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Ⅲ 王都フルムル
14 兄妹薬草工房で働く2
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遠くから楽団の太鼓の音が聞こえてくる、ラッパの音も聞こえ始め、先頭の騎馬隊が持つ光る槍の穂先が見えて来た。
今日は一週間続いた誕生会の最後の催し物である王女様の祝賀パレードを見に来ている。
ポーション工房や薬草農園の若手達と一緒に昨夜からパレードの通る表通りに敷布を敷いて陣取り、先頭の特等席を確保している。
地方から出て来た同年代の夫婦が意外に多く、昨夜は色々な話題で盛り上がった。
一番の話題は勿論パレードの主である王女を巡るロイヤルな話題だ。
王家にはまだ男児が生まれていない、なので今年十歳の節目の誕生日を迎えた王女の婚姻相手の予想に話題が盛り上がった。
皆の予想の本命はなんとミハエルなのだ、ペテローネ家とミランダ家という本来この国の王家である二家の統合という最もらしい薀蓄に皆が頷いていた。
対抗がキャノーラ大国の第四王子の婿入り、キャノーラ大国の脅威はまだ続いており、恭順の意思を示して脅威を和らげようと、西部の辺境伯連合が密かに動いているとの見て来た様な話も盛り上がった。
抑えの候補は乱立していた、公爵の息子から辺境伯の息子まで、ジョージとマリアの兄の名まで挙がったのには苦笑した。
王女の結婚相手の話からミハエルの結婚相手に話題が移ると、これは女性の間で特に盛り上がった。
ミハエルは庶民の間では遊び人と認識されているようで、今マーシャル国に留学しているのは、他家の公爵家の奥方との浮気が原因との話には皆が頷いていた。
ミハエルが今回の里帰りにマーシャル家の王女を伴っているとの噂話もあり、噂話も侮れないと思った。
「これはここだけの話なんだが、出入りの漁師さんの話によると湖で南軍と北軍が睨み合ってるらしいんだ」
「あー!それ、俺も出入りの商人さんから似た様な話聞いたぞ、ミランダ家が王権の移譲を申し立てて王家と揉めてるんだってさ」
「私も仕立て屋の女の子から昨日聞いたわ、一昨日の誕生会パーティーでミランダ家と王家で揉め事があったんだってさ。マーシャル国も一枚噛んでるらしいの」
「ふーん心配ね、内戦が起きなきゃ良いけど」
「内戦が起きたらキャノーラ国がまた攻め込んで来るぞ、いや、これ自体がキャノーラ国の策略かも知れないな」
「パレードのミハエル様の立ち位置で状況がはっきりするだろうな。もし欠席されている様なら危ないかもしれないぞ」
ミハエルは心配だけど、まあ一般平民の俺に出来る事は何も無い。
行列が近付いて来た、磨き込まれたフルアーマーが並ぶ光景は壮観だ。
黒と赤の鎧を着た軍団がやって来た、花に飾られた白い無蓋馬車を囲んで右に黒の鎧を着た軍団、左に赤の鎧を着た軍団が配されている。
馬車の上にはミハエルが乗っていた、右の腕をアリューシャに、左の腕を同じく十歳くらいの御姫様に縋り付かれている、たぶんこの国の王女様だろう。
両手に花状態だ、まるでミハエルがパレードの主役の様に見える、心配して損した。
こちらを見た様な気がしたので手を振ってあげた。
ーーーーー
ミランダ公爵家公子ミハエル
この数日必死に捜しても見つからなかった二人が沿道で菓子を食いながら手を振っている、なんかだんだん腹が立って来た。
だが今は下手に動けない、王があの二人を手に入れたら戦争が始まってしまう。
あの二人が僕の手中にあると勘違いしてくれているから、今の微妙なバランスが保たれている。
隼衆は一体何処を探していたんだろうか、本人達には隠れる意思がまるで無いように見えた。
