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Ⅱ 自由都市トルトノス
2 兄妹風呂に入る
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「じゃ、兄ちゃんここで待ってて」
厨房脇の物置の床に一メートル角の木の蓋が作ってあり、その蓋を持ち上げると地下に階段が伸びており、階段を下りると風呂場が有った、通路は更に先まで伸びており、町の塀の外まで続いていると説明された。
脱衣所の入口には戸が二か所あり、左の戸に男神の裸像、右の戸に女神の裸像が浮き彫りにされていた。
マリアとは戸の前で別れた。
まだ早い時間帯の所為だろうか、脱衣所には誰も居なかったので安心した。
闇ギルドの宿だと思うと女中さんにすら警戒してしまう。
風呂場に着替えが用意してあったので、たぶん血に汚れた衣服をここで脱ぎ捨てるのだろう。
俺は汗で汚れた服を脱いで風呂場に入る、風呂場は広くて明るかった、誰もいないようだ、周囲を見回してみた。
「あー!」
「あー!」
そう、直ぐ脇にマリアが立っていた、勿論裸だ。
脱衣所は別れていたが、風呂場は男女一緒の様だった、仕方が無いので並んで湯船に浸かった、少し温かったがそれでも気持ちが良い。
「兄ちゃんと一緒に風呂入るの一年ぶりくらいかな」
「そうだな、俺が中二の時だから一年振りか」
両親が共働きだったので、小さい頃から真理亜に夕飯を食わせるのも、風呂に入れるのも、寝かしつけるのも俺の役目だった。
そのままの習慣を俺達は続けていたのだが、俺が中二、真理亜が小六の夏、風呂から出てリビングのエアコンの前で涼みながら真理亜をタオルで拭いていたら、仕事が早めに終わって帰って来た母さんがリビングの入口で絶句していた。
母さんに懇々と説教され、それ以来一緒に風呂に入っていない、それに、時々添い寝してやっていたことは勿論黙っていた。
母さんや父さんは心配していた様だったが、俺と真理亜は小さい頃からの習慣を何となく続けていただけで、互いを異性として意識することは特に無かった。
俺は真理亜を単なる保護対象としてしか意識しなかったし、真理亜も単なる依頼すべき相手という意識だったと思う。
だが困った事に今はジョージの記憶も共有している、だから隣に座っているマリアを百パーセント性的欲求の相手として意識している。
「兄ちゃん、勃起してるよ。抜いてあげようか」
「いや、歯止めが利かなそうだから止めておくよ。早く身体洗って風呂を出よう」
「うん、判った。背中洗ってあげる」
「ああ、頼む」
互いの背中を洗って、なんとか理性で乗り切った。
「いただきます」
真っ先にサラダの葉野菜に齧り付き頬張る、旨い、芋もパスタも旨い。
「お客さん、肉は嫌いなの」
「いえ、好きですよ」
「でも今はサラダが食べたいの、わー、このオニオンスープも美味しい」
「この人参も甘くて美味しいな。このパンも旨い」
「お客さん、バターありますよ」
変な客と思われただろう、さっきから何度も二人でサラダばかりお代わりしている。
でも肉にはなかなか食指が動かない。
それでも最後に出された肉は平らげて酒を注文する。
「この子これが大好きなのよねー」
マリアが青いワインをグラスの中で回して眺めている。
「酔って、この青い渦を見つめていると無心になれたみたいなの」
ジョージの記憶に有るマリアも、旅の後半では宿で泥酔して不安を振り払っていたようだ。
行く先には死しか見得ない旅路、それでもジョージの記憶に有るマリアは陽気で美しかった。
魔法国での二人の生活の夢を話し、明るい未来を語っていた。
どんな気持ちだったのか、死と遠い世界で暮らしていた俺には想像ができない。
マリアの真理亜に聞いて見ても良いが、少し無粋な様な気がする。
それにマリアはもう眠そうだ、ワイン片手に半分目を閉じている。
それに俺も眠い、熟睡できない夜が続いていた。
マリアの手からワインの瓶をもぎ取り、マリアを抱え上げる。
テーブルの上に酒代を置いて部屋に戻る。
ベットは一つだ、マリアを横たえ、その脇に肩を抱く様に横たわる。
