をしたな。冥福を祈って食べてやるか」
「うん、中まで火が通ってないから焼き直そう」
犬を食い終わってから改めて塀を調べる、上の方に雷の刻印が施されていた。
塀沿いに微かな踏み跡がある、点検路だろうか、その点検路に沿って歩いてみた。
暫くすると、小さな扉が有った、でも鍵がかかっている。
足元から小枝を拾って鍵穴を出し入れする。
「兄ちゃん、何してるの。そんなんじゃ開かないよ」
「良いんだよ、ほら、解錠のスキルが湧いただろ」
解錠スキルに1振ったら簡単に開けられた。
扉を潜るとそこは街道だった、裏通りなのか人影が無い、左手の遠くに塀で囲まれた町が見える。
あれがジョージとマリアの目指した自由都市トルトノスだ。
あそこから隣国マーシャルへは乗合馬車が走っており、その先には中央大陸に向かう船が出るゲレンの港が待っている。
ここはもう完全に伯爵領の外だ、油断は禁物だが、少し危機は脱したと思っている。
誰もあの二人がアカクルカ荒野を渡れるとは思っていないだろう。
「アカクルカ街道から来る奴なんて珍しいな」
「すいません、道に迷っちゃたんです、門が判らなくて。塀が見えたんで塀沿いを歩いて来たんです」
「その髪色からするとクスクの山の民か、毛皮の商いに来たのか」
「はい、クック村から来ました」
マジックボックスから毛皮を出して背中の背負子に積んである、村の名前は出任せだ。
「金は持ってるか、夫婦で銀貨一枚だ」
「はいございます」
「ならそこに名前と出身地を書け」
「ヒューロス語は書けないんで部族語で良いですか」
「構わん」
ジョージはヒューロス語を書ける、だがこれは念のためだ、すべて日本語で書いておく、譲治、真理亜、クック村っと。
「これが通行証だ、無くすなよ。良し行け」
「はい、気を付けます」
初めて見るこの世界の街並みだ、この辺は住宅地なのだろうか、小さな庭のある干し煉瓦作りの平屋が多い、木枠の窓にガラスが嵌めてある。
魔力が抜けた魔石は白い粉に変わり、この白い粉は金属よりも低い温度で溶けてガラスに変わる。
ガラスが普及している訳をジョージの知識が教えてくれる。
町の中心を目差す、焼き煉瓦の建物が増えて行き、商店も増え始める。
さてと、毛皮を商っていそうな店に入る。
「あのー、毛皮を売りたいのですが」
「見せてごらん、あー、これじゃ銅貨十枚だね」
「あのもう少し高く」
「嫌なら帰んな」
「はい、十枚で良いです」
毛皮を十枚売って銅貨百枚を貰って店を出る。
「兄ちゃん、相場は五十枚だったんだじゃないの。私が売ろうか」
「良いんだよこれで、ほら俺達に商売のスキルが増えただろ。これにポイント三つ振って」
「兄ちゃん、なんであたい達商売の経験値最初から持ってるの」
「売る方だけじゃなくて、買う方も商売なんだよ。だから俺達にも経験が貯まってるんだよ、じゃっ、次の店行くぞ」
今度は一枚銅貨八十枚で二百枚売れた、俺の解体スキルからすれば当然の値段だ。
五か所回って銀貨八百枚を得る、日本円にして八十万円くらいか、これで当面の暮らしは安心だ、これ以上売ると目立ち過ぎる。
「それじゃ宿でも探すか」
「わーい、御飯とお酒が美味しい宿が良い」
「おい、酒って」
「この子は飲んでるわよ」
「異世界だから構わないか。今日は見張りの必要も無いしな」
「わーい、肉じゃない物が食べたい」
理由は目的地に到着した時に違うスキルが必要になると思ったのだ。
町の人間と敵対するなら兎も角、棍棒も投石も、ましてや自称メテオなんて絶対に不要だと考えたのだ。
「ねえ、兄ちゃん。せめてストーン使わせて」
「駄目、土術に割り振るぐらいだったら礼儀を復活させろよ」
「ねえ、たった1ポイントだよ」
「駄目、1ポイントを笑う者は1ポイント泣くんだ」
「笑ってないもん」
「屁理屈言うな、俺達は追われてんだぞ。変装のスキルだって必要になるかも知れないんだぞ」
「考え過ぎだよ兄ちゃん、私達に勝てる奴なんていないよ」
「相手は犬じゃないんだぞ、伯爵の家来を皆殺しにしたら俺達人類の敵になっちゃうぞ」
「うーん、あたし達変わって来てるでしょ、だから大丈夫よ」
「髪の色が少し変わっただけだろ、絶対に駄目だ」
「ぶー」
確かにマリアの言う通り、この世界に来て一週間、俺達の身体は変化している。