三日前のエスピ姫の誕生祝賀パーティーで王との亀裂が決定的になってしまった。
パーティーの席上で王が突然エスピ姫と僕との婚約を発表したのだ。
僕が王家に婿入りし、エスピ姫が女王になる形だった、実質的にミランダ家がペテローネ家に吸収される形だ、親父の顔色が変わった。
形式上家臣である立場の僕達が、拒めないとの計算での行為だったと思う、逆にそれだけ僕がメテオ使いを雇ったとの噂が王を追い詰めていたのだろう。
確かにあの二人と契約を交わしたのは事実だ、ただしそれは王都までの護衛だ、だが王の目には二人がミランダ陣営に加わったと写ったに違いない。
だが、ちょうど上手い具合に異を唱えるものが居た。
「駄目!ミーシャは私の結婚相手よ」
アリューシャだ、迷惑な存在と主張だが、彼女なら異を唱えられる立場にある。
「駄目!ミーシャは昔から私の相手って決めてたの」
エスピだ、エスピにも何故か懐かれている、幼い頃から”お嫁さんにして”と良く膝の上に乗ってきたので、子供と思い生返事をして相手にして来た、それがこんな形になろうとは、迷惑な話だ。
二人が俺を挟んで睨み合った、まあ、他愛のない子供の喧嘩なのだが、これに親父が便乗した。
「王よ、有難いお話ではありますがご覧のとおり話は隣国との関係にも及びます。しばし熟慮のお時間を頂けるとありがたいのですが」
「・・・・・・・うむ、良かろう。良い返事を期待しておる」
そして今日、親父はパレードに参加するなと言っていたが、撲は無理をしてでも参加した。
無邪気な二人は僕の腕にしがみ付いて喧嘩してるが、僕はこの綱渡りで胃が擦り減りそうだ。
普段は姫を護る形で右側を行進する形の黒竜騎士団が僕を護る形で左側を行進している。
赤竜騎士団も同様に普段と逆側を行進している。
二つの騎士団の張りつめた緊張感が伝わって来るようだ。
早くあの二人を王の所に連れて行って僕の無実を証明しないと、本当に内戦が始まってしまう。
今日は一週間続いた誕生会の最後の催し物である王女様の祝賀パレードを見に来ている。
ポーション工房や薬草農園の若手達と一緒に昨夜からパレードの通る表通りに敷布を敷いて陣取り、先頭の特等席を確保している。
地方から出て来た同年代の夫婦が意外に多く、昨夜は色々な話題で盛り上がった。
一番の話題は勿論パレードの主である王女を巡るロイヤルな話題だ。
王家にはまだ男児が生まれていない、なので今年十歳の節目の誕生日を迎えた王女の婚姻相手の予想に話題が盛り上がった。
皆の予想の本命はなんとミハエルなのだ、ペテローネ家とミランダ家という本来この国の王家である二家の統合という最もらしい薀蓄に皆が頷いていた。
対抗がキャノーラ大国の第四王子の婿入り、キャノーラ大国の脅威はまだ続いており、恭順の意思を示して脅威を和らげようと、西部の辺境伯連合が密かに動いているとの見て来た様な話も盛り上がった。
抑えの候補は乱立していた、公爵の息子から辺境伯の息子まで、ジョージとマリアの兄の名まで挙がったのには苦笑した。
王女の結婚相手の話からミハエルの結婚相手に話題が移ると、これは女性の間で特に盛り上がった。
ミハエルは庶民の間では遊び人と認識されているようで、今マーシャル国に留学しているのは、他家の公爵家の奥方との浮気が原因との話には皆が頷いていた。
ミハエルが今回の里帰りにマーシャル家の王女を伴っているとの噂話もあり、噂話も侮れないと思った。
「これはここだけの話なんだが、出入りの漁師さんの話によると湖で南軍と北軍が睨み合ってるらしいんだ」
「あー!それ、俺も出入りの商人さんから似た様な話聞いたぞ、ミランダ家が王権の移譲を申し立てて王家と揉めてるんだってさ」