昔の記憶が蘇る、真理亜の安心しきった寝息を聞いていると、俺は何時も物凄く幸せな気分になったものだ。
記憶も意識も暗い闇に沈んで行く、でも真理亜の寝息が脇に聞こえる、今俺は幸せだ。
ーーーーー
「兄さん起きて」
マリアがジョージの肩を揺する。
「あれ、マリア、ここは何処だい。僕等死んだ筈だろ、だってさっきまで黄泉道を歩いていたんだから。うわっ、変な記憶が押し寄せて来る。うわー」
「兄さん確りして、私達生き返ったのよ」
「でもこの記憶は」
「ノルン様が別の世界の魂を私達の身体の中に送り込んだらしいの、だから二つの魂がくっ付いちゃったの」
「僕等の魂は消えちゃうのかい」
「違うわ、一緒になるだけ。意識の境目が徐々に消えるだけよ」
「よかった、しかしこいつの記憶だとノルン様の加護で凄い事になってるな、この身体」
「そう、もう死神の足音は聞かなくて良いのよ。余裕で魔法国へ二人で行けるわ。」
「ああ、なんかこの身体は力に満ち溢れているな」
「ええ、私も。病弱だった私が嘘みたい。母さんから貰った結婚衣装持って来て良かったわ。向こうで結婚式を挙げましょう兄さん」
「ああ、愛してるよマリア」
「私もよ兄さん」
二人は顔を寄せて唇を重ねる。
「ふっ、ふっ、ふっ、兄さん、今の私なら何度でもやれそうよ。今まで我慢させてごめんなさい」
「そんなこと無いよマリア、でも今の僕なら何度でもできそうだよ。十分に何度でも喜ばせてあげられそうだ」
「嬉しいわ。じゃっ、兄さん早く服脱いで」
「マリア」
「兄さん」
ーーーーー
チッ、チッ、チッ、チッ、チッ。
窓の外の梢で一番鳥が鳴いている。
困ったもんだ、ジョージと俺は記憶を共用している、だから夢じゃ無いとはっきり断言できる。
腰のあたりがスッキリしているし、濃厚でジューシーな記憶は鮮明に有る。
それに俺に抱き付くように全裸のマリアが脇で寝ている。
腕を組んでマリアを見つめていたら、マリアがガバッと起き上った。
「参ったね、兄ちゃん」
「ああ、参ったな。まあ、仕方が無いから一先ず寝直すか」
「うん、判った。ちゃんと寝ないとね」
裸のマリアを抱き寄せて布団を被る、裸で肌を寄せると互いの温もりが伝わって、幸せ感が八割増しだった。
マリアも幸せそうな顔で寝息を立て始めた。
厨房脇の物置の床に一メートル角の木の蓋が作ってあり、その蓋を持ち上げると地下に階段が伸びており、階段を下りると風呂場が有った、通路は更に先まで伸びており、町の塀の外まで続いていると説明された。
脱衣所の入口には戸が二か所あり、左の戸に男神の裸像、右の戸に女神の裸像が浮き彫りにされていた。
マリアとは戸の前で別れた。
まだ早い時間帯の所為だろうか、脱衣所には誰も居なかったので安心した。
闇ギルドの宿だと思うと女中さんにすら警戒してしまう。
風呂場に着替えが用意してあったので、たぶん血に汚れた衣服をここで脱ぎ捨てるのだろう。
俺は汗で汚れた服を脱いで風呂場に入る、風呂場は広くて明るかった、誰もいないようだ、周囲を見回してみた。
「あー!」
「あー!」
そう、直ぐ脇にマリアが立っていた、勿論裸だ。
脱衣所は別れていたが、風呂場は男女一緒の様だった、仕方が無いので並んで湯船に浸かった、少し温かったがそれでも気持ちが良い。
「兄ちゃんと一緒に風呂入るの一年ぶりくらいかな」
「そうだな、俺が中二の時だから一年振りか」
両親が共働きだったので、小さい頃から真理亜に夕飯を食わせるのも、風呂に入れるのも、寝かしつけるのも俺の役目だった。
そのままの習慣を俺達は続けていたのだが、俺が中二、真理亜が小六の夏、風呂から出てリビングのエアコンの前で涼みながら真理亜をタオルで拭いていたら、仕事が早めに終わって帰って来た母さんがリビングの入口で絶句していた。
母さんに懇々と説教され、それ以来一緒に風呂に入っていない、それに、時々添い寝してやっていたことは勿論黙っていた。
母さんや父さんは心配していた様だったが、俺と真理亜は小さい頃からの習慣を何となく続けていただけで、互いを異性として意識することは特に無かった。
俺は真理亜を単なる保護対象としてしか意識しなかったし、真理亜も単なる依頼すべき相手という意識だったと思う。