まず俺もマリアも背が少し伸びて筋肉もついて肩幅が広くなった。
そう、譲治と真理亜の体格に少し近づいているのだ。
髪にも黒髪が混じり始めた、このまま譲治と真理亜に変われば逃げる必要も無いのだが、如何せん顔が全然変わっていない。
さらに付け加えれば、多少顔の柔らかさが失せている、うん、危ない顔に変わって来ている。
強い魔獣も現れなくなり、俺達の経験値も停滞する。
すると、俺達の背の倍くらい有る先端を尖らせた杭を並べた塀に突き当った。
「跳び越える、兄ちゃん」
たぶん今の俺達の能力なら可能だろう。
「ちょっと待て、何か変な感じがする」
犬を一匹捕まえて来て、塀の上に放り投げてみる。
杭の先端から稲妻が出て、黒焦げになった犬が落ちて来た。
「可哀そうな事をしたな。冥福を祈って食べてやるか」
「うん、中まで火が通ってないから焼き直そう」
犬を食い終わってから改めて塀を調べる、上の方に雷の刻印が施されていた。
塀沿いに微かな踏み跡がある、点検路だろうか、その点検路に沿って歩いてみた。
暫くすると、小さな扉が有った、でも鍵がかかっている。
足元から小枝を拾って鍵穴を出し入れする。
「兄ちゃん、何してるの。そんなんじゃ開かないよ」
「良いんだよ、ほら、解錠のスキルが湧いただろ」
解錠スキルに1振ったら簡単に開けられた。
扉を潜るとそこは街道だった、裏通りなのか人影が無い、左手の遠くに塀で囲まれた町が見える。
あれがジョージとマリアの目指した自由都市トルトノスだ。
あそこから隣国マーシャルへは乗合馬車が走っており、その先には中央大陸に向かう船が出るゲレンの港が待っている。
ここはもう完全に伯爵領の外だ、油断は禁物だが、少し危機は脱したと思っている。
誰もあの二人がアカクルカ荒野を渡れるとは思っていないだろう。
「アカクルカ街道から来る奴なんて珍しいな」
「すいません、道に迷っちゃたんです、門が判らなくて。塀が見えたんで塀沿いを歩いて来たんです」
「その髪色からするとクスクの山の民か、毛皮の商いに来たのか」
「はい、クック村から来ました」
マジックボックスから毛皮を出して背中の背負子に積んである、村の名前は出任せだ。
「金は持ってるか、夫婦で銀貨一枚だ」
「はいございます」
「ならそこに名前と出身地を書け」
「ヒューロス語は書けないんで部族語で良いですか」
「構わん」
ジョージはヒューロス語を書ける、だがこれは念のためだ、すべて日本語で書いておく、譲治、真理亜、クック村っと。
「これが通行証だ、無くすなよ。良し行け」
「はい、気を付けます」
初めて見るこの世界の街並みだ、この辺は住宅地なのだろうか、小さな庭のある干し煉瓦作りの平屋が多い、木枠の窓にガラスが嵌めてある。
魔力が抜けた魔石は白い粉に変わり、この白い粉は金属よりも低い温度で溶けてガラスに変わる。
ガラスが普及している訳をジョージの知識が教えてくれる。
町の中心を目差す、焼き煉瓦の建物が増えて行き、商店も増え始める。
さてと、毛皮を商っていそうな店に入る。
「あのー、毛皮を売りたいのですが」
「見せてごらん、あー、これじゃ銅貨十枚だね」
「あのもう少し高く」
「嫌なら帰んな」
「はい、十枚で良いです」
毛皮を十枚売って銅貨百枚を貰って店を出る。
「兄ちゃん、相場は五十枚だったんだじゃないの。私が売ろうか」
「良いんだよこれで、ほら俺達に商売のスキルが増えただろ。これにポイント三つ振って」
「兄ちゃん、なんであたい達商売の経験値最初から持ってるの」
「売る方だけじゃなくて、買う方も商売なんだよ。だから俺達にも経験が貯まってるんだよ、じゃっ、次の店行くぞ」
今度は一枚銅貨八十枚で二百枚売れた、俺の解体スキルからすれば当然の値段だ。
五か所回って銀貨八百枚を得る、日本円にして八十万円くらいか、これで当面の暮らしは安心だ、これ以上売ると目立ち過ぎる。
「それじゃ宿でも探すか」
「わーい、御飯とお酒が美味しい宿が良い」
「おい、酒って」
「この子は飲んでるわよ」
「異世界だから構わないか。今日は見張りの必要も無いしな」
「わーい、肉じゃない物が食べたい」
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