「私も仕立て屋の女の子から昨日聞いたわ、一昨日の誕生会パーティーでミランダ家と王家で揉め事があったんだってさ。マーシャル国も一枚噛んでるらしいの」
「ふーん心配ね、内戦が起きなきゃ良いけど」
「内戦が起きたらキャノーラ国がまた攻め込んで来るぞ、いや、これ自体がキャノーラ国の策略かも知れないな」
「パレードのミハエル様の立ち位置で状況がはっきりするだろうな。もし欠席されている様なら危ないかもしれないぞ」
ミハエルは心配だけど、まあ一般平民の俺に出来る事は何も無い。
行列が近付いて来た、磨き込まれたフルアーマーが並ぶ光景は壮観だ。
黒と赤の鎧を着た軍団がやって来た、花に飾られた白い無蓋馬車を囲んで右に黒の鎧を着た軍団、左に赤の鎧を着た軍団が配されている。
馬車の上にはミハエルが乗っていた、右の腕をアリューシャに、左の腕を同じく十歳くらいの御姫様に縋り付かれている、たぶんこの国の王女様だろう。
両手に花状態だ、まるでミハエルがパレードの主役の様に見える、心配して損した。
こちらを見た様な気がしたので手を振ってあげた。
ーーーーー
ミランダ公爵家公子ミハエル
この数日必死に捜しても見つからなかった二人が沿道で菓子を食いながら手を振っている、なんかだんだん腹が立って来た。
だが今は下手に動けない、王があの二人を手に入れたら戦争が始まってしまう。
あの二人が僕の手中にあると勘違いしてくれているから、今の微妙なバランスが保たれている。
隼衆は一体何処を探していたんだろうか、本人達には隠れる意思がまるで無いように見えた。
三日前のエスピ姫の誕生祝賀パーティーで王との亀裂が決定的になってしまった。
パーティーの席上で王が突然エスピ姫と僕との婚約を発表したのだ。
僕が王家に婿入りし、エスピ姫が女王になる形だった、実質的にミランダ家がペテローネ家に吸収される形だ、親父の顔色が変わった。
形式上家臣である立場の僕達が、拒めないとの計算での行為だったと思う、逆にそれだけ僕がメテオ使いを雇ったとの噂が王を追い詰めていたのだろう。
確かにあの二人と契約を交わしたのは事実だ、ただしそれは王都までの護衛だ、だが王の目には二人がミランダ陣営に加わったと写ったに違いない。
だが、ちょうど上手い具合に異を唱えるものが居た。
「駄目!ミーシャは私の結婚相手よ」
アリューシャだ、迷惑な存在と主張だが、彼女なら異を唱えられる立場にある。
「駄目!ミーシャは昔から私の相手って決めてたの」
エスピだ、エスピにも何故か懐かれている、幼い頃から”お嫁さんにして”と良く膝の上に乗ってきたので、子供と思い生返事をして相手にして来た、それがこんな形になろうとは、迷惑な話だ。
二人が俺を挟んで睨み合った、まあ、他愛のない子供の喧嘩なのだが、これに親父が便乗した。
「王よ、有難いお話ではありますがご覧のとおり話は隣国との関係にも及びます。しばし熟慮のお時間を頂けるとありがたいのですが」
「・・・・・・・うむ、良かろう。良い返事を期待しておる」
そして今日、親父はパレードに参加するなと言っていたが、撲は無理をしてでも参加した。
無邪気な二人は僕の腕にしがみ付いて喧嘩してるが、僕はこの綱渡りで胃が擦り減りそうだ。
普段は姫を護る形で右側を行進する形の黒竜騎士団が僕を護る形で左側を行進している。
赤竜騎士団も同様に普段と逆側を行進している。
二つの騎士団の張りつめた緊張感が伝わって来るようだ。
早くあの二人を王の所に連れて行って僕の無実を証明しないと、本当に内戦が始まってしまう。
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