だが困った事に今はジョージの記憶も共有している、だから隣に座っているマリアを百パーセント性的欲求の相手として意識している。
「兄ちゃん、勃起してるよ。抜いてあげようか」
「いや、歯止めが利かなそうだから止めておくよ。早く身体洗って風呂を出よう」
「うん、判った。背中洗ってあげる」
「ああ、頼む」
互いの背中を洗って、なんとか理性で乗り切った。
「いただきます」
真っ先にサラダの葉野菜に齧り付き頬張る、旨い、芋もパスタも旨い。
「お客さん、肉は嫌いなの」
「いえ、好きですよ」
「でも今はサラダが食べたいの、わー、このオニオンスープも美味しい」
「この人参も甘くて美味しいな。このパンも旨い」
「お客さん、バターありますよ」
変な客と思われただろう、さっきから何度も二人でサラダばかりお代わりしている。
でも肉にはなかなか食指が動かない。
それでも最後に出された肉は平らげて酒を注文する。
「この子これが大好きなのよねー」
マリアが青いワインをグラスの中で回して眺めている。
「酔って、この青い渦を見つめていると無心になれたみたいなの」
ジョージの記憶に有るマリアも、旅の後半では宿で泥酔して不安を振り払っていたようだ。
行く先には死しか見得ない旅路、それでもジョージの記憶に有るマリアは陽気で美しかった。
魔法国での二人の生活の夢を話し、明るい未来を語っていた。
どんな気持ちだったのか、死と遠い世界で暮らしていた俺には想像ができない。
マリアの真理亜に聞いて見ても良いが、少し無粋な様な気がする。
それにマリアはもう眠そうだ、ワイン片手に半分目を閉じている。
それに俺も眠い、熟睡できない夜が続いていた。
マリアの手からワインの瓶をもぎ取り、マリアを抱え上げる。
テーブルの上に酒代を置いて部屋に戻る。
ベットは一つだ、マリアを横たえ、その脇に肩を抱く様に横たわる。
昔の記憶が蘇る、真理亜の安心しきった寝息を聞いていると、俺は何時も物凄く幸せな気分になったものだ。
記憶も意識も暗い闇に沈んで行く、でも真理亜の寝息が脇に聞こえる、今俺は幸せだ。
ーーーーー
「兄さん起きて」
マリアがジョージの肩を揺する。
「あれ、マリア、ここは何処だい。僕等死んだ筈だろ、だってさっきまで黄泉道を歩いていたんだから。うわっ、変な記憶が押し寄せて来る。うわー」
「兄さん確りして、私達生き返ったのよ」
「でもこの記憶は」
「ノルン様が別の世界の魂を私達の身体の中に送り込んだらしいの、だから二つの魂がくっ付いちゃったの」
「僕等の魂は消えちゃうのかい」
「違うわ、一緒になるだけ。意識の境目が徐々に消えるだけよ」
「よかった、しかしこいつの記憶だとノルン様の加護で凄い事になってるな、この身体」
「そう、もう死神の足音は聞かなくて良いのよ。余裕で魔法国へ二人で行けるわ。」
「ああ、なんかこの身体は力に満ち溢れているな」
「ええ、私も。病弱だった私が嘘みたい。母さんから貰った結婚衣装持って来て良かったわ。向こうで結婚式を挙げましょう兄さん」
「ああ、愛してるよマリア」
「私もよ兄さん」
二人は顔を寄せて唇を重ねる。
「ふっ、ふっ、ふっ、兄さん、今の私なら何度でもやれそうよ。今まで我慢させてごめんなさい」
「そんなこと無いよマリア、でも今の僕なら何度でもできそうだよ。十分に何度でも喜ばせてあげられそうだ」
「嬉しいわ。じゃっ、兄さん早く服脱いで」
「マリア」
「兄さん」
ーーーーー
チッ、チッ、チッ、チッ、チッ。
窓の外の梢で一番鳥が鳴いている。
困ったもんだ、ジョージと俺は記憶を共用している、だから夢じゃ無いとはっきり断言できる。
腰のあたりがスッキリしているし、濃厚でジューシーな記憶は鮮明に有る。
それに俺に抱き付くように全裸のマリアが脇で寝ている。
腕を組んでマリアを見つめていたら、マリアがガバッと起き上った。
「参ったね、兄ちゃん」
「ああ、参ったな。まあ、仕方が無いから一先ず寝直すか」
「うん、判った。ちゃんと寝ないとね」
裸のマリアを抱き寄せて布団を被る、裸で肌を寄せると互いの温もりが伝わって、幸せ感が八割増しだった。
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